
タガログ語はフィリピンで使われている言葉のひとつで、
フィリピン語(フィリピノ語)とも呼ばれます。
日本人にとってあまり聞き馴染みのない言語かもしれませんが、実は日本語とちょっと似ている部分もあり、知れば知るほど面白い言語です。
今回の記事では、そんなタガログ語の詳細をご紹介!フィリピンの言語事情をはじめ、日本語との共通点等について紹介していきます。
フィリピンに興味のある方や、語学好きな方はぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
- フィリピンの言語事情
- タガログ語とは?特徴を紹介
- タガログ語と日本語は似てる?共通性を紹介
- タガログ語を効率的に勉強する方法とおすすめの教材
- おすすめのタガログ語・日本語翻訳アプリ3選
- 知っておくと便利なタガログ語フレーズ
- まとめ
フィリピンの言語事情
7,000以上の島々で構成されるフィリピンには、約180の言語が存在すると言われており、地域によって話される言語は多様です。
国全体で通じる言語としては、国語である「フィリピン語(主にタガログ語がベース)」と、第二公用語の「英語」があります。
第二公用語である英語は、教育やビジネスの場で広く使われており、フィリピンは世界有数の英語話者人口を持つ国としても知られています。
近年ではフィリピンへの語学留学が人気を集めており、日常会話をはじめビジネス英語や英語資格対策など様々な留学が可能です。
学校教育やビジネス、政府機関、メディアなどでは英語が使われることが多い一方で、家庭や日常生活ではタガログ語が主に使われています。
タガログ語の特徴については、後ほど詳しく解説していきますね。
フィリピンで使われている言語は約180個にものぼる
約180の言語が存在すると言われている、フィリピンで使われている言語の一部が以下です。
■ タガログ語
主にルソン島中南部で話されており、フィリピンの国語「フィリピン語(Filipino)」の基礎にもなっている言語です。首都マニラ周辺で広く使われています。
■ セブアノ語
ビサヤ地方を中心に使われている言語で、セブ島をはじめとする中部フィリピンで広く話されています。母語話者数はタガログ語に次いで多いと言われています。
■ イロカノ語
ルソン島北部で使われている言語で、北イロコス州、南イロコス州などで日常的に話されています。
■ ワライ語
レイテ島やサマール島など、ビサヤ地方東部で話されている言語です。セブアノ語と似ている点もありますが、独自の文法や語彙があります。
タガログ語とは?特徴を紹介
前述した通り、フィリピンの公用語であるフィリピン語はタガログ語をベースに発展した言語で、主に教育、メディア、政府機関などの公的な場面で使用されています。
全国的に通じる共通語としての役割を持ちながらも、日常会話でも広く使われており、特に首都圏マニラを含むルソン島中南部では、母国語として話す人も多く見られます。
タガログ語は発音が比較的シンプルなのが特徴で、子音と母音の組み合わせで成り立っています。
ほとんどローマ字読みができるので、日本人にとって学びやすい言語でもあります。
実は日本語との共通点も多い言語です。
| 特徴 | 内容 |
| 話者の数 | 2,200万人(第2言語としては5,000万人) |
| 主に話されている地域 | 首都マニラを含むルソン島南部 |
| 文字 | アルファベット |
| 母音 | 5個(a, e, i, o, u) |
| 子音 | 16個 |
タガログ語と日本語は似てる?共通性を紹介
以下の教材から、自身の学習レベルにあったタガログ語教材を選んでください。
以下では、タガログ語と日本語の共通性について4つの観点から紹介します。
タガログ語と日本語の共通性:発音
タガログ語の発音は、日本語に似た音が多く含まれており、日本語との共通点が多いのが特徴。
母音は「a・e・i・o・u」の5つが基本で、日本語と同じく明瞭でシンプルな音が中心です。
子音も日本語の音に近いものが多く、英語のように難しい発音や強いアクセントはあまりありません。
例えば、「ありがとう」を意味する「salamat(サラマッ)」や、「夜」を意味する「gabi(ガビ)」など、そのままローマ字読みをすれば良い単語も多く、日本人にとって発音しやすいものが多いです。
タガログ語と日本語の共通性:発音と意味が似ている単語
タガログ語には、日本語と偶然にも発音や意味が似ている単語があります。
■ awa(アワ)
「awa」は「慈悲」「哀れみ」「同情」を意味する単語です。
フィリピンには「Awa ng Diyos(神の慈悲)」という表現があり、困難な状況にあるとき、希望や助けを願う意味で使います。日本語の「哀れ」「哀れむ」と音や意味が近く、覚えやすい単語です。
■ kawawa(カワワ)
「awa」に接頭辞「ka-」と重複形「wa」がついた形で、意味は「かわいそう」「気の毒」です。
日本語の「かわいそう」と音も意味も似ており、これも日本人にとって覚えやすい単語です。
タガログ語と日本語の共通性:語構成
続いて、単語の構成を見ていきましょう。
日本語と同じように、タガログ語も接頭辞や接尾辞、繰り返しなどを使って語を作ることがあります。
例えば、「aral(学ぶ)」に接頭辞「mag-」をつけると「mag-aral(勉強する)」になります。
これは、日本語の「勉強」+「する」のような感覚に近いです。
■ Mag-aral(勉強する)
→ aral(学ぶ)に接頭辞「mag-」をつけて動詞化。
・日本語の「勉強する」に似ています。
■ Pagkain(食べもの)
→ kain(食べる)に「pag-」と「-an」をつけて名詞化。
・日本語の「食べもの」に相当する単語です。
■ Tulog(眠る) → matulog(眠る・寝る)
→ 接頭辞「ma-」をつけて状態や可能性を表す動詞に変化。
■ Lakad(歩く) → maglakad(歩く、歩いていく)
→ 「mag-」で動詞の強調や動作を示す。
■ Bili(買う) → bumili(買った)
→ 接頭辞「um-」をつけて過去形や完了形に変化。
タガログ語と日本語の共通性:イメージ的に似た単語
言葉の持つイメージや感覚が、日本語とタガログ語で似ていることもあります。
例えば、タガログ語の「tulog(眠る)」は、音の響きからもやわらかく眠たげな印象を受ける言葉です。
日本語の「うとうと」や「すやすや」といったオノマトペと共通する感覚があり、感情や状態を表す言葉にも親しみやすさを感じられます。
■ Naku(意味:ああっ!/しまった!)
驚きや困ったときに出る感嘆詞で、日本語の「泣く」や「なぬっ」「なんてこった」といった感嘆に近い響きがあります。
■ Kuskos(意味:擦る)
鍋の底や衣服などを擦るときに使われる言葉です。
「ごしごし」「擦る」などの日本語の擬音語と感覚が近く、動作がイメージしやすいです。
■ gasgas(意味:擦れる、すり傷)
ものの表面が擦れて傷つくことを指します。
「ガサガサ」や「擦る」といった日本語の表現とも結びつきやすい単語です。
タガログ語を効率的に勉強する方法とおすすめの教材
以下では、タガログ語を効率的に勉強する方法とおすすめの教材を紹介します。
まずは発音と似ている単語から覚える
タガログ語学習の第一歩として、まずは発音のルールと日本語と似ている単語から覚えましょう。
タガログ語の発音は一部の例外を除けば基本的にローマ字読みに近く、日本人にとって比較的取り組みやすいものが多くあります。
例えば、「Mabuhay(マブーハイ)」のように、スペルと発音がある程度一致するものから覚えていくのがおすすめです。
上記のような単語から学習していけば、心理的ハードルを下げてスムーズにタガログ語を覚えられます。
文法は語順の違いに注目する
単語と発音に慣れてきたら次に文法の学習へ進みますが、日本語との語順の違いに注意しましょう。
タガログ語の文法が難しいと感じる要因は、語順の根本的な違いにあると言っても過言ではありません。
日本語の基本的な語順は「主語→目的語→動詞」で、「私(主語)はパン(目的語)を食べます(動詞)。」となります。
一方、タガログ語の基本的な語順は「動詞→主語→目的語」となります。「Kumakain(食べます/動詞)ako(私/主語)ng tinapay(パンを/目的語)。」のように動詞が文頭に来る流れです。
また、タガログ語には焦点(フォーカス)と呼ばれる独特の概念がある点が特徴です。タガログ語では、動詞が主語・目的語のどちらに焦点を当てているかによって形態が変わる仕組みになっています。
おすすめの日本人向けタガログ語教材
以下では、おすすめの日本人向けタガログ語教材を3つピックアップしてまとめました。
| 教材名 | 出版社 | 特徴 |
| 大学のフィリピノ語 | 東京外国語大学出版会 | 文法説明・会話文・練習問題を収録し、文章作成や音読練習に適していて辞書代わりとしても活用可能 |
| フィリピン語が1週間でいとも簡単に話せるようになる本 | 明日香出版社 | 短期集中型でネイティブ音声つきであり、暗記不要の会話フレーズ中心で付録単語集が充実 |
| 旅の指さし会話帳14 フィリピン | 情報センター出版局 | カラフルイラストと4,000語以上が収録された会話帳であり、旅行時のコミュニケーションに最適で日本語・タガログ語の相互学習が可能 |
上記の教材から、自身の学習レベルにあったタガログ語教材を選んでください。
おすすめのタガログ語・日本語翻訳アプリ3選
以下では、タガログ語学習やフィリピン旅行におすすめの日本語翻訳アプリを3つ紹介します。
Google翻訳
最初に紹介するのは、翻訳アプリの代名詞とも言えるGoogle翻訳です。
数あるアプリの中でも対応言語の多さと翻訳精度の高さは群を抜いており、タガログ語と日本語の翻訳も安定して行えます。
Google翻訳の強みは、翻訳機能の豊富さです。
スマホのカメラをかざすだけで画像内のタガログ語を日本語に翻訳してくれるカメラ翻訳機能は、レストランのメニューを読む際に役立ちます。また、音声翻訳機能も搭載しており、タガログ語での会話も日本語に翻訳が可能です。さらに、学習者にとって嬉しいのがフレーズブック(単語帳)機能です。調べた単語や覚えておきたい表現を星マークで保存しておけば、自分だけのオリジナル単語帳として復習に活用できます。
オフライン翻訳機能も備えているため、インターネット環境がない場所でも安心して使用できる万能型のおすすめアプリです。
Microsoft Translator
次におすすめする翻訳アプリが、Microsoft Translatorです。
Google翻訳と同様に高機能ですが、特に会話翻訳において優れた機能を提供しています。ビジネスシーンなど、フィリピン現地の人々とコミュニケーションを多く行う方には特におすすめです。
特筆すべき機能は画面を2分割して使用できる会話モードで、自分が日本語で話した内容がタガログ語に翻訳されて相手側の画面に表示されます。
逆に、相手がタガログ語で話した内容が日本語に翻訳されて自分の画面に表示されるため、通訳を介しているかのようにスムーズな対話が可能です。
VoiceTra
最後に紹介するのは、情報通信研究機構が開発・運営しているVoiceTraです。
日本の公的機関によるアプリであるため、非常に高い信頼性と安心感があります。
VoiceTraは名前の通り音声翻訳に特化しており、特に旅行会話での使用を想定して設計されています。そのため、操作画面が非常にシンプルで誰でも直感的に使いこなせる点が特徴です。
タガログ語と日本語の双方向の音声翻訳もスムーズで、認識精度も高いレベルにあります。
知っておくと便利なタガログ語フレーズ
最後に、知っておくと便利な旅行や日常会話で使えるタガログ語フレーズをご紹介します。
英語が公用語として使われるフィリピンですが、現地のフィリピン人とコミュニケーションを取る際に、タガログ語のひとことを添えるだけで、ぐっと親近感が増し、笑顔で応えてくれることが多いです。
特にローカルな場所では英語が通じにくいこともあるため、簡単な挨拶や感謝の言葉を覚えておくと、とても役立ちます。
すぐに使える表現を厳選して紹介していくので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
タガログ語の挨拶
まずは基本のタガログ語の挨拶を紹介していきます。
・ありがとう:Salamat(サラマット)
・どういたしまして:Walang anuman(ワラン アヌマン)
・ごめんなさい:Paumanhin(パウマンヒン)
・はい:Oo(オオ)
・いいえ:Hindi(ヒンディ)
旅行で使えるタガログ語
続いて、旅行で使えるタガログ語を見ていきましょう。
・チェックインをお願いします:Mag-check in po ako(マグ チェックイン ポ アコ)
・おいしい!:Masarap!(マサラップ!)
・お会計をお願いします:Paki dala ang bill(パキ ダラ アン ビル)
・いくらですか?:Magkano ito?(マグカーノ イト?)
・これをください:Ito po(イト ポ)
・価格:Presyo(プレスヨ)
・無料:Libre(リブレ)
自己紹介で使えるタガログ語
最後に、自己紹介で使えるタガログ語を紹介します。
・日本から来ました:Galing ako sa Japan.(ガーリン アコ サ ジャパン)
・日本人です:Hapon ako.(ハポン アコ)
・〇〇に住んでいます:Nakatira ako sa 〇〇.(ナカティラ アコ サ 〇〇)
・〇〇で働いています:Nagtatrabaho ako sa 〇〇.(ナグタトラバホ アコ サ 〇〇)
・私の仕事は◯◯です:Ang trabaho ko ay ◯◯.(アン トラバホ コ アイ ◯◯)
・私は学生です:Estudyante ako.(エストゥジャンテ アコ)
簡単なフレーズを覚えておくだけでも、現地の人との距離がぐっと近づきます。
フィリピンにいく際はぜひ覚えて使ってみてください。
まとめ
タガログ語は、日本ではあまり馴染みのない言語ですが、実は日本語と似ている点がいくつもあり、親しみやすい言語でもあります。
発音のしやすさや、意味が通じる単語、語の作り方など、学んでみると新しい発見がたくさん。
フィリピンに興味がある方や、新しい言語にチャレンジしてみたい方、フィリピンへの渡航を控えている方は、一度タガログ語に触れてみるのがおすすめです。
現地の言葉を知ることで、海外旅行がもっと楽しくなりますよ。
◇経歴
英語使用歴:6年
Webライターとして言語学習や海外生活に関する記事を執筆しています。
◇留学経験
メキシコシティでスペイン語留学
◇海外渡航経験
・英語圏含む30ヶ国以上への渡航経験あり
(アメリカ、カナダ、オーストラリアなど)
・海外在住歴:4年
◇自己紹介
海外旅行にハマり英語の必要性を実感したことをきっかけに、一念発起しNativeCampで英語学習をスタート。
オンラインレッスンを繰り返し英会話を身につけました。その後言語学習に興味を持ち、メキシコ国立自治大学が運営する語学学校CEPEでスペイン語を学習。
現在はメキシコシティで英語とスペイン語を使いながら生活しています。