世界の「UKIYO-E(浮世絵)」を英語で説明してみよう!

浮世絵を英語で説明してみよう

みなさん、「浮世絵」と言ったら、まず何を思い浮かべますか?

ポッピンを吹く娘?
東海道五十三次?
見返り美人図?
それとも、あの波がガアッとなっているやつ? と、人それぞれ思い出すものは違うんじゃないでしょうか。しかし、何も思い浮かべられないという人の方が少ないのでは。

画家として、葛飾北斎、歌川国芳や広重の知名度も高いですね。浮世絵は日本美術の代表のひとつと言って間違いありません。

「東海道五十三次」などの風景画の名作は多色版画である”錦絵”ですが、浮世絵には筆で描いた”肉筆画”というものもあります。肉筆画には、「美人画」「風俗画」そして「春画」があります。

特に「春画」文化は世界から注目されています。

2000年代から海外で春画の芸術的・文化的な価値が再評価され、2015年の大英博物館「春画展」には、9万人近い来場者が訪れています。

浮世絵は、意外と私たちのそばにあるものです。それこそ居酒屋の壁とか、お土産屋さんの一画で、浮世絵を描いた、もしくは浮世絵を模したアートや商品を目にしたことがあるはず。

他の日本の伝統美術―例えば、和歌や茶器、着物などと比べれば、浮世絵はどこか親しみやすく、身近な存在ですね。

それは、この日本の芸術が江戸の庶民の手によって形作られ、彼らによって愛されてきたゆえんなのかもしれません。

しっかりと、日本文化として根ずいていました。

しかし、浮世絵はもはや日本だけの美術ではないことを、みなさんはご存じでしょうか。

ゴッホやモネ、ドビュッシーなど、浮世絵からインスピレーションを得て作品を残した有名な芸術家たちは数知れません。

また現代でも、浮世絵を収集している海外ファンは多く、作品の四分の三が日本国外にあるとも言われているほどです。

ここまでくると、浮世絵はもはや日本を飛びだした「世界のUKIYO-E」と言っても過言ではありません。

となると、もしかしたら、これから浮世絵について海外の方に説明する機会がやってくるかもしれません。

そんな来る時のために、ここでは浮世絵の特徴や歴史について英語で説明する練習を一緒にしてみましょう!

【初級編】浮世絵を簡単な英語でいってみよう!

「浮世絵って、どういうもの?」
と聞かれて、一番いい方法はスマホやiPhoneでササっと検索し、「こういうものだよ」と実際に見せてあげるのが一番ですね。

でも、それだけじゃ話が広がりません。そこからさらに浮世絵のことを知ってもらうためには、こういう風につけ足してあげると親切ですね。

・Ukiyo-e is a genre of Japanese traditional painting.
浮世絵は、日本の伝統的な絵画芸術のジャンルだよ。

・It was established and became popular among ordinary people during the Edo period.
これは、江戸時代に確立され、庶民の間で有名になったんだ。

・Because Ukiyo-e were mostly made from woodblock prints, it was easy to publish many copies.
なぜなら、ほとんどの浮世絵は木版印刷で、たくさんのコピーを刷ることが簡単だったから。

・People could buy them at affordable prices.
人々は、お手頃な値段で浮世絵を買うことができたんだ。

・Ukiyo-e described the life of common people, portraits of Kabuki actors, beautiful women, and famous scenery.
浮世絵は、普通の人々の生活や歌舞伎の役者や、有名な風景なんかを描いているんだ。

・Ukiyo-e took on roles such as magazines, advertisements, and guidebooks.
雑誌や広告、ガイドブックの役割をしていたんだよ。

genre:ジャンル、部類

establish:成立する

woodblock:木版、木版画

affordable:お手頃な

describe:
~を表現する、~を述べる

portrait:肖像画

take on a role as:
~の役割を担う


ここでちょっと寄り道!

歌舞伎についても知りたい!と言う方は、こちらのブログもおすすめです!

nativecamp.net


【中級編】浮世絵ってどうやって作られていたの?

浮世絵に興味を持った人は必ず、どうやって作られたのかも気になるものですよね?

次からは、浮世絵がどのような工程で作られていたのか、英語で紹介してみます。

・Ukiyo-e were made by a number of craftsmen who had different specialties.
浮世絵は、専門技術をもった何人かの職人によって作られている。

・Eshi were painters who drew the original pictures. Horishi are carvers who sculpted the woodblock. Surishi were printers who colored the woodblock and printed them.
元となる絵を描く人を絵師、木版を彫る人を彫師、色付けと印刷をする人のことを摺師と言うんだ。

・The notable feature of Ukiyo-e are vividly multi-colored printing and outstanding layout.
浮世絵の優れた特徴は、色鮮やかな多色刷りと大胆な構図にある。

・In that regard, Ukiyo-e is the only pictorial art in the world.
その点に関して、浮世絵は世界で唯一の絵画アートである。

craftsman:職人

specialty:専門技術

sculpture:~を彫る

feature:特徴

pictorial:絵の、絵画の

さてここでちょっと息抜きで、浮世絵の有名な作品のタイトルを英語で言ってみませんか。みなさんも一緒に当ててみて下さい。

Q①「見返り美人図」って英語でなんて言う?

Q②「神奈川沖浪裏」って英語でなんて言う?

Q③「東海道五十三次」って英語でなんて言うの?


A① “Beauty looking back” by Moronobu Hishigawa

A② “The Great Wave off Kanagawa” by Hokusai Katsushika

A③ “The Fifty-three Stations of the Tokaido” by Hiroshige Utagawa

どうですか。日本語のタイトルが難しくても、英語にすると易しく感じるものも多いですね。

【上級編】浮世絵を海外と関連づけて話してみよう!

浮世絵がいかに海外のアーティストや西洋美術に影響を与えたか。この辺まで英訳できると外国人にとってもさらに興味が増すでしょう。

It’s well-known that Van Gogh was inspired by Ukiyo-e in the late 19 century. In his mind, Japan was an idealized realm. So he started experimenting with various aspects of Japanese prints in his own paintings, including the use of bright, flat colors, unconventional cropping, and also the omission of the horizon.
19世紀後半、ヴァン・ゴッホが浮世絵に刺激を受けたことは有名です。彼の心のなかでは、日本は理想的な世界でした。ゴッホは、明るく単調な色、型にはまらないトリミングや水平線の省略といった浮世絵の特徴を彼の作品へ試みることを始めました。

experimenting:試みる・試してみる

aspect:特徴

an idealized realm:理想的な世界

unconventional:型にはまらない

cropping:トリミング

omission:省略

horizon:水平線

海外からみた浮世絵

さて、浮世絵が海外の画家たちに多大な影響を与えたことは、最初にも少し触れました。でも、なぜ浮世絵がそんなにまで外国で人気になったのでしょうか。

少し面白い話を紹介します。

今でこそ美術品として名声高いのですが、江戸当時、人々にとって浮世絵は消耗品だったらしく、ヨーロッパに日本の茶器や陶器を輸出する際、浮世絵を緩衝材として使っていたとか。それを見た西洋の人が、 「な、なんだ!この斬新でカラフルな絵は!」 と、なって浮世絵が海外で注目され始めたとか。

浮世絵をただの紙として扱っていたとは驚きですね。

江戸時代から明治時代には、歌舞伎役者や舞台、歌舞伎を楽しむ人々を描いた”役者絵”が膨大に描かれましたので、それも西洋人にとっては衝撃的だったかもしれません。

さらに、1867年に開催されたパリ万国博覧会がそれに火をつけ、ヨーロッパ中を巻き込んだ
「ジャポニズムブーム」が花開く…。

そんな歴史を、ここでは英語でちょっとご紹介します。

・The new art movement called “Japonism” instantly flourished in Europe throughout the 19th century since the Exposition Universelle.
パリ万国博覧会をきっかけにして、19世紀から「ジャポニズム」と呼ばれるアートブームが一気に花開いたんだ。

・Japonism refers to an appreciation and admiration for Japanese arts, including Ukiyo-e.
ジャポニズムとは、浮世絵を含めた日本の美術への評価と心酔のこと指すんだ。

・The Japonism boom affected different fields of the arts like fine art, music, sculpture, etc.
ジャポニズムブームは色んな芸術界、絵画、音楽、彫刻などに影響を与えたんだ。

・Ukiyo-e had an especially great influence on Impressionists, such as Vincent van Gogh and Claude Monet.
特に浮世絵はビンセント・バン・ゴッホやクロード・モネなどの印象派画家に大きな影響を与えたんだ。

・Gogh was an enthusiastic collector of Japanese woodblock prints known as Ukiyo-e, and painted an old man surrounded by many Ukiyo-e within “Portrait of Pere Tanguy”.
ゴッホは熱心な浮世絵のコレクターで、『タンギー爺さん』という作品で浮世絵に囲まれた男の肖像画を描いたんだ。

・“La Japonaise” painted by Monet depicts his wife dressed in a red kimono and has a Japanese fan called Sensu. It is believed that Monet drew it under the influence of vivid colors of Ukiyo-e.
モネによる『エミール・ゾラの肖像』では、真っ赤な着物を着て、扇子をもっている彼の妻が描かれている。この絵は、モネが浮世絵の鮮明な色使いから影響を受けて描かれたと考えられているんだよ。

flourish:花開く

appreciation:
高く評価すること

admiration:賞賛、感服

Impressionist:
印象派画家

enthusiastic:熱心な

depict:
~を表現する、描く

まとめ

いかがでしたでしょうか。

少しは、浮世絵について英語で話せるような気がしてきましたか?

NHK英語語学番組ゴガクルのトラッドジャパンでも、広重の浮世絵が取り上げられたことがあります。

外国人にとって、やはり浮世絵は日本文化のひとつ、大変興味があるものと言え、英語で説明ができるようになると国際交流ができます。

時には専門用語を使って細かく説明することも大事ですが、浮世絵はアートです。アートとは、人それぞれによって感じ方が違うもの。

なのでみなさんも、ここで学んだ基本的な知識を生かしつつ、自分の感性で、自分の言葉で浮世絵を海外の方に紹介してみて下さい。

そうすることで世界にまた一人一人と浮世絵のファンが増え、もしかしたら第二の浮世絵ブームが誕生するかもしれませんよ。