近年、海外で「子ども」に関わる仕事を目指す日本人に人気を集めているのが、
保育留学(チャイルドケア留学)です。
異文化の中で子どもたちと触れ合いながら、保育スキルや語学力を高められるため、キャリアアップにもつながると注目されています。
特に保育士や幼児教育に興味がある方にとって、実践的な学びの場となるでしょう。
本記事では、日本人留学生に人気の保育留学(チャイルドケア留学)について詳しく解説します。
- 保育留学(チャイルドケア留学)とは
- 保育留学(チャイルドケア留学)をするメリット
- 保育留学(チャイルドケア留学)がおすすめな人
- 保育留学(チャイルドケア留学)におすすめの国
- おすすめの保育留学方法・プログラム例
- まとめ
保育留学(チャイルドケア留学)とは
「子どもの成長に関わる仕事がしたい」「海外で専門スキルを身につけたい」など、
保育留学(チャイルドケア留学)は将来の可能性を広げ、グローバルな感覚を身につけられる留学スタイルとして注目を集めています。
しかし、「具体的にどんなことが学べるの?」「どんな資格が取得できるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか?
ここでは、保育留学の基本情報と、学べる内容や得られるスキルについて詳しく紹介します。
チャイルドケアと幼児教育の違いとは?
チャイルドケア(Childcare)とは、子どもたちの「生活全般」を支えるケアを中心とした保育を指します。
一方、幼児教育(Early Childhood Education: ECE)は、子どもの発達段階に応じた「学び」や「教育」を重視する点が特徴です。
これらは国によって定義が多少異なりますが、一般的に以下のような違いがあります。
項目 | チャイルドケア | 幼児教育 |
主な目的 | 日常生活のケア、子どもの健全な生活の保障、保護者の就労支援 | 教育的な発達の促進、就学に向けた準備 |
活動内容 | 食事、睡眠、遊びのサポート | 読み書き、数の概念、社会性の育成 |
提供場所 | デイケア(保育園)、ホームデイケアなど | プリスクール、幼稚園など |
留学先によって保育内容で重視される点が異なるため、自分の目的に合った国やプログラム選びが大切です。
保育留学で学べる内容と実習の例
保育留学では、座学と実習を通して、子どもの成長を支えるための専門知識と実践的なスキルをバランスよく学びます。
国やプログラムによって特色は異なりますが、一般的に学ぶ内容は以下の通りです。
・子どもの発達心理学(乳幼児期の発達段階と特徴)
・保育理論・教育カリキュラム(モンテッソーリなど)
・遊びを通じた学びの理論と実践
・健康管理、安全対策、応急処置
・栄養学と食育
・多様な文化背景を持つ子どもへの対応
・保護者とのコミュニケーション・連携方法
・幼児教育・保育関連の法律
また、座学で学んだ知識を実践する場として、日本でいう保育園や認定こども園にあたる施設で保育実習を行います。
実習を通じて、異文化環境での対応力や実践的な保育スキルを身につけられます。
どんな資格やスキルが得られる?
保育留学を通じて得られる資格やスキルは多岐にわたり、将来のキャリア形成に大きな影響を与えます。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
・チャイルドケア関連の資格
・ファーストエイド(応急処置)認定証
・実践的な英語力
特に英語力は、子どもたちや保護者とのコミュニケーションだけでなく、異文化間での理解を深めるうえでも欠かせません。
また、現地での保育経験は、国内外での就職・転職活動時にも大きなアピールポイントになるでしょう。
保育留学(チャイルドケア留学)をするメリット
普通の語学留学とは異なる魅力のある保育留学(チャイルドケア留学)ですが、具体的にどのようなメリットがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか?
ここでは、保育留学を通じて得られる具体的なプラスの側面について詳しく解説します。
日本とは異なる海外の保育を学べる
保育留学の大きな魅力は、日本の常識にとらわれない多様な保育のあり方を学べる点です。
日本ではまだ広く普及していない、または異なるアプローチで実践されている教育法に触れられる貴重な機会となります。
たとえば、以下のような教育法を学べます。
・モンテッソーリ教育:子どもの「自己教育力」を高める考え方
・シュタイナー教育:子どもの発達段階に合わせたプログラムの実践
・レッジョ・エミリア・アプローチ:個性を引き出し探究心を育てるアプローチ
また、海外の保育は「自主性」や「個性の尊重」を重視しており、集団行動や協調性を重視する日本の保育スタイルとは異なります。
この違いを実際に体験することで、柔軟な対応力やグローバルな視点を養えます。
現地での実務経験がキャリアに活きる
保育留学の大きなメリットは、現地のデイケアセンターや保育園などで実際に働きながら、実務経験を積める点です。
この経験を通じて、実践的な英語力はもちろん、異文化環境での保育対応力やチームワークスキルも身につきます。
海外での実務経験は履歴書において強力な差別化ポイントとなり、グローバル志向の保育施設でも高く評価されるでしょう。
現地就職につながる可能性がある
保育留学を通じて高い英語力と実務スキルを身につければ、そのまま現地就職へつながるチャンスもあります。
特にカナダやオーストラリアでは、以下のような流れが一般的です。
・現地の保育園・幼稚園でインターンシップを経験する
・勤務態度やスキルが評価され、正式雇用のオファーを受ける
・就労ビザに切り替えて現地就職を実現する
特に保育士不足が深刻な国では、留学生にも正式雇用のチャンスが広がっています。
ただし、国によってビザ制度や雇用条件が異なるため、事前にしっかりと情報収集しておくのがおすすめです。
永住権を取得できる可能性がある
一部の国では、保育士の職種が人材不足リストに含まれており、現地就職を経て永住権取得への道が開ける可能性があります。
特に移民を積極的に受け入れているカナダやオーストラリアでは、保育士は社会的に需要の高い専門職とされています。
永住権申請までの一般的なプロセスは、以下の通りです。
1.現地の保育士資格を取得し、一定期間の就労経験を積む
2.永住権の申請要件(年齢、英語力、学歴、職歴など)をクリアする
3.永住権を申請する
特にカナダでは、保育士を含む「ケアギバー」としての経験が永住権取得において大きなプラス要素になります。
長期的なキャリア設計や海外移住を目指す方にとって、保育留学は非常に魅力的といえるでしょう。
保育留学(チャイルドケア留学)がおすすめな人
保育留学(チャイルドケア留学)は、海外で子どもに関わる仕事がしたい人や、グローバルに活躍して将来的に海外移住を目指している人にとって、非常に魅力的な選択肢の1つです。
しかし、保育留学という選択が「自分に本当に向いているのか」と迷う方もいるかもしれません。
ここでは、保育留学がおすすめな人の特徴について詳しく紹介します。
子どもが好きな人
子どもが好きな人にとって、保育留学は非常にやりがいのある経験になります。
異文化の中で子どもたちの笑顔や成長を間近でサポートでき、日々の小さな関わりが大きな喜びにつながります。
また、保育留学を通じて多様な個性や背景を持つ子どもたちと関わりながら専門知識を学ぶことで、「好き」という気持ちを実践的なスキルで裏付け、より質の高い保育を提供できるようになるでしょう。
海外の教育・子育て文化に興味がある人
「海外の教育方法や子育て文化についてもっと知りたい」という知的好奇心が旺盛な方には、保育留学は最適な留学スタイルです。
日本では当たり前と思われていることも、国が変わればまったく異なるアプローチがあることに驚くでしょう。
たとえば、モンテッソーリを始めとした特定の教育法や、多文化共生を前提とした保育カリキュラムなど、さまざまな価値観や保育観を深く理解する貴重な機会となります。
異文化に触れ比較する中で、教育や子育てに対する視野が大きく広がり、自分自信の価値観もより豊かになります。
グローバルに働きたい・海外移住したい人
将来的に海外で保育士として働くことや、海外移住を視野に入れている方にとって、保育留学は非常に効果的なステップの1つです。
多くの国では、保育士として働くために現地の資格が必要となるため、保育留学プログラムの中にはその国の資格取得を目指せるコースが豊富に用意されています。
また、現地の保育現場で実習やインターンシップを経験できるプログラムも多く、実務経験を積むことで現地就職や永住権申請へのキャリアパスを描ける可能性が高くなります。
保育士資格をすでに持っていてスキルアップしたい人
すでに保育士資格を持っている方にも、保育留学はスキルアップの絶好の機会といえるでしょう。
日本の保育現場で培った経験をベースに、海外の保育理論を学び、現場での実務経験を積むことで、自身の専門性をさらに高められます。
また、グローバルな感覚を持った保育士としてアピールできるため、日本帰国後もプリスクールやインターナショナルスクールなどの英語保育施設で働くチャンスが広がります。
保育留学(チャイルドケア留学)におすすめの国
保育留学を成功させるためには、渡航先選びが非常に大切です。
国によって保育士の需要やビザ制度、就労チャンスなどが大きく異なるため、自分の目的に合った国を選ぶことが、留学後のキャリアにも直結します。
ここでは、仕事の見つけやすさやビザの取りやすさといった観点から、保育留学におすすめの国を紹介します。
オーストラリア:保育士不足で需要の高い国
オーストラリアは共働きが多い一方で、保育士不足が深刻な課題となっており、保育施設だけでなく、オペアを必要としている家族も数多くいます。
政府も保育士の人材確保に力を入れているため、留学生にとっても就職のチャンスが多い国です。
オーストラリアのチャイルドケア資格を取得すれば、現地で働ける可能性も高まります。
また、ワーキングホリデービザでも保育園勤務やオペアが可能なため、比較的柔軟な留学プランを立てられる点も大きな魅力です。
カナダ:永住権の取得も視野に入る魅力的な環境
オーストラリア同様に保育士の需要が高いカナダは、質の高い幼児教育(Early Childhood Educator:ECE)で知られ、留学生の受け入れにも積極的な国です。
特に、将来的な海外移住も考えている人にも人気があり、州によっては永住権申請が可能になるプログラムも整備されています。
また、カナダの多くの学校では、Co-op(有給インターンシップ)プログラムを導入しており、実務経験を積みながら収入を得られる点も大きな魅力です。
アメリカ:長期滞在しながら働きたい人に人気
アメリカはオペア専用のビザが発行でき、最長で2年間滞在できるという点が魅力です。
ワーキングホリデー制度がない国のため、アメリカで働きながら長期滞在を目指す人に人気のプログラムとなっています。
オペアプログラムに参加するにはJ-1ビザの取得が一般的であり、年齢や英語力、保育経験などの申請条件をクリアする必要があります。
おすすめの保育留学方法・プログラム例
保育留学には、資格取得を目指す本格的なコースから、語学力も同時に高められる短期間の体験プログラムまでさまざまな方法があります。
自分の目的や留学期間、予算に合わせて最適なプランを選ぶことが重要です。
ここでは、おすすめの保育留学方法や、代表的な留学プログラム例について詳しく紹介します。
おすすめの保育留学方法3選
保育留学にはさまざまなスタイルがありますが、特におすすめなのがボランティア、インターンシップ、オペアの3つです。
以下、それぞれの主な活動内容を紹介します。
・ボランティア:保育園や児童施設で無給サポートを行います。
特別な資格が不要な場合も多く、気軽に社会貢献や異文化交流を体験したい方に最適です。
・インターンシップ:実習型プログラムで保育施設に勤務し、実務経験を積みます。
ボランティアよりも実践的なスキルが身につき、職務経験として履歴書にも記載できます。
・オペア:現地の家庭で住み込みながら子どもの世話を手伝う代わりに、滞在費や生活費をサポートしてもらうプログラムです。
オペア専用のビザが必要な国が多いため、事前にしっかり情報収集をしておきましょう。
自分の目的や英語力に応じて、最適なプログラムを選ぶことが成功への近道です。
語学+保育ボランティア
語学学校で英語を学びながら、チャイルドケア施設でのボランティアに参加するコースは、初心者に人気の高いプログラムです。
英語力に自信がない方でも、まずは基礎をしっかりと固めたうえで、実践的な保育経験を積めます。
また、語学学校が運営するチャイルドケアセンターでボランティア受け入れを行っていることも多く、自分で保育施設を探す手間がかからない点も大きな魅力です。
専門学校や短大での資格取得型プログラム
海外で保育士として働くことを目指す方や、専門知識とスキルを体系的に学びたい方には、現地の専門学校や短期大学(コミュニティカレッジなど)で資格取得を目指すプログラムがおすすめです。
国や州が認定する保育士資格を取得できるため、卒業後に就労ビザを申請できるケースも多く、将来的に永住権申請へつながる可能性も高い方法といえるでしょう。
ただし、高額な学費がかかる場合があることや、入学時に一定レベル以上の語学力が求められるため、比較的難易度の高い留学スタイルとなります。
ワーキングホリデーを活用したチャイルドケア体験
ワーキングホリデー制度を利用すれば、語学学校に通いながら、チャイルドケア施設やオペアとして働くことが可能です。
生活費を現地で稼ぎながら滞在できるため、費用を抑えた留学が実現できます。
ただし、国によってビザの期間や就労条件が異なるため、事前にしっかりと確認することが重要です。
まとめ
本記事では、保育留学(チャイルドケア留学)のメリットや留学先におすすめの国、具体的な留学プランについて紹介しました。
海外で子どもたちと関わりながら学び、実践的なスキルを身につけられる保育留学は、将来のキャリアや可能性を大きく広げてくれる貴重な経験となります。
渡航先や留学プランによって得られるチャンスも異なるため、自分の目標に合った留学スタイルを選ぶことが大切です。
保育留学を検討している方はぜひ本記事を参考にして、理想の留学プランを見つけてくださいね!

◇経歴
・英米文学科卒業
・George Brown College卒業(カナダ・トロント)
・カナダ現地のパティスリーにてパティシエとして働く
・現在はWebライターのほか、SNS運用やコンテンツクリエイターとして活動しています。
◇資格
IELTS General 6.0
◇留学経験
・ニュージーランド(2週間)
→高校留学でホームステイ体験
・カナダ(13年)
→ワーキングホリデー→カレッジ留学→現地就職→永住権取得
◇海外渡航経験
長期滞在:カナダ、韓国(3ヶ月)
旅行:ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、
イタリア、タイ、インドネシア、シンガポールなど
◇自己紹介
英語学習や留学に関する記事を書いているWebライターです。
幼少期から英語や海外に興味があり、子ども英会話教室に通ったり、ニュージーランドへ短期留学したり、大学は英米文学を専攻したりと英語に関わる人生を過ごしてきました。
現在はカナダ在住13年め、海外で子育て奮闘中です。
英語学習や海外生活に興味のある方に、役立つ情報をお届けできたらと思っています。どうぞよろしくお願いします!