Must haveの意味と使い方

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先日からShould+haveやCould+haveなどの、助動詞+have+動詞の過去分詞という形態の文章について、その意味や使い方をご紹介していますが、今回は“must”という助動詞に、「have+動詞の過去分詞」がくっつく形についてみていきましょう。

この“must have”という表現も、日常英会話でよく出てくる表現です。

しかしこの表現も、なかなか理解できない、もしくは使いこなせないという人も少なくないでしょう。

できるだけ分かりやすいように、簡単な単語を使った例文を挙げながらご説明していくので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

MustとMust haveを比べてみよう

まずは、“must”単体の場合と、“must have”でどのような意味の違いが出てくるのかを見比べてみましょう。

You must be tired.
(君は疲れているに違いない。)

You must have been tired.
(君は疲れていたに違いない。)

どうでしょうか。この違いがわかりますか?

“must”単体だと、確信のある推量・もしくは強制や義務の意味を持つ文章となります。しかし“must have”の場合は、過去について確信度の強い推量を意味する文章となるのです。

よって、この文章は“must”も“must have”も確信度の強い推量を表し、この場合“must have”は単純に“must”だけの文章の過去形のような形になります。

もう1つ例文を見てみましょう。

I must listen to my mother.
(私はお母さんの言うことを聞かなければならない。)

I must have listened to my mother.
(私はお母さんの言うことを聞いたはずだ。)

こちらの文章は“must”だけの場合は、「そうしなければならない」という強制・義務の意味を持つ文章となります。

それに対し、“must have”にすると過去について確信度の強い推量の文章となっています。

ここでの重要なポイントは、最初にご紹介した例文とは違い、この文章は単に“must have”が“must”単体を過去形にした文章にならないということです。

つまり”I must have listened to my mother.”という文章に、「私はお母さんの言うことを聞かなければならなかった」という意味はないということです。

もしそれを表したいなら、“I had to listen to my mother.”という文章になります。

この部分が“must have”のちょっとややこしいところかもしれませんが、基本的に“must have”にすると、過去について確信度の強い推量を表すと覚えれば、そう難しくないでしょう。


“must have”と併せて知りたい!“could have”の使い方についてはこちらのブログを要チェック!

nativecamp.net


Must haveをもっと深く見てみよう

ではここからは、“must have”についてどのような使い方をすればいいのか、会話例文を使ってみていきましょう。どういうシチュエーションで使うのかがわかれば、もっと意味が見えてくるはずです。

シチュエーション1

A: Why didn’t you call Maria last night? She’s angry about it.

B: Oh no…I guess I could have forgotten to call her.

A: Well, you must have forgotten about it. You should apologise to her before she gets crazy.

B: You are right. I will talk to her now.

(和訳)

A: なんで昨日マリアに電話しなかったの?彼女怒ってるよ。

B: あー、電話するの忘れちゃってたのかもしれない。

A: いや、忘れてたに違いないよ。彼女がクレイジーになる前に、謝った方がいいよ。

B: そうだね。今から彼女と話すよ。

ここでは、Bがマリアに電話する約束をしていたのに、電話するのを忘れてしまったというシチュエーションです。

それに対してBは約束したことすら忘れているようで、「忘れてたのかも」と言っていますが、Aは「忘れたに決まってる」と言っています。

このように、“must have”にすると同じ推量としての用法でも、”could have”よりもずっと強い意味になるんですね。

シチュエーション2

B: Where is Maria?

C: I saw her a couple of minutes ago, but she’s not here right now. She must have left already.

B: I don’t think so. She must be looking for me.

C: What did you do to her this time?

B: Well, I forgot to call her last night.

C: Oh, she must be angry with you.

B: She might have gotten over it already.

C: I doubt it.

(和訳)

B: マリアはどこ?

C: さっき見たけど、今はここにはいないよ。もう行っちゃったんでしょう。

B: そんなことないと思う。彼女は僕のことを探してるはずだから。

C: 今度は彼女に何したの?

B: えーと・・・昨日電話するのを忘れたんだ。

C: あら、彼女は怒ってるに違いないね。

B: もう怒りが静まったかもしれないよ。

C: そうは思わないけど。

ここで“might have”という別の「助動詞+have+動詞の過去分詞」の文章をいれていますが、これについては別の記事で詳しくご紹介します。


“might have”の使い方が気になる方は、こちらの記事から。

nativecamp.net


こちらも過去についての推量を表す文章となります。

どうやらBはよくマリアに何かをして怒られているようで、Cもそれに慣れている様子ですね。

このシチュエーションでは、“must”と“must have”の使い分けがよくわかるように、“must”単体の文章もいくつか入れています。

それぞれを見比べて、ニュアンスの違いを感じとってみてくださいね。

Must haveを否定形にしてみよう

最後に“must have”の文章を否定形にしてみましょう。最初に使った例文がとてもシンプルなので、こちらを使ってご説明します。

肯定形
You must have been tired.
(君は疲れていたに違いない。)

否定形
You must not have been tired.
(君は疲れていなかったに違いない。)

文法的にはこのようになるのですが、実はこの文章を使うことはありません。

そもそも「疲れていなかったに違いない」というのは、日本語でもなんだかよくわかりませんよね。

「君は疲れていなかったに違いない」と言いたいなら、“You couldn’t have been tired.”を使うからです。
これだと、「君は疲れていたはずがない。」という意味になりますが、こちらはよく使われる表現です。

“must not”というmustの否定形は、“You mustn’t smoke here.”(ここでタバコを吸ってはいけない)のように、してはいけないことを表すものです。

“You must be tired.”のように、「疲れているに違いない」という推量の文章を、“You mustn’t be tired.”として「疲れていないに違いない」とはできないんですね。これだと「疲れてはいけない」という意味になってしまいます。

よって、過去の推量を表す“must have”では、否定形は使われないのです。

まとめ

今回は“must have”についてご説明しましたが、なんとなく掴めたでしょうか。助動詞+have+動詞の過去分詞の中では、この“must have”が少しややこしいかもしれません。

なぜなら、みなさんが“must”の意味としてよく知っている強制や義務の意味が、“must have”にはないからです。

もしもまだ“must”の推量的用法についてよくわかっていない場合は、まずそちらについて理解してから、“must have”を学んでみましょう。