英語の音声をヘッドホンやイヤホンで聞きながら、聞いてる音声のおよそ0.5秒遅れで、そっくりそのまま真似て話す練習を「シャドーイング」と言います。
シャドーイングは元々、プロの通訳者を目指す人のトレーニング方法として知られていましたが、その効果が認められ、今や英語学習者の中でも一般的に知られる練習法となりました。
そのため、英語を学習している方なら一度は「英語力を伸ばすにはシャドーイングがオススメ」ということを聞いたことがあるかもしれません。
実際に、英語学習法をGoogle検索してみても、多くのブログサイトでシャドーイングが効果的な英語学習法として紹介されています。
今では中国語でもドイツ語でも、語学を勉強をしている人がシャドーイングという勉強法を取り入れているほどおすすめの言語習得の方法なのです。
また、日本人で英会話講師をやられている英語堪能な方々の多くが、Twitterなどで、彼らが実際に得られたシャドーイングの効果を謳っています。
しかし、シャドーイングをやってみた多くの英語学習者の方が、
「やってみたけど難しくて出来なかった」
「効果が得られなかった」
という経験をします。
そこで今回は、シャドーイングで得られる効果や目安の練習量、トレーニング法の注意点、またシャドーイングの効果が得られない理由などをご説明したいと思います。
シャドーイングで得られる効果とは
シャドーイングで得られる効果として、以下3点が挙げられます。
リスニング力の向上
シャドーイングによってリスニング力の向上が期待できる理由は、
①英語の音を覚えることができる
②英語を集中して聞ける耳を作ることができる
です。
①英語の音を覚えることができる
英語が聞き取れない原因の1つに、「実際に英語の単語やフレーズの音がどのように発音されてたり、音がどのように繋がっているかを知らない」ということが挙げられます。
シャドーイングは、「聞こえてくる英語音声にしっかり集中し、そっくりそのまま真似して口に出す」練習です。
0.5秒遅れで音読をして元のスクリプトを真似をしているうちにネイティブスピーカーの正しい発音や音の繋がり、リズム、イントネーションなどを覚え、再現できるようになっていきます。
そのため、英語リスニングの力と同時に、語彙力や英文法の力のアップが期待できる学習方法なのです。
つまり、
音を覚える
↓
発音できるようになる
↓
聞き取れるようになる
という流れで、リスニング力アップの効果が期待できます。
②英語を集中して聞ける耳を作ることができる
日本語だと、なんとなく聞いていれば話の内容や文章の意味は取れますが、英語だとなかなかそうはいきません。
しっかり聞いていれば聞き取れる英文も、集中して聞いていないがために聞き取れない、ということが起きます。
つまり、「英語を集中して聞ける耳を作る」ことができれば、そのような問題は解決できます。
シャドーイングをする際は、しっかり集中して音声を聞いていないと細かい部分まで真似することができません。
そのため、継続していくことで、段々と長い時間英語を集中して聞いていられるようになり、それがリスニング力アップに繋がります。
前述した通り、音にしっかり集中しないと本来の効果があまり得られないので、シャドーイング練習をする時は、イヤホンやヘッドホンを使うのが基本です。
また、シャドーイングは、ただ英語音声を聞きながら真似するという練習をするよりも、聞いている音声の内容や文章の意味をしっかり取りながら練習することで、更に高い効果を発揮します。
それをすることによって、英語の音声を英語のまま理解する力がつく、というのが理由です。
英語の上級者である同時通訳者がシャドーイングで英語力をブラッシュアップさせるというのも理にかなっているのです。
スピーキング力の向上
シャドーイングの効果はリスニングのみならず、スピーキング力の向上にも繋がります。
なぜなら、聞いた音声をそっくり再現するには、何度も同じものを練習する必要があるからです。
何度も同じ文章を口から出していれば、次第に文章ごと頭に入ってきます。それが記憶に残るので、実際に英会話をしている時にシャドーイングで覚えた文章をフレーズごとスラスラっと言えるようになってきます。
また、綺麗に読み上げられた収録音声を使ってシャドーイングをすることで、噛まずに、綺麗に、滑らかに英語を話せるようにもなります。
そのため、既に英語を話せる人でも、英語を話す前のウォーミングアップとしてシャドーイングをされている方々が多くいらっしゃいます。
発音改善
英語の発音を良くするためには、アメリカ発音イギリス発音関わらず、綺麗な発音を真似することが一番の近道です。
シャドーイングは聞こえてくる音声を、そっくりそのまま真似る練習です。
つまり、シャドーイングを続けているうちに発音の仕方にも注目するようになり、英語を話す時に使う口の筋肉も発達し、綺麗な英語発音ができるようになります。
正しい英語発音が出来るようになると、聞き取れるようになるだけではなく、
・相手に英語が伝わりやすくなる
・聞いてる相手にとってもストレスなく会話が出来る
・発音に自信を持って堂々と話せる
という会話力のアップというメリットがあります。
そうすると、英会話をした相手に良い印象を与えることが出来ます。良い印象を持ってもらうことで覚えててもらえたり、大きなビジネスチャンスに繋がることもあるでしょう。
「発音は拘らなくて良い。通じれば良い。」という意見もありますが、発音が良ければ良いほど通じやすくなるので、練習して損はありません。
シャドーイングのスクリプトはニュースなど様々ですが、イギリス英語を学びたい人、アメリカ英語を学びたい人、それぞれに合ったものを選び、発音練習を行ないます。
色々な発音トレーニングの方法はありますが、特にシャドーイングは発音改善にもってこいの効果的な練習と言えます。
シャドーイングはどれくらいやると効果があるのか
シャドーイングが効果のある練習法であることはお分かりいただけたかと思いますが、では一体どれくらいやると効果が出るのでしょうか。
1日の練習量の目安
例えば、日常英会話用のテキストブックに付属の音源を用いてシャドーイング練習をするとします。
既に内容を理解している文章でも、最初は収録音声の標準的なスピードに付いていき、音源をそっくりそのまま再現出来るようになるまで相当時間がかかると思います。
何度も繰り返し繰り返し練習してようやく出来るようになる、という人が多いでしょう。つまり、スポーツのようにとても体力を使うことになります。
理想は「出来るようになるまでやる」ですが、実際は15分ももたない、なんてこともあり得るでしょう。それくらい大変な練習です。
そのため、始めたての頃は無理せず、まずは15分を目標にし、段階的に15分ずつ時間を伸ばしていき、目安としては最終的に1時間続けて練習できるようになると良いでしょう。
1時間も練習できるようになれば、もし1つのユニットの収録音声が3分の長さだった場合、20回は繰り返し出来るので、それくらいの時間があればそのユニットは上手にシャドーイング出来るようになるでしょうし、それが難なく出来てくる頃にはシャドーイングそのものが上達しているので、更に時間をかけずに聞いている英語音声を再現できるようになります。
3ヶ月毎に振り返る
どれくらいの期間シャドーイングをすれば効果が出るかは、英語力や1日の練習時間によります。
まずは「継続」することにフォーカスをあてることをオススメします。
例えば、
1日1時間のシャドーイング練習を3ヶ月続ける
⬇︎
3ヶ月続けたところで、改めて始めた頃と比べて進歩してるかを確認する
⬇︎
また3ヶ月続けることを目標に毎日練習する
⬇︎
6ヶ月目に、3ヶ月目の頃と比べて進歩してるかを確認する
というように繰り返していくことで、3ヶ月毎の成果がどれくらいのものかがわかります。
通常、何事も継続していればそれなりの成果は得られますが、もしそうでない場合、練習量が足りてないか、もしくは練習方法に原因があるのかもしれない、などの原因を考える必要があります。
その点で、3ヶ月毎というのは
「ある程度継続している期間」
「成果を実感してもよさそうな期間」
であることから、理にかなっている期間設定だと言えます。
ここで少し余談!
下記記事では「オンライン英会話は英語初心者には難しい!?」という件について解説しています!ぜひ参考にしてください♪♪
シャドーイングの効果を感じない人が考えるべきこと
シャドーイングをある程度続けてみたけど、一向に効果を実感出来ないという人にありがちな事として、以下の3点が挙げられます。
シャドーイングがそもそも出来ているか
シャドーイングをする際は、聞こえてくる英語の音声を100%再現するつもりで練習することで、しっかり聞く集中力や、正しい英語の音を覚えることができます。
そのため、難しいという理由で中途半端にシャドーイングに取り組んでしまうと、得られるはずの効果も得られなくなります。
基本的にシャドーイング時はテキストを見ませんが、慣れるまでは、
テキストを見ながらシャドーイング
⬇︎
音声のスピードに付いていけるようになる
⬇︎
テキストを見ながら発音や音の繋がりなどの細かい部分までコピー
⬇︎
テキストを見ないでできるように練習
という流れで繰り返していけば、苦労する負担を軽減しながら継続することで、しっかりシャドーイングの効果を実感できるようになります。
使う教材が自分のレベルに合っているか
シャドーイングをする際に使っている教材のレベルが、今の英語レベルにマッチしているかも注意すべき点です。
「使用している教材の内容が難しすぎる」と感じるほどに自分の英語レベルと教材レベルの乖離が大きいと、シャドーイングの効果はなかなか得られません。
教材の英語レベルが高すぎると、「聞こえてくる音声をそっくりそのまま再現する」というシャドーイングの基本ができません。
そうなると練習としてはあまり意味のないものになってしまいます。
シャドーイング自体が難易度の高い練習のため、教材は、始めたての頃は今の英語力より少し下のものを、慣れてきたら今の英語力と同等くらい、もしくは少しだけ上のものを選ぶことをオススメします。
シャドーイングをする英語力があるか
前述した通り、シャドーイングは難易度の高い英語学習法です。つまり、それなりに英語力がないと練習自体ままならないということがあります。
シャドーイングができる英語レベルに達する前に始めても、しっかりとした練習ができないが故に効果が得られない、または挫折してしまうという可能性は大いにあります。
シャドーイングは、正しいやり方でやれば間違いなく効果的な学習法ではありますが、どの英語レベルの人にも有効であるとは言えません。
少なくとも英語初心者向けではありません。
まずは中学校で習う基礎英語をしっかり理解した上で、英語である程度コミュニケーションが取れるようになってからシャドーイングを始めるのが良いです。
ネイティブキャンプで毎日レッスンを受講することを継続していけば、次第に英語でコミュニケーションを取れるようになっていきます。
中級レベル以上の内容のオンラインレッスンを受けている時に、先生の言っていることがほとんど理解できるようになってきた、言いたいことがかなり言えるようになってきた、という実感を得られた頃くらいにシャドーイングを始めるのがベストなタイミングです。
ここでまた少し余談!
大人になってから英語の勉強に挑戦しよう!と思う方もいらっしゃいますよね!下記記事では大人になってからの最適な学習法についてご紹介しています!ぜひ参考にしてみて下さい♪♪
まとめ
シャドーイングの効果を得るには、次の4点を心がけましょう。
・リスニング、スピーキング、発音を同時に改善できる
・まずは1日1時間、3ヶ月継続を目標にやってみる
・レベルに合った教材を使用し、音声を再現できるまで練習する
・まずはオンライン英会話でシャドーイングができる英語レベルまで伸ばす
Amazonのaudibleや、TEDのTEDICTなど、便利なアプリもあります。
「シャドーイングの効果って本当にあるの?」「なかなか思ったような効果が得られない」という方は今回の記事を参考に、再度シャドーイングについて考えてみてください!

◇経歴
・コールセンターでの日英バイリンガルオペレーター(3年)
・外資系企業(製薬業界)でのテクニカルサポート(2年)
・副業でオンライン英会話の講師(2年)
・東京にて通学型の英会話スクール経営(4年)
・英会話スクールをオンラインに切り替えて運営(現在で約4年)
・英会話講師歴は合計で10年
◇資格
・英検1級
・TOEIC990点
◇海外渡航経験
・イギリス(3ヶ月、短期留学)
・タイ(6ヶ月)、マレーシア(3ヶ月)、台湾(3ヶ月)の滞在歴あり(海外ノマド)
・海外旅行:韓国、マルタ、ベトナム、インドネシア、アメリカ
◇自己紹介
バイリンガル英会話コーチのBobです!ほぼ日本国内で英語を習得してバイリンガルになりました。たまたま始めたオンライン英会話講師の仕事が天職だと悟り、自らの英会話スクールを開校。これまでに200人以上の英語学習者に教えてきました。多くの人たちに英語を好きになってもらい、思いっきり英会話を楽しんでもらえるよう日々活動しています!