首相って何て言うの?政治にまつわる英語

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今年は約30年続いた平成時代から令和時代へと元号が変わり、新しい天皇が即位されました。
日本でも大きな話題になりましたが、海外のメディアでも広く報じられたようです。
それに合わせるかのように日米首脳会談が開かれ、政府はここぞとばかり新時代の到来をアピールしていました。

首脳会談とは政治家のトップ同士が話し合うことですが、そもそも首脳とは誰のことでしょう?

はるか昔の時代には、どこの国にも王様や殿様のような分かりやすい権力者がいましたが、現代では多くの国で民主政治が根付き、また制度が多様化しました。

したがって、どこの国にも日本のような天皇制や政治制度があるわけではありません。

今回は、日本と外国の政治の違いなどについてみていきましょう。

日本の政治の仕組み

政治はPolitics、政治家はPoliticianといいますが、まず最初に学校で習った日本の政治の仕組みを改めて英語で考えてみましょう。

現在の制度の大枠が整ったのは明治時代ですが、基本原則となるのは権力の濫用を防止するための三権分立です。フランスのモンテスキューらが唱えた制度です。

三権分立 Separation of powers

三権とは、以下のものを指します。

立法 Legislation
行政 Administration
司法 Justice

政治といえばたいていの場合、立法と行政のことを指し、

政府 Government

が行います。日本の政治の仕組みは

議院内閣制 Parliamentary cabinet system

で、もともと19世紀のイギリスで始まりました。議会の多数派が

内閣 Cabinet

を形成し、政権の座について立法と行政との間に協力関係を築くというものです。
立法とは法律Lawを決めることで、

国会(議会) Dietと呼ばれるようです。

国会は二院制で、選挙で選ばれた国会議員が所属するのはそれぞれ、

衆議院 House of Representatives
参議院 House of Councilors

といいます。

また、行政は総理大臣が選んだ大臣たちで構成される内閣が行います。

総理大臣(首相) Prime Minister
閣僚 Cabinet minister
大臣 Minister

です。

政治家たちのグループである政党はPartyです。
現在、日本の代表的な政党は

自由民主党 Liberal Democratic Party
民進党(旧民主党) Democratic Party

です。また、

与党 Government party
野党 Opposition party

といいます。

現在は政治と皇室は完全に分離していますが、皇室は歴史的にも日本を語る上でとても大事な存在です。
皇室関係の用語は

天皇 Emperor
皇后 Empress
皇太子 Crown Prince

となり、以前の天皇殿下と皇后殿下は

上皇 His Majesty the Emperor Emeritus
上皇后 Her Majesty the Empress Emerita

となります。

アメリカ合衆国の政治の仕組み

6月末に大阪でG20サミットが開かれました。

サミットは主要国首脳会議と呼ばれ、一対一で話す首脳会談とは違い、各国首脳が一堂に会する会合です。

ここでいう首脳は、国によって定義がまちまちです。

たとえば、日本は総理大臣ですが、アメリカやロシアは大統領制を採用しています。

歴史的経緯や制度の違いから、国によって呼び方が違うのです。

また、アメリカのCNNやイギリスのBBCなど海外のニュースを聴き、最新情報をアップデートして国際情勢に敏感になることは入試やTOEICなどの試験だけでなく、ビジネスのうえでも必要ですね。

そのために、主な国々の政治制度を知っておきましょう。

まずは、日本と関係の深いアメリカ合衆国の政治用語についてみていきましょう。
ご存知の通り、アメリカは大統領制を採用しています。

大統領 President

一般的に、大統領は内閣総理大臣よりも権力があると言われます。
三権分立の構図で言えば、大統領=内閣に相当するので、リーダー個人の決定力が高いわけです。
実際に大統領が発行する、

大統領令 Executive Order

には法律と同等の効力があると言われています。
そして、アメリカの

議会 Congress

における二大政党は、

共和党 Republican Party
民主党 Democratic Party

です。

アメリカは長年、二大政党制をとっており、興味深いのは民主党と共和党がほぼ交互に大統領を輩出して、きっちりと政権を担っているところです。近年の例では、

ドナルド・トランプ大統領は共和党、
バラク・オバマ前大統領は民主党、
ジョージ・ブッシュ元大統領は共和党、
ビル・クリントン元大統領は民主党、
その前のジョージ・ブッシュ元大統領は共和党…

という感じで見事に綺麗に並んでいます。

また、歴史上の有名な人物についても、

エイブラハム・リンカーンは共和党、
セオドア・ルーズベルトは共和党、
フランクリン・ルーズベルトは民主党、
ジョン・F・ケネディは民主党、

という感じで、わりとバランスが取れています。

また、米国議会は、

上院 Senate
下院 House of Representatives(the House)

に分かれています。

日本と同じ二院制で、それぞれ日本の参議院と衆議院に相当する感じでしょうか。
上院Senateは、古代ローマの Senatus(元老院)が語源になっているようです。

中国の政治の仕組み

急速に発展しているお隣の中国は資本主義国家のようにみえて、実は共産主義国家です。

共産党 Communist Party of China

といい、そのリーダーである習近平主席は

総書記 General secretary

を務めています。

あまりに急速に大国になったため、最近ではアメリカも中国を牽制するなど、脅威として捉えています。

グローバル化の波に飲み込まれないよう共産主義的に監視しつつ、資本主義の良いところをうまく取り入れた中国は、21世紀の国際社会において中心的存在になりました。

イギリスの政治の仕組み

変わってイギリスでは、保守党 (Conservative Party)のテリーザ・メイが首相を務めています。

議会内閣制の元祖イギリスでは

議会 Parliament

といいます。

イギリスの政治問題と言えば、もちろんここ数年はBREXIT一色です。

2016年に投票で決定されたEU (European Union)離脱を巡って、長期に渡って論争が続いています。
その運命の分かれ道となったのは、

国民投票(住民投票) Referendum

といいます。

女性首相そのものは最近では珍しくありません。
イギリス以外にも、

ドイツ…ドイツキリスト教民主同盟(CDU)のアンゲラ・メルケル首相
ニュージーランド…ニュージーランド労働党のジャシンダ・アーダーン首相

がよく知られています。

アーダーン首相は比較的若く、在任中に育児休暇を取ったことでも話題になりました。

選挙用語、外交用語について

日本ではこの夏7月に参議院の総選挙を控えており、久しぶりに選挙や政治への関心が高まっています。

よく使う選挙用語は知っておきましょう。

選挙  Election
投票  Voting/Polling
投票率 Voting rate
有権者 Qualified voter, Elector
無党派層 Independent
棄権  Abstention

また、新聞の政治・外交面などでよく出てくるのは以下のような単語でしょうか。
日本語でも難しそうな意味のものが多いですが、これを機会に覚えてしまいましょう!

合意 Agreement
罷免 Dismiss
批准 Ratification
交渉 Negotiation
条約 Treaty
締結 Conclusion

政治に対する外国人の考え方

ところで、外国人は政治について友達同士で意見交換をしたりするのでしょうか。
また、日本と外国で政治に関する国民の意識の違いはあるのでしょうか。

よく言われる通り、政治に対する意識には大きな違いがあります。

オンライン英会話などで外国人と会話すると、比較的若い方でもしっかりと基礎知識や自分の意見を持っており、顕著な差があることがよく分かります。

多くの日本人と違い、外国人にとって政治の話題は他の話題と同じくらい身近なようです。

これは地政学的に日本が単一民族・単一宗教の島国国家であることと関係が深いとも言われています。

すなわち、海外の国々は歴史的にも、隣国との戦争や民族紛争を経て、現在の自由の権利や保障を勝ち取って近代国家となった国が多いです。
つまり、政治の話は日本人以上に
”生きること”と同義なのでしょうね。

もちろん、かつての日本人も政治のことに夢中でした。ところがある時期を除いて、戦後は明日を生きるのに精一杯で余裕がなく、次第に経済活動一辺倒になってしまいました。

投票率も近年は50%を割ってしまっています。

逆に言えば、今後多くの日本人が政治を自分ごとと意識して真剣に考えたり、政治に希望を持てるようになって初めて、真の近代国家へと脱皮できるのかもしれません。

まとめ

首相などの政治用語を英語で何と言えばよいか、日本と外国の政治の仕組みや違いなどについて説明してきました。

来年は東京五輪を控え、数多くの外国人が日本を訪れます。

日本について説明するとき、観光・経済・文化・スポーツ・サブカルチャーなどの話題とともに、こうした政治について聞かれるタイミングは必ずあるでしょう。

政治はいっけん堅苦しい話題のようで、じつは私たちの身近な生活の最も根幹の部分を成しています。したがって、外国人でも日本の政治に関心があるのは当然のことです。

そんなときに英語でうまく説明できることは大事です。

ぜひこの機会に政治用語を覚え、いざというときに英語で言えるようにしておきましょう!