日本は秋に入るとともに、だんだんと気温が下がり、過ごしやすくなってきました。地域によっては、すでに寒いと感じるところもあるでしょう。
冬を前にして、色々と暖房器具の準備をしている人たちも少なくはないと思いますが、やはり日本の冬と言えば「こたつ」です。
家庭によってこたつの使い方は様々だと思いますが、寒い冬の家族団欒の場所として、長年日本人に愛され続けています。
日本に住んでいる外国人の中には、こたつを初めて見る方も多いでしょうし、こたつそのものを知らない外国人観光客の方もいるでしょう。
そのような人たちに、こたつとは何かを英語で説明できると、逆に彼らから、私たちが知らないような暖房器具を教えてくれるかもしれません。
今回は、こたつについて英会話をするための基礎知識や例文をご紹介したいと思います!
こたつの基本知識
まずは、こたつを英語で話せるようにするためにも、こたつに関する基本的な知識を学んでいきましょう。
こたつの歴史
漢字で「炬燵」「火燵」と書く「こたつ」は、なんと室町時代から使われ始めました。囲炉裏の上に櫓を組んで、ふとんをかけたものが、その当時のこたつでした。
そこから、床を掘り下げ、囲炉裏を床より下に設置した「掘りごたつ」が生まれ、明治時代には一般家庭にも作られるようになり、冬には欠かせない暖房器具となりました。
しかし、この頃は木炭などを使って温めていたため、一酸化炭素中毒などの危険性もありました。
そこで出てきたのが電気こたつです。電気こたつは、戦後に少しずつ普及していきました。
赤外線を熱源とするため、木炭などに比べて、一酸化炭素中毒や火災、火傷などの危険性が低いのが大きな違いです。
日本でこたつが普及した理由として、伝統的な日本の家は広くて大きかったり、風通しが良く作られていたため、部屋全体を暖めることは容易ではなく、より効率の良い身体のみを暖める方法のほうが発達していった、と言われています。
冷たい空気は下に行く習性があるため、足から暖めるこたつはとても理にかなった方法だったと言えます。
こたつにみかんの理由
「こたつにみかん」という光景が、日本の冬の風物詩となっていますが、なぜこたつとみかんがセットになっているのかを考えたことはありますか?
確かな理由はわかりませんが、そもそもみかんの旬の時期が冬だから、というのは大きいと思われます。
私たち日本人は冬になると、なぜか自然とみかんを食べたくなりますよね。
また、こたつに一度入ると出たくなくなるという人も多いのではないでしょうか。
みかんをこたつの上に置いておけば、こたつから出ることなく、その場ですぐ食べれます。皮を剥くのに特別な器具が必要なわけでもありません。
さらに、冬は空気が乾燥し、暖房器具などを使っていると喉が乾いてきます。こたつに入っていると、汗をかくこともあるでしょう。
みかんは水分が多いので、乾きがちな冬に、こたつに入ったまま簡単に水分補給できるという役割も果たしています。
これらの理由から、こたつでみかんを食べながら一家団欒という光景が生まれたのかもしれませんね。
日本人のこたつ離れ
近年は日本人のこたつ離れが進んでいると言われています。
ウェザーニュース調べでは、こたつの保有率は東京が38%、寒い北海道ではなんと東京より低い25%という結果が出ています。
東京だと、特にアパートなどの住宅では部屋のスペースに限りがあり、こたつを置きたくても狭くて置けない、または、こたつを置くと部屋が狭くなる、という理由でこたつを持っていないという人が多いようです。
また、北海道では、床暖房やセントラルヒーティングの普及などによって、家全体を常に暖かくしておくことができるようになったため、こたつを持っている世帯が減ってきていると言われています。
※セントラルヒーティング
セントラルヒーティングとは、一箇所の給湯器熱源装置を設置して、熱を暖房が必要な各部へ送り届ける暖房の方式である。
全館集中暖房、中央暖房ともいう。 日本においては石油ボイラーが主として用いられてきたが、建物の種類や規模によっては、ガスボイラーも使われている。(Wikipediaより引用)
海外の暖房器具は?
日本にはこたつの他にも、石油ストーブやエアコンヒーターなどがありますが、海外の寒い地域ではどのような暖房が使われているかご存知でしょうか?
イランには「コルシ」という、こたつに非常によく似た暖房器具があります。見た目も日本のこたつと瓜二つ。土台に布団を上からかけ、その上にテーブルを乗せるというスタイルはまさにこたつそのものです。
コルシは電気で暖めるタイプと、熱した石炭を入れた火鉢をテーブル下(布団の中)に入れて暖める方法があります。
アフガニスタンやタジキスタンにも同じようなこたつがあり、「サンダリ」と呼ばれています。
また、冬が寒い国々での一般的な暖房器具と言えばやはり「暖炉」です。暖炉がある家と聞くと、きっと豪邸のようなイメージを持っている方も多いと思いますが、実際は一般家庭の家に元々暖炉が設置されている家が多いです。
また、国によっては、前述したようなセントラルヒーティングが一般的に使われています。
欧米でもこたつがもっと人気になってもよさそうなのですが、我々日本人とは違って家の中でも靴を履いているため、フロアに座るということをあまりしない、という生活習慣の違いが普及しない理由の1つとも言われています。
こたつに関する英語表現
ここでは、「こたつ」について英語で話せるようにするために、こたつに関する英語表現や例文をご紹介します。
こたつを英語で言うと
そもそも、こたつは日本のものなので、「こたつ」という日本語をそのまま「Kotatsu」と言えばよいです。
基本的に、日本生まれの日本語は、そのまま日本語で使って問題ないです。
しかし、こたつそのものを知らない人に「Kotatsu」と言っても通じないので、その場合は、以下のように表現することが可能です。
a table with an electric heater attached to the underside of the table
裏面に電気ヒーターがついているテーブル
a heating table covered with a blanket
布団で覆った暖房テーブル
a Japanese heating appliance consisting of a table, a blanket, and a heat source
テーブル、布団、熱源で構成される日本の暖房器具
a table with a built-in heater and a blanket
布団と組み込みヒーター付きのテーブル
<「with」の使い方>
上記の英語表現では「with」が使われています。
「with」と聞くと「〜(人)と一緒に」という意味を思い浮かべる方も多いと思いますが、もう一方に「同伴」もしくは「携帯」しているような状態であれば、もの同士でも「with」を使うことができます。
例えば、「a table with an electric heater」は、「電気ヒーター」が「テーブル」にくっついている、つまり同伴している、携帯されているような状態です。そのため、それぞれのものを「with」で繋ぐことができます。
こたつを英語で説明してみよう
最後に、こたつを英語で説明するための例文をいくつかご紹介します。
A kotatsu is a Japanese traditional heating table covered with a blanket.
こたつは、日本に古くからある布団で覆われたテーブル型暖房器具です。
The kotatsu dates back to the Muromachi period.
こたつの起源は、室町時代にまで遡ります。
The old kotatsu was not movable.
昔のこたつは、可動式ではありませんでした。
Charcoal used to be used for the heat source, but it was eventually replaced with electricity.
熱源にはかつて炭が使われていましたが、電気に取り替えられました。
The heater is attached to the underside of the table.
ヒーターはテーブルの下に取り付けられています。
People naturally gather around the kotatsu.
人々は自然と、こたつの周りに集まります。
Mandarin oranges are often piled up on top of a Kotatsu.
こたつには、よくみかんが置かれています。
The popularity of the kotatsu is declining because of central heating systems.
セントラルヒーティングの普及により、こたつの人気は落ちています。
You shouldn’t sleep in the kotatsu.
こたつの中で寝ないほうがよいです。
Once I put my feet in a kotatsu, it’s so hard for me to get out because it’s so comfortable.
こたつに一度足を入れたら、とても心地よいので、こたつから出るのがつらいです。
A lot of Japanese inns prepare kotatsu in their common areas.
多くの日本の旅館は、共用部分にこたつを置いています。
Iran has a very similar type of heating appliance called “korsi.”
イランには「コルシ」と呼ばれるとてもよく似た暖房器具があります。
まとめ
・こたつは日本のものなので、英語でも「kotatsu」でOK
・こたつの始まりは室町時代
・セントラルヒーティングなどの普及により、こたつの人気が落ちている
・イランには「コルシ」と呼ばれる、こたつによく似た暖房器具がある
いかがでしたでしょうか?
何気なく使っているこたつですが、室町時代に始まったという長い歴史や、海外に、こたつそっくりな暖房器具があるとは知らなかった、という方も多いのではないでしょうか。
こたつの他にも、世の中には部屋や体を暖めるための暖房器具がたくさんあります。
今回の記事をきっかけに、そのような暖房器具を英語で説明できるように、ご自身で調べてみてはいかがでしょうか?
◇経歴
・コールセンターでの日英バイリンガルオペレーター(3年)
・外資系企業(製薬業界)でのテクニカルサポート(2年)
・副業でオンライン英会話の講師(2年)
・東京にて通学型の英会話スクール経営(4年)
・英会話スクールをオンラインに切り替えて運営(現在で約4年)
・英会話講師歴は合計で10年
◇資格
・英検1級
・TOEIC990点
◇海外渡航経験
・イギリス(3ヶ月、短期留学)
・タイ(6ヶ月)、マレーシア(3ヶ月)、台湾(3ヶ月)の滞在歴あり(海外ノマド)
・海外旅行:韓国、マルタ、ベトナム、インドネシア、アメリカ
◇自己紹介
バイリンガル英会話コーチのBobです!ほぼ日本国内で英語を習得してバイリンガルになりました。たまたま始めたオンライン英会話講師の仕事が天職だと悟り、自らの英会話スクールを開校。これまでに200人以上の英語学習者に教えてきました。多くの人たちに英語を好きになってもらい、思いっきり英会話を楽しんでもらえるよう日々活動しています!