頻出単語の一つでもある「over」にはいろいろな意味があります。
ただ、意味はたくさんありますが、基本となる一つのイメージがあって、「over」の場合は何かの上に弧、つまりアーチを描くようなイメージです。これを意識すると、「over」の持つさまざまな意味が理解しやすくなり、使える場面も広がりますよ。
また、「over」には「前置詞」として使う場合と「副詞」として使う場合がありますが、今回は主に「前置詞」として使われる場合を見ていきたいと思います。読みながら“アーチ”を意識してみてくださいね。
位置
まず「over」は、位置関係を表す際によく用いられます。「〜の上に」「〜を越えて」といった意味の「over」です。
〜の上に
ここでいう「〜の上に」は「何かの上の方に」というニュアンスです。
「〜の上に」を表す前置詞には「on」がありますが、「on」の場合は、何かに載ったり、くっついたりしているのに対し、位置を表す「over」は何かの「上の方に」というイメージです(ただし、後で解説する「〜を覆って」という意味では、何かと接触している時にも使われます)。
ビルの上にきれいな月が出ています。
公園の真上で気球がいくつか上がっているのを見た。
〜を越えて
何かを越えた位置にあることを示す場合、また、何かを乗り越えて進んでいくような場合に使われます。
私は道路の真向かいに住んでいます。
虹の向こうに行けるのかしら。
彼らはフェンスを乗り越えようとしました。
覆う
何かが何かを覆っているような状態を示す時にも「over」が用いられます。
ビンセントの母親は彼の体に毛布をかけました。
私は膝の上にハンカチを広げました。
彼は顔を両手で覆い隠しました。
水などの液体状のものに対しても「over」を使うことができます。
床が水浸しです。
以上は、何か具体的なものが本当に物理的に何かを「覆っている」場合ですが、抽象的な意味で「覆っている」、あるいは「カバーしている」場合にも使うことができます。
コロナが世界中に広がっています。
彼女は世界中を旅行しました。
期間
「〜にわたって」「〜の間じゅうずっと」「〜の間に」「〜の終わりまで」など、「over」は「期間」を表すこともあります。
「for」や「in」といった「期間」を表す前置詞と比べると、「over」には「ずっと」という意味合いが含まれることが多いです。
この週末はずっとハワイにいます。
その可能性は10年間にわたって議論されてきました。
また「over」の後に、食べ物や飲み物を表す言葉を続けて「〜しながら」という意味を表すこともできます。
お昼を食べながらその計画について話しましょう。
ビールを飲みながら映画を観るのはどうかしら?
この使い方の場合、「over drinking beer」のように「over」の後に動名詞は続けられません。「over+名詞」が一般的です。
超える
「〜以上である」「〜を超えている」といった「over」の使い方です。「〜」のところには人数、年齢や分量などの数値が入ることが多いです。
その会合には200人を超える人々が参加した。
「over」の場合、通常その数字は含まないため、もし上の例で200を含む場合、つまり「200人以上」と言いたい場合は、「200 people and over」とします。
私の母は50歳を超えています。
「over」の後に数値ではないものが入る場合もあります。
全然理解できません。
「over my head」で「私の頭(のキャパシティ)を超えている」ということですね。
支配する
「〜を支配して」「〜の上位に」というような、支配関係や上下関係を表す文脈の中でも「over」が使われます。
職場には誰か上司はいますか?
彼は自制力を持っています。
「支配する」という意味の動詞「rule」と一緒に「rule over 〜」という形で使われることもよくあります。
その島は近隣諸国から支配されていました。
克服する
「over」は「〜を克服して 」「〜を乗り越えて」といった意味でも使われます。
彼女は病気を克服しました。
「get」などの動詞と一緒になって 「〜を克服して 」「〜を乗り越えて」という意味で用いられることもよくあります。
もう別れを乗り越えられましたか?
私の娘の風邪は治った。
優先
「over」には「〜に優先して」「〜よりも先に」という意味もあります。
いつも男性応募者の方が女性応募者に優先して選ばれます。
REDチームはBLUEチームに対して10ポイントリードしています。
「prefer」と「over」を組み合わせて「prefer A over B」で「BよりもAが好き」と表現することができます。この「over」は、「to」または「than」でもOKです。
彼女はワインよりもビールが好きです。
私は英語よりポルトガル語が好きです。
手段
「〜を使って」「〜によって」というように「手段」を表す場合にも「over」が使えます。
あなたはインターネットで情報を得ることができます。
この問題については電話では話したくありません。
彼は電話でそのニュースを聞きました。
関連
「〜について」「〜をめぐって」「〜に関して」「〜のことで」といった意味も「over」にはあります。
トムとジョージは女の子のことで言い争っています。
私たちは政治を巡って熱いディベートをしました。
overを使った便利な句動詞
「over」はさまざまな動詞と組み合わされ、句動詞として使われることもよくあります。
既にここまでの例文の中にも、「get over」「rule over」といった句動詞的表現が出てきましたが、その他の、「over」を用いた、よく使われる便利な句動詞をいくつかご紹介しましょう。
なお、句動詞として使われる場合の「over」は、文の構造により、前置詞の場合や副詞の場合があります。
take over
「take over」にはいろいろな意味がありますが、よく使われるのが「(仕事などを)引き継ぐ」という意味です。
来月、私があなたの仕事を引き継ぎます。
come over
「come over」には「やってくる」という意味のほか、「come over 〜」で、感情や体調不良、何らかの変化などが人を「襲う」「迫る」「影響する」といった意味があります。
彼はヨーロッパからやってきた。
私たちは大きな変化に見舞われるでしょう。
run over / go over
「run over 〜」は「〜をざっと調べる」「〜をざっと見直す」です。
一方、「go over 〜」だと、「〜をしっかり調べる」「〜をしっかり見直す」となります。
後で計画にざっと目を通しておくよ。
我々は今から、計画をしっかりと検討しなければならない。
blow over
「blow over 〜」は、嵐などが何かを「吹き倒す」という意味です。
台風がたくさんの電柱を吹き倒した。
まとめ
いかがでしたか?今回は「over」のさまざまな意味を解説しました。
「over」には実にいろいろなニュアンスがあることがあらためておわかり頂けたかと思います。逆に言うと「over」は多くの場面で使うことができるとても便利な言葉です。
例文の音読・暗唱を繰り返して、どのような状況で、どのように使えるのかを感じ取ってくださいね。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.