突然ですが、次の文は、どんな意味の英語表現でしょう?
The gorilla is always a monkey.
ヒントをいいますと、実はこの中の「monkey」、名詞の「サル」ではなくて動詞として使われているんです。「monkey」が動詞だなんてと驚かれる方も多いかもしれません。詳しい解説は本記事の後半の方を見てください。)
今回の記事では、オーソドックスな例も含め、このような「動詞の用法がある名詞」について、たくさんの英語例文を交えながら解説していきたいと思います。
1つの単語が複数の品詞に
まずは、少しだけ基礎的な文法の復習をしておきましょう!英語の単語はその働き・意味によって、以下の一覧のように10種類ほどの「品詞」に分類することができます。
代名詞:名詞の代わりになるもの I, you, she, it, this など
動詞:動作などを表す play, run, eat, is, are など
助動詞:動詞に意味を加えたりする can, may, will, should, would など
形容詞:名詞を説明する big, small, tall, beautiful, white など
副詞:主に名詞以外の語句を説明する slowly, quickly, mainly, always, sometimes など
接続詞:文と文、語句と語句をつなぐ and, but, when, because, if など
前置詞:名詞の前に置かれる in, on, to, at, for など
冠詞:名詞の前に付く a, an, the の3つ
間投詞:驚きなどを表す oh, wow, ouch など
そしてここで大事なのは、1つの単語が複数の品詞の顔を持つことがある、ということです。例えばある時は名詞として使われるけれども、また別の時には動詞として使われる、など。
このような場合、その単語・言葉がどの品詞として使われているかは、文全体を見て判断しなければなりません。どの品詞として解釈するのが文法的に正しいか、文が成り立つかを見極めることが、各単語の品詞の見分け方になります。
さて、具体的にどんな単語が名詞になったり動詞になったりするのでしょうか。あるいは別の言い方をするならば、「動詞の顔を持つ名詞」にはどんなものがあるのでしょうか。以下、一般的によく知られているものから、「えっ、これも動詞になるの!?」と驚くようなものまで、順に見ていきましょう。
よく登場する単語
まずは学校の教科書などにも頻繁に登場する、よく知られた英単語の一例です。
なお、名詞であっても動詞であっても、1つの単語がさまざまな意味を持つのは普通ですが、今回、以下の例では、あえて名詞・動詞のそれぞれを1つの意味に絞って紹介しています。
Smile 名詞:笑顔 動詞:笑う
あなたの笑顔が好きです。
彼はいつも笑っていました。
Practice 名詞:練習 動詞:練習する
それは本当に良い練習です。
妹は毎日ピアノの練習をしています。
なお、動詞として使われる場合、イギリス英語では「practise」というつづりになることが多いです。
Drink 名詞:一杯(の飲み物) 動詞:飲む
一杯飲みに行く?
運動する時は水をたくさん飲みましょう。
Schedule 名詞:スケジュール 動詞:スケジュールを立てる
もう一度スケジュールをチェックします。
学生は自分のライフスタイルに応じて授業スケジュールを立てる必要があります。
Plan 名詞:計画 動詞:計画を立てる
今夜、何か予定がありますか?
クリスマスには何を計画していますか?
Shop 名詞:店 動詞:買い物をする
ハンバーガーショップに行ってきました。
よくディスカウントストアで買い物をします。
以下、「動詞の顔を持つ名詞」というより「名詞の顔を持つ動詞」と言った方がいいようなものもあります。次の「look」などです。
Look 名詞:見ること 動詞:見る
あのビルを見てください。
あのビルを見てください。
気を付けたい単語
次は、動詞としても使われるのがやや意外に思われる単語、また、意味の違いなどにも気を付けたい単語の例です。
Dress 名詞:ドレス 動詞:(ドレスなどを)着る
そのドレスを着た彼女はきれいです。
彼女が昨夜なぜドレスアップしていたか知っていますか?
Book 名詞:本 動詞:予約する
この本はとても面白いです。
レストランは予約しましたか?
「レストランを予約する」は、「book the restaurant」とは言いません。「book a table at the restaurant」などとします。
Name 名詞:名前 動詞:名付ける
彼女の名前は何ですか?
彼女は祖母にちなんで名付けられました。
E-mail 名詞:(パソコンの)電子メール 動詞:(パソコンで)電子メールを送る
彼女はその知らせを電子メールで受け取り、喜んでいました。
後でメールしてください。
Text 名詞:文 動詞:(携帯電話で)メールを送る
この文章を読んで要約してください。
メール(メッセージ)を送ってね! → 連絡してね!
こんな名詞も動詞になる!
最後は、「えっ、これも動詞として使えるの!?」というような名詞の例です。
Question 名詞:質問 動詞:質問する
誰か質問はありますか?
授業後にたくさんの学生に質問されて疲れました。
Photoshop 名詞:(画像加工アプリの)フォトショップ 動詞:画像を加工する
あの有名なアプリ、「フォトショップ」を持ってますか?
この写真は画像処理されているに違いありません。
上に登場した「Photoshop」はアドビという会社が開発・販売している有名な画像処理ソフト(アプリ)です。実際にこのソフトを使っているかどうかに関わらず、「画像処理する」といった意味でよく使われます。
Google 名詞:グーグル 動詞:(インターネットを)検索する
グーグルで検索してみた?
ネット(グーグル)で検索してみた?
固有名詞である「Google」も、動詞として「ネットを検索する」という意味で使われたりします。日本語でも「ググる」と言ったりしますよね。
Monkey 名詞:サル 動詞:ふざける、遊び回る
動物園にはたくさんのサルがいました。
そのゴリラはいつもふざけ回っています。
2つ目の例文の中の「monkey」は動詞として使われています。今回の記事の冒頭でご紹介した文です。この場合の「monkey」の意味は、「ふざける」「遊び回る」など。「monkey」が動詞としても使われるなんて、意外ですよね。
品詞が変わるとつづりや発音が変わる場合も
ここまで、動詞としても使われる名詞を挙げてきましたが、これらはほんの一例に過ぎません。動詞としても使われる名詞はまだまだたくさんあります。
ところで、それらの中には、品詞が変わると微妙につづりや発音が変わるものもあります。その一つが「advice」「advise」です。
「advice」は名詞で「アドバイス」「助言」といった意味。「advise」だと「アドバイスする」「助言する」などとなります。アクセントはいずれも「vi」の部分ですが、最後の方の発音が微妙に違い、カタカナで書くならば「advice」は「アドヴァイス」、「advise」は「アドヴァイズ」という感じです。「ス」と「ズ」が違います。
医者は私に良いアドバイスをくれた。
先生はそのアプリを使うよう私に勧めた。
あれ、動名詞ってなんだったっけ?
「動詞の顔を持つ名詞」について説明しましたが、そういえば「動名詞」というものがありますね。「動名詞」は動詞に「ing」が付いたものです。意味は「〜すること」となります。
eat(食べる)→ eating(食べること)
「動名詞」は、「動詞が動詞の働きを残したまま名詞化したもの」です。「動詞っぽい名詞」などと言われることもあります。どこが「動詞っぽい」のかというと、例えば目的語を持ったまま名詞として使えるなど、動詞の用法を残している点です。
eating lunch →ランチを食べること
上の「eating」は動名詞ですが、「lunch」という目的語と一緒になったままですね。これで「eating lunch(ランチを食べること)」という名詞のようなカタマリ、いわゆる「名詞句」を作っています。このように、目的語や補語、修飾語を伴ったまま名詞のように扱えるのが動名詞の特徴です。
明日あなたとランチを食べるのが楽しみです。
また、動名詞にはその動作の意味上の主語を付けることもあります。
(私が)窓を開けてもよろしいでしょうか。
上の文の「me(私)」は動名詞「opening(開けること)」の意味上の主語です。なお、この「me」は「my」でもOKです。動詞に「ing」が付いたものには「現在分詞」というものもあります。こちらは「進行形」などを作る時に登場します。「動名詞」とは違いますので注意しましょう。
動詞に変化させる接尾語
上でご紹介した「動詞の顔を持つ名詞」は、基本的には形が変わらないものでした。少し話は変わりますが、最後に、特定の動詞によく見られる「接尾語」についてお話ししたいと思います。
「接尾語」は、単語のお尻にくっつける短い文字です。以下のような接尾語を持つ単語の場合、それが動詞である可能性がとても高いです。この知識があれば、品詞を見極めるのにとても役に立ちます。ただし、絶対ではありませんのでご注意ください。
communicate(コミュニケーションをとる)、educate(教育する)、celebrate(祝う)、など。 -en
deepen(深くする)、weaken(弱める)、shorten(短くする)、など -fy
simplify(単純にする)、clarify(明確にする)、identify(特定する)、など -ize
internationalize(国際化する)、organize(整理する)、specialize(専門化する)、など
なお、最後の「-ize」は、イギリス英語では「-ise」となることが多いです。
まとめ
いかがでしたか。今回は、動詞としても使われる名詞について、頻繁に登場するものから珍しいものまで、たくさんの例文とともに解説しました。しかし、これらはほんの一例です。まだまだたくさんの名詞が動詞としても使われますので、辞書で単語を調べる時には、どんな使い方ができるのかにしっかり目を配ってください。
1つの単語がいろいろな品詞になる可能性があります。ですので、英文を読んでいて、「知っている単語のはずなのに意味がよくわからない」ということがあれば、違う品詞として使われている可能性を思い出してみてください。品詞を最初から決めつけないで、文全体を見て「この文構造ならば、もしかしたらこの品詞では」というように、柔軟に対応していくことが大事です。
文の中で、それぞれの単語がどの品詞として使われているかがパッとわかるようになれば、それは文法力、英会話力、そして総合的な英語力が向上している証でもあります。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.