ビジネスパーソンで経済や都市の話題をする中で「インフラ」という言葉を使う機会は多いと思いのではないでしょうか。
私も海外の投資メディアで執筆させていただくことも多く
「インフラ」
という言葉をよく使います。
例えば「東南アジアのインフラは先進国に比べて不便だが、昔に比べて大分良くなってきている」などと使います。
・なんとなくインフラという言葉は聞くけど意味が正しくわからない
・インフラの意味は知っているけどインフラって海外でそのまま通じる?カタカナ英語?
・インフラに関連する英単語をおさらいしたい
そんな人もいるかもしれませんね。
そこで本記事では「インフラ」に関する疑問にお答えします。
インフラに関連する英単語・例文もあわせてご紹介します。
インフラはInfrastructureの略。意味は「基盤」
「インフラ」はカタカナ英語です。
日本の「インフラ」の意味では海外では理解してもらえません。
カタカナ英語の「インフラ」の実際の意味は
・infrastructure:社会基盤/基盤となる施設や設備
から来ています。
しかしこの「infrastructure」という英単語は、
・infra:下に
・structure:構造
という2つの英語が合わさったものです。
つまりinfraだけですと、社会基盤/基盤となる施設や設備の意味では通じません。
単なる「下に」という意味になってしまうのです。
社会基盤/基盤の意味でカタカナ英語のインフラを使うと混乱のもとになりますので、社会基盤/基盤の意味で使うならインフラストラクチャー:infrastructureと略さずに使いましょう。
インフラには形あるものとないものがある
インフラには形あるものとないものがあります。
カタカナ英語のインフラは社会の基盤/基盤となる施設や設備の意味ですが、社会の基盤は物質的なものばかりではありません。
インフラでも形あるものとないものに分けて整理してみましょう。
形のあるインフラ
例えば社会の基盤には空港や道路や鉄道・水道、電気、ガスなどの物質的な形のあるものがあります。
カタカナ英語ですと「ハードウェア」部分のインフラです。
私はよく海外の都市に遊びに行くのですが、形あるインフラのおかげで、お金があれば不自由なく移動も現地での滞在もできます。
人々の暮らしに形のあるインフラは欠かせません。
また広義の意味では人の住むところでは欠かせない病院や警察、消防署、学校なども形のあるインフラと言えるでしょう。
形のないインフラ
インフラの中には目に見えないものもあります。
カタカナ英語ですと「ソフトウェア」の部分のインフラのことです。
例えばヨーロッパには電子国家として注目されているエストニアという国があります。
エストニアは目に見えない形のないインフラで注目を集めている国です。
エストニアでは国民に日本でいうマイナンバーのeIDが与えられます。
そして公共サービスのほとんど全てがオンライン上完結できるため、とても便利です。
目に見えないインフラも人の生活を支えています。
このような情報インフラも現代社会では欠かせません。
インフラに使われるものの英語
社会の基盤には様々なものが使われています。
ここではインフラとしてよく使われているものの英単語をご紹介します。
インフラの話題でよく出てくるので覚えておくと便利です。
ライフラインの英語
ライフラインは生活に欠かせない電気や水道さらには遠方のコミュニケーションに必要な電話などの社会の基盤になるものです。
ライフラインがなければ、現代人は夜は暗いところで不便に過ごさなければいけません。
水道がなければ水を飲むこともシャワーを浴びることも難しいでしょう。
電話回線がなければスマートフォンで連絡を取り合うこともままなりません。
・electrical infrastructure 電気
・tap/waterworks 水道
・gas ガス
・telephone network 電話
・transportation network 交通網
交通機関や生活に欠かせない施設などの英語
形のあるインフラの代表とも言える交通機関や施設の英単語ですが、意外と知らないものもあるのではないでしょうか。
・railway 鉄道
・airport 空港
・dam ダム
・harbor/port 港
・hospital 病院
・police station 警察署
・fire station 消防署
・school 学校
・municipal office 市役所
インフラと合わせて使われやすい英単語
インフラと合わせて使われやすい英単語には何があるでしょうか。
例えばインフラと密接な言葉として挙げられるのは経済・投資・開発・地域・発展・前進などではないでしょうか。
例文として
Thailand’s economy has been developed by foreign investment to advance infrastructure ,although regional differences have been seen.
「タイ王国の経済は外国からの投資によってインフラ開発が進み、地域差はみられるものの発展してきた」
経済誌などでも本当にありそうな例文です。
・economy 経済
・investment 投資
・development 開発
・advance 前進
・region 地域
また国や都市によっては水道やガス・電気が遅れているところもあります。そんなときはインフラの整備が不十分だなどと言いますよね。
be far behind 遅れている
be not satisfactory 不十分
などもよく使われます。
「インフラ」を整えるためには大きな企業や国が動きます。そのためビジネスなどに関連する文章の中でよく出てきます。
・budget 予算
・real estate 不動産
・inflation/increase 物価の値上げ
などビジネスに関連する英語と使われることも珍しくありません。
ビジネス英語でインフラに関連しそうな英単語もあわせて覚えておくと効率が良いのではないでしょうか。
インフラに関連する英文を読んでみよう
こちらの文章は新興国として注目されている東南アジアのミャンマーに関する例文です。
With ASEAN turning 50 years, Myanmar is in urgent need to close its infrastructure gap, integrate with the world and collaborate with its neighbouring countries in order to gain from these initiatives for its economic growth.
「ASEANの50周年を機にミャンマーは世界と統合し近隣諸国と協力し経済成長のための主導権を握るためにもインフラの足りない部分を埋めることが急務となっている。」
こちらは中国のインフラに関する例文
To counter China’s rapidly slowing economic growth, the Chinese government has returned to the policy playbook that worked well in the past: spending money on large infrastructure projects.
「中国の急速な経済成長の鈍化に対して、中国政府は過去に機能した政策へと回帰した。大規模なインフラ建設プロジェクトに資金を費やすことだ」
このようにインフラはビジネスに関連する文章で頻出です。
正確に訳すためには英文そのものの解釈だけではなくインフラ整備の文脈が理解できるように背景知識もあると理解しやすいのではないでしょうか。
英語そのものが理解できてもミャンマーや中国のおかれている経済発展の事情などを知っていないとイメージがわきにくいと感じる人もいるはずです。
世界のインフラ事情の一例
経産省の世界的なインフラ需要のデータによると新興国・地域を中心にインフラ需要が拡大していると言われています。
例えば『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』という世界で話題になった本によると、世界の国々の多くはここ10年から20年の間に大きな経済成長を遂げたそうです。
経済が発展すると車も増えますし、人の行き来も活発になります。すると道路を整備したり地下鉄や電車などを新しく作っていかないと、とても不便な都市になってしまいます。
例えば私が住んでいたバンコクは東南アジア屈指の大都市ですが、地下鉄が東京やシンガポール、上海のように網の目になっておらずブルーラインとパープルラインという2つの路線しか走っていません。
しかしタイはここ10年で大きく経済成長し、バンコクにはビジネスマンが溢れかえっています。
通勤するための都市部につながる地下鉄が事実上1本しかなく車の走る道路の整備も遅れているため、バンコクは世界有数の大渋滞と満員電車でラッシュアワーの時は大変なことになっています。
そのためタイではインフラの整備が急務です。
経済成長をとげてもインフラ整備が追いつかないと、本来持っている国のポテンシャルが活かしきれません。生活者の目線で見れば単純に不便です。
Compared to other Southeast Asian countries, the provision of infrastructure is not satisfactory.
他の東南アジアの国に比べてタイのインフラ整備は不十分だな・・・。
とよく思ったものです。
このように世界の新興国の多くは、経済成長に伴った成長にふさわしいインフラを欲している国が多いようです。
まとめ
日本語の「インフラ」はカタカナ英語。
社会の基盤という意味で海外で「インフラ」と言っても多くの場合は通じません。そのため略さずに「infrastructure」と言いましょう。
インフラは人が生活するうえで必要不可欠な道路・電気・水道などのライフラインや、病院・学校・警察・消防などの公共施設もあれば、電子データのような目に見えづらい仕組みもあります。
またinfrastructureは政治・経済などのビジネスのトピックでよく使われる英単語なので、あわせて世界のインフラに関する時事やビジネス英語などもあわせて理解しておかないと分かりづらいこともあるかもしれません。
インフラに関連する言葉や背景知識も合わせて覚えておくと良いですね。
石川県出身。明治大学法学部の国際法コースで英米法を専攻。卒業後、日本の小学校教諭を経てタイ王国の首都バンコクの国立大学RMUTRの教養学部・日本語学科にて専任講師。日本語の講義や日本・タイの私立大学の交換留学提携、タイ全土の日本語コンテンストの審査員を経験。帰国後は留学生支援の財団法人・外資系小売業を経てライター職。好きな食べ物はカレー。東京に行く度にカレーの聖地、神保町のカレー屋巡りをしています。