英語学習者なら誰でも一度は、「きれいな発音で英語を話せるようになりたいなぁ」という憧れを抱いたことがあるはず。
そんな想いで発音練習をしてみたり指導を受けてみたりしたけれど、なかなか思うような改善が見られないという方も少なくないでしょう。
日本人とネイティブの発音では大きな違いがあり、その違いを知ることが発音改善の大きな鍵となります。どのように違うのかがわからずに練習を続けても、理想の発音に近づくことはかなり難しいでしょう。
ちなみに、ネイティブの発音は、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドといった英語圏の国々でもそれぞれ異なります。その中でも日本人の多くの英語学習者が憧れるのがアメリカ発音です。
そこで今回は、日本語発音とアメリカ発音の違いを比較しながら、よりアメリカ人のような発音ができるようになるヒントをご紹介したいと思います!
- 日本語発音とネイティブ発音の違い
- アメリカ発音の特徴
- 語尾の「r」の発音
- 「t」の音が濁る
- 「t」の音が消えることもある
- 「walk」と「work」は日本語発音と逆
- 基礎英単語でアメリカ発音にチャレンジ
- まとめ
日本語発音とネイティブ発音の違い
アメリカ発音に入る前にまず、日本語発音とネイティブ発音の違いについて少し解説していきたいと思います。
日本語と英語ではそもそも「子音」の強さが違う
日本語と英語を発音するときの一番大きな違い、それは「子音」です。
私たち日本人が日本語を話すとき、基本的には「あ・い・う・え・お」という母音が強めに発音されます。
「か・き・く・け・こ」であればもちろん「ka・ki・ku・ke・ko」というように、「k」という子音が発音されています。しかし、英語に比べるとかなり弱目に発音されています。
ここで1つ例を出したいと思います。
「わたしのなまえはたけしです。」
日本語の発音を学んでいない英語ネイティブの多くは、上記を読むと以下のようになります。
「wわぁ tあぁ sしぃ nのぉ nなぁ mまぁ えぇ wわぁ tたぁ kけぇ sしぃ dでぇs」 wA tA sHI nO nA mA A wA tA kE sHI dEs
これは、英語は日本語に比べて子音が強く発音されるのが理由です。
つまり、英語の発音をネイティブのような音に近づけたいのであれば、子音をしっかり発音することを意識することが大事になります。
また、自分が認識している音とネイティブ発音との乖離が大きいと、リスニング力もなかなか向上しません。特に、子音の音が「邪魔な音」として認識されてしまってしっかり聞き取れないという方も多く見られます。
これから発音改善を目指す方は、リスニング力アップのためにもまずは子音の発音から練習してみましょう。
「母音」の伸ばしを意識するとネイティブっぽさが増す
英語発音をよりネイティブっぽく聞こえさせるようにするコツ、それが「母音の伸ばし」です。
なんでもかんでもダラダラと伸ばせばよいというものではありませんが、やや長めに発音するだけで英語特有の抑揚をつくることができます。
特に、日本語で発話すると「っ」と小さい「つ」が入るようなものも、実は伸ばしているものが多いので注意が必要です。
母音の伸ばしのイメージとして、以下を参考にしてください。
A lot
あ らぁt
「あ ろっと」と日本語で表記されることが多いですが、実際は「lot」の真ん中の「o」の母音は「あぁ」という伸びがあります。
Apple
あぁぽぉ
出だしの「a」と最後の「e」はいずれも母音で、ある程度伸ばして発音されます。特に最初の「a」は日本語だと「あっ」と表記されますが、実際は「あぁ」となります。
dog
どぁg
日本語だと「ドッグ」と小さい「つ」が間に入るので、跳ねるように発音してしまいがちですが、実際は真ん中の母音「o」を長めに伸ばして「どぁ」という発音になります。
これらのように、子音は短く、母音は長めに伸ばしていくことでリズム感が生まれます。英語を聞くときは、どのような単語の母音がどのように伸ばして発音されているかを意識し、自分でもできるように真似てみることでよりネイティブっぽさが増しますよ。
いわゆる「カタカナ発音」というものについては、上述した「子音をはっきり発音する」ことと、「母音をしっかり伸ばす」ことで脱することができます。マスターするにはある程度時間はかかりますが、意識しながらシャドーイングや洋楽を歌いながら練習すれば日本人でもできるようになります。
アメリカ発音の特徴
英語の発音を大きく2つに大別すると、「アメリカ発音」と「イギリス発音」の2つに分けられます。
アメリカ発音
アメリカ、カナダなど
イギリス発音
イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなど
もちろん、オーストラリア発音・ニュージーランド発音など、それぞれの国で特有の発音があるので、あくまでも大きく分けた場合と捉えてください。
ちなみに、日本人のカタカナ発音はどちらかと言うとイギリス発音に近いと言われています。多くのカタカナ表記はイギリス発音寄りなため、日本人にとってはイギリス発音をマスターするほうが楽だと言う方も多くいます。
ちなみに、アメリカ発音とイギリス発音は異なる部分が多々あります。標準語と関西弁だとイントネーションや発音にだいぶ違いがありますが、イメージとしてはそのような感じです。
ここでは、アメリカ発音をする上での鍵となるポイントを押さえていきたいと思います。
語尾の「r」の発音
語尾の「r」は日本語発音だと「あー」と発音されることが多いですが、アメリカ発音だとはっきりと「r」を発音します。
例
where
日本語発音:ウェア
アメリカ発音:ウェr
singer
日本語発音:シンガー
アメリカ発音:スィングゥr
order
日本語発音:オーダー
アメリカ発音:オゥドゥr
「r」の発音はよく「舌を丸める」と言われたりしますが、舌を奥に引いて舌先を少しだけ上に向ければ簡単に発音できますよ!
「t」の音が濁る
アメリカ発音の場合、母音に挟まれた「t」の音が濁ることがあり、これを一般的に「フラップT」と呼びます。
例
waiting
日本語発音:ウェイティング
アメリカ発音:ウェイ「ディ」ング
later
日本語発音:レイター
アメリカ発音:レイ「ド」ゥr
hate it
日本語発音:ヘイト イット
アメリカ発音:ヘイ「ディ」t
「t」の音が消えることもある
アメリカ発音では、「強い母音+t+弱い母音+n」の並びになる真ん中の「t」の音が消えることがあり、これを「グロッタルT」と呼びます。
例
important
日本語発音:インポータント
アメリカ発音:インポーゥン
mountain
日本語発音:マウンテン
アメリカ発音:マウンゥン
button
日本語発音:ボタン
アメリカ発音:ボゥン
「walk」と「work」は日本語発音と逆
多くの日本人が発音し分けられない・聞き分けられないのが「walk」と「work」です。それもそのはず、アメリカ発音と日本語発音ではこれらの単語は真逆の発音になるのです。
walk
日本語発音:ウォーク
アメリカ発音:ワァク
work
日本語発音:ワーク
アメリカ発音:ウォrk
日本語だと散歩のことをカタカナ英語で「ウォーキング」と言いますが、アメリカ発音だと「ワァキング」となります。
また、作業ができるような場所を「ワークスペース」と言ったりしますが、これもどちらかというと「ウォークスペイス」となります。
ここで少し余談!
下記記事では、発音を鍛えるのにおススメの教材と学習ステップについてご紹介しています!ぜひ参考にしてみて下さい♪♪
基礎英単語でアメリカ発音にチャレンジ
ここまでの内容を踏まえて、基礎的な英単語でアメリカ発音を少し練習してみましょう!Japan
ジャパェェン
ポイント→「p」と「n」の間の「a」を「ェェ」としっかり伸ばす。
wear
ウェr
ポイント→語尾を「ア」ではなく、しっかり「r」の音を出して発音する。
better
ベドゥr
ポイント→間の「t」が濁り、「ド」という音になる。また、語尾を「ア」ではなく、しっかり「r」の音を出して発音する。
water
ウァドゥr
ポイント→「walk」と同様に出だしの「wa」は「ウァ」。また、間の「t」が濁り、「ド」という音になる。さらに、語尾を「ア」ではなく、しっかり「r」の音を出して発音する。
ball
ボァl
ポイント→「walk」と同様、出だしの母音は「ォ」というよりは「ァ」を意識すると、よりアメリカ発音っぽさが出る。
problem
プラァブレム
ポイント→母音「o」はやや「ア」よりの音になり、しっかり伸ばすことで「アァ」という発音になる。「dog」「stop」「probably」なども同じように発音できる。
writing
ライディング
ポイント→間の「t」が濁り、次の母音「i」と重なることで「ディ」という音になる。「waiting」「dating」なども同じように発音できる。
certain
スゥrウン
ポイント→出だしの「cer」は「water」「better」の語尾と同じように「r」をしっかり発音する。また、間の「t」は「important」のように消えて発音されない。
wanted to
ウォネ ドゥ
ポイント→「wanted」の「t」は消えて発音されない。また、最後の「d」も発音されず、そのまま「to」に繋がる。
ここでまた少し余談!
下記記事では、人気アプリ「究極英単語」の使い方についてご紹介しています!きっと皆さんの英語学習に役立つアプリだと思うので、ぜひこの記事を参考に始めてみて下さい♪♪
まとめ
では、今回の記事のまとめです!
・英語では日本語に比べて子音を強く発音する
・英語では母音をしっかり伸ばすことでネイティブっぽさが増す
・アメリカ発音では、語尾の「r」はしっかり発音する
・アメリカ発音の「t」の音は母音に挟まれると濁り(フラップT)、「強い母音+t+弱い母音+n」の並びだと消える(グロッタルT)
・「walk」「work」の発音は、日本語発音とアメリカ発音では真逆
いかがでしたでしょうか?アメリカ発音が日本語発音と比べてどのように違うか、お分かりいただけたと思います。
もちろん、アメリカ発音をマスターするために気にすべきポイントはまだまだたくさんありますが、本記事の中で紹介した基本的なポイントを押さえるだけでもかなりネイティブのようなアメリカ発音に近づくことができます。
ただし、知識だけではできるようにはならないので、練習は必須!アメリカ発音をマスターしたいと思っている方は、音読やシャドーイングなどをする際にはぜひ意識しながら何度も練習してみてくださいね!

山形県出身。東南アジアを拠点に生活中。約10年前にイギリスのロンドンにて3ヶ月滞在したのをきっかけに英会話にハマり、オンライン英会話×自主学習の組み合わせで、日本国内でバイリンガルとなる。英語対応コールセンター、英語塾講師、外資系企業勤務、オンライン英会話講師を経て、英会話スクールを約4年経営後、現在はフリーランスノマドワーカーとして英語関連事業、ライティング、Web制作など、幅広く活動中。好きな食べ物は家系ラーメン。