現在分詞や過去分詞と聞くと、学生時代の英文法で格闘した記憶が蘇る・・・という方も多いかもしれませんね。
そもそも分詞とは何なのかということや、現在分詞と動名詞の違いについてなど、現在分詞や過去分詞についてはっきりわからないままなんとなく英語学習を進めていくうち、英語表現の壁にぶち当たってしまったという方もいるかもしれません。
今回は、現在分詞と過去分詞の使い方や使い分け、違いについて例文を交えながら詳しく解説していきます。
現在分詞と過去分詞の使い方
そもそも「分詞(Participles)」とは、「動詞と形容詞の性質をあわせ持つ言葉」を意味しています。
「動詞」は「動作や状態を表す言葉」、「形容詞」は「名詞を修飾する言葉」ですので、「分詞」は「動作や状態も表せるし、名詞について修飾もできる」という便利な言葉ということになります。
さらに「分詞」には「現在分詞」と「過去分詞」の2種類があります。
「現在分詞」は「動詞の-ing形」をとり、「〜している」という意味を表します。また「過去分詞」は「動詞のed形(不規則形の場合もある)」をとり、「〜されている」という意味を表します。
過去分詞の例:announced(発表された)、broken(壊れている)、painted(描かれた)
ちなみに、現在分詞と過去分詞の ”現在” や ”過去” という言葉は、時制上の現在や過去とは何の関係もありません。
例えばbroken(壊れた、壊れている)という過去分詞を使った以下の例文をみてみましょう。
その時計は壊れている。
The clock(その時計)が「broken」である、という文章ですが、この文章での「broken」はbreakの過去分詞であり、「今、壊れている状態」を表しています。
「過去分詞」を使ってはいますが、表現しているのは「現在」の状況だということになります。
この「現在分詞」と「過去分詞」と時制の関係はたくさんの方が誤解しやすいポイントですので、ぜひ間違えないように覚えておいてくださいね。
ここまでの内容をまとめると、以下のようになります。
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|ー 現在分詞 ing形(「〜している」という意味)
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|ー 過去分詞 ed形など(「〜されている」という意味)
現在分詞の使い方
現在分詞は-ing形をとり、「〜している」という意味を表します。
ある名詞に対して、「〜している」とか「〜な状態の」といった動作や状態に関する詳細情報を付け加えたいときには、現在分詞を使うととても便利です。
次の例を見てください。
The horse is running. The horse is white.
「馬」に対して「白い」と「走っている」という2つの付加情報があり、それを1つずつの文章で表していますね。この2つの文章を、現在分詞を使って表現すると次のようになります。
The running horse is white.
「白い」と「走っている」という2つの付加情報を、1つの文章にまとめることができました。このように、現在分詞は英文を構成するうえでとても重要な働きをします。
そんな現在分詞の働きを大きく分けると
能動的な形容詞的用法
の2つがあります。
進行を表す
現在分詞が「be動詞」とセットで使われると、動作や状態が進行していることを表す「進行形」という表現になります。
be動詞が現在形であれば「現在進行形」、過去形であれば「過去進行形」になります。
彼は歌を歌う。<現在形>
彼は歌を歌っている。<現在進行形>
彼は歌を歌っていた。<過去進行形>
進行形の時制はbe動詞の時制によって変わる、ということですね。
英文法はちょっと苦手…という方は、
be動詞 + -ing形 = 進行形(〜している)になる!
というところから覚えていけば大丈夫なのですが、進行形の文章の文型についてもすこし詳しく説明をしていきます。
進行形に使われる現在分詞(-ing形)は、第2文型と言われるSVC型のC(補語)のような働きをしていると誤解されがちですが、実際にはbe動詞が助動詞のような働きをしており、現在分詞(-ing形)の部分が V(動詞)としての役割を果たしています。
つまり、進行形に使われる現在分詞(-ing形)はC(補語)ではなくV(動詞)である、ということです。
具体例をみてみましょう。たとえば次の文章は第2文型(SVC型)で、S(主語)が ”He”、V(動詞)が ”is”、C(補語)が ”kind” です。
彼は優しい。
SVC型は、S = Cであることが特徴ですので、彼(S)=優しい(C)、という文章になります。
同じ内容を現在分詞を使って表現すると次のようになります。
彼は優しく在ります。(=彼は優しい)
実は、進行形におけるbe動詞は助動詞のような働きをします。つまり、現在分詞を使った文章では ”is” が ”can” や ”should” のような助動詞の働きをしています。助動詞と動詞はセットで働きますので、助動詞を使った文章では助動詞+動詞=動詞(V)だとされています。
つまり上の文章では、”is being” がセットで動詞(V)の役割を果たしていると考えてよい、というわけです。
同様に考えると、次の2つの文章は同じSVC型の第2文型であるように見えますが、実は第1文型と第2文型という異なる文型の文章であることがわかります。
彼は優しい。
(S = He, V = is, C = kind の第2文型)
彼は寝ている。
(S = He, V = is sleeping の第1文型)
日常英会話では文型についてあまり意識することはないかもしれませんが、受験英語や資格試験対策をしている方は知っておくとよいかもしれませんね。
能動を表す
ある動作があったとき、動作の主体を主語にして「〜する」と表現するものを「能動態」といい、動作を受ける側が主体を主体にして「〜される」と表現するものを「受動態」といいます。
たとえば「走っている」は能動態ですが、「走らされている」は受動態です。
現在分詞は、能動態に限って形容詞的な働きをすることができます。
現在分詞が能動的な動作の内容を表現しながら名詞を修飾している場合、現在分詞は「名詞を修飾する」という形容詞的な働きをしているので、これを「現在分詞の形容詞的用法」と呼びます。
走っている男
笑っている女の子たち
眠っている犬
これらはすべて、「現在分詞の形容詞的用法」を使っている表現ですね。
ちなみに現在分詞は「走っている」「笑っている」など、主体が能動的に行動している場合に使えますが、もし「書かされている」「使われている」などの受動的な行動を表す場合は現在分詞ではなく過去分詞を使います。過去分詞については後述します。
さて、そもそも形容詞には「限定用法」と「叙述用法」という文法的に異なる2種類の使い方があります。
「限定用法」とは、名詞の前後に形容詞を置いて名詞の内容を修飾する使い方です。一方「叙述用法」は、主語や目的語を説明する補語(C)として用いられる使い方のことです。
具体例で説明すると、次のようになります。
A happy man
幸せな男
He is happy.
彼は幸せだ
→SVC型のC(補語)
現在分詞も、形容詞的用法では形容詞のように働きますので、限定用法と叙述用法の2つの使い方で用いられます。
現在分詞の限定用法では、原則として現在分詞は修飾する名詞の前に置かれます。これを「前置修飾」と言います。
私は走っている男の子を見た。
名詞の前に分詞が来るのが原則ですが、分詞句が2語以上の語群になる場合は、現在分詞が名詞の後ろに置かれます。これを「後置修飾」と言います。
私は向こうで走っている男の子を見た。
分詞句が「running over there」と2句以上あり、「a boy」の後ろに分詞句が来ていますね。
一方、現在分詞が補語(C)として使われる叙述用法は、英語の5文型のうち第2文型(SVC型)と第5文型(SVOC型)で用いられます。特に第2文型で補語(C)に現在分詞をとる主な動詞としては、 ”keep” や ”go” があります。
「keep + 分詞」は「〜の状態を続ける」、「go + 分詞」は「〜をしに行く」という意味になります。
彼は何時間も泣き続けた。
私は父親と買い物をしに行った。
過去分詞の使い方
過去分詞は、「動詞のed形(不規則活用もある)」をとって「〜されている」という意味を表す言葉です。
過去分詞には、動詞の原形の末尾に ”ed” をつけた規則変化型のほか、”d” がつくもの、不規則に変化するものといった種類があります。
過去分詞の例
call(呼ぶ)→ called(呼ばれている)
paint(描く)→ painted(描かれている)
like(好きである)→ liked(好かれている)
use(使う)→ used(使われている/中古の)
find(発見する)→ found(発見された)
know(知る)→ known(知られている)
過去分詞の使い方には、
受動態
受動的な形容詞的用法
の2つがあります。
受動態
過去分詞は、「be動詞」とセットで使われると動作や状態が進行していることを表す「受動態(受け身)」という表現になります。
受動態(受け身)とは、主体以外の誰かが主体に対して動作や行動を与えたという内容を、主体の目線から表現する方法です。
たくさんの国で、人々が英語を話しています。
→主語はPeople(人々)。人々が能動的に「話している」ので、この文章は能動態。
英語は多くの国で話されています。
→主語はEnglish(英語)。英語目線から見ると、人々に「話されている」ので、受動態。
受動態はbe動詞の時制によって、現在や過去、未来の話を表現することもできます。
ここでは1830年代に英語が話されていました。
ここでは将来的に英語が話されるようになるでしょう。
なお受動態の過去分詞は、現在分詞の進行形の項で上述したものと同じ理由により、補語ではなく動詞としての役割をもっています。詳しく知りたい方は、上述の進行形の文型説明の部分を見返してみてくださいね。
形容詞的な表現
ある動作があったとき、動作の主体を主語にして「〜する」と表現するものを「能動態」とよび、動作を受ける側が主体を主体にして「〜される」と表現するものを「受動態」とよぶ、ということを上述しました。
過去分詞は、受動態の内容について形容詞的な働きをすることができます。つまり、「〜された」という内容を名詞にかけて修飾することができます。
盗まれたカバン
凍ったリンゴ
書かれた文字
これらはすべて、「過去分詞の形容詞的用法」を使っている表現ですね。
なお、現在分詞の項で上述したとおり、形容詞には「限定用法」と「叙述用法」という2種類の使い方があります。
過去分詞についても、形容詞的用法では形容詞として使われるため、「限定用法」と「叙述用法」という2種類の使い方があります。
また、「限定用法」には名詞の前に分詞を置く「前置修飾」と、名詞のあとに分詞句を置く「後置修飾」があります。
現在分詞の項ですでに述べたためここでは例文の提示にとどめますが、各用法での過去分詞は以下のように使うことができます。
【限定用法】
名詞の前後に形容詞を置いて、名詞の内容を修飾する使い方彼女は魔法の力で私の折れた脚を治しました。<前置修飾>
この絵はピカソによって書かれたものだ。<後置修飾>
【叙述用法】
主語や目的語を説明する補語(C)として用いられる使い方彼の瞳は閉じたままだ。
まとめ
そもそも「分詞」は「動詞と形容詞の性質をあわせ持つ言葉」であり、「現在分詞」と「過去分詞」に分かれるということをお伝えしました。
さらに「現在分詞」は進行形や能動態の形容詞的用法、「過去分詞」は受動態や受動態の形容詞的用法で使えることもおわかりいただけたかと思います。
「前置修飾」や「後置修飾」、「叙述用法」など聞き慣れない用語も多くて敬遠されがちな分詞の分野ですが、「動きを形容詞として表現する」という「形容詞的な働き」から紐解いていくと、意外とわかりやすいと感じられるのではないでしょうか。
「現在分詞」と「過去分詞」はとても便利で重要な役割を持つ言葉です。日々の英語学習や英会話でもどんどん使って、マスターしていってくださいね。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.