
2024年10月1日、日本の第102代目の内閣総理大臣に石破茂氏が就任しました。それを報じる海外の英語ニュースサイトには、「Japan’s New Prime Minister」などといったフレーズがたくさん並びました。
このフレーズの中に出ている「prime」、カタカナで発音を書くならば「プライム」といったところですが、とてもよく耳にする言葉です。「Prime Minister(プライム・ミニスター)」に加え、「prime time(プライム・タイム)」「Prime Video(プライム・ビデオ)」といったフレーズを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
今回はこの「prime」という英単語の意味と使い方について、関連する大事な熟語やフレーズ、スラングも含めて、多くの例文を交えながら解説・説明していきたいと思います。
Primeは形容詞、動詞、名詞
英語の「prime」には、主として、形容詞、動詞、名詞という3つの顔があります。このうち、最もよく耳にしたり目にしたりするのは、形容詞としての使い方です。
ということで、今回は形容詞としての「prime」にまず着目し、それに加えて適宜、他の品詞として使われる場合の「prime」についても考えていきたいと思います。
英和辞典・辞書で「prime」を引くと、形容詞だけでもさまざまな意味があることがわかりますが、その中でもよく使われるのが、「もっとも重要な」と「最高の・最上の」という2つの意味です。では、順に見ていきましょう。
もっとも重要な
形容詞として使われる場合の「prime」の1つ目の意味は、「もっとも重要な」「主要な」「主な」などです。基本的には名詞の前に置かれます。
類義の英単語としては、「main」「major」「essential」「most important」などが挙げられることが多いです。
私たちのもっとも重要な目標は、今年家族で一緒に過ごす時間を増やすことです。
ライフスタイルを選ぶとき、健康が最も重要な関心事です。
この問題の最も重要な例として、チーム内でのコミュニケーション不足が挙げられます。
このプロジェクトの重要な焦点は、エネルギー効率を改善することです。
このアパートを選んだ主要な理由は、職場に近いということです。
その会社の最大の関心事は、海外での売り上げを伸ばすことだった。
警察はその殺人事件の重要容疑者を探している。
上の例文に出てくる「prime suspect」(重要容疑者、第一容疑者)は、海外映画やドラマでよく聞く言葉ですね。
最高の・最上の
形容詞「prime」の主な意味の2つ目は、「最高の」「最上の」です。「とても素晴らしい」という意味合いで使われます。ただ、文脈によっては、1つ目の「もっとも重要な」にかなり近いニュアンスで使われたり、どちらの日本語訳が適切か、はっきり決めるのが難しい場合もあります。
やはり、名詞の前に置いて名詞を説明する使い方が一般的です。
そのレストランは最高品質のステーキを提供することで知られています。
この場所では山の絶景が見られます。
彼女は料理のために常に最高級の食材を購入しています。
定期的な運動習慣のおかげで、彼の体は最高の状態です。
そのホテルは、主要な観光地に近い最高の場所にあります。
コンサートのチケットを予約するときは、いつも最高の席を探します。
彼はバスケットの中から、最も大きくて熟している、最上のリンゴを取りました。
関連表現
さて次に、「prime」に関連するさまざまな表現について、主要なものを取り上げて解説していきたいと思います。
Prime Minister
冒頭でもご紹介しましたように、「内閣総理大臣」あるいは「首相」のことを英語では「prime minister」と言います。この「prime」は形容詞であり、上で解説した「もっとも重要な」という意味に近いと言えるでしょう。「Prime Minister」というように、「P」と「M」を大文字にすることもよくあります。
その国の首相は誰ですか。
次の例文のように、名前の前に肩書として使われるような場合は、冠詞「the」は付けないのが普通です。
石破茂首相は新たな政策を表明した。
ちなみに、「大統領」は「president」ですね。世界には、アメリカのように大統領がいる国、日本やイギリスのように首相がいる国、ロシアや韓国、フランスのように大統領と首相の両方がいる国があります。
国や時代によって仕組みや役割に大きな違いがある場合もありますが、大まかにいうと、国民の直接選挙によって選ばれるのが大統領であり、間接選挙で行政府の長として選ばれるのが首相です。
大統領と首相の違いを知っていますか?
Prime Time
「prime」を使った、とてもよく聞く言葉の一つが「prime time」です。日本語でもそのまま「プライム・タイム」と言うことがよくあります。
いくつか意味がありますが、中でも最もよく使われるのは「テレビやラジオでもっとも視聴率・聴取率の高い時間帯」のことです。一般的に、午後7時から11時までの4時間を指すことが多いようです。
なお、「ゴールデンタイム」あるいは「ゴールデンアワー」という言葉がありますが、これらは英語ではなく和製英語です。次の例文のように、「prime time」の訳語としてこれらが使われることもあります。
ゴールデンタイムには普段どんなテレビ番組を観ますか?
Primed
「prime」は動詞としても使われ、「be動詞+primed」の形で「準備している」「装備している」といった意味になります。
明日の大きなプレゼンの準備は整っています。
私たちは、来週新製品を発売する準備ができています。
上の2つの例文のように、「be動詞+primed」の後には「for+名詞」または「to+動詞」が続く場合が多いです。「〜の準備ができている」「〜する準備ができている」という意味になります。
その他
最後に、「prime」に関連する語を使った、その他のよく目にしたり耳にしたりする英語表現を取り上げます。
Prime Video
ネット通販大手のアマゾン(Amazon)では、「Prime Video」という名前で、映画や動画の配信も行っています。アマゾンには「プライム会員」という会員制度があり、会員にはさまざまな特典があります。「Prime Video」の中の会員向けコンテンツを視聴できるのも、そうした特典の一つです。
プライムビデオの中で面白そうな映画は見つかりましたか。
アマゾンのプライム会員には、購入した商品の送料が無料になるといった特典もあります。特典の対象となる商品には「prime」という文字をデザインした「プライムマーク」が付いています。
Prime number
「prime number」は「素数」という意味です。「素数」というのは、1とその数字自体しか割り切れる数が無い数。また、「1」は含めません。
具体的には、2、3、5、7、11、13、17、19……といった数が「素数」です。
1が素数かどうか知っていますか。
Prime meridian
「meridian」は「子午線」「経線」という意味。「prime meridian」はイギリスのグリニッジを通る、経度0度の経線のことです。日本語では「本初子午線」「グリニッジ子午線」などと呼ばれます。世界標準時を決める経線でもありますね。
日本はグリニッジ標準時より9時間進んでいます。
Come prima
「Come prima」は楽譜などに記される、イタリア語の音楽演奏用語で、「最初のように」「最初と同じように」という意味です。曲の途中でテンポや強弱等の表現が変わった場合にこの言葉や記号が書いてあったら、そこから最初に指定されたテンポや表現に戻って演奏します。
「come prima」という指示があったら、最初のテンポに戻ってください。
Optimus prime
玩具、アニメ、映画など、多様な展開で子どもたちから強い人気を得ている「トランスフォーマー」シリーズ。オートボットと呼ばれるロボットが車や飛行機など乗り物に変形(トランスフォーム)します。
この中の登場キャラクターの一つが「コンボイ」。オートボットのリーダー格です。ただし、「コンボイ」は日本版で使われている名前で、英語版では「Optimus Prime(オプティマス・プライム)」と呼ばれます。
オプティマス・プライムは、危険な状況にある人たちを、いつも助けます。
まとめ
いかがでしたか。今回の記事では「prime」の意味や使い方について、関連するフレーズも含めて、多くの英語例文を交えながら解説・説明しました。
例文を何度も音読することで、単語の意味だけでなく、どのような文脈でよく使われるかも感じ取っていただけるのではないかと思います。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇留学経験
アメリカ・サンディエゴに語学留学(2カ月)の経験あり
その後、オーストラリア・シドニーに大学院留学(2年)の経験もあり
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.