意味のある留学とする為に考えておくべきこととは?

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独立行政法人日本学生支援機構が実施している日本人学生留学状況調査によると、 日本人学生の海外留学状況は2017(平成29)年度で10万人強となっており、留学先としてはアメリカが約2万人、オーストラリア約1万人、カナダ1万人弱の順となっているようです。

但し、留学期間が1年に満たない学生(上記の統計に含まれない)や一般の方が語学習得の目的で留学するものを含めるとかなりの数の人たちが留学しているものと思われます。

このように多くの日本人が主に語学習得を目的とした留学をしているわけですが、留学をする意味ってどの程度あるのでしょうか?
なお一口に留学と言っても、例えばアメリカの大学へ入学してMBAを取得するための留学と、語学の習得自体が目的である留学などがありますが、この記事では後者について考察しています。

留学をする意味って本当にあるの?

これは私が学生時代の友人の話です。

彼の家はかなり裕福な家庭で、当時はまだ珍しかった小型のノートパソコンやゲーム機などの最新機を何台も持っている、かなり羨ましい限りのヤツでした!

ある時その友人が、父親の命令で英会話習得の為にとりあえず1年間ハワイへ留学する事になったのです。

彼の父親としては、自分の会社を継がせるために語学を習得させておきたかったのでしょうが、当時の友人は成績がそれほど良い方でもなく、英語など全く話せませんでした。

しかし、1年間もハワイへ(なぜハワイだったかは不明ですが)留学していれば、日本へ帰ってくる時には英語がペラペラになっているのだろうな・・・と誰もが信じていました。

ところがです!

1年後日本に帰国した彼は、ほとんど英語が話せなかったのです

留学すべき人と無駄になる人の違いとは?

前述した私の友人が1年間ハワイへ留学していたのにもかかわらず、英語を話せるようになれなかったという原因の種明かしは後回しにして、もう一人私の友人の娘さんのご紹介をしておきたいと思います。

彼女の母親は美容室を経営しており、娘にもその美容室を継がせたいという思いがあり、彼女自身も高校2年生に進級する頃までは、それでもいいかな?くらいの気持ちでいたようでした。

ところが、どんなキッカケだったかは知りませんが、2年生の夏休みにオーストラリアへ留学したいと急に言い出したそうです。

その当時の彼女の成績としては、どちらかというと下位のほうで、英語の成績も良くない方だったという事でした。

親としては彼女が英語を習得したいという気持ちが嬉しかったのか、とりあえず2週間だけオーストラリアへ留学させたという事です。

2週間後に帰国した彼女は見違えたように明るくなり、性格まで変わってしまったようだと母親が言っていたことを思い出します。

2週間という短い間でオーストラリアに友達が出来たようで、帰国した後も彼女は毎日のようにオーストラリアの友人と何時間もスカイプで話をしていたとの事です。

高校での英語の成績はどちらかというと悪い方だったという彼女が、毎日のようにスカイプで海外の友人達と英語で話をしている姿を見た母親はとても信じられなかったようです。

但し、2週間の留学でどの程度彼女の英会話レベルが上達したかは定かではありませんが・・・。

その後も彼女は必至でアルバイトをしたお金を貯め、高校3年生の夏休みには自分がアルバイトをして貯めたお金で再度1ヶ月ほどオーストラリアへ留学したそうです。

現在彼女は20歳位だと思いますが、アルバイトをしてお金を貯めてはワーキングホリデーなどの制度も利用しながらオーストラリアへの留学を繰り返していて、最近では「将来はオーストラリアで就職して暮らしたい」とまで言っているそうです。

半年ほど前に彼女と会った時、スカイプでオーストラリアの友人と話しているところを覗いてみたのですが、英語に関してはほぼペラペラという感じでした!

ここまで私の学生時代の友人と美容室の娘さんの話をご紹介しましたが、この両者は同じように語学留学したにもかかわらず、片方は英語が全く身に付かず、もう片方は英語がペラペラになったというのは、どのような違いがあったのでしょうか?

ここで両者の留学の内容について考えてみたいと思います。

学生時代の友人の場合

まずは1年間ハワイへ留学をした友人の場合ですが、留学の目的は英語の習得であったにせよ、そもそも留学のキッカケが「父親から強制的に留学を命じられた」という事でした。

ですので、彼の場合は英語に対して特別興味もないし習得しようという意欲もなかったと思います。

それでも当時は留学する人自体少なかったこともあってか、私も含めて多くの人が「1年間も外国で生活すれば誰でも外国語を話せるようになる」という事を何の根拠もなく信じていました。

ところが帰国した彼は、ペラペラどころか留学前とほとんど同じレベル(英語を全く話せない)だったのです。

私自身海外に行くことに憧れもあって結構英語は一生懸命に勉強していた方なので、彼の留学には特に興味があり、帰国した彼から留学時の事についていろいろと話を聞きました。

まず現在でもそうですが、ハワイって日本からの観光客が多いせいもあって結構日本語が通じるところが多いんですよね?

当時も、私たち庶民には手が届きませんでしたが、裕福な家庭では海外旅行といえばハワイという時期もありましたし、短期滞在も含めてハワイで暮らしている日本人も相当数いたようです。

彼の場合は、長期契約のホテルから語学学校へ通う、という生活だったそうですが、ハワイに到着してすぐに似たような境遇の日本人と友達になり、語学学校へは仕方なく通っていたようですが、授業には全くついていけなかったそうです。

その反動もあってか、語学学校以外では常に日本人の友達とつるみ、ほとんど日本語だけで生活していたとの事でした。

英語が話せるようになる訳ないですよね!

美容室の娘さんの場合

こちらの娘さんの場合は、なぜ急に「オーストラリアへ留学したい」と言い出したかは不明のままですが、とにかく何かのキッカケがあって、どうしてもオーストラリアへ留学したくなったそうです。

先に紹介した私の友人と彼女の違いは、留学する前からすでに始まっていました。

母親の話では、それまでは学校の勉強などテスト前にしかやっていなかったような娘が、オーストラリアへの留学が決まってからというものは、英語だけではあったものの毎日毎日勉強していたそうです。

留学に出発する日が近づいた頃には、毎日のように英会話のCDが流れていたそうです。

私の友人との違いはそれでけではありません。留学中の滞在先についても大きく異なります。

私の友人の場合は、ハワイの安い?ホテルだったそうですが、彼女の場合は両親が心配していろいろと親戚や知人を通じて調べてくれたため、定期的にホームステイの学生を受け入れている親切なオーストラリア人の家庭を紹介してもらえたそうで、オーストラリアでの滞在中は今でもその同じ家庭にお世話になっているそうです。

彼女も最初のうちは語学学校へ通っていたそうですが、家へ帰れば日本語が全く通じないオーストラリア人の家庭で生活しなければならないわけですから、普通に日常生活をするために英語を話す必要があった(英語を話さなければならない環境にあった)というわけなんです。

更に彼女の偉いところは、通っていた語学学校にも日本人が何人かいたそうですが、その日本人は極力避けるようにして、学校では英語を学ぶ他の国の人を友達に選び、特に彼女が意識してやっていたのは、オーストラリアに住む現地の人と仲良くなり、たくさん友達を作って休みの日はほとんど現地のオーストラリア人の友達と過ごしていたそうです。

語学学校での成績も徐々に向上し、高校3年生の夏休みに行った2回目の留学を終えるころには、クラス分けの際かなり上のクラスへ入れるほどに英語の上達も早かったようです。

このように両者には、留学前からの語学習得に対する意欲、留学中の滞在先や生活環境などに多くの差があったため、一人は英語ペラペラ、もう一人は全く変化なしという全く正反対の結果となってしまったようです。

意味ある留学のためには、ネイティブの国じゃなければダメ?

前に紹介した二人の例では、一方の留学先はハワイ(アメリカ)、もう一方の留学先はオーストラリアでしたが、意味のある留学をする為にはどこの国へ留学した方が一番効果が上がるのでしょうか?

この記事の最初でご紹介した統計を見ても、留学先としては1位アメリカ、2位オーストラリア、3位カナダというふうに全てネイティブの国となっています。

日本人の場合、「英語を習うならネイティブから!」といったような欧米人に対しての憧れというか、変な先入観を持っている人が多いように思いますが、あなたの場合はいかがでしょうか?

実際に留学している国を見てもネイティブの国が上位を占めている事からも、このことが伺えますよね。

ネイティブの国と言えば、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの国が真っ先に思い浮かびますが、英語をマスターしようと思ったら、これらの国へ行く必要があるのでしょうか?

確かにネイティブの国へ留学すれば、ネイティブ英語の発音を生で聞くことが出来ますし、努力次第ではネイティブに近い発音を身に付ける事も可能でしょう。

ところで世界全体で見た場合、上に挙げた5か国以外にも英語を第二言語や公用語として用いている国や地域が多数存在しています。

人口の割合で見てみると、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの合計が約4億人、これと比較して英語を公用語・準公用語としている国は54ヵ国、約21億人にも及ぶそうです。

出典:文部科学省 基礎データ

つまり、世界的に見れば英語を話している人口の割合は、英語ネイティブの国よりそれ以外の国の方がはるかに多いという訳です。

私自身、サラリーマン時代にイギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、中国、香港など様々な国の人と仕事をした経験がありますが、学生時代に英語の勉強で聞いていたリスニング用CDから流れてくるような英語の発音など一度も聞いた事が無かったような気がします。

イギリス人の英語を初めて聞いた時でさえも、「この人本当に英語で喋ってるのかな?」というくらい聞き取れませんでした。

イギリス人が話す英語はネイティブ英語の発音のはずなのになぜ聞き取れないのか?

これは後になってから気づいた事ですが、日本にいる時に聞いていたリスニング用のCDは、そのほとんどがアメリカ英語で、その頃はアメリカ英語とイギリス英語が違うという事さえ知りませんでしたし、イギリス人が話す英語を生で聞いたのもその時が初めてだったからというのも原因の一つだったようです。(勿論私自身のリスニングレベルの低さもありましたが)

英語を学ぶ目的にもよると思いますが、英語を話す全ての外国人の発音がネイティブ英語の発音と同じわけではありませんので、語学を習得するための留学先についてはネイティブの国にこだわる理由は全くないと思います。

むしろ私の経験から言うと、イギリス以外のヨーロッパもオススメだと思います。

私の場合はベルギーに通算で4年ほど暮らしていましたが、ヨーロッパ内は陸続きですし移動や入出国なども簡単だった(国によっては知らない間に国境を越えていた)ため、休日にはドイツやオランダやフランスなどに買い物に行ったり観光を楽しんだりしていました。

どの国へ行っても多くの人がその国訛りの英語を話しますし、他の国からの移民も大勢いましたので何十種類もの英語を話す人たちと接する経験が出来ました。

時々オンライン英会話を利用してフィリピン人の先生と話すことがありますが、先生方の話では「日本人は訛りを気にする人が非常に多い」という事でした。

結論としては、英語を習得する目的がネイティブ英語を身に付けたいという事であればネイティブ英語の国へ留学すれば良いだろうし、習得目的が仕事上であれプライベートであれ、英語を話す外国人と意思の疎通ができる=相手に伝わる英語をマスターしたいのであれば、留学先として特にネイティブの国にこだわる必要はないという事です。

短期留学に意味はある?

最近では1週間の宿泊費+食事代+マンツーマンレッスン料全て込みで5万円台といったような超格安のフィリピン留学というものまで売り出されているようですが、1週間程度の短期留学ってそれなりに意味があるのでしょうか?

ここでまず考えなければならないのは、「短期留学で英語が身に付くか(習得出来るか)」という事と「短期留学に意味はあるか」という事とは切り離して考える必要があるという事です。

つまり仮に1週間の短期留学で英語が身に付くかと聞かれたら、それはNoに決まってますよね。

但し、ほんの1週間の留学であったにしろ「何の意味もない!」という事はないと思います。

文章がちょっとややこしいので、1週間の留学にはどんな意味があるのか?という事について書いてみたいと思います。

まず一番目は、特に語学留学が全く初めての人にとっては「本格的な留学前の予行練習」的な意味合いを持つことが出来ます。

初めての留学がいきなり1年間ともなると、中にはホームシックに耐え切れず途中でリタイアして戻ってきてしまうような人もいるようですので、その為の慣らし運転的な短期留学はそれなりの意味があると言えるでしょう。

但し、1週間の短期留学と1週間の海外旅行とは全く意味合いが異なります。

短期留学を行う際は、宿泊先のルームメイトは必ず外国人にするとか、レッスン以外の時間や休日も日本人とは絶対に接触しないなどのルールを自分自身で決めて厳守することが大切です。

二番目は、英語のみの環境を体験することができるという事です。

日本にいても周りの環境を英語のみにする事は不可能ではないかもしれませんが、やはり難しいですよね?
その点、いくら1週間程度の短期であっても周りの環境を英語のみ(正しくは日本語以外)にすることが可能です。

留学先ではいろんな国からの留学生と一緒に学びますので、英語以外にも色々な国の言葉に接することも可能ですよね。

但しこの場合も一番目と同じように、レッスン以外の時間を日本人同士で過ごすことは厳禁です!

三番目は、留学の意味というよりはメリットという事になりますが、長期留学と比べて留学費用が安く済むという事です。

費用が安いという事は、誰にとってもありがたいことだと思いますが、いくら安いからといって二日間や三日間のみのプチ留学というプランは避けた方が良いと思います。

ほんの数日間の留学となると、単に様子を覗いてみた程度で終わってしまいますので、どんなに短くても1週間以上はあった方が良いと思います。

なお1週間程度の超短期留学の場合はそれなりの意味はあったにしても、もちろんデメリットもあります。

最大のデメリットとしては、英語が全く分からない状態でこの短期留学に参加した場合、当然の事ですが授業は全て英語のみで行われますので、全く理解できない状態で毎日6時間前後の時間を過ごしますのでその苦痛に耐えなければなりませんし、少し慣れて分かり始めたというころには、帰国しなければならないという事になってしまいます。

こうなってくると、短期であっても留学したこと自体が逆効果となってしまい、自信を無くすどころか学習する意欲そのものを失くしてしまう恐れさえあります。

そうならないためにも、挨拶や簡単な自己紹介、分からない時の質問の仕方程度は留学前に英語で言えるようにしておきたいものです。

更に、短期留学が成功した次は3ヶ月程度、出来れば6か月以上の留学をオススメします。

ある程度の長期に渡って留学してみると、短期留学の時には味わえなかったような留学先の国に住む人たちとの交流を通して、日本人との考え方の違いや文化の違いなどについて肌で感じることが出来ると思います。

更には留学先の外国人が日本をどのように見ているのか?或いは外国から見た日本がどのように映るかという貴重な体験をすることが出来るでしょう。


留学は帰った後が肝心!帰国後にすべきことをご紹介します!

nativecamp.net


まとめ

今回は主に語学留学を行う際に、たとえ短期間であってもその留学が英語が身に付いたかどうかに関わらず、意味のあるものとする為にはどうしたら良いのかという事についてご紹介しました。

最後に今回のまとめとして重要なポイントを以下に列記しておきたいと思います。

・留学に対する明確な目的と強い意志がなければ、どんなに長期の留学であっても失敗する!

・留学する国はネイティブ英語の国にこだわる必要はない!
 世界レベルで英語を話す人口を見てみると、ネイティブの国よりそれ以外の国の方がはるかに多い!
 多くの国の人々がその国特有の訛りのある英語を堂々と話している!

・短期留学でも意味があるが、やり方次第では逆効果になってしまう恐れもある!

今回の記事が留学を控えている方、又は留学を検討している方にとって少しでも参考になれば幸いです。