大学で英語系の学科を専攻した方や留学経験のある方は、学生生活で培ってきた英語力を活かして働きたいと思いませんか?
特に新卒採用では英語が話せる人材は企業にとって重宝したい存在になるため、うまく自分をアピールすることで希望する就職先や職種に就くことも可能です。
しかし、そのためには念入りな準備や対策が欠かせません。
そこで今回は英語を普段の業務で使う仕事においてどのくらいのレベルが必要とされるのか説明したうえで、語学力以外のアピール方法や高度な英語力が求められる外資系企業についても解説します。
1.海外留学は就職に有利になるのか。
就職活動をする際には留学経験を売りにして自分をアピールしていきたいと考える方も多いでしょう。
英語を使った仕事をするにあたって、一般的に留学経験はどの程度企業側から評価されるのでしょうか。
・留学経験者は企業の採用担当から重宝される
英語を日常的に使用する職種では、海外留学の経験が大きく買われるのは事実です。
実際に文部科学省が実施する留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の調査によると、企業における採用担当者の62%は留学経験者を積極的に採用したいと考えているのです。
そのうえ大学生の97%は留学したことがないため、大学のうちに留学をした場合は採用担当から見ても重宝したい存在となるでしょう。
特に英語を使った業務が中心となる場合は一定レベル以上の英語力が必要とされるため、いまや留学経験者は超売り手市場とさえ言われているのも事実です。
・ただし、語学力だけではダメ
新卒採用の就職活動において、採用担当者は英語のできる人材を欲しがっているものの、それ以上に面接を通して海外留学の経験から培ったものを知りたいと考えています。
いくら語学力が高くとも、うまく人とコミュニケーションを取ることができない人材や経験から何かを学ぶ姿勢が見られない人材は伸びしろが無いとされるため、敬遠されがちになります。
むしろ語学力だけ求めるのであれば中途採用のほうが適しており、これから社内でお金や時間を掛けてまで育てていきたい新卒の社員は伸びしろのほうが重要視される傾向があります。
言い換えると、少しばかり英語力に欠けていても学習意欲が高い人材ならこれから伸びていく可能性を秘めているため、留学経験のない学生でも留学経験者と十分に張り合うことができるでしょう。
・留学経験者の面接におけるアピールポイント
このように就職活動で留学経験を活かすことができるかという点は、国内企業と外資系企業問わず面接においてのアピール次第と言われています。
それではどのような点をアピールすると有効なのでしょうか。これは実際に働くうえで必要となる力や活かせる能力をもとに考えていくのが得策です。
そのひとつにコミュニケーション能力が挙げられるでしょう。
留学の際にはいままで暮らしていた土地を離れて、知らない場所かつ初対面の人しかいないような環境下で過ごすことになります。
そのような状況に立たされることで、あまり知らない相手に対しても積極的にコミュニケーションを取れるようになったり、自分の意見を持つ重要性に気づいたりもするかもしれません。
また自分とは違う価値観や文化を持つ人々に混ざって生活しているうちに、考え方の多様性を学んだということもあるでしょう。
自分とは違う相手を受け入れ、許容することの大切さを学んだ経験は自己PRとしても有効です。
さらに文化や価値観の違いによって起こったカルチャーショックなどのトラブルに対する考え方やそれに対して取った行動をストレス耐性としてアピールすることもできます。
このように留学経験を通して培ったものは語学力だけではなく、社会に出てから活かせる力も多いでしょう。
面接の際には留学生活の中でコミュニケーション力を高めたり多様性を学んだりしてきた経験談を通じて、採用担当者は学生の人間的な部分を知りたがっているのです。
そのため面接の際には次のような質問が想定されます。
・海外留学を通じて何を学んだのか?
・どのような点で留学経験によって成長できたか?
・海外に滞在している間にぶつかった困難や挫折はあったか?
・カルチャーショックや文化の違いに直面したのはどのようなとき?
・留学先で印象に残ったことは?
・なぜ留学を決意したのか?
これらの質問は国内企業や外資系企業問わず聞かれることが多い、面接のテンプレートと言っても過言ではないでしょう。
2.留学経験のない場合でも英語力はアピールできる
前述したようにたとえ留学経験がなくとも自己PR次第で留学経験者に打ち勝つこともできるのです。
しかし、英語を日常的に使用するような業務であれば一定レベル以上の英語力が求められるのも事実です。
留学経験がない場合にはどのような経験や資格があると英語力がアピールポイントとして評価されるのでしょうか。
現在、英語に関する資格で最も有力かつ汎用性が高いとされているのがTOEICであると言われています。
もちろん英語を使いながら働く場合に求められる英語力は職種や企業によって異なるため、TOEICのスコアを目安に必要とされるであろう英語力をアピールするとよいでしょう。
TOEICに対する企業側の具体的な見解として、一般的に英語に力を入れて学習したことをアピール出来る最低ラインは600点とされています。
これが一般的な目安となっている理由は、多くの企業では昇進や昇給の条件となる水準が600点とされることが多いためです。
そのため、日常会話レベルを満たすTOEIC600点以上は就活で有利になると言えるでしょう。
しかし、実際の業務で日常的にビジネス英語を使うには600点では足りないことも多いのです。
特に、海外出張がある企業や外資系コンサル企業では実務に使用する場合に730点以上を必要としているのが一般的です。
また、社内の公用語が英語となっているグローバルな会社では800点以上のスコアが求められる場合もあり、かなりハイレベルな環境となっています。
3.外資系企業の面接とは
英語を使って働くことを考えたときに、外資系企業に勤めるのも選択肢のひとつとして視野に入れてみるのも悪くないでしょう。
しかし、前提として国内企業と外資系企業では企業の性格が異なる部分が非常に多いということを念頭に置いておくことをおすすめします。
海外に本社を構えていたり株主の多くが海外にいる外資系企業は日本では当たり前になっている年功序列の考え方が無かったり、会社の風土が国内企業とは異なる独特なものとなっているのです。
・外資系企業と国内企業の違い
外資系企業は風土として実力主義・成果主義であることが多く見受けられるでしょう。
外資系企業が年功序列を取り入れないのもこの考え方に基づくものであり、出来高制に近い形態を取ります。そのため結果を出せばその分を正当に評価してもらえることが多い点もメリットと言われています。
また、多くの日系企業のように古くからの歴史や慣習を大事にするよりも、結果を出すための効率性や生産性をより重要視する傾向があります。
しかし、逆に結果を出せない場合は評価や給料がどんどん落ちていくというシビアな環境であるため、本当に自分に合っているのか慎重に考える必要があるでしょう。
さらに外資系企業では実力次第で若いうちから発言力を持つことができる風通しの良さも魅力となるでしょう。
仕事で結果を出して会社に実力を認めてもらえれば、若手から大きな仕事を任せてもらえることも多いため、裁量権のある仕事にいち早く挑戦できることに加え、その分の成長も早くなると言われています。
・英語を使った自己PRと自己紹介
このように外資系企業は国内企業と企業の性格や風土に違いがあるだけでなく、より高度な英語力が求められ、面接も英語で行うことは少なくありません。
そのため、英語を使った自己紹介や自己PRができるようにある程度の準備が必要となるでしょう。
英語で自己PRをすることを考えるとなんだかとても難しそうに感じて、身構えてしまう方も多いでしょう。
しかし、基本的には“My strength is ~.”あるいは“I can ~.”さらには“I’m a ~ person who can ~.”といったように難しい単語や上級者レベルの表現を羅列する必要はなく、正しい英語できちんと相手とコミュニケーションを取れることのほうが重要です。
ただし、あらかじめ“My strength is ~.”の中身に何を持ってくるか考えておき、質問されても受け応えできるように準備しましょう。
ここではその例をいくつか紹介します。
・付き合いやすい:easy-going
・まじめ:hard-working
・論理的思考を持つ:methodical
・主体的:proactive
・誠実である:honest / sincere
・協調性がある:cooperative
・リーダーシップがある:show leadership
・計画性がある:organized
・英語面接で使われることの多いフレーズ
日本語の面接と同じように、志望動機などの基本的な質問を英語面接で聞かれることは多いでしょう。
これらの内容が英語ではどんな風に質問されることが多いのか確認していきましょう。
・あなたについて教えてください。:
Tell me about yourself.
・あなた自身どのような人物ですか?:
How would you describe yourself?
・志望動機を教えてください。:
Why do you want this position?
・今までの経験上最も苦労した挑戦を教えてください。:
What was the toughest challenge that you have ever experienced?
・~という御社のポリシーに共感しました / 感銘を受けました。:
I agree with / I’m very impressed with your corporate policy that ~.
・~という理由で応募しました。:
I applied to this position because ~.
・今日は面接の機会を作ってくださってありがとうございます。:
Thank you for giving me this opportunity to talk today.
・もう一度おっしゃってもらえますか?:
Could you say that again, please?
4.まとめ
現在の就職活動において、英語力はますます求められるようになっています。
必要な英語のレベルは企業によってさまざまですが、英語力と同様に自分をうまくアピールすることも大事でしょう。
英語面接がある場合にはなおさらしっかりと自己PRできるほど日頃の勉強や準備が試されるため、万全の状態で挑めるよう入念に対策することをおすすめします。

札幌育ちの学生フリーランス。普段は英語科の大学に通い、オールイングリッシュの授業でネイティブから指導を受ける。主にウェブライターとして活動し、引きこもりながら細々と生活を送る。その反面、英語のスピーチコンテストをはじめ、ディベートやディスカッション、ポエトリーや英語劇など在学中に数々の大会に参加し、奮闘の末に受賞を果たす。スピーチ原稿を書いているときに、より多くの人自分の知識や価値観をシェアハピしたいと思い、ライターとしての活動を始める。