ネイティブスピーカの会話やメールの中でよく登場するのが「Dude」という言葉。映画やテレビドラマでも頻繁に登場します。
2000年に制作され話題を呼んだアメリカ映画が『ゾルタン★星人』。これは日本語のタイトルですが、英語の原題は『Dude, Where's My Car?』です。日本語に訳すと「ちょっ、オレの車どこだ?」という感じでしょうか。物語は「お馬鹿」な若者2人が車を紛失したことをきっかけに町中を探し回り、挙げ句は邪悪なエイリアンから宇宙を救うというコメディ映画です。主演はアシュトン・カッチャーとショーン・ウィリアム・スコット。冒頭から「Dude, Where's My Car?」というセリフで始まり、全編通して会話の中に「Dude」連発です。さらに「DUDE」という文字のタトゥーを入れる場面も。
また、「Dude」を使ったファッションブランドやインスタアカウントも登場しています。
例えば、「Dude Perfect(デュードパーフェクト)」。アメリカ・テキサス州に本社があり、「スポーツ」をなんでも面白くするスポーツエンターテイメント集団です。「ROCK・DUDE」はゴルフウェアブランドもあります。「dude with sign」というインスタアカウントもあります。このアカウントは、ダンボールに書いたメッセージを掲げる男性の様子がアップされています。
さてDudeが映画やブランドなどの紹介はこれくらいにして、今回はこのスラングの「Dude」を「男性への呼称」「感情表現」「挨拶」の3つのシチュエーションに分けてその意味を解説したいと思います。
Dudeの意味1:男性への呼称
まず「Dude」は「男の人」を意味します。
日本語でいうと「ヤツ」「君」「野郎」「お前」などの意味になります。若者から大人まで幅広く使われ、「人(person)」よりもくだけた言い方となります。また「男の人」という呼称は他にも「Guy」や「Man」があり、「Dude」と同じようによく使われます。あわせて覚えておくと良いでしょう。
B:Really? He is my brother.
A:あの彼、かっこいいね!
B:え?オレの兄貴だけど。
B:Yes! He is one mean dude!
A:この男性を知っていますか?
B:ああ、彼は本当にイヤな奴だよ!
B:Yes, I really think so.
A:彼は粋な男だ。
B:ええ、本当にそう思います。
「Dude」の歴史
「Dude」が現在のような男性への一般的な呼称となったのは、カリフォルニアでサーファー達の間で使われていたことからと言われています。
しかし、辞書を見ると「気取り屋」や「しゃれこんだ男」という意味があることに気づきます。そしてこちらの方が「Dude」のもともとの意味であったようです。ここで「Dude」の持つ意味の歴史をちょっと長いですがひもといてみましょう。おもしろいですよ。
アメリカで「Dude」という言葉が登場したのは1883年頃のニューヨーク。ブルックリン橋が完成した頃と言われています。当時の「Dude」は、流行のファッションに身を包んだイギリス人の話し方や身のこなしを模倣する人のことを指したようです。ただしあまり好意的にはとられていなかったようです。
辞書に「気取り屋」や「しゃれこんだ男」と掲載されている理由もわかりますね。さらに辞書では、「Dude」には、「都会から田舎へやってきた男」や「(東部育ちの)都会人」「(西部の牧場へ来た)東部人」などの意味が記してあります。
1920年〜1940年代、都市部の裕福な人々の間で、アメリカ西部に旅行へ行き都市とは違った荒野が広がる環境で休暇を過ごす、というライフスタイルが流行しました。ここから辞書に記してあるような意味で「Dude」が使われるようになったそうです。
そして、1940年〜1970年代頃には「かっこいい男性」を指すスラングへと変わります。どうもジャズプレイヤーを指す言葉から広まったようです。さらに、1980年〜1990年代になると、最初に書きましたように、カリフォルニアでサーファー達の間で気軽に使われるようになり、現在に至るという歴史があります。
Dudeの意味2:感情表現
驚きや感動、怒りなどの「感情」を表す時に「Dude!」と言うことがあります。
日本語では「おおっ!」「うわぁ!」「こらっ!」「おいっ!」などといった感じです。ちなみに、「Man」も同じように驚きや感動、怒りなどの「感情」を表す時に使うことができます。
ここでは、「驚き」「怒り」「感動」に分けて例文を紹介しましょう。
・驚き
B:Dude, don’t scare me!
A:(背後から忍び寄って)何やってんの?
B:ちょっ、驚かせるなよ!
B:What the heck are you saying? This is my room.
A:ちょっと!びっくりした。ここにいるなんて気づかなかった。
B:一体何言っているの? ここオレの部屋だぜ。
・怒り
B:Dude! I told you to be careful.
A:しまった、へました!
B:こらっ! あれほど気をつけろって言ったのに!
B:Dude! Look straight ahead!
A:どいて! どいて!
B:おいっ! 前見ろよ!
・感動
B:Actually, I am scared of bears. Let's go watch koalas.
A:うわぁ! あれがクマ? 初めて見たよ。
B:実はオレ、クマが怖いんだよ。コアラ見に行こうぜ。
B:Dude! This ice cream is awesome!
A:どう?
B:おおっ! このアイス、マジ最高!
B:Dude, that’s wonderful!
A:とうとう新しい車を買ったよ!
B:おおっ! やったな!
B:Dude, this movie was amazing!
A:この映画はもう見た?
B:もちろん、この映画は本当に良かったよ!
B:Dude! It was fun!
A:(西部開拓時代風の)観光用牧場に行ったことがある?
B:もちろん!おもしろかったよ!
Dudeの意味3:挨拶
「dude」は挨拶や話しかける時の呼びかけなどにも使われます。
特に意味があるわけではありません。例えば、「Hi, David!」と挨拶をする時、相手の名前の代わりに「Dude」を使って「Hi, dude!」と言うこともよくあります。
また「Man」や「Bro」も同じ意味を持ち、「Dude」の代わりに使えます。さらにオーストラリアやイギリスなどでは「Dude」ではなく、「Mate」を使うことが多いです。
「Dude」やはり基本的に仲が良い親しい男性に対して使います。女性に対して使うと普通は失礼になりますので注意しましょう。女性から親しい男性に対して使うのは大丈夫です。
B:I fell in love with my classmate!
A:お前どうしたの? 授業中上の空だったな。
B:クラスメートに恋しちゃったんだよ。
B:I've been swamped with work.
A:It's tough but hang in there!
A:よお、元気?
B : 最近仕事がすごく忙しんだよ。
A:大変だな、頑張れよ!
B:Sounds great! What about the new Italian restaurant around the corner?
A:なあ、夕飯を食べにいかないか?
B:いいね、角に新しくできたイタリアンはどう?
B:Good to see you again! How about we go get lunch together sometime? I'll be in touch
A:やあ、久しぶり!
B:ひさしぶりだね! いつか一緒にお昼でも一緒にどう? 連絡するよ。
B:I’m good. You?
A:In fact, I was so busy with homework that I didn't even have time to sleep.
A:やあ!元気?
B:元気だよ。君は?
A:実はさ、宿題が忙しくて、寝るひまもなかったよ。
B:Hey dude! Don’t worry about it.
A:信じられないぜ! 事故を起こしかねないぞ。
B:なあ、心配するなよ。
2019年に公開された英米合作映画『イエスタデイ』の中に、「Dude」を使った面白いシーンがあります。
この映画では、世の中のほとんどの人の記憶からビートルズとその曲が消えてしまいます。例外的に覚えていた主人公が自分の曲として発表し、世界から称賛を浴びるというものです。この映画には歌手のエド・シーラン本人がエド・シーランの役で出ていて、主人公と音楽対決をしたり、一緒に曲をレコーディングしたりします。
ビートルズの名曲の一つ「Hey Jude」を主人公がレコーディングしようとした時、エド・シーランが「曲のタイトルをもっとよくするアイデアがある。「Hey Jude」の「Jude」を「Dude」に変えて「Hey Dude」にするんだ」というシーンがあります。
この馬鹿馬鹿しいアイデアを聞いて周りのスタッフはとても賛成するのですが、ビートルズの原曲を知っている主人公は曲の名前を変えることに強い抵抗感を覚えるのです。でも“巨匠”エド・シーランの提案なのですぐには断れません。もちろんここはコメディシーンなわけです。
Dudeの使い方まとめ
いかがでしたか?「Dude」は一般的に男性に対して使うカジュアルな表現です。
呼びかけや挨拶の場合、男性から男性に対してというのが最も多いパターンですが、女性から男性に対しても使えます。
ただし使いすぎには注意した方がいいというネイティブスピーカーもいます。アメリカ人でも使いすぎるとあまり頭のいい印象は与えないとか。
ですので、特に英語初学者の場合は、頻繁に使うのは避けた方がいいという意見もあります。また友達や仲間同士で使うカジュアルな言葉なので、ビジネスシーンなどでは使わない方が良いと言われています。
こうしたことを十分踏まえて、状況に応じて注意しながら使ってみるといいのではないでしょうか。またたとえ自分で使わなくとも、言葉は文化です。文化の一つとして覚えておくのも重要です。

海外で、テレビCMの制作、日系新聞社で副編集長、日本では大学教員などを経験。現在は執筆業の傍ら、編集・制作プロダクションを経営。英語ニュース記事が大好き。「自分で英語のニュース記事を書いてみたい!」と、長年の経験とカンによる自己流英語から脱するべく、本格的に英語のやり直しに目覚める。英語力アップには「継続することが大事」とわかっているのだが、筋金入りの飽きっぽい性格。とにかく「毎日1行でも英文を読む」という目標を自分に課し、なんとか1000日以上が経過。現在も継続中!いずれは「趣味は英語」と言える日を目指している。夢は還暦過ぎての留学!

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.