英語圏では、皮肉を混じえたジョークを、友人同士でよく言い合います。
親しい外国人の友達や、仲良くなった英会話講師とのコミュニケーションの中で、ちょっとした皮肉混じりのジョークを言えたら楽しいですよね。
ちなみに「皮肉」という意味の英単語には、「irony」と「sarcasm」の2つがあります。両者とも意味合い的には似ていますが、明確な違いがあり、それぞれの使い方を知っておくことで、英語でのジョークをより理解しやすくなります。
そこで今回は、「irony」と「sarcasm」の違いを、それぞれの意味や使い方も含めて紹介したいと思います。ぜひ最後まで読んで参考にしてください!
「irony」の意味
まずは、「irony」の意味を解説していきたいと思います。
先に日本語で「irony」がどのようなものかを理解した後に、英語でのシチュエーション例を見ていきましょう。
日本語で「irony」を理解する
「irony」は日本語で「皮肉」という意味ですが、ネイティブスピーカーの感覚を知るためにも、ケンブリッジ英英辞書での説明も見てみましょう。
"The use of words that are the opposite of what you mean, as a way of being funny:"
面白おかしい方法での、あなたが意味していることとは逆の意味の言語行為
(ケンブリッジ辞書より英文引用)
つまり、本当はそうではないのだけど、実際とは真逆のことをあえて皮肉って言うのが「irony」となります。
ある種、日本のお笑いで言う「ボケ」や「自虐」のようなものです。わざと真実ではない反対のことを言うことで、ユーモアさや親しみやすさを出すことができます。
ちなみに、このタイプの皮肉を英語で「verbal(発話の) irony」といいます。具体的に、どのようなものが「irony」なのかを見ていきましょう。
例えば、受けたテストの点数が今までの人生で最も悪かったときに、「今まででの人生の中で一番簡単なテストだった」のような皮肉は「irony」だと言えます。
もし簡単だったのなら、テストの点数が過去一番に悪い結果にはならないはずですが、あえて逆のことを言って自虐ネタにしています。
また、真夏に部屋のクーラーが壊れてしまったときに、汗だくになりながら「今年の夏は涼しくて最高だ」といった皮肉を言った場合も、「irony」になります。
汗だくになっている時点で涼しくはなく、最高だなんて思っていないけれども、あえて真逆の表現で皮肉混じりに言っています。ちなみに、「irony」の形容詞「ironic」もよく使われる単語なので、ついでに覚えておきましょう。
英語での「irony」のシチュエーション例
ここでは上記の説明を踏まえて、「irony」なセリフが使われるようなシーンを、英語でいくつか紹介していきます。
①晴れていたらとても楽しみにしていたキャンプにいくはずだったのに、大雨で中止になってしまった場合に一言
Great!! I can watch TV all day in the living room where there are no mosquitoes.
最高!!蚊のいないリビングで一日中テレビを見れるよ。
楽しみにしていたはずなので、「最高!!」なんて思っているわけはなく、本当は残念なはず。そこをあえて「Great!!」と皮肉っぽく言ったあとに、自虐的なセリフを続けています。
②ソフトでクッション性の高いソファを購入したと思っていたが、想像よりも遥かに硬くて残念だった場合に一言
It’s really soft like a marshmallow. I feel like I’m floating away now.
マシュマロのようにすごく柔らかいよ。浮かんでいるような気分だ。
ソファは硬かったけれども、皮肉るためにあえて「マシュマロのように柔らかい」と、真逆のことを言っています。思っていたような商品ではないものを買ってしまった、自分に対しての自虐ですね。
③ストレスによって買い物に散財した結果、色々なものを購入しすぎて、とても散らかっている自分の部屋について一言
It’s so clean like my heart, and stress-free.
私の心のようにとてもきれいで、ストレスフリーだ。
ストレスが原因で散財した結果として部屋が汚くなっているにも関わらず、あえてそれを皮肉的に肯定するように「きれい」「ストレスフリー」と言っている自虐です。
「Sarcasm」の意味
次に、「sarcasm」の意味を解説していきたいと思います。
「irony」と同様に、わかりやすいよう先に日本語で「sarcasm」がどのようなものかを理解した後に、英語でのシチュエーション例を見ていきましょう。
日本語で「sarcasm」を理解する
「sarcasm」も日本語では「皮肉」ですが、「irony」とどのような違いがあるのでしょうか。ここでもケンブリッジ英英辞書での説明をベースに、ネイティブスピーカーの感覚を掴んでいきましょう。
“The use of remarks that clearly mean the opposite of what they say, made in order to hurt someone's feelings or to criticize something in a humorous way:”
誰かの感情を傷つけるため、または何かを批判するために、ユーモアを混じえながら、明らかに真逆のを意味することを言うこと
(ケンブリッジ辞書より英文引用)
真逆の意味のことを言うという点では「irony」と同じですが、「sarcasm」の条件としては「誰か」や「何か」が対象になっているということです。
「irony」では特に誰かをターゲットにして言及しているわけではなく、どちらかというと話し手の自虐だと説明しました。一方で「sarcasm」は自分に対してではなく、聞き手や他者に向けられているのです。
要するに、「sarcasm」は「irony」の一種です。
また辞書の説明には「ユーモアを混じえながら」ともあるので、きつめの冗談や毒舌といった部分も当てはまると言えます。具体的に、どのようなものが「sarcasm」なのかを見ていきましょう。
例えば、友人が詐欺の被害にあってしまったけど、その人にもだいぶ落ち度があったとします。
そんな話を聞いたときに、「すごいじゃん、良かったね、羨ましい」みたいなことを、意図的にジョークのつもりで相手に対して言ったのであれば、それは「sarcasm」です。
また、同居しているAさんとBさんがいて、Aさんが自分のために買っておいたポテトチップスを、Bさんが勝手に全て食べてしまったとします。
A:ここに置いてあったポテトチップス、もしかして食べた?
B: 食べちゃった。自分のかと思って。
A:ありがとう、おかげでカゴがすっきりしたよ。
B:こちらこそ、お役に立てて幸いだよ。
Aさんがポテトチップスを食べてしまったBさんに対して感謝するわけはありませんが、あえて「ありがとう、おかげでカゴがすっきりしたよ。」と皮肉混じりのジョークを伝えます。
すると、逆にBさんもAさんの皮肉に対して、「こちらこそ、お役に立てて幸いだよ。」と皮肉で返しています。このように、「sarcasm」に「sarcasm」で返すパターンもあります。
ちなみに、「sarcasm」の形容詞「sarcastic」もよく使われる単語なので、ついでに覚えておきましょう。
英語での「sarcasm」のシチュエーション例
ここでは上記の説明を踏まえて、「sarcasm」なセリフが使われるようなシーンを、英語でいくつか紹介していきます。
①LINEでメッセージを送った相手から、5日後にようやく連絡が返ってきたときの相手への一言
Thank you for your quick response.
素早いご返信ありがとうございます。
5日後とだいぶ日が経ってから来た返信に対して、もちろん遅いと思っているはずですが、あえて「素早い返信」や「ありがとう」という言葉を皮肉的に使っています。
②部下に頼んでいた仕事が全く指示していた内容と違っていて、もはや自分がやったほうが速いと愕然としている状況で相手に一言
Great!! I wanted to do this by myself.
素晴らしい!自分でこれをやりたかったんだよね。
指示していた内容と違っていたのだから、当然「素晴らしい」とは思っていませんし、自分でやりたいとも思っていません。まさしく真逆のことを相手に言った「sarcasm」な皮肉であると言えます。
③パーティーで出会ったとある男性がマシンガントークすぎて、なかなか抜け出すことができず大変だったときに一言
He was so quiet. I was really comfortable talking to him.
彼はとても静かだったね。彼と話しているのがとても心地よかったよ。
マシンガントークだったのにも関わらず「静か」、抜け出したいのに「心地よかった」と真逆のことを皮肉的に言っています。悪口と言えば悪口ですが、あえて逆の言い方をすることで、少し和らぐような感覚はありますよね。
実際の英会話でも「irony」や「sarcasm」を使ってみよう
では、今回の記事のまとめです。
(verbal) irony
実際に思っていることとは真逆のことを言うこと
sarcasm
ironyと同じ皮肉だが、自分ではない他者をターゲットとしている
「irony」と「sarcasm」の使い方は理解できましたでしょうか?
日本と英語圏では、笑いの感覚や文化が大きく異なります。いずれも使い方や言い方の態度に気をつけないと、相手を怒らせてしまう可能性もあるので、気をつけましょう。
もし英語での皮肉的なジョークの感覚がいまいち掴めない場合は、オンライン英会話「ネイティブキャンプ」のオンラインレッスンも活用してください。講師とのマンツーマンレッスンの中で、英語でのジョークを練習してみましょう!
◇経歴
・コールセンターでの日英バイリンガルオペレーター(3年)
・外資系企業(製薬業界)でのテクニカルサポート(2年)
・副業でオンライン英会話の講師(2年)
・東京にて通学型の英会話スクール経営(4年)
・英会話スクールをオンラインに切り替えて運営(現在で約4年)
・英会話講師歴は合計で10年
◇資格
・英検1級
・TOEIC990点
◇海外渡航経験
・イギリス(3ヶ月、短期留学)
・タイ(6ヶ月)、マレーシア(3ヶ月)、台湾(3ヶ月)の滞在歴あり(海外ノマド)
・海外旅行:韓国、マルタ、ベトナム、インドネシア、アメリカ
◇自己紹介
バイリンガル英会話コーチのBobです!ほぼ日本国内で英語を習得してバイリンガルになりました。たまたま始めたオンライン英会話講師の仕事が天職だと悟り、自らの英会話スクールを開校。これまでに200人以上の英語学習者に教えてきました。多くの人たちに英語を好きになってもらい、思いっきり英会話を楽しんでもらえるよう日々活動しています!
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.