それほど難しくないはずの英単語でも、あらためてよく考えると、その言葉が正確には何を指しているのかよくわからなくなってしまう、というようなことってありませんか。
例えば、英語の「glass」と「cup」の違いって何でしょう?
あなたが今、水を飲んでいるのは「glass」でしょうか、「cup」でしょうか?それから、英語の「glass」と「cup」を、そのまま日本語の「グラス」と「カップ」と同じと考えていいのでしょうか?
日本語には「コップ」という言葉もありますが、これは英語だとどうなるのでしょうか?
今回は、「glass」と「cup」の違いについて、関連する項目を含めて、あらためて考えていきたいと思います。きっといろいろな発見がありますよ!
- glassの意味と使い方
- 「グラス」「コップ」という意味の「glass」
- 「グラス1杯の〜」「コップ1杯の〜」という意味の「a glass of」
- 「glass」を使ったスラング・慣用的表現
- cupの意味と使い方
- 「カップ」という意味の「cup」
- 「カップ1杯の〜」という意味の「a cup of」
- 「cup」を使ったスラング・慣用的表現
- その他の似た表現
- まとめ
glassの意味と使い方
名詞「glass」にはいろいろな意味があります。「(飲み物を入れる)グラス」「ガラス」「メガネ」などなど。
今回は、その中から、「(飲み物を入れる)グラス」を表す場合に焦点を当てて説明していきます。
以下、「グラス」「コップ」という意味の「glass」、「グラス1杯の〜」「コップ1杯の〜」という意味の「a glass of」、「glass」のスラング・慣用的表現、の3つに分けて解説しましょう。
「グラス」「コップ」という意味の「glass」
「glass」は、ガラス製の「グラス」や「コップ」を指します。
まず、以下のように、日本語でも「グラス」と表現されるものの多くは英語でも「glass」です。
ポートワイングラス a port glass
リキュールグラス a liqueur glass
カクテルグラス a cocktail glass
ハイボールグラス a highball glass
彼女の誕生日プレゼントに美しいカクテルグラスを買った。
日本語でよく使う「コップ」も、それがガラス製であれば英語だと「glass」です。例えば、瓶ビールを飲む時に使うようなシンプルなガラス製のコップ。これは英語だと「glass」になります。
「コップ」というと発音は後で解説する「cup」に似ていますが、ガラス製だと「glass」になります。
実は日本語の「コップ」は、ポルトガル語の「copo」、オランダ語の「kop」が由来です。元々はワイングラスのような足つきの杯を指しましたが、次第に現在のような円筒状のガラス製のものを指すようになったようです。
あっ、田中さんがやってきました。ビールのコップがもう一ついりますね。
もっとも、最近では「コップ」というと、ガラス製よりもプラスチック製のものの方がメジャーかもしれません。
こうなると日本語では同じ「コップ」でも、英語では実は「glass」ではなくなります。これについては、後ほど述べる「cupの意味と使い方」のところで解説します。
「グラス1杯の〜」「コップ1杯の〜」という意味の「a glass of」
「a glass of」で「グラス1杯の〜」「コップ1杯の〜」という意味になります。
グラス1杯のアイスコーヒー a glass of iced coffee
コップ1杯のジュース a glass of juice
コップになみなみとつがれた1杯の水 a full glass of water
※「full」を使うと「なみなみと」といったニュアンスになります。
「a」を「two」「three」など数字にして「glass」を「glasses」にすれば、「2杯の〜」「3杯の〜」となります。
今朝グラスになみなみとつがれたオレンジジュースを1杯飲んだ。
もう1杯アイスティーはいかがですか?
起きてすぐに一杯の水を飲むことは健康に良い。
「glass」を使ったスラング・慣用的表現
ここでは「グラス」「コップ」の意味の「glass」を使ったスラング・慣用的表現を紹介します。
The glass is half full.
「The glass is half full. 」は直訳すると「グラスは半分満たされています」ですが、実はこのフレーズは「まだ余裕十分」「まだまだ大丈夫」といった意味です。
飲み物が半分なくなった状態を「まだまだ半分も残っている」と楽観的にとらえる考え方を表しています。
彼はいつも楽観的です。彼の好きな言葉は「グラスにはまだ半分もある」です。
raise one’s glass [a glass]
「raise one’s glass [a glass]」は「グラスを高く持ち上げる」、つまり「乾杯する」という意味です。「lift one's glass」と、「raise」の代わりに「lift」を使う場合もあります。
乾杯しましょう!
また「clink glasses」「touch glasses」も「グラスをカチンとならす」という意味から「乾杯する」となりますよ。
夕食の始まりに、彼らは乾杯しました。
middy
オーストラリアのスラング表現に「middy」というのがあります。これは「a middle glass of beer」で「中サイズのグラスに入ったビール」という意味です。
お兄さん、中ビールもう1杯!
cupの意味と使い方
名詞「cup」にもさまざまな意味がありますが、今回は「(飲み物や食べ物を入れる)カップ」を表す場合に絞って説明していきます。
「cup」も「glass」と同様に飲み物などを入れる器のことですが、この2つには大きな違いがあります。
「cup」は「glass」とは異なり、陶器やプラスチックあるいは紙製です。また特に飲み物を入れる「cup」だと、取っ手がついている場合が多いです。
以下、ここでは、「カップ」という意味の「cup」、「カップ1杯の〜」という意味の「a cup of」、「cup」のスラング・慣用表現、の3つに分けて解説します。
「カップ」という意味の「cup」
「cup」は陶器やプラスチックなどでできた「カップ」を指します。
ティーカップ a tea cup, a teacup
※紅茶などのカップ、また日本の湯飲みなどを指します。
紅茶・コーヒーなどのカップと受け皿 a cup and saucer
陶器のカップ a china cup
盃 a sake cup
※盃に足がついているものは「a sake goblet」です。
食器棚から私のコーヒーカップを出してもらえますか?
「glassの意味と使い方」のところで解説しましたように、日本語の「コップ」は、それがガラス製の場合は英語だと「glass」です。
しかし同じコップでも、プラスチック製だったり、紙製の場合は「glass」ではなく「cup」を使います。例えば、「紙コップ」は「a paper cup」です。
今日のパーティのために紙コップを買うのを忘れないでね。
「カップ1杯の〜」という意味の「a cup of」
「a cup of」で「カップ1杯の〜」という意味になります。
紅茶1杯 a cup of tea
湯気の立つ緑茶1杯 a cup of hot steaming green tea
インスタントコーヒー1杯 a cup of instant
コーヒーを1杯頂きたいのですが。
私は毎日午後に緑茶を1杯飲みます。
「a cup of」の「a」を「two」「three」などの数字にして「cup」を「cups」にすれば、「2杯の〜」「3杯の〜」となります。
「cup」を使ったスラング・慣用的表現
「cup」を使ったスラング表現もあります。
ここでは、「cuppa」「cup of joe」「It’s my cup of tea.」「a storm in a teacup」の4つを紹介します。
cuppa
「cuppa」は「1杯の紅茶」という意味で「カパ」と発音します。「cup of tea」が変化したスラング表現で、イギリス英語でよく見られます。
イギリスなどではクッキーなどのパッケージに「WITH A CUPPA」と表記されていることがあります。これは「紅茶に合わせて」といった意味になります。
紅茶を1杯いかがですか?
「cuppa」が紅茶ではなくコーヒーを指す場合もあります。前後の文脈で判断しましょう。
cup of joe
「cup of joe」とはアメリカ英語でよく見られるスラングで、「1杯のコーヒー」という意味です。「joe」は「コーヒー」を表す言葉です。
あのダイナーで1杯のコーヒーを飲んだ。
It’s my cup of tea.
直訳すると「それは私のカップのお茶です」となる「It’s my cup of tea.」は、「それは私の好みです」という意味を表すスラング表現です。主にイギリス英語で使われます。
ナンシーが寿司に誘ってくれたんだけど、私の好みじゃないんです。私は生魚が食べられないんです。どうしたらいい?
a storm in a teacup
「a storm in a teacup」は直訳すると「ティーカップの中の嵐」となりますが、これは「つまらないことで大騒ぎすること」「大して重要でないこと」「空騒ぎ」「内輪もめ」などの意味です。
その技術者は、その問題が深刻ではないことを突き止めた。
その他の似た表現
「glass」や「cup」のほかにも、飲み物などを入れる容器を表す英語がいくつもあります。
それぞれ、どのようなものを示しているのでしょうか。ここでは、「bowl」「mag」「stein」「tankard」の4つを紹介しましょう。
bowl
「bowl」は料理や食事用の「ボウル」「どんぶり」「深鉢」などを指します。以下にいろいろな「bowl」を紹介しましょう。
サラダボウル a salad bowl
日本のご飯茶碗 a rice bowl
抹茶碗 a tea ceremony bowl
金魚鉢 a goldfish bowl
ご飯を茶碗によそってくれませんか?
日本の丼のメニューも「bowl」で表現できます。
うな丼 an eel rice bowl
牛丼 a beef-over-rice bowl
カツ丼 a pork cutlet rice bowl
天丼 a tempura rice bowl
今夜はうな丼が食べたい気分です。
「ご飯1杯」を「a bowl of rice」、「スープ1杯」を「a bowl of soup」などと表現します。
ジョージはその男に1杯のスープを与えた。
「bowl」を使ったことわざに、「Life is not a bowl of cherries.」というのがあります。意味は「人生いいことばかりではない」です。覚えておくと便利ですよ。
mug
「mug」はまず、「マグ」「マグカップ」のことです。
「cup」と同じく陶器やプラスチック製で、取っ手がついているのが一般的。「cup」より一回り大きく、受け皿がないものを指します。
またさらに、「mug」が「ジョッキ」や「ビアジョッキ」を指す場合もあります。やはり取っ手がついているのが一般的で、ガラス製であっても「mug」です。
日本語の「マグカップ」は和製英語です、英語で「mugcup」とは言いませんので注意しましょう。英語だと「mug」だけでOKです。
以下にいろいろな「mug」を使った表現を挙げます。
歯磨き用のマグ a toothbrush mug
スープカップ(マグカップ風のもの) a soup mug
陶製のマグカップ a stoneware mug, a ceramic mug
ビールのジョッキ、ビアマグ a beer mug
歯磨き用のマグを取って頂けますか?
「マグカップ1杯のミルク」を「a mug of milk」、「ジョッキ1杯のビール」を「a mug of beer」などと表現できます。
彼女はマグカップ1杯のコーヒーをいれた。
stein
「stein」あるいは「beer stein」で、「陶器のビールジョッキ」です。
アーティスティックな雰囲気の、凝ったデザインのものが売られていたりします。
あなたのスタイン(陶器のビールジョッキ)はとても素敵ね。どこで買ったの?
tankard
「tankard」は「タンカード」と呼ばれる「金属製のビールジョッキ」を指します。
主にイギリス英語で使われます。蓋が付いている場合が多いですが、付いていないものもあります。
彼は世界中を旅してタンカード(金属製ビールジョッキ)を集めるのが大好きです。
まとめ
いかがでしたか?今回は「glass」と「cup」の意味やその使い方について、他の類似表現も交えて解説しました。
両者の違いがおわかりいただけたかと思います。日本語の「コップ」が、材質によって「glass」になったり「cup」になったりするというのも面白いですよね。
いろいろな言葉の使い分けを学んで、表現の幅を広げていきましょう。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.