皆さんは、「十分」という言葉を英語にするならどんな単語・フレーズを使いますか?
恐らく多くの方が「enough」という単語をまず思い浮かべるのではないでしょうか?
確かに「十分」=「enough」は間違いではありませんが、英会話の中ではこの「enough」で表現仕切れないケースもたくさんあります。
英語も、同じ言葉でも表現方法がたくさんある日本語と一緒です。
そこで今回は「十分」のさまざまな表現方法や使い方について、例文もまじえてご紹介します。
最も認知されているであろう「enough」についても、形容詞・代名詞・副詞として使う場合などに分けて詳しく解説していきます!
- 【様々な表現やフレーズ】「もう十分です」って英語で言うとどうなる?
- 最も知られている「十分」を表す単語「enough」について
- 仮定法や質問文にするなら?
- ビジネスシーンで使うなら「sufficient」
- まとめ
【様々な表現やフレーズ】「もう十分です」って英語で言うとどうなる?
まずは、基本的な「もう十分です」という表現からお話ししていきましょう。
会話中でよく使いますよね、このフレーズ。
この「もう十分です」は、“どのような状態で十分であるのか”によって表現の仕方が変わるんですよ。
では、さまざまな英語表現やフレーズをご紹介していきましょう!
〇“もう必要ない”
日常会話に取り入れやすいカジュアルな「もう十分です」なら、「That’s enough」や「I’m good」で表現します。
「もっといる?」と聞かれて、「もう十分です」と返事するようなシーンで使います。
フォーマルな表現ではないので、家族や友人など親しい間柄で使ってくださいね。
例)
A:“Do you want another cup of coffee?”
→「コーヒーのおかわりはいかがですか?」
B:“That’s enough, thank you.” or “I’m good, thank you.”
→「もう十分です、ありがとう」
〇“お腹がいっぱい”
「お腹がいっぱい」を意味する「もう十分です」なら、「I’m full」や「I have enough」でも表現できます。
だいたい「Thank you」や「No thank you」と組み合わせて使います。
例)No, thank you. I’m very full.
→「とてもお腹がいっぱいなので結構です」
〇“すでに豊富にある”
「plenty」は“豊富にある”といったニュアンスのある単語です。
「enough」はただ単に“足りている”といった意味の「十分」なので、「有り余るくらい豊富にありますよ」というポジティブな意味なら「plenty」を使う方が適しています。
“There is plenty of 〇〇.”と使いましょう。
例)“There is plenty of rice for my family.”
→「お米は家族が食べられるほど十分にあります」
〇“最低限ある”
「adequate」は、“(ある目的に)足りる”や“必要最低限を満たしている”といったニュアンスのある単語です。
適度な量・数は揃っている場合を表現したい時に適しています。
“This is adequate.”などと使いましょう。
例)“You have adequate experience.”
→「もう十分な経験を積んだね」
〇"条件や提案が公平だ"
「Fair enough」は、持ちかけられた条件や提案が公平な場合に同意の意思を伝えるフレーズとして使います。
日本語に翻訳する場合は、「十分です」というよりも「いいだろう」「よかろう」の方が適しています。
使う時はシンプルに「Fair enough」だけで、他の単語やフレーズは付け加えないことがほとんどです。
例)
A:” I'll prepare a big room in return for your assistance.”
→「君が力を貸してくれる代わりに大きな部屋を用意しよう」
B:“Fair enough.”
→「いいだろう」
〇“必要条件を満たしている”
「satisfactory」は、“(要件や条件などを)満たしている”や“満足のいく”といったニュアンスのある単語です。
“たくさんはないが必要とする分はある”という場合を表現するのに適しています。
例)“His performance was satisfactory enough to be a professional.”
→「彼の演技はプロになるには十分だった」
〇“うんざりしている”
「fed up」はうんざりしている様子を表すイディオムです。使い方によって「もう十分です」という意味で使えます。
「That’s enough」や「I’m good」と同じく、基本的に誰かとのやりとりの中で使います。
例)
A:“You should study harder!”
→「もっと勉強しなさい!」
B:“I'm fed up with that advice!”
→「そのアドバイスはもう十分だ!」
〇“我慢の限界を迎えている”
「Enough is enough.」は、“もういい加減にしてくれ”など「fed up」よりも嫌気がさしているニュアンスの強いフレーズです。
こちらの表現も「fed up」と同じく、使い方次第で「もう十分です」という意味で使えます。
例)
A:“You have to study harder!”
→「あなたはもっと勉強しなきゃだめ!」
B:“Enough is enough!”
→「もう十分だ!(もういい加減にしてくれ)」
最も知られている「十分」を表す単語「enough」について
それでは次に、「十分」を表す単語して1番と言っていいほど知られている「enough」について詳しく解説していきましょう。
何気なく使っている方もいると思いますが、形容詞、代名詞、副詞など、どう使うかによって微妙に違いがあるんですよ!
〇「形容詞」として使う場合
形容詞とは名詞を修飾する言葉を指します。
なので、「enough」を形容詞として使う時は必ず名詞の前に置きます。
名詞にあたる単語が可算名詞なら複数形にすることをお忘れなく。
「enough」+「名詞」
→ 十分な〇〇(名詞)
例)
enough food(十分な食べ物)
enough time(十分な時間)
enough clothes(十分な服)
enough tomatoes(十分なトマト)など
〇「副詞」として使う場合
副詞は形容詞と違い、動詞と形容詞を修飾する言葉を指します。
副詞の位置は文の構成によって変わりますが、副詞としての「enough」は必ず形容詞か副詞の後に置くと決められています。
「形容詞」+「enough」
→ ある状態(形容詞)が十分である
例)This cup is big enough to drink a lot from.
→「このカップはたくさん飲むには十分な大きさである」
「副詞」+「enough」
→ その程度(副詞)が十分である
例)You must work hard enough in order to study abroad.
→「君は留学のために十分働いている」
〇「代名詞」として使う場合
代名詞は、“she”や“he”、“it”など具体的な名詞の代わりとなる言葉を指します。
代名詞としての「enough」を使う時は、“何が十分であるのか明らかであること”が条件としてあるので、使う前の文章や会話でその部分が不明になっている場合は使えません。
代名詞としての「enough」→ 「十分」
例)”There are more than 20 chopsticks at home, so we have enough for the house party.”
→「我が家には20本以上のお箸があるから、ホームパーティーには十分足りるね」
※この場合の「enough」は前半部分の「chopstick」を指しています。
〇「限定詞」を使う場合
「こんなつまらない映画はもう十分だ!」といったような表現をする場合は、“the”や“such”などの「限定詞」と呼ばれる言葉と組み合わせて文章を作ります。
この表現は、「うんざりだ」や「もうたくさん!」といったネガティブなニュアンスがあるので、使う場面は選んでくださいね。
「enough of」+「限定詞」+「名詞」
→ 「こんな〇〇(名詞)はもう十分だ」
例)I've had enough of such a boring movie!
→「こんなつまらない映画はもう十分だ!(うんざりだ)」
〇「to不定詞」と使う場合
「enough」と「to不定詞」を組み合わせることで、「〇〇(不定詞)するのに十分な」という表現ができます。
基本的に「enough+to不定詞」は、名詞の前か形容詞の後に続けます。
<名詞前の場合>
“He didn't have enough money to travel.”
→「彼は旅行に出かけるのに十分なお金を持っていなかった」
<形容詞後の場合>
“She is rich enough to buy all the clothes in this boutique.”
→「彼女はこのブティックの服をすべて買えるほど十分に裕福だ」
仮定法や質問文にするなら?
「enough」を使って仮定法・質問形の文章をつくる場合でも、基本的に今まで説明してきたルールは変わらないので難しく考える必要はありませんよ!
【仮定法現在の例文】
“If I had enough money, I would have a long vacation.”
→「もし十分なお金を持っていたら、私は長期休暇をとるだろう」
【仮定法過去の例文】
“If I had had enough money at the time, I would have had a long vacation.”
→「もしあの時に十分なお金を持っていたなら、私は長期休暇をとっていたはずだ」
【疑問文の例文】
“Do you have enough money to have a long vacation?”
→「あなたは長期休暇をとるための十分なお金を持っていますか?」
ビジネスシーンで使うなら「sufficient」
「enough」もビジネスシーンで使えますが、ほぼ同じ意味を持つ「sufficient」の方がよりフォーマルさがあります。
参考書などの文献や栄養素の数値などを書く時には、この「sufficient」の方が使われているんですよ。
例)“The human body needs a sufficient amount of nutrition everyday.”
→「人間の体は毎日十分な栄養を必要としています」
もし副詞表現「十分に」で使いたい場合は、形容詞「sufficient」から「sufficiently」の形に変えましょう。
例)“Our company has not sufficiently met our customers’ demands.”
→「我が社はお客様の要求を十分に満たしておりません」
まとめ
日本語でも「もう十分です」と表す言葉は複数ありますが、それは英語も同じです。
「enough」は「十分」を使える言葉としては、比較的どのようなシーンでも使えるので便利です。
でも、より細いニュアンスを伝えるには今回ご紹介したような表現方法を使いこなせた方がいいでしょう。
もちろんネイティブスピーカーたちは、伝えたいニュアンスやシーンによって「enough」以外の表現も使っています。
ですので、英語が上達したいと思っている方は積極的に覚えていってくださいね。
表現の幅を広げて、よりネイティブに近づきましょう!

新潟出身のNaokoです。オーストラリアのワーホリからスタートし、約10カ国以上で様々な文化を体験してきました。帰国してからは京都に拠点を移し、ライターとしてライフスタイルからビジネスまで幅広く執筆しています。趣味は1人旅。好きな国はニュージーランドです。ブログでは、語学以外の海外情報もお届けできたらと思います。