サマータイムって何?英語で学ぶ世界各国の夏時間制度について

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冬って、朝起きるのが辛くなりませんか?

アラームが鳴って起きてカーテンを開けてもまだ外は暗く、そして寒い...

朝から部屋の電気や暖房をつけて準備をしないといけないのはなんだか気分が上がりませんよね。

そんな夏と冬で違う日の昇る時間に合わせて時計の時間を早めるサマータイムという制度があります。

今日はそのサマータイムの歴史やメリットとデメリット、サマータイムを英語で表現したいときの言い方についてご紹介していきます。

サマータイムとは?

そもそもサマータイムとは一体なんなのでしょうか?

サマータイムとは、日の出時刻が早まる時期に、時計の針を1時間進めることで日が暮れる時刻を遅らせる時間制度やその時刻のことをいいます。

つまり、夏は冬に比べて朝早く明るくなるのでその時間を有効活用するために1時間起きる時間を早め、日照時間中の活動時間を長くするということです。

サマータイムというと夏の時期7月8月辺りに導入される気がしますが、多くの国では3月〜10月あたりがサマータイムの時期になります。この時期は国によって4月開始だったり11月終了だったりと少し異なります。

サマータイムの開始日には1日が23時間になり、終了日には25時間になります。

現在、サマータイムは北半球の夏の期間にヨーロッパと北アメリカのほとんどの国とアジアの一部の国、南半球の夏の期間に南アメリカとオセアニアの一部の国でそれぞれ実施されています。

サマータイムが始まった背景

サマータイムが始まった背景として、エネルギー消費量を抑えるため、というものがあります。太陽の光を長く活用し、なるべく夜間の活動を減らそうという考えです。

18世紀にベンジャミン・フランクリンがロウソクの節約のため起床時間を日の出ている時間に合わせることを初めて提唱したとされています。その後は1895年にニュージーランドのジョージ・ハドソンが春に2時間時計を変更するというアイディアを提案し、1907年にイギリスのウィリアム・ウィレットが同様のアイディアを早朝の時間を有効に使うために提案しましたが実施には至りませんでした。

世界で初めてサマータイムが導入されたのは1908年、カナダのオンタリオ州ポート・アーサーにおいてです。全国規模では、第一次世界大戦中の1916年にドイツとイギリスが初めて実施しました。第一次世界大戦中に石油の使用量を減らすためです。夜間の電力消費量をサマータイムによって抑えて戦争のために使用するエネルギーに充てました。

日本でも1948年から1952年にかけてサマータイム制度が導入されましたが、日照時間の地域差やシステムの問題でその後廃止されています。

その後多くの国で同様のサマータイムが実施されてきましたが、特に普及しだしたのは1970年代の石油危機の後からです。

現在も北アメリカやヨーロッパの一部の国で導入されていますが、同じ国でも導入している地域としていない地域があります。

例えば、オーストラリアでもノーザンテリトリー、クイーンズランド州、西オーストラリア州ではサマータイムが導入されていません。オーストラリアは日ざしが強く、皮膚がん患者が多いため、これ以上太陽の光を浴びて皮膚がん患者が増えるのを避けるためだそうです。

その他にもアメリカではハワイ州とアリゾナ州の一部では導入されていません。これらの地域は日照時間が年間を通してあまり変わらず、サマータイムの意味があまりないためです。

サマータイム制度の導入については今でもさまざまな国で議論が行われていて、以前は導入されていたが今は廃止されているなどの国も多いようです。

サマータイムの英語表現

そんなサマータイムですが、英語ではどのように表現するのでしょうか。「そのままsummer timeじゃダメなの?」なんて声が聞こえてきそうですね。実は他の言い方をすることもあります。表現方法もアメリカ英語とイギリス英語で違ってくるので、それをご紹介します。例文も一緒にご紹介するので、会話の参考にしてみてください。

アメリカでの言い方

アメリカ英語ではサマータイムをDaylight Saving Time、略してDSTと表現するのが一般的です。直訳すると日中の光を節約する時間ということになります。

サマータイムの目的であるエネルギー消費量の節約や日照時間の長さの有効活用がわかりやすく表現された言葉ですね。

アメリカ英語でサマータイムをそのままsummer timeと表現してしまうと、「夏」や「夏季」と解釈されることもあります。文脈で

理解してもらえるとは思うので絶対に間違いというわけではありませんが、DSTという表現を使いこなせるのがベストです。

例文も見てみましょう。

I was late for school today because I forgot to set my clock forward for the start of daylight saving time.

(サマータイムのために時計を進めるのを忘れていたので今日学校に遅刻してしまった。)

イギリスでの言い方

ここまでの流れだとサマータイムという表現は和製英語なのかと思われがちですが、そういうわけではありません。イギリス英語でサマータイムはそのままsummer timeと表現されます。イギリス以外のヨーロッパ各国でもsummer timeという表現が一般的です。

例文も見てみましょう。

Today is the last day of summer time, so don't forget to put back your clock.

(今日がサマータイム最終日だから、時計を元に戻すのを忘れないようにね。)

結論、summer timeと表現しても相手には伝わります。ただ、相手に合わせてDSTとsummer timeを使い分けられるとネイティブスピーカーっぽい英語になりますし、かっこいいですよね。余裕があれば頭に入れておいておけるといいと思います。

サマータイムのメリット/デメリット

エネルギーの使用量も抑えられるし太陽の光をより長く浴びることもできる。ここまでの話だとサマータイムは経済的にも健康的にも良いことだらけなような気がします。ただ、現在でもサマータイムを継続している国もありますが、世界的には導入されていない国の方が多いのが現状です。それはなぜなのでしょうか?サマータイムのメリットとデメリットについて解説していきます。

メリット

サマータイム制度導入によるメリットから解説します。

まずはなんと言っても日照時間を有効に活用できることです。電気などのエネルギーの節約が期待されます。夜間の電気消費量を削減することで、CO2排出量を減らし地球温暖化対策にもなります。

また、太陽の光を最大限に活用することで日中の活動時間を長くとることが可能になります。これにより、レジャーやスポーツなどのアウトドア活動に時間を割くことができ、生活の質の向上が見込めます。

デメリット

これだけのメリットがありそうなサマータイム制度ですが、現状導入されていない国がたくさんあります。それにはデメリットもあるからです。

主なデメリットとして、生活リズムの乱れや健康への悪影響があげられます。時間が1時間変わることで生活リズムが一時的に乱れ、睡眠不足や体調不良を引き起こすことがあります。

また、時刻変更のためのシステム改修には多大なコストがかかるという経済面でのデメリットもあります。

そして、これらのデメリットに対してサマータイム導入による省エネ効果はそこまで期待できないという点もあり、サマータイム導入に否定的な意見も多いのが現状です。

日本でも東京オリンピックの際サマータイム制度導入が検討されていましたが、実施には至りませんでした。現在も日本は国としてのサマータイムは実施していませんが、企業によっては夏の間就業時間を1時間前倒しにする制度を導入しているところもあるようです。メリットデメリットを踏まえた上でより良い選択をすることが必要です。

おまけ EUでは80%以上の人が反対している?

メリットもデメリットもあるサマータイム、実はEUでは80%以上の人が制度の導入に反対しています。これは一体どうしてなのでしょうか?

2018年に、EUの執行機関である欧州委員会はオンラインでサマータイムの廃止に関する意見公募を実施しました。その結果、約460万件の回答のうち84%が「サマータイム制度の廃止に賛成」との内容でした。この意見公募はEU加盟国すべてが対象となっていますが、回答したのはEUの人口約5.12億人のうちの460万人と、1%にも満たない回答率です。そのためEUの総意とは言えませんが、過去の意見公募の中では最高の回答率だったとの発表もありました。サマータイムには高い関心が寄せられていることが分かります。

廃止に賛成する理由としては、生活リズムの乱れによる健康への悪影響や交通事故の増加、そしてサマータイムの本来の目的であるエネルギー消費量の削減が照明技術などの進歩により期待できなくなってきたことが挙げられます。

また、EU加盟国の中でもサマータイムを導入している国としていない国に分かれている場合、国同士の貿易に関する費用が増加したり、輸送や旅行などに不便が生じることもあるとのことです。

複数の国が集まって成り立っているEUだからこそ、他の国とは違う視点からの反対もあるようですね。

まとめ

今回は、日照時間が長い時期に太陽の光を無駄にしないためのサマータイム制度についてご紹介しました。現在日本では導入されていないのであまり身近ではないですが、海外に行く時はその国がサマータイム中じゃないかは確認しておくといいですね。

メリットデメリットどちらもある制度なので、今導入されている国も今後廃止されたり、その逆になったりも考えられます。海外に住んでいる方に連絡を取るときの時差の問題もあるので、なるべく新しい情報をチェックしておくようにしましょう。

サマータイムの英語表現も学べたかと思います。ぜひ海外の方と英語でサマータイムについて議論してみてはいかがでしょうか?

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