【stick】の意味って「棒」だけじゃないの!?

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Stick「木の棒」や「杖」など、細長い棒状のものを指す言葉として日本でも広く使われています。「リップスティック」や「スティックのり」など、普段使う言葉のなかにも stick(スティック)を含んだものはたくさんありますよね。

「棒状のもの」を意味する表現だと思われている stick ですが、実は「棒」という名詞的な意味以外にも、動詞やフレーズ表現として色々な意味を持つことをご存じでしょうか。

今回は stick という英単語がもつ意味について、「棒」以外の意味や使い方についても例文を交えながら詳しく解説していきます。

【stick】の名詞としての意味とコアイメージ

Stick は、名詞としての意味のほかに動詞としての意味も持っています。また、「-y」を語尾につけて sticky という形にすることによって、形容詞としての表現にもなります。

まずは、一般的にもよく認知されている「棒」という意味の名詞的な意味の方から確認していきましょう。

ケンブリッジ英和辞典によると、stick の名詞としての意味は以下のとおりです。

a long, thin piece of wood from a tree

a long, thin piece of wood that is used for a particular purpose

つえ, ホッケーのスティック(ある目的に使う棒状のもの)

引用:https://dictionary.cambridge.org/ja/

棒状のもの、特に木で出来ている細長い形状のものを stick と呼ぶことがわかります。

木の枝自体を stick と呼ぶこともありますし、木材を切り出して加工することによって出来たステッキや指揮棒、ホッケー競技用のスティックなどについても同じように stick と呼びます。

語源英和辞典にて名詞としての stick の語源を調べてみると、以下のように記載されています。

古期英語 sticca(棒)⇒ stikko(突き刺す)⇒ steyg-(突き刺す)が語源。

「棒」がこの単語のコアの語源。Stitch(縫い針)と同じ語源をもつ。

引用:https://gogen-ejd.info/

名詞としての stick は、「突き刺す」を語源とし、「棒」というコアイメージを持っていることがわかります。

動詞としての【stick】

動詞としての stick は、「突き刺す」「くっつく」といった意味を持ちます。

ケンブリッジ英和辞典の記載で詳しい意味を確認すると、以下のようになっています。

to become joined to something else or to make something become joined to something else, for example with a substance like glue

くっつく, ~をくっつける, 貼り付ける

If you stick something sharp somewhere, you push it into something.

(とがったものを) 刺す, 突き刺す

to become fixed in one position and not be able to move

(1ヵ所から)動かなくなる(動けなくなる)

(informal) to put something somewhere

~を置く

引用:https://dictionary.cambridge.org/ja/

また、語源英和辞典にて動詞としての stick の語源を確認すると、以下のように記載されています。「突き刺す(stikana)」がこの単語のコアの語源。

古期英語 stician(突き刺す)⇒ ゲルマン祖語 stikana(突き刺す)⇒ 印欧祖語 steyg-(突き刺す)が語源。

引用:https://gogen-ejd.info/

動詞としての stick は、「棒」という意味の名詞 stick と同じ語源を持っていますが、動詞の stick は「棒」というコアイメージから派生して「突き刺す、突き出る」という意味を持っていることがわかります。

She stuck pins in many colors into the wall.

彼女は色とりどりのピンを壁に刺した。

(stuck:stick の過去形)

He stuck his knife into the steak.

彼はナイフをステーキに突き刺した。

また、動詞の stick は「壁に写真や絵をプッシュピンで突き刺して固定する」というイメージから派生して、「貼り付ける」「くっつける」という意味も持っています。

I stuck my favorite poster on the wall of my room.

私はお気に入りのポスターを部屋の壁に貼った。

現代では、壁にポスターなどを貼るときセロテープやガムテープ、接着剤や両面テープといったものをよく使います。しかし、こういった接着剤がまだ進化していなかった時代には、釘やプッシュピン(画鋲)で壁に固定することが一般的でした。

そのため、stick が(壁などに)固定するという意味を持つようになり、「突き刺す」だけでなく「貼りつける」「固定する」「くっつく」といった派生的な意味が生じたのだと考えられています。

動詞としての stick は、「~が貼りつく」という自動詞的な用法と、「~を貼りつける」という他動詞的な用法の両方で用いることができます。

A bug is sticking on the wall.

虫が壁に貼りついている。【自動詞】

I stuck photos on the wall.

私は壁に写真を貼った。【他動詞】

また、「固定する」という意味から派生して、「(ある状態から)動かない」「~しつづける」といった意味合いで使われることもあります。

The window is sticking and nobody can open it.

窓が動かなくて誰も開けられない。

動詞の stick は語源として「突き刺す」という意味をもっていますが、コアイメージとしては「突き刺す」だけでなく「くっつく」という意味合いも強く持っていることを覚えておきましょう。

形容詞としての【stick】

Stick の語尾に「-y」という接尾語をつけると、「ベタベタする/ねばねばする/粘着性がある」という意味をもつ stickyという表現になります。Sticky は形容詞になります。

Natto is sticky.

納豆はネバネバしています。

日本では、粘着剤が塗布されている紙片のことを付箋やポストイットと呼んだりしますが、アメリカでは stickyと呼ばれています。

stickを用いたイディオム

stick は、以下のようなイディオムの形でもよく使われます。

stick to

stick around

stick in one's mind

stick it out

stick ~ out

carrot and stick

stick to my guns

あまり見慣れないものもあるかもしれませんので、ひとつひとつのイディオムを取り上げながら例文とともにご紹介していきます。

stick to

「Stick to」「~に固執する」というイディオム表現です。

He stuck to his opinion.

彼は自分の意見を貫いた。

「突き刺す/貼りつく/(~を)貼りつける」という意味をもつ動詞 stick は、前置詞の to と一緒に使われると自動詞としての働きに限定されます。その結果、「くっつく」「貼りつく」といったニュアンスだけが残ります。

動詞の stick は単体で使うと「突き刺す」と訳されることがありますが、「stick to」を使えば間違いなく「~に貼りつく」という内容を表現することができます。

The card stuck my hand.

カードが手に突き刺さった。【to がない場合】

The card stuck to my hand.

カードが手にくっついた。【to がある場合】

「くっつく」というニュアンスが、「(意見に)くっつく」=「(意見に)固執する」といったイディオム表現に派生しているというわけですね。

stick around

Stick の「固定する」という意味から派生した表現が、「stick around」です。「Stick around」は「うろうろする、ぶらぶらする」という意味のイディオムです。

I’m going to stick around here until 5:00.

5時までこの辺をぶらぶらしてるよ。

「ぶらぶらする」というと散歩にでも出かけるようなイメージを持つかもしれませんが、「stick around」はある特定の物や人、場所の周りでうろうろして時間をつぶす、というニュアンスの表現です。

あくまで何かに「くっつく」という stick のコアイメージを持ったまま、around = 周囲 にありつづける、という表現になります。

stick in one's mind

「Stick in one's mind」「強く印象に残って忘れられない」「頭にこびりついて離れない」といった意味の表現です。

Mind は「頭/心」という意味なので、頭の中や心の中に強くくっついて離れない、というイメージです。

That song really sticks in my mind.

あの歌が頭から離れない。

stick  it out

「Stick it out」 「(困難な状況でも)我慢してつづける」という意味をもつイディオムです。「がんばる」と訳されることもあります。

She said she will stick it out.

彼女は「がんばります」と言った。

フォーマルな表現ではないので、カジュアルな会話で使うようにしましょう。

stick out

「Stick ~ out」は、「(体の一部分を)突き出す」という意味のイディオムです。Stick のあとに突き出ている体の部分を述べて、stick + (体の部位)+ out の形で使います。

He stuck his hand out of the train.

彼は電車から手を突き出した。

carrot and stick

「Carrot and stick」は、「あめとむち」を意味するイディオムです。

Carrot はにんじん、stick はここでは棒状の鞭を意味していて、馬を調教するときに好物のニンジンと嫌いな鞭を使い分ける様子が語源であるといわれています。

He recommended that I should use the carrot and stick approach with my children.

彼は私に「アメとムチ」のアプローチを子育てに活用すべきだと勧めてきた。

stick to my guns

「Stick to my guns」「信念を曲げない」「自分の信念を貫く」という意味をもつイディオムです。

「Stick to my guns」を直訳すると「自分の銃にくっつく」となりますが、銃撃戦でどんなに劣勢になっても銃を離さない様子から派生して「信念を曲げない」という表現になったといわれています。

Everyone was against him, but he stuck to his guns.

誰もが彼に反対していたが、彼は自分の信念を曲げなかった。

「Stick to my guns」はカジュアルな表現ですので、フォーマルな場面では使わないようにしてくださいね。

まとめ

Stick の持ついろいろな意味や使い方について詳しく解説をしてきました。スティックのりやリップスティックなどの「棒状の長いもの」といったニュアンスだけでなく、「突き刺す」「貼りつく」「固執する」といった意味があることをご理解いただけたかと思います。

Stick の使い方を覚えると「信念を曲げない」「べたべたする」といった日常会話表現もグンとやりやすくなるはずです。お気に入りの表現があったら、ぜひ毎日の英会話レッスンや英語学習のなかで実際に使いながら習得してみてくださいね。

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