「フィリピンは英語が通じる国」として知られ、留学先やビジネスのパートナーとしても注目を集めています。
実際に多くの外国人が英会話を学びに訪れるなど、その英語力は高く評価されています。
しかし、
「どれくらいの人が話せるのか」「本当に英語圏と同じ感覚で通じるのか」といった疑問を持つ人も多いはずです。
この記事では、フィリピンの英語話者の割合や教育背景、訛りの有無、そして留学先としての魅力について、現地事情も交えて詳しく解説します。
フィリピンで英語が話せる人の割合
フィリピンはアジア圏の中でも高い英語力を持つ国として知られています。
英語が話せる人の割合は約90%以上とされており、これは世界でもトップクラスの水準です。
ここでは、日常生活や職場などにおける英語の使用状況、個人のレベル差、そして公用語としての立場について解説します。
日常生活における英語の使用シーン
都市部のレストランやホテル、ショッピングモール、交通機関では、英語でのコミュニケーションが比較的スムーズに行えます。
案内表示やメニューにも英語表記があり、外国人観光客にとっては安心です。
加えて、学校やビジネスの現場でも英語が広く使用されており、英語でほとんどの場合、対応してもらえます。
ただし、地方やローカルな場所では、すべての人が流暢に英語を話せるわけではありません。
基本的な受け答えは可能でも、複雑な表現になると難しさを感じる場面もあります。
英語力に個人差がある理由
英語が通じるとはいえ、国内のすべての人が同じような能力を持っているわけではありません。
都市部出身の人や、英語使用率の高い職場に勤務する人は高い英語力を持つ傾向があります。
一方で、地方出身者や英語をあまり使わない職業に就いている人には、文法や発音に課題がある人もいます。
これは、教育機会や学校教育の質に地域差があるためであり、家庭でどれだけ英語に触れられるかといった環境要因も影響しています。
公用語としての英語の立ち位置
フィリピンでは、フィリピノ語(タガログ語を基にした国の母国語)とともに、英語が公用語として定められています。
これは憲法にも明記されており、政府文書やニュース報道、教育現場など、公的な場面では英語が広く使われます。
ただし、日常会話では地域ごとの母語(例:セブならセブアノ語)も頻繁に使われており、英語はあくまで「共通語」としての役割を果たしているのが実情です。
フィリピン人が英語を話せる理由
フィリピンの人々が高い英語力を持つ背景には、歴史的・文化的な要因があります。
ここでは、英語がこれほどまでに社会に浸透している理由を、歴史・教育・ビジネスの3つの観点から解説します。
歴史的背景と英語の導入
フィリピンが英語を話す国となったきっかけは、アメリカによる植民地支配にあります。
1898年、スペインからアメリカの支配下に入ったフィリピンでは、行政や学校制度に英語が急速に取り入れられました。
これにより、英語は公用語としての地位を築き、国民の多くが学校教育を通じて英語に触れるようになりました。
この影響は現在も色濃く残っており、政府機関や司法、ニュース報道でも英語が標準的に使われています。
教育制度と英語の普及
フィリピンでは、小学校から大学まで英語を使った授業が一般的で、教科書や講義の多くが英語で提供されています。
そのため、生徒たちは幼少期から自然に英語に触れる機会が多く、4技能をバランスよく身につけています。
また、英語が教育の主軸にあることは、社会での就職や外国人とのコミュニケーションにおいても大きな武器となっています。
フィリピンでは、日常会話はもちろん、学術的な場面やビジネスの会話でも英語が広く使用されています。
ビジネスと英語の関係
近年、フィリピンではBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業が急成長しており、英語での対応が求められるコールセンター業務が活発です。
こうした産業では、顧客とのやり取りがほぼすべて英語で行われるため、実践的な英会話能力が自然と鍛えられます。
また、観光業や外資系企業でも英語を共通言語として使用する機会が多いです。
ただし、すべての企業で義務づけられているわけではなく、英語使用の頻度は業種や職場環境によって異なります。
フィリピン英語の特徴・なまりはある?
フィリピンでは多くの人が英語を話しますが、その英語には独自の特徴やイントネーションがあります。
ここでは、「フィリピン英語」がどのような特性を持ち、どの程度「なまり」があるのかを紹介します。
発音やイントネーションの傾向
フィリピン英語は、主にアメリカ英語の影響を受けており、発音や表現もアメリカ寄りといわれます。
ただし、地域や教育レベルによって発音にばらつきがあり、独特なアクセントを持つ人もいます。
例えば、「f」と「p」の発音が入れ替わったり、「v」と「b」の音が近くなる傾向があることがあり、これが「なまり」として捉えられることもあります。
しかし、多くの場合これは意味の理解に影響を与えるレベルではなく、会話は十分成立します。
フィリピン人講師の英語力の実際
(H3)日本人が語学学校やオンライン英会話で接するフィリピン人講師の多くは、非常に高い英語力を持っています。
特に、BPO業界や教育分野で働く人々は、ネイティブと遜色ない発音や語彙力を身につけていることもあります。
私自身もセブ島でフィリピン人と働いた経験がありますが、職場では英語での会話が中心で、文法や語彙力の点では日本人よりもかなり高いスキルを持つ英語話者が多いと感じました。
個人差はあるものの、日常会話からビジネスレベルまで幅広く対応できるのが特徴です。
英語なまりをどう受け止めるか
「なまり」があることを気にする人もいますが、世界には様々な英語圏の発音が存在し、どれが正しいというものではありません。
むしろ、アクセントの違いを理解し、さまざまな人とコミュニケーションできる力が、グローバルな英語学習には欠かせない視点です。
また、よほどネイティブの発音にこだわるのでなければ、費用対効果の観点からも、フィリピンでの英語留学やオンライン学習は非常にコストパフォーマンスが高い選択肢といえます。
フィリピンで他に話されている主な言語とその分布
代表的な言語には、首都マニラを中心としたルソン島で話される「タガログ語」、ビサヤ地方で広く使われる「セブアノ語」、北部で話される「イロカノ語」などがあります。
これらの言語は、それぞれの地域で日常的に使われ、母語としての役割を果たしています。
ただし、これらの言語の相互理解は困難な場合もあり、異なる言語を話す人々の間では英語を使ったコミュニケーションが自然と行われています。
タガログ語は学校で学ぶため、タガログ語圏ではない人も話したり理解はできます。
ですが、セブ島で日常的にセブアノ語を話す人が、マニラに行くとタガログ語話者に対し英語で話すということがあります。
また、フィリピン人は複数言語を話せる人が少なくありません。
例えば、自分が生まれ育った島の言語が母語、学校でタガログ語を学び、仕事でセブに住みセブアノ語、公用語として英語を話す、といった例が多くあります。
英語が共通語として広まった理由
フィリピンでは、異なる民族や言語を持つ国民が共存するため、共通言語としての英語の役割が非常に重要です。
学校や職場、公共の場などでは英語が積極的に使われており、特にタガログ語やセブアノ語を母語とする人同士であっても、業務上や公的なやりとりでは英語が選ばれることもあります。
これは、フィリピノ語が国内の共通語とされているにも関わらず、政治的・文化的な配慮から実用的な英語の利用が広まったという背景も関係しています。
留学先としてフィリピンはおすすめ?
英語が広く話されているフィリピンは、留学先としても世界中から注目を集めています。
ここでは、なぜフィリピンが語学学習の目的地として人気なのか、そのメリットを現地の事情を踏まえて紹介します。
英語環境とコストパフォーマンス
フィリピンは非英語圏でありながら、英語の公用語化や教育制度の影響により、多くの英語話者が存在しています。
特に語学学校ではマンツーマンレッスンが主流で、個別対応による学習効率の高さが評価されています。
さらに、授業料や生活費などの費用が欧米と比べて大幅に安く、短期でも効果的に英語力を高めたい人にとっては、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。
講師の質と実用的な英語
フィリピン人の英語教師は、高い文法力と豊富な指導経験を持ち、英語学習者のレベルに応じた指導が可能です。
発音やアクセントに個人差はありますが、多くの講師は実用的な英語を自然に使いこなしており、日常会話やビジネス英語の習得にも適しています。
また、オンライン形式の英会話や、現地での語学留学など、目的やライフスタイルに合わせた柔軟な学習方法が選べる点も魅力です。
留学を検討する際の注意点
一方で、すべての学校が同じクオリティというわけではなく、選ぶ前にはカリキュラムや講師の質、施設の充実度などを比較検討することが大切です。
また、留学の期間や予算に応じた計画を立てることで、満足度の高い体験につながります。
英語環境・費用面・教育の質を総合的に考慮すれば、フィリピンは多くの人にとって「ちょうどいい」留学先と言えるでしょう
まとめ
フィリピンは、非英語圏で英語を公用語とする多言語国家でありながら、教育制度やビジネス環境において英語の使用が根付いています。
実用的な英語を身につけたい人にとって、費用面や学習環境のバランスが取れた魅力的な留学先です。
訛りや発音に個人差はありますが、それ以上に学べることの多い国といえるでしょう。
英語を実践的に学びたい人にとって、フィリピンは最適な選択肢のひとつです。

◇経歴
日本、韓国の企業で通訳・翻訳、アシスタントとして勤務
日本にて韓国語講師として5年勤務
フィリピンにてフリーの通訳として英語、韓国語、日本語の3言語の通訳を担当
◇資格
・韓国語能力試験(TOPIK)6級
・延世大学校韓国語教員養成課程修了
◇留学経験
【オーストラリア】
・クイーンズランドカレッジオブイングリッシュ:3カ月
・ゴールドコーストカレッジオブビジネス:6カ月
【フィリピン】
・ファーストウェルネスイングリッシュアカデミー:3週間
【韓国】
・梨花女子大学校言語教育院:3週間
・延世大学校言語研究教育院(韓国語教員養成課程):5週間
【タイ】
・プロランゲージ(タイ語):1年6カ月
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーにてソウルの企業数社で通訳・翻訳、セールス、マーケティングを担当
韓国語習得のための留学5回(一般韓国語、ビジネス韓国語)
延世大学校にて韓国人と共に韓国語教育について学ぶ
◇自己紹介
韓国語学習コンサルタント
韓国語講師
講座構築コンサルタント
オンラインで韓国語学習に悩みを持つ学習者の問題解決をする韓国語学習コンサルタント、韓国語講師として韓国語習得に成功する学習法や練習法も指導しています。
また、英語と韓国語習得に成功した経験とカリキュラム構築、教材作成の経験を活かし講座構築の方法をあらゆるジャンルのプロに指導するコンサルタントとしても活動しています。
海外就職でフィリピンのセブに移住して5年半在住、現在はタイのチェンマイに住んでいます。
外国語に興味があり、英語、韓国語(ビジネスレベル)、中国語(中級)、現在はタイ語習得を目標に勉強しています。