アンティークの時計、ヴィンテージのジーンズ、クラシックカー、レトロなおもちゃなど、古き良きデザインのものを表す言い方はいろいろありますよね。
「レトロ」「アンティーク」「ヴィンテージ」といった表現は、どれも英語にルーツをもっていて、似たような言葉でありながら、実はそれぞれが異なるニュアンスを持っています。
今回の記事では、レトロ、アンティーク、ヴィンテージといった古くて価値のあるものを表す英語表現の違いについて解説していきます。
antique / vintage / retroの違い
”antique”(アンティーク)、” vintage”(ヴィンテージ)、”retro”(レトロ)は、どれも古くて懐かしく価値があるもの、といったイメージのある言葉です。
英語には ”old”(古い)という形容詞もありますが、”antique”、” vintage”、”retro” はどんな風に区別をして使い分けていけばよいのでしょうか。
英語辞典であるCambridge Dictionary(https://dictionary.cambridge.org/ja/)でそれぞれの意味を調べてみると、以下のように記載されています。
old and often rare or beautiful
しばしば希少性が高い、あるいは美しい状態であり、かつ古い
of high quality and lasting value
質が高く、永続的な価値がある
similar to styles, fashions, etc. from the past
過去のスタイルやファッション等に似ている
「古い」や「過去のもの」といった共通のニュアンスを持ってはいるものの、意味をよく見てみると微妙に違いがあることがわかりますよね。
ここからは、それぞれの単語をひとつずつ取り上げて、意味やニュアンス、使い方について詳しく解説していきます。
antiqueの意味と使い方
”antique” は古いものの中でも特に、希少性が高く美しいものを指して使われる言葉です。もともとはフランス語で、古美術や骨董品のことを表す単語でした。
”antique” の語源はラテン語で「古いもの」を意味する ”Antiquus”(アンティクウス)だと言われています。かつてはイギリスの上流階級の人々の間でやりとりされていた古代ギリシャやローマ時代の遺物を指して使われていた言葉だったのですが、次第に一般市民の間でも家具などを称して使われるようになっていきました。
現代の日本でも、古い時代に作られた価値ある品物を「骨董品」や「古美術品」と呼んだりしますが、英語の ”antique” も同じような意味で使われます。
彼は古美術商だった。
私の妹はアンティーク家具を買うことを夢見ている。
”antique” の意味について調べていると、「”antique” は製造から100年以上経過したものにだけ使われる」とされていることがあります。これは正解でもあり、間違いでもあります。
1934年にアメリカのマッキンリー大統領が、輸出入に関する通商関税法の改正の中で「100年以上の古い美術品、工芸品、手工芸品に輸入関税を課さない」と決定した出来事がありました。
さらにその後、GATT(関税と貿易に関する一般協定)やWTO(世界貿易機関)がこの基準を採用したことにより、「アンティークとは製造されてから100年以上経過したもの」という考えが広まりました。
このルールはあくまで美術品、工芸品、手工芸品の関税に関する法律における輸入関税についての決めごとであり、家具や椅子、雑貨などは対象外となります。しかし、「”antique” は、製造されてから100年以上経過したものだ」という情報が拡大解釈され、どんな品物についても100年以上経っていないとアンティークと呼ばない、と考えられている場合もあります。
アンティーク文化が生活に根付いているヨーロッパの国々に目を向けてみると、実は「アンティーク」に対する明確な定義は存在しておらず、「製造されてから100年以上経過したもの」といった年月に関する明確なルールもないというのが実情です。
こういったヨーロッパの国々では、100年経っているといった年月に関する事実よりも、「大量生産でない」「デザインが歴史的特徴を継承している」といったことの方が重要視されています。アンティークの本場である英国においても、製造されてから100年未満のものが ”antique” と呼ばれていることがあるくらいです。
このように、アンティークの定義については国や品物によって異なる場合があるということになるのですが、海外向けにオンラインショップで売買をしたい場合など、関税法が介するような場合においては、 ”antique” =「製造してから100年以上経っているもの」という認識が前提とされることがありますので、注意してくださいね。
これはアンティークの家具ですか? =製造されてから100年以上経った家具ですか?
vintageの意味と使い方
”vintage” は、一般的には100年以内の比較的近い時期に作られた、高品質で価値のある古いものを指す言葉です。
ちなみに、”vintage” という言葉自体はもともとラテン語で「ぶどうを収穫する」という意味でした。それがだんだんと転じていって、当たり年のワインのことを「ヴィンテージ」と呼ぶようになりました。
当たり年のワインは希少価値が高くて値段も高いので、ワイン以外の車や家具、衣類についても「高品質で希少価値が高く、高価なもの」として「ヴィンテージ」の名前がつくようになったと言われています。
彼はヴィンテージジーンズの収集マニアです。
私はヴィンテージのTシャツを買うのがとっても好きです。
前述したとおり、100年以上昔に作られた価値ある品物や、大量生産ではなく歴史的デザインに基づいて作られた価値ある古い品は ”antique” と呼ばれます。
こういった ”antique” の概念に対し、100年以内に作られた大量生産品は ”rubbish”(ガラクタ、ごみ)と呼ばれるようになりました。
しかし、”rubbish”(ガラクタ、ごみ)とされる比較的新しい大量生産品の中にも、高品質で価値のある品物は存在します。そういった品物を ”rubbish” と区別するために、”vintage” という言葉がうまれたともいわれています。
retroの意味と使い方
レトロヴィンテージ、レトロアンティーク、昭和レトロなど、ファッションや家具の分野では「レトロ」を含んだ色々な言葉が存在します。
そもそも ”retro”(レトロ)とは、英語で「回顧」を意味する ”retrospective” (レトロスペクティブ)が語源となっており、「古い時代の懐かしさを感じさせるもの」といった意味を持っています。「昔風の」といってもいいかもしれません。
”retro” が ”antique” や ” vintage” と大きく違う点としては、「実際に古いものである必要はない」というところです。古い時代の「感じがする」というところがレトロのポイントで、例えばあるブランドの最新作シリーズが1970年代のスタイルであれば、「70年代風のレトロファッションだね」と言えてしまうというわけです。
わあ素敵!そのレトロなワンピースがとっても似合ってるわ。
最近は友人達とレトロなゲームをするのにハマっています。
その他の関連表現
”retro”、”antique”、” vintage” 以外にも、古くて価値があるといった同じようなニュアンスを持つ言葉があります。
classic
”classic” は「流行にとらわれない、古典的な」という意味をもつ単語です。
昔からあるもので今に残っているということから、ずっと愛されるくらい価値があって優れたものといった意味をもつこともあります。
音楽のジャンルではクラシックと言えばバッハやモーツァルトなどの古典的な音楽を指しますが、一般的な英単語としての ”classic” は音楽だけを指しているわけではなく、「昔からあり今も価値のある優れたもの」といった意味合いで使われています。ちなみにクラシック音楽は ”classical music” と言います。
いつかクラシックカーであちこち行ってみたいと思っています。
イマジンは不朽の名作だ!
period
”period” は中学校の英語の授業で「期間」という意味で習った方が多いとは思いますが、実は「古い時代の、時代物の」という意味も持っています。
例えば時代劇は ”period drama”、時代物の衣装は ”period costume” というように呼ばれます。
私の娘は日本の時代劇を観るのが大好きなんです。
様々な時代衣装の中からお気に入りの一着を選び、それを着て回ることができます。
まとめ
なんとなく「古いもの」でひとくくりにして使ってしまいがちな ”antique”、”vintage”、”retro”、”classic” などの英語表現ですが、実はそれぞれの単語に微妙なニュアンスの違いがあります。
ヨーロッパではアンティーク文化が根強く残っていたりもしますし、車、ワイン、洋服など、ヴィンテージものについて英語でやりとりする機会は意外と多いものです。そんなときにはぜひ、 ”antique”、”vintage”、”retro”、”classic” などの単語を適切に使って、楽しく会話をしていってくださいね。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.