英語でディベート!時事問題に強くなろう

debate

皆さんは英語でディベートをした事がありますか?

人と向かい合って話をしたり、言葉を交わしたりすることを対話と言います。

対話と言っても一対一の会話やおしゃべりから、意見交換をして話し合うディスカッション、大勢の前で話すパブリックスピーキングやスピーチもあります。

 

最近、よく耳にする「ディベート」も対話の一つです。

 

ディベートとは何らかのトピックについて肯定側と否定側に分かれてそれぞれの立場から議論し、自分の主張を述べて相手に同意したり、反論したりしながら問題を掘り下げていきます。

そして、自分の意見を戦わせてどちらの議論(チーム)がより説得力があり審判団を納得させられるかというスタイルで行われ、判定してもらいます。

日本でも、「ディベート甲子園」という選手権があり、“日本はフェイクニュースを規制すべきである。是か非か”などといった論題で中学生や高校生がディベートをしています。

また、日本でも英語を使ったディベートの全国大会が開催されています。

当日、論題の発表があり、そこから準備が20分間。そして、試合開始というのですから、即興で自分の意見を準備し、相手に納得させる説得力のある論議をしなければなりません。

普段から、さまざまな分野についての論理的思考力を持ち合わせることが大事と言えるでしょう。

 

今回はそんなディベートについて詳しくお話ししていきます。

 

 

ディベートとは?

ディベートとは公的なトピックを扱い、異なる立場の者が意見を戦わせるため政治(大統領候補討論会、党首討論など)や司法の場で行われることもあれば、学校などの教育機関で行われる教育ディベートもあります。

 

原則として、ディベートもディスカッションも公的な問題について議論するため厳密な区別なく行われていることが多いですが、ディベートは意見対立が前提としてあります。

また、ディスカッションと違ってディベートの場合、第三者に議論のジャッジをしてもらうことになります。

ディベートに不可欠と言われるものに、自分の論理を構成し伝達する力だけでなく、相手の主張を客観的に分析する力です。これを”批判的思考力”と呼びます。

 

教育機関で行われるディベートはアカデミックディベートとも呼ばれ、アーギュメント力(明確な理由を述べて説得する)が養われます。

教育ディベートには、中学や高校の授業、クラブ活動で生徒同士の間で行われる身近なものから、英国のケンブリッジ大学やオックスフォード大学等で主催されている各種ディベート大会まで様々です。

ディベートを行なうことにより、論理的思考力・創造的思考力・批判的思考力を鍛えることができると言われているのです。

 

また、ディベートにはいくつものルールがあります。一部、ご紹介します。

・非礼行為を慎む
・時間を守る
・根拠に基づく主張
・反論は相手の主張の直後にする
・証拠に関するルール

5番目の証拠に関するルールについては、捏造してはならないことはもちろん、その証拠の出どころにも決まりがあります。

主張者以外の誰もが入手可能なものであるというポイントです。

証拠として資料を引用する場合、著者、著者略歴、文献名や出版社などの内容を述べ、原文のままに引用しなければなりません。

あくまでも、自分の主張を正当化するための資料という観点です。

 

ディベートの題材と英語

ディベートの構成と流れ

ディベートは気軽な友人同士のチャットと違い、社会問題等を主題として対話します。

限られた時間内に自分の意見の正当性を主張し、反対側の意見を説得して反論しなければなりません。

ディベートを行うにあたって大切なことは、

・論理的に物事を考えて分析する力
・自分の意見を相手に説得する力
・社会問題に対する知識

等があげられます。

ディベートで自分の意見に説得力を持たせるには、論理的に理路整然と主張する必要があります。

そのため、正統な根拠となる膨大なデータや証拠、社会問題に関する深い知識と洞察力、そして発信力が問われます。

また、英語でディベートするとなれば当然英語のコミュニケーション能力(スピーキングやリスニング)、英語のデータを調べるために必要な英文の速読速解力も鍛えなければなりません。

このように解説をすると、ディベートは難しいという印象を持つ人も多いでしょう。

しかし、欧米では子どもたちも小さいころからディベートをしています。

ディベートを取り入れるのは、批判的思考を養い、自信をつける、公で意見を言う能力を伸ばすといった多くのメリットがあるためです。

他にも、相手の意見を聞くスキルや思考力を伸ばすといったものがあります。

 

その論題を紹介しましょう。

 

Can we replace teachers with computers?
先生の代わりにコンピュータを使えるか。

 

Are zoos beneficial to animals in any way?
何かしらの点で、動物園は動物にとって良いのか。

 

Is there a need to have junk food in the school cafeteria?
給食にジャンクフードをおく必要があるか。

 

これらは子どもの生活に関わるものであり、興味をもってディベートできるように配慮されています。

実践に次ぐ実践で経験を積み、子どもたちのディベート力が小さいころから鍛えられていきます。

 

ところで、私たちは人と意見を交わすとき、その妥当性に欠けることがあります。

例えば、直感的に好き嫌いで判断して意見を述べたり、社会通念に照らし合わせて他人を説き伏せようとしたりします。

納得のいく説明もなく結論を述べ、勝手な解釈や感情論で主観的に評価をしてしまいます。

主観や倫理観に基づいた判断で、明確な「理由」がない傾向が多いのです。

欧米では家庭や学校でディスカッションやディベートをする機会が多く、きちんとした理由を述べるように訓練されていますが、目上の者や教師に従うのが当たり前、和を重んじる精神を大切にしている日本では、ほとんどこのような機会がありません。

 

ディベートをする上で大切なことは、前述したように論理的に理路整然と話す能力です。

具体的に言えば、まずポイント(重要な考え)を述べます。

それから具体例を挙げて説明・サポート(例証)を述べます。

英語では、まず結論やYes、Noがきて、その後にその理由などの説明がありますね。

ここが日本語の構成とは違う点であり、ディベートに関しては英語の流れを意識すると良いと言えます。

日本語で話すときの要領で、しかもディベートに慣れていない人は主題やそのポイントから外れ、その後も具体例を挙げたサポートになっておらず、話者は一体何を言いたいのか理解できない、分かりにくいといったケースがよく見られます。

質問に対して的確に、ダイレクトに答えていない場合もあります。これらに注意しながらディベートを行いましょう。

 

ディベートで扱われる時事問題について

ディベートで扱われる時事問題は、下記のようなものがあります。

ビジネス・経済、サイエンス・テクノロジー、
教育・学校、健康・医学、ジェンダー問題、
環境問題、メディア、政治・国際関係、
法律・犯罪、その他

 

ビジネス・経済

ビジネス・経済関連では、国の経済状況と影響(不況等)、失業率、雇用制度や定年退職、高齢化、外国人労働者などのトピックがあります。

日本では定年退職制度や年功序列、海外では年俸や能力給制などが特徴となっています。また、最近では就職しない若者やニートの問題も扱われています。

 

サイエンス・テクノロジー

サイエンス・テクノロジー分野の発展はめざましいものがあります。そのため、最新の動向を押さえておく必要があります。

遺伝子工学ではクローン問題、宇宙開発、情報産業(IT)におけるインターネットの役割と規制、コンピュータゲーム、テクノロジー、原子力発電、ロボット工学などがあげられます。

 

教育・学校

教育や学校の問題は社会的な背景が原因となって影響を及ぼしています。特に青少年の非行はその原因と対策がとても重要です。

そのほかには道徳教育をはじめ、英語教育やゆとり教育、飛び級、大学制度、Eラーニング、ホームスクーリングなどがあります。

 

健康・医学

この分野でよく取り上げられるのは臓器移植や安楽死、終末医療、代替医療、喫煙、ストレス、心の問題、ダイエット、ベジタリアンなどについてです。

 

ジェンダー問題

ジェンダー問題とは具体的に言うと、夫婦別姓制度などのことです。日本ではほとんど夫婦が同じ姓を名乗っていますが、ほとんどの女性が婚姻時に夫の姓を選択しています。

女性の社会進出に伴って夫婦別姓制度を望む女性が増えてきたことが背景となります。

 

環境問題

ここでは、グローバルウォーミングや生態系などの環境保全、リサイクリングやごみ処理問題、絶滅危惧種や動植物の保護などが主なトピックになっています。

そのほかにも、エコツーリズム、サマータイム、災害問題など多岐に渡っています。

 

メディア

メディアの社会問題と言えば倫理問題が取り上げられます。

著名人のプライバシー保護、メディアバイオレンス(テレビや映画)、タバコの広告問題、インターネット、社会を反映する世論形成などです。

 

政治・国際関係

政治と国際関係では政治問題を始め、世界平和と国連の役割、テロ対策、核兵器(大量破壊・殺戮兵器)などがあります。

また、先進国と発展途上国との関係や世界の民族・宗教問題、戦争と暴力、格差社会などの危機管理や政府の役割等があげられます。

 

法律・犯罪

法律や犯罪問題で特に社会的な論争になっているのが死刑制度や銃規制です。

最近ではネットの普及に伴って増加した、サイバー犯罪や麻薬問題が重要になっています。

 

その他

社会問題として取り上げられる主なトピックは上述した以外では、高齢化に伴う人口・社会問題、医療や社会保障、税制問題、伝統・大衆文化、スポーツ、オリンピックなどが扱われています。

 

ディベートで使う英単語とフレーズ

ディベートではスピーキング力が必要になってきます。

スピーキングには以下のように2通りの語彙の使い方があります。

 

(1) インフォーマル・日常会話:
話し言葉(spoken English words)

(2) フォーマル・アカデミックな会話:
書き言葉(written English words)

 

I think:思う・考える

(1) expect/ imagine/ guess/ feel/ suppose/ believe/ doubt/ realize/ reckon/ wonder

(2) hold/ assume/ presume/ speculate/ infer/ estimate/ conceive/ surmise/ project

 

I say/speak/tell/talk:言う・話す

(1) mean/ express/ ask/ mention/ repeat/ report/ reveal/ suggest/ call/ name

(2) discuss/ state/ imply/ allude/ claim/ argue/ declare/ announce/ describe/ refer

効果的にディベートをするために必要な英語表現を以下にご紹介します。

話を展開する上で大切な因果関係、逆説、追加、強調、仮定、比較など文と文を繋ぐ大切な接続表現です。

 

因果関係

Thanks to ~/ Due to ~/
Owing to ~/ Because of~

(~のおかげで、~のため)

Accordingly/ Consequently/
Thus/ Therefore

(それゆえ、従って)

Since/ As/ Because
(~なので、なぜならば)

 

逆説

But/ Yet/ Still
(しかし、しかしながら)

However/ Nevertheless
(それにもかかわらず)

Regardless of ~ /Irrespective of ~
(~にもかかわらず)

On the other hand
(しかし、他方では)

On[To] the contrary
(それどころか)

 

追加

Furthermore/ Moreover/
In addition/ Besides

(さらに)

Specifically
(具体的に言うと)

Incidentally
(ちなみに)

 

強調

Clearly/ Obviously/ Apparently
(明らかに~である)

It is clear [obvious/
apparent/ evident] that ~

(明らかに~である)

In fact [reality, actuality, effect]/
Actually/ As a matter of fact

(実際は)

The reality is ~
(実際は)

The fact is ~/ The truth is ~
(実は~)

The problem is that ~
(困ったことは~)

The biggest concern is ~
(最大の関心は)

The crux of the matter is ~
(問題の核心は~)

Our top priority is ~
(最優先事項は~)

To say nothing of ~/ Not to mention/
Let alone/ Needless to say

(~は言うまでもなく)

 

仮定

Supposing [Suppose] that ~
(もし~ならば)

Providing [Provided] that ~
(もし~ならば)

Granting [Granted] that ~
(仮に~としても)

Given that ~
(~と仮定すると、~であるとすれば)

Considering that ~
(~を考慮すると)

Judging from ~
(~から判断すると)

As long as S + V
(~である限りは)

Once S + V
(一度~すると、~するやいなや)

 

比較

Apart from ~
(~はさておき)

Compared with ~
(~と比べて)

Unlike ~
(~と違って)

In contrast to ~
(~とは対照的に)

By [In] contrast
(対照的に、比較して)

By comparison
(比較すると)

 

海外のディベート事情

海外でディベート部はあるの?

海外では国にも寄りますが、中学や高校、大学等でディベート部があります。

例えば、イギリスでは学校の授業でさまざまなトピックを題材にディベートを行っています。

冒頭でも述べたように教育(アカデミック)ディベートが盛んで、クラブ活動としてディベートを行なっているのです。

大学などの高等教育になると、さらにアカデミックでソーシャルな活動をしている大学があり、英国のケンブリッジ大学やオックスフォード大学等では各大学のユニオンがディベート大会を開催しています。

 

意見を英語で言うメリット

英語ディベートの大きなメリットを3つ紹介しましょう。

 

1 英語力が総合的にあがる
2 思考力アップ
3 プレゼンテーションスキルのアップ

 

ディベートだからスピーキングだけということではありません。

主張のための準備でライティング力、資料を読むリーディング力、相手の主張を聞き取るリスニング力、これら総合的な英語力が必要となります。

普段、論理的思考をあまりしない人でも、ディベートによってその機会を得る、表現力のスキルで大学や職場でのプレゼンテーションなどがうまくなっていく、などさまざまなメリットがあるのです。

英語で意見を言ったりディベートしたりするメリットは、英語を話せるようになることはもちろん、自分の価値観や視野が広がります。

日本以外の国の人と交流し、文化や習慣などを理解・体験することで、日本の常識や価値観に捉われず違いを受け入れられるようになります。

 

すると、今までの周囲の意見や視線を気にして生きてきた人も、自分と他人の価値観の違いを受け入れ、人と比較して落ち込むこともなくなり、幸せを実感することができるようになります。

また、英語が話せるようになると職業選択が広がり、自分のなりたい職業や夢に近づくことができます。ビジネスチャンスも広がるでしょう。

 

まとめ

英語でディスカッションやディベートというと難しいイメージがありますが、まずは英語を話せるようになるためにコミュニケーション力(スピーキング・リスニング)を養うことが前提としてあります。

英語が話せるようになると可能性が広がりますので、英語の勉強を頑張って続けていきましょう。

 

ネイティブキャンプの教材にはディスカッションができる教材があります。

「5分間ディスカッション」

「トピックトーク」

「ニュース・上級」

などは、自分の選んだテーマについて講師とディスカッションすることができますので、自信がないという人はあらかじめ言いたいことをまとめたり、単語を調べておくなどして予習するといいでしょう。

もちろん日本人講師とのレッスンで、この3つの教材を使うのもオススメです。
言いたいことに詰まった時、その場で日本語で質問できるのは心強いですよね。

自分のレベルにあった方法で、ぜひチャレンジしてみてください!