今日から始める中国語講座(第2回)

中国語、発音、勉強

みなさん、こんにちは!

大学で中国語を教えているリンムーと言います。

今回も私と一緒に楽しく中国語を勉強していきましょう!

第一回目のテーマは「四声」でしたね。

前回の解説を参考に、みなさん練習していただけたでしょうか。
(まだ確認できていないという方はこちら。)

続く第二回目のテーマは、「発音」です。

日本人は漢字が読めるので、文章は漢字を見てなんとなく分かることが多く文章の読解が得意です。

反面、発音やヒアリングは欧米人と比べて苦手な傾向があります。

中国語上達の鍵は、最初に正確な発音を身につけることにあると言って良いでしょう。

今回の発音では、母音と子音の発音のポイントについて解説したいと思います。

母音の発音のポイント

中国語の母音は基本的に単母音と、それを組み合わせた複合母音があります。

短母音とは単体の母音ということですが、
「a」「o」「e」「i(yi)」「u(wu)」「ü(yu)」「er」
の7つがあります。

このうち「a」「o」「i(yi)」「u(wu)」は、ほぼ日本語の「あ」「お」「い」「う」と同じだと思って構いません。

「i」が(yi)と表記してあるのは、「i」が子音につかず単体で用いる場合には「yi」と表記するという意味です。

例えば数字の「一」などが「yi」と発音・表記します。

問題は「e」「ü」「er」です。

「e」は日本語にない発音で、「あ」「え」「お」の中間的な音です。

口を中途半端な形に開いて「う」と発音してみてください。

「あ」「え」「お」のどれかの音がはっきりと聞こえるようだと駄目です。

中間的なはっきりしない音、それが「e」の特徴です。

「ü」は単体だと「yu」と表記するので「ゆ」と発音していまいがちですが、それだとネイティブにはほとんど通じないと思って下さい。

「ü」を発音するポイントは、口を「う」と同じかそれ以上に小さくすぼめ、その口で「い」と無理矢理発音することです。

普通「い」は口を大きく横に広げて発音しますよね? 

それを口をすぼめて発音すると「ü」の発音になります。

最後に「er」ですが、代表的なものとして、数字の「二」が「er」と発音します。

「e」と表記していますが、先ほどの「e」のあいまいな音ではなく「あ」と発音し、最後に巻き舌で舌先を上に反るように発音します。

はっきり「る」と発音するわけではありませんが、「あーる」と発音するイメージです。

この「r」で舌先を反り上げる発音の仕方は、「アル化」と呼ばれる発音の仕方でも使われますので、覚えておいてください。

複合母音

複合母音は上記の母音を複数組み合わせたものです。

まず二つの音からなるものが
「ai」「ei」「ao」「ou」、「ia(ya)」「ie(ye)」「ua(wa)」「uo(wo)」「üe(yue)」
の9個あります。

基本的にはアルファベットから想像されるように発音すれば良いので、発音自体は難しくありません。

「ei」「ie」は「e」を使っていますが、中途半端な音ではなく「え」と発音することに注意して下さい。

「ia(ya)」「ie(ye)」「ua(wa)」「uo(wo)」「üe(yue)」の5つは、単独の音となることもあり、その場合は括弧内の表記になります。

例えば「wo」なら「私」をあらわす「我」の発音になります。

そして更に三つの音を合わせた
「iao(yao)」「iou(you)」「uai(wai)」「uei(wei)」
もあります。

「uei」の「e」も日本語の「え」で発音して下さい。

この「uei(wei)」については、子音にくっついた時に注意が必要です。

子音の「h」と結びつくと「hui」、「d」をともなうと「dui」のように、なぜか「e」を省略して表記します。

「hui」は思わず「ふい」と読んでしまいがちですが、これは正確な発音ではりません。

本来「uei(うえい)」の発音であることを知っていれば、「ふぇい」であることが分かるはずです。

「dui」も同じく「どぅぇい」と小さな「ぇ」が入っているように発音すると、ネイティブのように発音できます。

鼻母音

鼻母音とは、末尾が「ん」で終わる母音で、鼻に抜けるように発音する音です。

鼻母音は大きく分けて、ピンインの末尾が「n」で終わる
「an」「en」「ian」「in(yin)」「uan(wan)」「uen(wen)」「üan(yuan)」「ün(yun)」
と、「ng」で終わる
「ang」「eng」「iang」「ing(ying)」「uang(wang)」「ueng(weng)」「ong」「iong(yong)」
があります。

この「n」と「ng」は、発音の仕方が違うことに注意してください。

そうでないと、「en」と「eng」、「uan」と「uang」を区別できなくなってしまいます。

日本人にはやや分かりにくい発音の違いなのですが、「n」で終わる音は「案内(あんない)」の「ん」の発音と一緒です。

みなさん、「あんない」とゆっくり発音してみてください。

「ん」をどのように発音していますか?

舌を上顎にくっつけて「ん」と発音していると思います。

これが「n」の発音です。

これに対し、「ng」の発音は「案外(あんがい)」の「ん」です。

こちらもゆっくりと発音してみてください。

今度は上顎に舌がついていないのが分かりますか?

「んぐ」と喉の奥の方で出すように発音していますよね。

この「んぐ」となる音が「ng」の音です。

中国人にとって、この2つは全く違う音で使い分けているのですが、正直なところ、日本人にとってこの2つをヒアリングで聞き分けるのは相当に難しいです。

みなさんにそこまでは要求しませんが、せめて自分が発音する際には、2つの違いに注意して発音していただきたいと思います。

さて、鼻母音の次のポイントは、「n」の「en」「uen」は「e」を「え」と発音し、「ng」の「eng」「ueng」は本来の中途半端な「e」と発音することです。

「en」が「えん」と発音するのに対し、「eng」は「おん」に近い発音になるわけです。

また、「ian」と「iang」の違いは、中国語の試験でよく出題される代表的なものです。

「jian」と「jiang」は何が違うのでしょうか。

実はこの2つ、明確に聞いて分かる違いがあるのです。

「ian」は「いえん」と、「iang」は「いあん」と発音します。

ですから「jian」は「じえん」、「jiang」は「じあん」となるわけです。

ヒアリングの問題でよく出るので覚えておいてください。

子音――無気音と有気音

さて、次に子音のポイントにうつりましょう。

子音とは母音と結びついて音を作るもので、中国語では発音の難しい子音が少なくありません。

まず子音の「b」と「p」ですが、「bo」と「po」の違いは何でしょうか。

ローマ字読みすれば「ぼ」と「ぽ」ですよね。

日本人は、濁点のつく「ぼ」と半濁点のつく「ぽ」というように2つの音を区別しています。

しかし中国人は違います。実は中国人の耳には「ぼ」も「ぽ」も同じ音に聞こえるのです。

ではどうやって区別しているのでしょうか?

それが有気音と無気音の違いなのです。

まず無気音とは、息をなるべく吐かずに発音します。

間違っても「ぽぉおお」のように強く破裂した息や音を出してはいけません。
逆に有気音は破裂させるように強く息を吐きながら発音する音です。

ですから、濁音のあるなしではなく、息を強く吐くかどうかで区別しているわけです。

ちょっと難しいですよね?

初級者の方は、誤解を恐れずに言えば、無気音の「bo」は日本語の「ぼ」をなるべく息を吐かずに発音するようにし、「po」は唇を閉じた状態から、力強く破裂するように息を吐いて「ぽ」と発音してください。

そうすればネイティブも違いを良く分かってくれるはずです。

他にも「d」と「t」(例えばdeとte)、「g」と「k」(geとke)、「j」と「q」(jiとqi)なども無気音と有気音の違いです。

xi、zi、ci、siの発音

これらの発音表記は、日本人のローマ字の知識では馴染みがない表記です。

まず「xi」は普通に「し」と発音してください。

「xi」が日本語の「し」と同等の音であって、間違っても「si」を「し」と読んではいけません。

では「si」はなんと発音するか分かりますか?

難しく言うと「舌歯音」といい、下の歯の付け根辺りから音を出すように「す」と発音します。

ポイントは(「し」の音のように)口を出来るだけ横に大きく開き、その口の形で「す」と発音します。

分かりますか?

「zi」と「ci」も同じです。

「zi」は同じような発音の仕方で「ず」、「ci」は「つ」と発音します。

「i」がついているので分かりづらいですよね。

さらに高度なことを言うと、実は「zu」や「cu」という音もあり、「ず」「つ」と発音します。

では「zi」と「zu」の違いは何でしょうか。

「zu」は、普通に「う」と発音するように口を大きく前に突き出して「ず」と発音します。

日本人にとって普通の「ず」の発音の仕方ですね。

これに対し、「zi」は口を大きく開き、「し」の口の形で「ず」と発音します。

この違い、日本人にはほんのわずかな違いに聞こえるかもしれませんが、中国人は全く違う音としてとらえているので、発音の仕方を間違えると全く意味が通じなくなってしまいます。

そり舌音

さて、最後に日本人が最もつまずきやすい、難関の「そり舌音」についてです。

私の中国語のクラスでも、そり舌音を正確に出せるようになるには、相当の訓練が必要です。

CDの音を何度も聞きながら、発音練習を繰り返して身に付ける必要があります。

そり舌音は、「zh」「ch」「sh」「r」といった子音からなります。

例えば「zhi」はどう発音すれば良いのでしょうか。

言葉で説明するのは難しいのですが、舌の真ん中辺りを上顎につけたまま(つまり舌は折り曲がった形になっています)「じ」と発音します。

普通の「じ」に比べて「くぐもった音」になっているのが分かりますか? 

「ji」の「じ」とは全く違う音です。

無気音であることも注意して下さい。

「chi」は有気音なので、やはり舌の中心を上顎につけたまま、音を破裂させて「ち」と発音します。

これも「qi」の「ち」とは異なる、くぐもった「ち」です。

それから「shi」。同じ口、舌の形で息をたくさん吐きながら「し」と発音します。

「xi」よりも、くぐもった「し」になります。

そり舌音には「r」という子音もあります。

「ri」は「日」の発音であり、「日本」や「日本人」など会話で多用されますので、ぜひ正確な発音を身につけてください。

「ri」と表記するので「り」と発音したくなりますが、日本語の「り」は「li」の方です。

「ri」はそり舌音の形で「り」と発音して下さい。

綺麗に「り」と聞こえたら間違いです。

というより、「り」には全く聞こえず、あえて表記するなら「り゛」のように、りに濁点がつくイメージです。

「li」の「り」とは全く違うことを意識してください。

まとめ

いかがでしたか?

今日は母音と子音に関わる発音の基礎について解説してきました。

とくに「そり舌音」を正確に発音できるようになれば、ネイティブのような格好良い中国語を話せるようになります。

教科書に付属するCDの音声を聞きながら、根気よく何度も発音の練習をしましょう。

「千里の道も一歩から」です。