英語で【皮肉・嫌味】はなんと言う?フレーズや返答の方法などを紹介

英語で皮肉や嫌味はなんと言う?フレーズや返答方法など

皮肉や嫌味を学べば英語学習に役立つ?

海外のテレビを観ている時やネイティブスピーカーの友達と話している時に、どうしてここで笑っているの?何がおもしろいのだろう?と感じた経験、英語を学習中の方なら誰でも一度はあるはずです。

私もアメリカに住んでいて、ネイティブスピーカーと笑いのツボが違うなぁと感じる時がたくさんあります。と言うのも英語圏の人たちは皮肉を含んだジョークが大好きだからです。Sitcom(コメディドラマ)やstand-up comedy(コメディアンのトークショー)はアメリカンジョーク満載で、半分くらいわからないこともあるほど。アメリカだけでなくイギリスでも皮肉の文化が間違いなくあり、日常会話に皮肉を含めてジョークを言うことがよくあります。

このように、コメディだけでなく日常会話でも皮肉めいた表現やジョークはたくさん使われます。ただし皮肉や嫌味を言っても、本気で相手を批判しているわけではないことが多いのも事実。そんな英語の「皮肉や嫌味」を理解すると会話やテレビがもっと楽しくなるかもしれません。海外で皮肉や嫌味の言い回しがどのようなものなのか知ることは英語学習に役立つ可能性があるのです。

皮肉を意味する「irony」と「sarcasm」の違いとは

皮肉と言えば、ironyとsarcasmという英語を外しては考えられません。

「irony」と「sarcasm」の和訳はどちらも「皮肉」ですが、違いはあるのでしょうか。それぞれの英語辞書の解説を見てみましょう。

Irony(名詞)

1 a situation that is unusual or amusing because something strange happens, or the opposite of what is expected happens or is true

予想外のことや事実とは反対のことが起こることで、普通でないまたはおかしい状況

2 when you use words that are the opposite of what you really mean, often in order to be amusing

本当に意味することと反対の言葉を使うこと、しばしばジョークとして

Sarcasm(名詞)

a way of speaking or writing that involves saying the opposite of what you really mean in order to make an unkind joke or to show that you are annoyed

意地悪を言ったり自分のいら立ちを表すために、本心とは反対の意味の言葉を使った話し方や書き方

【Longman Dictionary of Contemporary Englishより】https://www.ldoceonline.com/

Ironyとは

英語「皮肉」であるironyを使った面白いジョークを紹介しましょう。有名なironyの例にロミオとジュリエットの物語があります。

敵対した家のロミオとジュリエットが恋におち、最後にはどちらも命を絶ってしまうというシェイクスピアの有名な悲劇です。まず結ばれることのない2人が恋に落ちてしまうのがirony、すれ違いのため2人とも命を絶つ結果になるのもironyです。

Ironyは「それは皮肉だね」と気の毒に思ったり、「どうしてそんな結果になってしまうの」と笑ってしまうような状況を表します。以下、それらの皮肉の例を紹介します。

·消防署が火事になってしまった。

·テレビのどっきり番組で、仕掛け人と思っていた人がだまされる。

·ゴールド免許保持者の50%がペーパードライバー。

·ネコが大好きなのに、ネコアレルギーの人と結婚した。

Life is full of little ironies.

人生は小さな皮肉で満ちているものだ。

It is ironic that the robber's car crashed into a police station.

泥棒の車が交番に衝突したのは皮肉だ。

どれも意地悪な視点ですが、ジョークとして笑ってしまうところが皮肉です。このように深刻な状況などを面白く言うのがironyです。

Sarcasmとは

Ironyが皮肉な状況や結果を単に述べていることが多いのに対して、Sarcasm は同じ皮肉でも話し手の感情が含まれている表現です。ここがironyとの大きな違いという点を押さえましょう。

Sarcasmは嫌味っぽい冗談を言ったり、遠回しに非難したりする時に使われ、「あてつける」という日本語に近いかもしれません。海外のコメディや著名人の名言・格言にはsarcasmがあふれています。

The Big Bang Theory(2007-2019)はアメリカのsitcomで、登場人物のPennyはとてもsarcastic(皮肉屋)なキャラクターです。ここで会話を紹介しましょう。

Leonard::Hey, Penny. How's work?

やあ、ペニー仕事の調子はどう?

Penny:Great! I hope I'm a waitress at the Cheesecake Factory for my whole life!

最高よ!チーズケーキファクトリーのウエイトレスを一生やりたいわ。

Sheldon:Was that sarcasm?

それは皮肉?

Penny:No.

いいえ

Sheldon:Was that sarcasm?

そのNoという返事は皮肉?

Penny:Yes.

そうよ

この会話でのsarcasmはPennyが本心と真逆の事を言っているところ。友人のSheldonをからかうためにsarcasmを使っています。

ここで、The Big Ban Theoryの登場人物の一人であるSheldonに注目してみましょう。彼はカリフォルニア工科大学の物理学博士、11才で大学に入学しました。相当の自信家であり皮肉やのキャラがすごいです。もう一人の登場人物Leonardにはirony impaired(皮肉障害)とまで言われてしまいます。Sheldonのセリフにはスラングがバンバン出てきますが、上の会話に出てくる「Was that sarcasm?」を覚えると、英語の嫌味を表現するのに便利かもしれませんね。

また『トムソーヤの冒険』で有名な小説家、Mark Twainの残したたくさんの名言の中にこんなものがあります。

Quitting smoking is easy. I’ve done it a thousand times. Mark Twain

禁煙は簡単だよ。私は1000回やっているからね。

「禁煙は難しい。失敗する。やっても無駄だ。」というのを、正反対の事を言って面白おかしく表現しています。

Thanks toも使い方で皮肉になる?

Thank youは英語の基本中の基本。「ありがとう」と感謝を伝えるフレーズですね。

Thank you for~:~してくれてありがとう。 

Thank you so much for your help.

Thanks for ~:~してくれてありがとう。

Thanks a lot for your help.

Thanks to ○○for~:~してくれて○○(人物)に感謝します。

Thanks to everyone for your help.

どれも「協力してくれてありがとう」という意味です。ここまでは、英語学習をしている皆さんにとっては当たり前ですね。

でもこれらの文章は、状況や言い方によっては皮肉や嫌味になることがあるので要注意。英語では「余計な事をしてくれて、ありがとう。」とありがた迷惑なことを伝えるために、わざと”thank you”を使う場合があります。余計なお世話だったり老婆心になっていたりと、同じ文章でも正反対の意味になってしまいます。

例えば、お母さんがあなたの部屋に勝手に入っていろいろな物を片付けてしまった場合、日本語だと「もう、勝手に入っていじらないでよ!」「えー、あれ捨ててしまったの?!」なんて反応をするかもしれません。

もちろん英語でも I didn’t need your help!(手伝いの必要なかったのに!)や Why did you throw away my ○○ ?!(どうして私の○○捨てたの?!)とストレートに言うこともできます。

しかしそれを皮肉な言い方にするのが “Thank you”を使った表現です。

Thank you very much for cleaning my room mom!

部屋を片付けてくれてどうもありがとう、お母さん!

この場合、「ありがとう」と言ってはいますが「余計な事をしてくれたね。」というのが本心になります。親子間でも、このようなシーンでは言い方が丁寧になっていきますので、言われた方は嫌味の英語だと気づく可能性があります。嫌味の英語でスラングとも言えます。

Thanks a lot. Now I have to buy a new○○.

ありがとう。

=まったく余計な事を。新しい○○を買わないといけないじゃないか。

Thanks to my mom for cleaning my room.

部屋を片付けてくれて、母に感謝します。

=勝手に片付けてありがた迷惑だよ。

日本語の「~のおかげで」と言う表現が、良い結果になった時にも皮肉にも使えるのと同じですね。英語では”thanks to”という熟語が使われます。

良い結果

同僚のおかげで期限内に企画を終わらせることができました。

Thanks to my coworker I was able to finish the project on time.

皮肉の例:

同僚のおかげで、やらないといけない事が増えたよ。

Thanks to my coworker I got more things to do.

Funnyの皮肉・嫌味としての使い方

“funny”は「おもしろい」「変な」という意味で日頃良く見かける単語ですが、この”funny”も使い方によっては皮肉の英語表現になってしまいます。

特に”very funny” は「とてもおもしろい」ではなく、正反対の意味で使われると辞書にも書かれているくらいです。このfunny/That’s very funny.も嫌味の英語としてスラングです。

very funny:《spoken》 used when someone is laughing at you or playing a trick and you do not think it is amusing

口語。誰かがあなたをからかっているけど、あなたは面白いと思っていない時に使われる

Very funny! Who’s hidden my car keys?

車の鍵を隠してるの誰?笑えないよ

【  Longman Dictionary of Contemporary Englishより】https://www.ldoceonline.com/dictionary/very-funny

“That’s very funny.”や”Very funny.”と相手に真顔や苦笑いで言われたら、おそらく「笑えないよ」「冗談やめて」「全然おもしろくない」という皮肉を言われています。

“You are so funny.”(あなたはとてもおもしろいですね。)というフレーズも、時と場合によっては「おもしろくない」「いいかげんにしてよ」と正反対の意味になることがあります。

Great.

いいね・最高=「最悪」

Too bad.

お気の毒に・残念です=「いい気味だ」

That’s very nice of you.

ありがとう・優しいですね=「いらないお世話・余計なことしないでよ」

Good for you.

よかったね・がんばって=「褒めてほしくて言っているの?」

Very good. ”Well done.”

上出来・よくやったね=「やれやれ・やっとできたか」

What a surprise.

驚いたよー=「わかっていたけどね・あたりまえじゃない?」

That's just what I needed today.

それはまさに今日必要なことでした=「なんて日だよ」

I love ○○!

○○大好き!=「○○大嫌い!・うんざりだよ」

Here we go.

さぁ始めるぞ・やったね=「またか・始まったよ」

日本語でも本当に「すごい」と思っていない時に「すごーい…」と言ったりしませんか?それと同じ感覚で、どんな言葉や文章でも表情や口調によっては皮肉や嫌味になってしまうと言ってもよいでしょう。

You knowの皮肉・嫌味としての使い方

英語の皮肉フレーズ“You know”は文字通り「あなたは知っている」という意味や「~だよね」「~でしょ」と同意や共感を求めるのに使われます。

「えーっと」「あ~、何だったっけ」のように言葉が詰まった時にも出てくるフレーズです。

"as”「~ように・~であるとして」をつけた“as you know”は「ご存知の通り・ご承知の通り」という意味で、ビジネスシーンでも良く使われるフレーズです。

ただしこのフレーズが丁寧に聞こえるのは、相手が話の内容を知っている場合のみで、相手が内容を知らない時には「知っていて当たり前ですよね」「皆知っているはずですよ、知らないのですか」「このくらい知ってるでしょ」と言ったとても皮肉な表現になってしまいます。

嫌味や皮肉を言われたときの「返答」とは

皮肉や嫌味の英語を紹介しましたが、自分が言われる立場になる可能性もありますね。相手に皮肉を言われているのかはっきりわからない時は、先ほどのThe Big Bang TheoryのSheldonのようにWas that sarcasm?(それは皮肉?)と率直に尋ねるのも手です。

Are you being sarcastic?(皮肉を言っているの?)Don’t be sarcastic.(嫌味言わないでよ・またそんな皮肉言って)などと返すこともできます。

それではつまらないと思う方は、皮肉には皮肉を返してみてください。Sarcasmを使う人は相手がその皮肉を理解してくれるのを期待していることが多いので、上手な皮肉で返答したら冗談が通じておもしろい人だなと相手に思われ、その後の会話が弾んだり、仲良くなるきっかけになるかもしれません。

sister::Did you eat my ice cream? I kept it because it was my favorite!

ちょっと私のアイスクリーム食べた?お気に入りだから残しておいたのに!

brother:Oh, you said you were trying to lose weight. I just wanted to help you.

あぁ、ダイエットしたいって言っていただろう。協力したかっただけだよ。

sister:That’s very nice of you.

ご親切にありがとう。

brother:You are very welcome.

どういたしまして。

このように嫌味で「ありがとう」と言われたら、わざと「どういたしまして」と嫌味の返答をすることもあります。お姉さんはもちろん本心で感謝はしていませんし、弟はそれをわかっていてわざと「どういたしまして」と言っています。

英語での嫌味や皮肉まとめ

英語での皮肉や嫌味のニュアンス、なんとなくわかっていただけたでしょうか?英語の皮肉を完璧に理解するのは、なかなか難しいです。しかし、英語ネイティブの会話に皮肉や嫌味が含まれることはよくあるため、皮肉に関する英語を知っておくことはある程度必要となります。少しづつ理解するため、ネイティブの会話を聞き込んでいく作業が必要になります。

どんな文章でも、声のトーンやシチュエーションによっては皮肉・嫌味になってしまうのは英語も日本語も同じと言えるでしょう。

英語で皮肉やジョークも上手に使えばユーモアのある会話になりますが、相手の気分を害することや傷つけてしまうこともあるので、時と場合を選んで使い過ぎないことをおすすめします。


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