英語で計算できますか?
日本でしっかり英語学習をしていても、海外に出て意外な落とし穴の存在に気づくこと、ありますよね。その代表格が数字関連ではないでしょうか。
数字はABCの次に学ぶというくらい超初歩英語でありながら、「2021(年)の読み方ってどうするんだっけ?」「万はmillionだけど、1万は10 thousand??」と悩んだり混乱したり。私自身、身に覚えがありすぎるくらいあります。
そこで今回は算数表現、特に基本的な計算に関する英語表現に注目して、例文を交えてご紹介したいと思います。
旅先やビジネスなどの英会話で計算する場面が出てもあわてないように、確認していきましょう!
「計算する」の英語表現とは?
計算する、の英語表現で代表的なものは”calculate”です。カタカナ表記すると「キャルキュレイト」、もう少し正確にカタカナ化すると「カァルキュゥレェィ」になるでしょうか。
ちょっと「カルシウム」っぽい字面ですが、実際語源は同じです。その昔、計算をするために用いられていた「算盤」(そろばんの前身)で使われていた「小石」のことを”calculus”(小さな石灰石)と呼んでいて、それを使って計算すること、の意味を持つ単語が”calculate”です。
ちなみにこの”calculus”、現在は「結石、歯石」という意味と「微積分」という意味、両方を持っています。石に寄っているか、計算に寄っているか、で全く異なった意味が生まれ、それを一つの単語が持っているなんて、興味深いですよね。
このような背景を持つ“calculate“なので、数字や数式を用いて行う場合の「計算する」、つまり数学的な計算を伴う「算出する」という意味で使われます。費用や点数、時間など、数値化できるものを用いて行う計算のイメージです。
彼は光の速度を計算した。
あなたはどうやって計算をしてこの金額を出したのですか?
先生はクラスの平均点を計算した。
名詞の”calculation”を用いた”make a calculation”という表現もあります。
計算間違いをしていました。
日常的に使う単語としては音節が多目なので略語が用いられることもあります。略語は”calc”。動詞の”calculation”も「計算機」という名詞の”calculator”も同じ略語で表現されます。
この”calculate”という英語には、緻密に、あるいは正確に計算されているイメージがあります。一方で、もう少しラフな計算というか、だいたいの量を見積もるような場合は”reckon”という動詞を使います。
②Reckon the cost before you decide to purchase.
買うかどうか決める前に費用を計算しなさい。
この例文は、どちらも「費用を計算しなさい」という意味ですが、”calculate”を用いた①の方が具体的な費用の数値を算出して計算する、という意味合いにとれます。
一方、”reckon”を用いた②には、「だいたいの費用を概算でいいから出して」というニュアンスがあります。
なお、“calculate“はアメリカ英語で、”reckon”はイギリス英語で、「~だと思う」という意味で使われることもあります。
「+、-、×、÷」など、四則演算を英語で表現するには?
日本では小学校までは「算数」、中学から「数学」と呼ばれる学習教科ですが、英語の場合は区別されずに”mathematics”といいます。長いので、”math”と省略されて使われることが多いです。
この”math”の中に「代数(algebra)」「幾何(geometry)」などの分野があるわけですが、足し算・引き算・掛け算・割り算といった「算術」「四則演算」のことは、”arithmetic”といいます。
四則演算のひとつずつ、それぞれがどのような表現になるのか見ていきましょう。
足し算 (addition) → 「+」 (plus/added)
● plus ▲ is ■
● plus ▲ equals ■
足し算の合計である「和」のことは、”sum”や“total”と表現します。
● たす ▲ はいくつですか?
● と ▲ の和は何ですか?
“sum”の意味は「和」なので、3つ以上の数を足す場合もあります。
三角形のすべての角の和は180度に等しい。
引き算 (subtraction) → 「-」 (minus/subtracted)
● minus ▲ is ■
● minus ▲ equals ■
引き算の答えである「差」のことは、”difference”と表現します。
● ひく ▲ はいくつですか?
● と ▲ の差は何ですか?
掛け算 (multiplication) → 「×」 (times/multiplied)
● times ▲ is ■
● times ▲ equals ■
● multiplied by ▲ equals ■
かけ算の答えである「積」のことは、”product”と表現します。
● と ▲ の積は ■ です。
数式以外でも掛け算の話をする場合に “multiply by” は使われます。
容積を計算するためには縦と横と深さをかければよい。
割り算 (division) → 「÷」 (divided)
● divided by ▲ is ■
● divided by ▲ equals ■
わり算の答えである「商」のことは、”quotient”と表現します。割る数は”divisor”、割られる数は”dividend”なので、「●÷▲=■」をこれらの言葉で表すと次のようになります。
dividend ÷ divisor = quotient
“quotient”には「率、割合、指数」といった意味もあるので、以下のような使い方もされます。
▲ における ● の含有比率は ■ である
余談ですが、知能指数を意味する「IQ」は日本語でもおなじみですが、この「Q」は”Quotient”のQで、「IQ」は“intelligence quotient”の略となります。
なお、割り算の「あまり」は”remainder”、数式上では”R”と表現します。
● divided by ▲ is ■ with a remainder ◆
割る数と割られる数の位置関係が逆になる表現もあります。
▲ into ● is ■, remainder ◆
“▲ into ●”と言われてとっさに割り算の数式が頭に浮かぶか、というと、難しいかもしれませんが、色々な表現がある、ということを知っているだけでも理解の幅が広がると思うので、あえてご紹介しました。
「少数」を英語で表現するには
少数も意外と日常的に使う数字のひとつです。ビジネスでもニュース番組等でも表やグラフの数字を読むときなど、少数が出てくる場面は多いかと思います。まずは用語から確認しましょう。
「少数」は”decimals”、「小数点」は“decimal point”あるいは”point”です。
ビジネスの場などで、データに少数以下を含めるのか含めないのか確認をとるような場面があるかもしれません。そんな時にはこのように聞くことができます。
少数以下も含めますか?
では次に、少数以下の読み方を確認しましょう。
日本語では、小数点以下の文字は一桁ずつ読みますよね。英語の場合も同じです。例えば「12.345」という少数の場合、『twelve-point-three-four-five』となります。
途中に「0」が入るときは、”zero”もしくは”oh”と読みます。
1.05 → one-point-zero-five あるいは one-point-oh-five
整数部分が「0」の場合、そのゼロは省略されることがあります。
0.12 → zero-point-one-two あるいは point-one-two
イギリス英語では、ゼロのことを”nought”と読むこともあります。
1.05 → one-point-nought-five
少数は「四捨五入」することもよくあるので、その場合の表現もみてみましょう。
「四捨五入」は”round off”です。
答えは小数点以下第3位までにすること
=小数点以下第4位を四捨五入すること
お気づきになった方もいるかと思いますが、英語表現では四捨五入した結果の位を指示するような言い方になっています。日本語では実際に四捨五入操作をする位を指示しますよね。
こういう小さな違いは面白いのですが、大事な商談の場などで勘違いしてしまうと面白いではすまないかもしれません。ぱっと英語を聞いたとき咄嗟に判断できるようになりたいものです。
その他、「切り上げ」は”round up”、「切り下げ(切り捨て)」は”round down”といいます。海外では通貨に補助単位があることも多いので、お金関係でよく出てくる表現です。
28ポンド60ペンスを29ポンドに切り上げる
18ドル30セントを18ドルに切り下げる
実は、四捨五入以外にも、「五捨五入(bankers’ rounding)」「二捨三入(Cash Rounding/Swedish rounding)」といった数値のまるめ方法もあるのですが、このあたりはまたの機会にお話しできればと思います。
「分数」を英語で表現するには
まず最初に、分数に関わる単語をおさらいしましょう。分子 → “numerator”
分母 → “denominator”
日本語で考えるとあまり日常的な会話で活躍することがなそうな単語ですが、以下の例文にあるように、一般的な意味でも使われます。
彼の言ったことには少しの真実も含まれていない
我々の卒業生は文学と数学の基礎知識を持っている
これらの債務はほとんどが米ドル建てです
少数は日本語と同じ規則で読めるのであまり難しさはなかったかと思いますが、分数は日本と逆なので戸惑うかもしれません。
何が逆なのかというと、読み上げる順序です。日本語では分母から読みますが、英語では分子から先に読みます。
さらにややこしいところですが、英語では分子は通常通り「基数」の”one, two, three…”を使いますが、分母には「序数」”first, second, third…”を用います。
さらにさらに、分子が2以上の数値の場合、分母は複数形になります。具体的には以下のようになります。
2/3 → “two-thirds”
序数苦手な方には秘策があります。分数を表す横棒「分数線、括線(かっせん)」を”over”と読むパターンです。その場合、分母も基数で読みます。
2/3 → “two-over-three”
ちなみに、「分数線、括線」の英語は”fraction bar”、あるいは”vinculum”となります。
“vinculum”は「つなぎ、きずな、靱帯」といった意味もあります。分子と分母をつなぐ線、ということですね。
なお、日本語で「1/2」のことを「半分」とも言いますが、英語でも同様の一般名称を持つ分数があります。「1/2」と「1/4」です。
1/4 → “A quarter” あるいは ”one-quarter”
2/4 → “two-quarters”
“quarter”は何が1/4かによって、色々な意味を持ちます。例えば、1時間のことであれば「15分」、1ドルのことであれば「25セント」、年度であれば「四半期」、4学期制の学校の学期のことであれば「1学期」など。
“quarter”は動詞として使われることもあります。
私はリンゴを4つに切ります
なんというか、文化の違いなのでしょうか。「1/4」という概念が、日本と比較するとより日常生活に根付いている感じがします。
料理のレシピなどでも「1/4カップ」といった表現をよく目にします。アメリカでは1/4ドル(25セント)の硬貨まであります。
クオーターはスポーツ用語でもよく出てきますよね。バスケットボールやアメリカンフットボールなどでは「ハーフタイム(half time)」のさらに半分の試合時間がクオーターです。
アメリカンフットボールでは司令塔の役割をはたすポジションを「クオーターバック(quarterbacks)」といいますね。
計算に使える英語表現を覚えて、表現の幅を広げよう
今回は小学校で習う算数レベルの計算を英語でどのように表現するのかを見てきました。日常生活で使う基本的な単語のはずなのですが、日本人にはあまりなじみがない専門用語的なものもいっぱい出てきましたね。
特に、習慣的に日本と異なる箇所は、要注意です。例えば四捨五入で指示する桁が違ったり、分数で分子と分母の読む順番が逆だったり。咄嗟に数値が頭に思い浮かぶように、訓練をしておきたいところです。
また、同じ四則演算でも表現のバリエーションが豊富だったりするのも難しいですよね。自分が言いやすいパターンをおさえておくといいと思います。
留学、ビジネス、駐在、旅行など、さまざまな場面で遭遇する可能性のある算数表現。是非覚えて、表現の幅を広げましょう!

東京在住、元IT系で今は2児の母業に専念中。パッキング作業が大の苦手なのに数年に1回海外引越する生活が続き、日本に落ち着いた今でもたまに夢の中で荷造りしている。渡った先は欧州、南米、オセアニア…人生通算で一番長く住んだのは英国。中でもロンドンでモノクロフォトグラフィーにはまり暗室にこもっていた頃が一番の思い出。趣味はカメラとミシンと鉱物収集。形から入る派なのでモノが増えがち。ミニマリストな生活が夢。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.