日本には古くから弓道を始め、相撲、柔道、剣道などの伝統武道が数多くあります。
その中から本日は、
弓道
に焦点を当てて紹介をしていきたいと思います。
弓道はその名の通り弓を使った武道です。
日本の武道は作法が厳しいことで知られていますが、弓道も歩き方や座り方なども決まりがあり、習い始めは実際に弓を使った練習をするよりも前に、基本所作の練習から行います。
そんな姿に憧れを抱く外国人も少なくはありません。
今回の記事を参考にしていただき、外国人に日本の伝統文化「弓道」を説明できるようになりましょう!
弓道は英語で◯◯
弓道はどんな団体がやっているの?
まずは簡単に弓道を組織している団体について説明をさせていただきます。
全日本弓道連盟、国際弓道連盟、全日本学生弓道連盟、全国高等学校体育連盟と大きく分けて4つの組織が存在しています。
全日本弓道連盟:
全国規模の組織であり、日本オリンピック委員会、日本体育協会、日本武道協議会に加盟していて、主に段級位や称号を授与しています。
総則・目的・評議員会・会員などについての連盟規約があり、登録会員はすべてこちらの規約に準じた活動をします。
また、各都道府県の弓道連盟はこの全日本弓道連盟傘下となります。
例えば、京都に住む人は京都府弓道連盟に登録・所属することで、昇段審査、大会や講習会に出場することができます。
国際弓道連盟:
弓道における国際競技連盟です。
略称は”国際弓連”、英語では「International Kyudo Federation」(IKF)です。
現在、世界23ヶ国の団体から構成されています。
全日本学生弓道連盟:
大学生の組織で、全国の大学/短期大学の弓道部のほとんどが加盟しています。
全国高等学校体育連盟弓道専門部:
高校弓道を全日本弓道連盟と連携し統括しています。
ちなみに私の高校にも弓道部があったのですが、それはこの全国高等学校体育連盟弓道専門部によって統括されていたということになります。
また、平成30年の弓道をしている人口は約12万人となっております。
2,3年ほど前には13万人ほどの競技人口でしたので、若干の減少傾向にあると感じます。
弓道を英語で説明しよう
さて、ここからが本題です。
皆さんは弓道を英語でなんというかご存知でしょうか?
正解は「Kyudo」です。
はい、そうなんです。そのままなんです。
日本で生まれた競技なので英語でも同じ読み方になっているんですね。
ただ、それだと「Kyudo」のことを全く知らない海外の方に伝わらないですよね?
そんな時は「Japanese archery」と伝えてあげ、そのあとに「Kyudo is similar to the sport of archery.」
(弓道はアーチェリーと似ているスポーツです。)と説明を付け加えれば相手に弓道とは何かを伝えることができると思います。
(あとで触れさせていただきますが、弓道とアーチェリーには違いがあります。)
もし、あなたが弓道をしているのであれば外国人への自己紹介でぜひ伝えましょう。
興味を持たれ、いろいろな質問を聞かれるかもしれません。
I’m a Kyudo archer.
(私は弓道家です。)
I have been practicing Kyudo for 5 years.
(私は弓道を5年間、稽古しています。)
そのほかにも、弓道についてより詳しく説明したい場合に役立つフレーズや、単語をいくつか紹介したいと思います。
段...Dan
級...Kyu
弓...Bow
矢...Arrow
弦...String
弓矢...A bow and arrow
正座...A formal way of sitting on the floor
道場...Practice hall (Doujyou)
平常心...Condition of calmness
的...Target
なお、段 (Dan)や級 (Kyu)については日本語がそのまま英語になっていますので、相手に説明をする必要があります。
説明の仕方としては色々あるとは思いますが、今回は比較的簡単に相手に伝える方法を紹介したいと思います。
「When a person’s skill increases in Dan, the rank number increases until the highest possible number.」
(段は上達すればするほど、そこに付く数字が高くなります。)
「When a person’s skill increases in Kyu, the rank number decreases until reaching the title of “Dan”.」
(級は上達すればするほど、そこに付く数字が低くなります。)
弓道のルールは?
次に弓道のルールについて説明をしていきます。
弓道には近的競技と遠的競技の二つがあります。
ルールは、全日本弓道連盟の競技規則に載っています。
近的競技...
的から28m離れた地点から直径36cmの的を狙う競技。
遠的競技...
的から60m離れた地点から直径100cmの的を狙う競技。
弓道には個人戦と団体戦があり、個人戦の場合は的に当たった矢の数を個人で競います。
団体戦には、3人戦、もしくは5人戦があり、的に当たった矢のチーム総数を競います。
基本的には1立4射(ひとたちよんしゃ)と呼ばれるやり方で、前の人から一人ずつ、1矢ずつ順に弓を引きます。
一番後ろの人が引き終わったら、一番前の人に戻り、4本の矢を引き終わるまで4周していきます。
また、団体戦には時間制限があり、その時間については以下の通りとなっております。
6分以内:3人立射 各自4射
9分以内:5人立射 各自4射
競技に勝つためには普段のお稽古が大変重要ですが、練習法の一つとして「弓構え」というものがあります。
取り掛け・手の内・物見といた複数の動作から構成されています。
弓道の歴史と今後
ここで、少し弓道の歴史に触れたいと思います。
もともと弓道にはいろいろな流派がありました。
14世紀、武家社会に伝承された弓法が集大成され、その後15世紀〜17世紀に小笠原流、日置流、大蔵流などいろいろな流派に分かれていきます。
そして、16世紀の鉄砲伝来によって戦闘具から心身鍛錬ということが弓道の目的になっていきました。
1895年、古武道の保存と奨励を目的に、京都に創立された武徳会に弓道が含まれるようになりました。
戦後は一時、それまであった武道の授業が禁止された時期もありましたが、1951年に復活します。
そして今後は新しい弓の世界を開拓そして普及することが求められており、伝統文化の弓道を世界交流の場で発信するなどの課題があるという状況です。
上述の通り、世界には23ヶ国で弓道に親しんでいる外国人がいます。
イギリス弓道連盟の活動として、2016年に國學院大學への合同稽古が実現し一緒に稽古したり、国際交流が行われました。
世界弓道大会がフランスで開催されたり、各国のクラブでは決められた練習日に専用の道具を使って指導が行われています。
弓道の国際化はますます進んでいく可能性が高いと言えそうです。
弓道とアーチェリーの違い
さて、続いては弓道とアーチェリーは具体的にどう違うのかということを説明させていただきます。
おそらく弓道を知らない海外の人にとってJapanese archeryと伝えただけでは「アーチェリーと似たものなんでしょ?」と思われてしまいます。
まず一番の違いは、弓道は和弓を使用し、的に当たるか当たらないかを○×判定で競うもので、アーチェリーは洋弓を使用し、いかに的の真ん中を射抜くかどうかを競う競技です。
英語で説明をするなら以下のように説明をしていただければ思います。
「Kyudo is a competition in which we use the Japanese Bow and compete whether the arrow hits the target or not.」
(弓道は和弓を使用し、的に当たるか当たらないか競う競技です。)
「Archery uses the western bow and arrow in a competition to hit as close to the center of a target as possible.」
(アーチェリーは洋弓を使用し、どの矢が的の真ん中を射抜くかどうかを競う競技です。)
また、先ほど説明をさせていただきましたが、一般的な弓道の試合では28m先の的に向かって8本引き、当たった矢の本数を競います。
しかしアーチェリーでは的との距離を30m50m70m90m(女子は30m50m60m70m)と複数の距離に変えてそれぞれの距離で36射、合計144射行い、的中した矢が的の中心にどれだけ近いか、という点数制で勝敗を決めます。
そのほかにも競技をする際の服装にも違いがあり、弓道には弓道用の道着があり、道着、袴、足袋が必要になります。
また女性の方は胸当ても必要です。
しかしアーチェリーの方は、基本的には私服で競技を行います。
ただし、団体戦の際にはチーム内で統一されたユニフォームが必要となります。
なんとも外国らしいラフな感じですよね。
矢を使用したことわざや慣用句
弓道は日本で古くから行われてきた伝統武道ということもあり、ことわざや慣用句の中にも弓道に関連したフレーズが数多く存在します。
そこで今回は、弓道に関することわざを英語で紹介していきたいと思います。
知っておくといざという時に役立つこと間違いなしなので、ぜひ覚えていってくださいね。
光陰矢の如し
意味:月日が経つのが早いことの例え。
英訳:Time flies like an arrow.
例文:Your son is 5 years old. Time flies like an arrow.
(君の息子さんは5歳か。光陰矢の如しだな。)
Time flies like an arrow.は「光陰矢の如し」を表すのにぴったりの表現ではないでしょうか。
考え方や感性は日本人も海外の方も同じなのかもしれませんね。
一矢報いる
意味:自分に向けられた攻撃・非難などに対して、大勢は変えられないまでも、反撃・反論することの例え。
英訳:
・To return a blow
・To retaliate
・To fight back
例文:I’ll return a blow twice as hard.
(倍返しだ)
「一矢報いる」は、反撃や反論するという意味ですので上記のフレーズで相手に伝わると思います。
白羽の矢が立つ
意味:多くの人の中から選ばれることの例え。
英訳:Be singled out.
例文:He was singled out to be the representative of our company.
(彼は会社の代表として白羽の矢が立った)
白羽の矢が立つという表現は例文のようにポジティブな意味で使われることが多いですが、ネガティブな場面で使うこともできます。
的を射る
意味:本質を突くことの例え。
英訳:Hit the nail on the head.
例文:I think he is smart because he always hit the nail on the head.
直訳すると針を頭に打つとなります。なんとも痛そうな表現ですよね。
紺屋の白袴
意味:他人のことに忙しくて、自分自身のことには手が回らないことの例え。
英訳:
・The shoemaker’s children go barefoot.
・Who is worse shod than the shoemaker’s wife?
直訳すると
「靴屋の子どもたちは裸足でいる。」
「靴屋の妻よりもひどい靴をはかせられているのは誰だ?」
となります。
少しことわざや慣用句からは離れますが、戦国時代の名将、毛利元就が残した名言として『3本の矢』という言葉あります。
これは1本の矢では簡単に折れてしまうが 3本まとまればなかなか折れない。
つまり一族の結束を説いた言葉となります。
実はこの言葉は英語にもありました。
Three pillars of stability
と表します。
英語では3本の柱は安定していると表現されています。
まとめ
さて、今回は弓道を海外の人に説明する際に必要になるルールや語句について書かせていただきました。
初めて海外の人と話しするときや外国人との出会いの場では必ずと言っていいほど、日本ではどんなスポーツがありますか?(有名ですか)というトピックになります。
そんなときに今回紹介したフレーズなどをうまく使いながら、もっと海外の方に弓道の魅力を伝えることができるといいですね。
また、日本人が重んじている、礼に始まり礼に終わるという美しい礼儀作法を伝えることができると思います。
日本の伝統武道である弓道を多くの人に知ってもらい、もっと日本に興味を持ってもらえたら嬉しいですよね。
皆さんも興味のあるトピックについて、ネイティブキャンプの講師に説明してみましょう!
常に外国人に説明するつもりで英文を考えると良い英作文の学習になりますよ!
ここまで読んでくださりありがとうございました。
滋賀県出身で現在フィリピンのセブ島で働いているPenです。以前はスポーツブランドのアパレル店員をしておりましたが、そこで海外の人と出会うことが多く、海外に行きたいという気持ちになり、9ヶ月間アメリカのサンフランシスコとボストンで留学を経験しました。アメリカでは主に野球観戦とホットドックを食べていたという記憶しか残っておりませんが、それがなければ今こうしてセブで働くこともなかったと思うので、いい経験にはなりました。性格はとても温厚で他人に対して苛立つということがほとんどありません。そういう性格もあって1年ほど心理カウンセラーの仕事に携わったこともあります。将来的にはそっちの道にも進んでみたいなという気持ちがあります。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.