日本では、釣りを趣味とする方も多く、休日には遠くまで釣りに出掛けるという方も多いでしょう。
日本と同様に海外でも釣りを楽しむ釣り人口は非常に多く、アメリカでは人口のおよそ10%にも及ぶと言われています。
さらに、そのうちの約30%が女性の釣り師という点にも驚かされます。
そんな海外でも大流行りの釣りを留学や旅行の際に挑戦してみたいという方も少なくありません。
今回は海外で釣りをする際に知っておくと役に立つフレーズや英単語などを中心に英会話表現について解説したうえで、海外で釣りをする際の注意点を説明します。
外国で釣りをしたいと考えている方や、実際に釣りをする機会がある場合には参考にしてみてはいかがでしょうか。
和製英語をそのまま使うのはキケン?!
釣り用語として日本でよく耳にする和製英語には、正しい英単語がそのまま用いられることもありますが、一方で英語ではその単語を使用しない場合があったり、別な意味になってしまうものまであるのです。
そのため釣りをする際についつい使ってしまうような専門用語は特に確認する価値はあるでしょう。
早速釣り用語として日本人の間で使われる和製英語を中心に対応する英語表現をチェックしていきましょう。
・「スロープ」→“boat ramp”
漁船や小型のボートなどを海や湖に降ろすための場所として整備された、水面に伸びる道路のことを一般的には「スロープ」と言います。
使用が禁止されている場合もありますが、許可されている場合であれば魚が溜まりやすいため、スロープで釣りをしたいという方も多いでしょう。
しかし、スロープ(slope)には「坂道、斜面」という意味はありますが、上記のような釣り用語としては不適切です。
その代わりに“boat ramp”を使うと正しい英語になるため、間違わないように注意しましょう。
・「ボイル」→“rise”
釣りをしているときに魚たちがエサを求めて水面に浮上する現象を、釣り用語で「ボイル」と言いますが、英語圏ではこのような言い方はしないのが一般的です。
魚は沸く(boil)ものではないため、“rise”(昇る)を使うのが正しい言い方です。
ちなみに“rise”を使う際は、自動詞なのか他動詞なのかによって使い分けが必要になりますので、注意しましょう。
後ろに目的語を取らない自動詞として使う場合には“rise”(ライズ)となり、後ろに目的語を取る他動詞として文中に使いたいなら“raise”(レイズ)となるため、文章によって正しく使い分けましょう。
ただし、釣りの際に名詞として使うなら“rise”が使われることが多い傾向にあります。
・「ストラクチャー」→“cover”
日本では釣りをする際に魚が隠れているような障害物のことを「ストラクチャー」と呼びますが、こちらも正しい英語ではありません。
英語本来のストラクチャー(structure)は、「地形」という意味にあたるため、全く別なものを指すことになってしまい、会話が噛み合わなくなってしまいます。
この場合には“cover”を使うとよいでしょう。
・「ランカー」→“lunker”(そのままでOK)
全長80cm以上にもおよぶ大きいサイズの魚のことを釣り用語として「ランカー」と言いますが、これはこのまま英語として使って問題ありません。
しかし、スペルミスで“ranker”としてしまうと、「個人的に見て記録的なほど大きい魚」というニュアンスに取られるでしょう。
これでは本来伝えたかった意味とずれてきてしまうので、発音やスペルの綴りには十分に注意しましょう。
※和製英語ではありませんが、「釣り師」と英語で言いたいときにまず思い浮かんだのが“fisherman”という方も少なくないでしょう。
しかし、“fisherman”は職務として魚を釣る仕事をしている「漁師」を指すこととなってしまうのでこれは不正解です。
正しくは、趣味や娯楽として釣りをする人を指す“angler”を使います。
・釣り用語集
タックル:tackle
竿:rod
針:hock
糸:line
リール:reel
浅場:shallow
深場:deep
杭:stakes
ボウズ(収穫無し):blank
満潮:high tide
干潮:ebb tide / low tide
潮の満ち引き:tide
岬(小規模な岬、岬の先端):point
岬(大規模な岬):cape
岬(海岸に突き出た形状の標高の高い岬):promontory
釣りで使えるフレーズ
海外で釣りをする際には同じ釣り仲間として現地に住む海外の方と英語で会話することになったり、あるいは施設の管理者をはじめとした現地の方に話しかけられる場面もあるでしょう。
挨拶などの日常会話で使うような言葉なら簡単に出てくるかもしれませんが、釣りをする場面だからこそ使う表現は使用頻度が比較的少なくなるため、なかなか思いつかないといった状況も考えられます。
そのような場面に覚えておくと便利なフレーズを紹介します。
コミュニケーションの基本!
挨拶で使えるフレーズ
挨拶については普段使うフレーズを釣りの際にもそのまま使えることが多いでしょう。
日常会話と大きな違いはないものの、念のために確認がてら押さえておきましょう。
「釣りに行こう」
→ Let’s go fishing.
挨拶ではありませんが、友人やホストファミリーを釣りに連れて行きたいときに使えるフレーズです。
“go fishing”で「釣りに行く」という表現をそのまま使えるので簡単でしょう。
「今日の調子はどう?」
→ How is it going today?
先に釣りを始めている友達に話しかける際に使ってみてはいかがでしょうか。
「がんばってね」
→ Good luck.
釣りを始めるときや会話の締めに使われることが多く、さまざまな場面で使えるフレーズです。
釣りの途中にとっさに出るひとこと
釣りが盛り上がってくると周りの友人達との会話も必然的に増えてくることでしょう。
そんなときに使いたい便利なフレーズや釣りの途中で使われることの多い会話表現をピックアップします。
「かかったぞ!」→ Fish on!
「今だ!巻け!」→ Reel it!
「○○が釣れたよ」→ I caught ○○.
何か釣れそうなチャンスが来たときや、実際に釣りあげた際に感情が入りがちなひとことです。
高まった感情を言葉としてとっさに出せるように覚えておくと便利になるでしょう。
「今日の釣りはどうだった?」
→ How was your fishing today?
「大きい魚は釣れた?」
→ Did you catch a big one?
「今日は何も釣れない…」
→ I haven’t caught any fish today. / Haven’t yet today. / I got skunked.
こちらは相手のその日の調子について聞く会話例です。
ここから会話が生まれることも多いので頭の片隅に留めておいて損はありません。
「どんなタックル/エサを使っているの?」
→ What tackle / bait do you use?
「どこでエサを買えばいいの?」
→ Where can I get bait?
仲の良い釣り仲間に対して少し踏み込んだ質問をしたい場合に使える表現でしょう。
釣りをする際の注意点
アメリカだけでなく、海外の多くの国ではライセンス(いわゆる入場券のようなもの)が必要となることとレギュレーション(釣りをするうえでのルール)を守ることの2点が海外で釣りをするうえで最大の注意点となるでしょう。
ライセンスを取得すると釣りを始められる
まず日本の釣りの仕組みと大きく異なるのが、ライセンスが必要となる点です。
ライセンスとはそれぞれの国や地域によって発行されるものであり、1日券から3日通し券、さらには年間パスポートまで幅広く用意されています。
その価格としてアメリカの場合は一般的には1日券なら20ドルから販売されており、年間パスポートなら60ドルほどとなっています。これはスーパーや釣り道具屋などの店舗だけでなく、インターネットからも購入できるようになっています。
レギュレーションに従って釣りを楽しむ
日本にも釣りを楽しむうえでさまざまなルールがあるように、海外においても釣りをするうえでのルールがレギュレーションとして表記され、これが細かく規定されていることも多いためあらかじめ確認しておきましょう。
例としては、「○○川での釣りは禁止」などといった特定の川や湖の禁漁区域やエサ釣り禁止区域が示されているほか、持ち帰っても良いとされる魚の大きさや数が決められています。
これはその年ごとの資源量に応じて変更されることもあります。
さらに淡水と海水で規定が異なる場合があるだけではなく、海域ごとに細かく管理されていることから、アメリカの同じ州でもいくつかの海域が細かく分けられています。
釣りをしたい場所ごとにレギュレーションを確認することも大切でしょう。
インターネット上からレギュレーションを確認することもできます。
英語表記のレギュレーションを十分に理解するだけでも海外において釣りをする敷居の高さを感じてしまいますが、さらに驚かされるのはレギュレーション違反者に対するペナルティーです。
レギュレーション違反者に対するペナルティー
アメリカをはじめとした海外において釣りをする際には海や川などの環境面だけでなく、魚やプランクトンなどの生態系への配慮から、レギュレーション違反者に対するペナルティーが非常に厳しくなっています。
具体的には退場を命じられるだけでなく、タックルをはじめとした釣り具を没収されたり、高額な罰金が科せられることも少なくないのです。
さらに悪質な場合には逮捕されることもあるとされています。
ちなみにアメリカではライセンス無しで釣りをしているところが管理者に見つかってしまうと、600ドル以上もの罰金が科せられると言われています。
まとめ
海外においても釣りは趣味やちょっとしたレクリエーションとして非常に高い人気を誇ります。
そのため、海外で日本と同じように釣りを楽しむこともできますが、ついつい普段使いがちな和製英語がでてしまうこともあるでしょう。
中には正しいものもありますが、間違った英語や別な意味になってしまうものもあるため、和製英語には十分に注意する必要があります。
また、釣りを楽しむためにライセンスを取得するのも忘れないようにしましょう。
ライセンスなしに釣りをしてしまったりレギュレーションを破ってしまうと、重い刑罰が下されることもあります。
トラブルがないようにルールをよく理解したうえで安全に釣りを楽しみましょう。
札幌育ちの学生フリーランス。普段は英語科の大学に通い、オールイングリッシュの授業でネイティブから指導を受ける。主にウェブライターとして活動し、引きこもりながら細々と生活を送る。その反面、英語のスピーチコンテストをはじめ、ディベートやディスカッション、ポエトリーや英語劇など在学中に数々の大会に参加し、奮闘の末に受賞を果たす。スピーチ原稿を書いているときに、より多くの人自分の知識や価値観をシェアハピしたいと思い、ライターとしての活動を始める。