英語とタガログ語の関係性:フィリピンの言語事情と学習のポイントを解説

英語、タガログ語、ネイティブキャンプ、オンライン英会話

「フィリピンって英語が通じるのかな?」と不安に思っていませんか。

この記事では、フィリピンの英語とタガログ語の関係性をわかりやすく解説します。実はフィリピンはアジアでもトップクラスの英語力を持つ国。この記事を読めば、フィリピンの言語事情がスッキリ分かり、英語だけでも安心して旅行や留学ができると安心できますよ。

フィリピンの公用語:英語とタガログ語の役割

「フィリピンって英語が通じるって聞くけど、本当なの?」と疑問に感じる方もいることでしょう。ここでは、フィリピンの公用語である英語とタガログ語の役割について、留学や旅行の前に知っておきたい基本を整理していきます。

フィリピンの公用語

フィリピンの公用語は、「英語」と「フィリピン語(タガログ語)」の2つと定められています。フィリピン語は「フィリピノ語」とも表記され、タガログ語を基本にした言語です。実はフィリピン語とタガログ語は厳密には違います

しかし、フィリピンの国語として憲法で定められた名称が「フィリピン語」なだけであって、実質フィリピン語は「タガログ語」の別の言い方であり同じものと考えられています。

この2つの公用語に加え、フィリピンには170以上もの多くの言語が存在しています。7,000以上の島々で地域ごとに独自の文化や言語が発展してきました。そのためフィリピン国民の多くが多言語話者なのです。

主要な地域言語を一部ご紹介すると、セブを中心にビサヤ地方で主に使われている「セブアノ語」は、使用人口が約2,000万人以上とされています。

ルソン北部で話されている「イロカノ語」、サマール島やレイテ島で話されている「ワライ語」、ルソン南部の「ビコール語」など。またアジアで唯一スペイン語が基になったクレオール言語である「チャバカノ語」もあります。

フィリピンの公用語はなぜ「英語」と「タガログ語」なのか

フィリピンの言語には、他国の統治化にあった歴史が深く関係しています。まず1565年から約300年にわたるスペイン統治時代があります。そのためフィリピンの公用語としてスペイン語が話されていましたが、1898年よりアメリカの統治下に置かれることになります。アメリカは学校で英語教育をすることにより、英語の普及を図ります。

1946年にフィリピンは独立をしますが、独立後も英語はフィリピンの共通語として残りました。しかしフィリピン独自の文化と言語を守るために、フィリピンの中心地マニラ周辺で話されていた「タガログ語」をベースにした「フィリピン語」も公用語として採用することにします。

1974年には、英語とフィリピン語を公用語とする二言語併用教育政策が発表されました。こうして、2つの言語を公用語とするフィリピンの多言語環境が作られていったのです。国民の9割以上の人々が英語を話すことができ、世界の英語話者数ランキングでも5位という統計結果もあります。

英語が使われるシーン・タガログ語が使われるシーン

フィリピン人は、日常生活では「タガログ語」または「その他の地域言語」、公的な場面では「英語」と言語を使い分けしています。場面によって使われる言語が自然に切り替わるなんて、器用ですよね。

フィリピンの教育機関では基本的に英語が使用されます。学校の授業はほぼ英語で行われ、教科書も英語です。

またビジネスの共通語も英語。政府機関が発表する公式文書は、英語とフィリピン語の両方で作成されるのが一般的です。

一方で日常会話では、フィリピン語をメインで使うことが多いです。マニラやセブといった都市部では英語が通じやすいですが、地方に行くとタガログ語や他の地域言語がメインになることも多く見られます。

観光や留学で訪れる分には、基本的に英語で困ることは少ないです。ただ、タガログ語の簡単な言葉も覚えておくと、英語だけではないフィリピンのローカルな体験ができるでしょう。

簡単な挨拶フレーズを知っているだけで、現地の人との距離感がぐっと縮まりますよね。

Salamat(ありがとう)

Magandang umaga(おはよう)

Paalam(さようなら)

フィリピン人の英語力は実際どのくらい?

フィリピンは、アジアの中でも英語力が高い国として知られています。

EF English Proficiency Index(EF EPI)の統計データによると、フィリピンの英語能力指数は、世界で見ると22位/116ヶ国、アジアでは2位/23ヶ国です。(アジアで1位はシンガポール)

ちなみに日本は、世界で見ると92位/116ヶ国、アジアでは16位/23ヶ国という結果です。

フィリピン人の英語力のすごいところは、テストのスコアが高いだけではなく、実践的なコミュニケーション能力も高いところにあります。小さな頃から英語で教育を受けているため、話すことも読み書きもスラスラとできるのです。

ちなみにフィリピンの英語は、アメリカ統治時代の背景によりアメリカ英語寄りです。ただし、フィリピンで話される英語には特有のなまりがあります。これはフィリピン英語に限ったことではなく、英語が母語ではない国ではよくあることです。

インド英語も癖がある上に早口なので、私も聞き取るのに苦労した経験があります。訛っているから悪いわけではなく、その国の文化や言語背景が反映された「リアルな英語」と言えます。英語が世界で話されている言語であることの表れですね。

英語とタガログ語の混合言語「タグリッシュ」

皆さんは「タグリッシュ」という言葉を聞いたことがありますか。これから留学に行く方は、「英語を学びたいのに現地ではタグリッシュが主流だったらどうしよう」と不安になる人もいるかもしれません。

ここでは、タグリッシュについて解説していきます。

タグリッシュの特徴と使われる場面

「タグリッシュ(Taglish)」とは、タガログ語 (Tagalog) と英語 (English) がミックスされたフィリピン独特の話し方のことです。通常の会話やチャット・電子メールなどでもよく使用されます。

タグリッシュの例文

"Kumusta? How was your day?"(元気?今日どうだった?)

"Wait lang, I'll just finish this email."(ちょっと待ってて、メールだけ仕上げるから)

"Kumain ka na ba? Let's grab something if not."(ご飯もう食べた?まだなら何か食べに行こうよ)

上記のように、一つの会話の中でタガログ語と英語を自然に使い分けるのがタグリッシュの特徴です。そのため、私たち日本人がタグリッシュの会話を聞いていると、基本英語なのに急に知らない言葉が出てくるため混乱することもあるでしょう。

特にフィリピンの若い世代では、タグリッシュを使うことが当たり前になっています。しかし語学学校で英語を教えるフィリピン人講師は、標準的な発音を意識して教えていますので安心してください。

フィリピン人がタグリッシュを使う理由

フィリピン人は自然とタグリッシュを使います。英語・タガログ語どちらも自分たちの言葉であるため、まぜているという感覚はなく、自然に口から出てくるという表現の方が近いでしょう。自分が考えていることを表現しやすい方の言語を瞬時にチョイスしています。

そうは言っても、フィリピン人全員がタグリッシュを使っているわけではなく、高齢者にはそこまで馴染みがある話し方ではありません。タグリッシュは、特に教育レベルが高い人ほど自然に使いこなす傾向があります。またマニラやセブなどの都市部ほど使用率が高いです。

また、映画やドラマ、SNS、テレビ番組などカルチャーの影響で、日常的にタグリッシュが広まっているという背景もあります。

タガログ語の文法と英語との比較

タガログ語は英語と似ている言語なのでしょうか。 ここでは、タガログ語と英語の文法の違いを分かりやすくまとめていきます。

タガログ語の基本文法と英語との違い

まず、タガログ語の文字について簡単にお伝えします。

タガログ語は英語と同じアルファベット表記を使います。アルファベット26文字に「Ñ」と「NG」を加えた28文字が使われているため、日本人にも馴染みやすく感じるかと思います。

しかしタガログ語の文法は、英語とは語順や文の作り方がかなり違います。習得するには難しい言語といえるでしょう。

英語→主語+動詞+目的語(SVO)

タガログ語→動詞+主語+目的語(VSO)

例えば 「私は本を読む」という文の場合

英語:I read a book.

タガログ語:Nagbabasa ako ng libro.(読んでいる 私 本を)

「私は料理をしている」という文の場合

英語:She is cooking dinner.

タガログ語:Nagluluto siya ng hapunan.(料理している 彼女または彼 夕食を)

このように、タガログ語の場合は、動詞が文の先頭にきます。英語にも日本語にもない語順のため、日本人には不思議な感覚ですよね。

またタガログ語には、be動詞に相当する言葉がないというのもユニークな点です。英語では「is / am / are」などのbe動詞が「主語と状態・属性をつなぐ」役割を担います。

一方タガログ語では、be動詞を使わずに語順と文脈で示すのが特徴です。そのため、「AはBです」 と言いたい時は「BA」となります。

英語:She is a teacher.

タガログ語:Guro siya.(直訳すると「教師 彼女」)

観光・留学での滞在であれば、基本は英語中心の会話です。タガログ語ってこんな言葉なんだなという知識があるだけでも、現地の言語への理解が深まりコミュニケーションを楽しめるのではないでしょうか。

タガログ語学習のためのアプリ

タガログ語が気になったあなたに、初心者でも無理なく始められるタガログ語学習アプリを紹介します。タガログ語を少しでも知っていると、現地の人とスムーズにコミュニケーションが取れることがあるかもしれませんね。

タガログ語初心者におすすめのアプリ4選

1. Lingアプリ
60以上の言語を学習できる大人気言語学習アプリ「Lingアプリ」。会話や単語だけでなく、文法や発音の習得などの学習ができるオールマイティな学習アプリです。

ネイティブスピーカーの発音を収録しているため、単語やフレーズの発音を何度も聞き取りリスニング力UPAIチャットボットと会話ができる機能もついているので、リアルな会話の練習も可能。

レッスンはゲーム感覚で進められ、1日10分など目標を立てて学習しやすいのが特徴です。ゲームを攻略する感覚で上達段階が把握できるように構成されているシンプルで続けやすい学習ツールです。1レッスンは無料でお試し可能。全レッスンへのアクセスは課金の必要あり。

月額:14.99ドル

6ヶ月:29.99ドル

年額: 79.99ドル (7日間無料トライアル)

12.  Simply Learn Tagalog
基本無料、機能制限あり。旅行や日常会話で使える基本フレーズを効率よく学べるタガログ語学習アプリ。タガログ語の基本フレーズをサクッと覚えたい人向けです。

「旅行・留学」などカテゴリごとに実用的なフレーズが豊富に収録されています。音声付きで正しい発音も確認できます。オフラインでも利用できるため、留学前や現地でのちょっとした会話練習にも最適なアプリです。

13.  Drops
無料版(1日5分)/プレミアム版ですべてのコンテンツにアクセス可能。ゲーム感覚で楽しく単語やフレーズを覚えたいならDropsがおすすめ。1日5分から始められるため、短時間でも続けやすいです。発音もネイティブスピーカーの音声で確認できるため、リスニングの練習にも効果的。

カラフルなイラストとシンプルな操作で、初心者でも直感的に使えます。スキマ時間に無理なく続けたい人におすすめの学習アプリです。

14. Google翻訳
海外旅行にも便利なGoogle翻訳アプリ。「これって何ていうんだろう?」と気になった言葉をGoogle翻訳で調べるだけでも楽しいです。カメラ機能を使えば、メニューや看板などの文字も一瞬で翻訳してくれます。

日本語からタガログ語だけでなく、英語からタガログ語にも翻訳できるため、英語を学びに滞在している留学生にもいい勉強になります。

英語とタガログ語を学ぶ

将来英語を使って仕事をしたいとフィリピン留学に行かれる方も多いと思います。もしタガログ語に興味があれば、英語だけではなくタガログ語を深く勉強してみるのもいいでしょう。

英語とタガログ語を理解できる日本人は数多くいるわけではありません。フィリピン現地勤務や英語・タガログ語の翻訳者など、日本国内で幅広く仕事探しができる可能性が高まります。

英語とタガログ語の仕事を検索してみると、思っているより多く求人も出てきます。日本国内では、東京に次いでフィリピン人が多く住んでいるのが実は愛知県。名古屋には「リトルマニラ」と呼ばれる街もあるそうです。本気でタガログ語を勉強したくなったら、フィリピンの日常的な会話や文化に触れることができる場所に行ってみるのもいいですね。

まとめ

この記事では、フィリピンの言語事情や英語・タガログ語の違いを解説しました。フィリピンは英語が通じる環境であることに加え、タガログ語を少し理解することで現地の人との距離もグッと縮まります。

タガログ語に興味をもった方は、ぜひ便利な学習アプリなども活用して勉強してみてください。

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