ウイルスなどに感染するのを防ぐために行うのがワクチン接種。ワクチンを予防接種することで、ウイルスなどに対する免疫、すなわち、ウイルスなどに対抗する力を体内に作り出します。
みずぼうそう、日本脳炎、風しん、はしか、破傷風といった病気の予防として、私たちは小さい頃からいろいろな種類のワクチンを接種していますし、大人になっても、インフルエンザを予防するためのインフルエンザワクチンを接種することを心がけている人も少なくありません。
また最近では、COVID-19、すなわち、新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延し、それに対抗するための新型コロナワクチンが開発され、世界各地で接種が進んでいます。決して喜ばしいことではないにせよ、ワクチンというものが以前よりも身近なものになっていると言えるでしょう。集団接種の案内などもよく見るようになりました。
では、ワクチンは英語ではどのように表現すればいいのでしょうか?今回は、ワクチンの英語表現について、たくさんの英語例文を交えながら解説・説明していきたいと思います。また、ワクチンに関連する感染病関連の用語についても、日常生活の中でよく使われるものをいくつか取り上げ、意味や使い方を解説していきます。
Vaccine
感染症と言われる病気の原因は主に2つあって、それは、細菌(バクテリア)とウイルスです。細菌は1つの細胞でできた微細な生物。ウイルスはさらに小さくて、細胞は持っていません。
こうした、細菌やウイルスによる病気を予防するために行うのがワクチン接種です。事前にワクチンを打っておくことで、体内で病気に対する免疫が生まれます。
読み方・発音に注意
ワクチンの英語表記は「vaccine」です。気をつけなければならないのはその読み方・発音です。そのまま「ワクチン」と言っても英語圏の人々には全く通じません。
「vaccine」の読み方・発音をあえてカタカナで書くならば、「ヴァクスィーン」という感じです。最初は上前歯を下唇に押し当てる「ヴァ」の音で始まり、後半の「スィーン」の部分にアクセントがあります。日本語の「ワクチン」とは全然違いますね。
ちなみに、病原体の方のウイルスですが、こちらも日本語で「ウイルス」と言っても、英語圏の人々には全く通じません。ウイルスを表す英単語は「virus」です。英語での発音は、「ヴァイラス」もしくは「ヴァイアラス」という感じになります。ちょっと難しい発音です。
「vaccine」も「virus」も日本語の「ワクチン」「ウイルス」と聞こえ方が全然違うので、リスニングをしたり英会話をしたりする時には、特に意識した方がいいと思います。
何種類のワクチンがあるのですか。
新型コロナウイルス感染症には複数のワクチンがあります。
上の例文のように、「新型コロナウイルス感染症」は英語では「COVID-19」と言うことが多いです。
有効なワクチンとそうでないワクチンはどうやって見分ければいいのですか。
ワクチンの開発にはどれくらいの時間がかかるのですか。
そのウイルスにきくのはどのワクチンですか。
そのワクチンはどこで接種できますか。
ワクチンの追加接種は受けるつもりですか。
「ワクチンを接種する」という場合、上のように「get a vaccine」が使えるほか、「have a vaccine」や「take a vaccine」も使えます。また、後述するように、「vaccination」や「vaccinate」といった言葉を使って表現することもできます。
インフルエンザの予防接種は受けましたか。
Vaccination
「vaccine」は「ワクチン」という意味の名詞ですが、「vaccination」は「ワクチン接種」という意味の名詞です。発音は「ヴァクスィネイション」という感じです。「ネイ」のところを強く読みます。
「get a vaccine」と「get a vaccination」など、文脈によっては「vaccine」と「vaccination」のどちらを使ってもいい場合もあります。
新型コロナウイルスワクチン接種はもう受けましたか。
コロナワクチン接種に反対の人もいます。
新型コロナワクチン接種証明書を持っていますか。
ワクチンの接種には接種券が必要です。
Vaccinate
「vaccinate」は「ワクチン接種をする」「ワクチンを接種する」という意味の動詞です。「ヴァクスィネイト」という感じの発音で、語頭の「ヴァ」にアクセントがあります。
「I am vaccinated.」(私はワクチン接種をした)というように、受動態の形で使われることが多いです。また、過去分詞の「vaccinated」を形容詞のように使えば、例えば、「a vaccinated person」で「ワクチン接種をした人」という意味になります。
「vaccine」「vaccination」「vaccinate」の3つの単語を使うと、同じような内容を言い換えることができます。以下の例文を、これまでの例文と比べながら見てみてください。
もうワクチン接種をしましたか。
今すぐワクチン接種を受けた方が良いかもしれませんよ。
ワクチン接種をした人としなかった人で、明らかに感染率が異なります。
その政府は国民全員にワクチン接種を行おうとしている。
ワクチンの関連表現
次に、ワクチンなどに関連する英語表現の中から、日常生活でもよく使われるものをピックアップしてご紹介します。
副作用
薬を飲んだりワクチンなどの予防接種を受けた後に現れる、本来の効果と異なる有害な作用を「副作用」と言います。ひどい場合には命に関わるようなこともあります。「副作用」は、英語では一般的に「side effect」あるいは「side effects」と表現されます。
このワクチンには副作用があるかもしれない。
薬の副作用が怖くないですか。
抗体
ワクチン接種を行うと、体内に「抗体」と呼ばれるものが作られます。この「抗体」がウイルスなどが体内で増殖し病気を発症させたり悪化させたりするのを防いでくれます。
新型コロナウイルス感染症のワクチンは複数回接種するようになっていますが、それは、ワクチン接種で作られた体内の抗体の量が時間とともに減少していくためです。「抗体」は、英語では一般的に「an antibody」または「antibodies」です。
ワクチンを接種すると、体内に抗体が作られます。
体内の抗体量を維持するために、一定間隔でワクチンを接種しなければならないと言われています。
投与
ワクチンの場合は「接種」という言葉を使うことが多いですね。「接種」というと注射をするイメージが強いですが、口から個体や液体を飲む場合も「接種」ということがあります。
一方、一般的に薬などを患者に与えることを「投与」と言います。「接種」よりもやや幅広い意味で使われる言葉だと言えるでしょう。
「投与」に当たる英語はいろいろと考えられます。「(薬などを)与える」ということですので、簡単な英単語ならば「give」でもいいでしょう。より専門的な用語としては「administer」「dose」などが考えられます。
医者は彼にその薬を投与した。
薬は定期的に投与する必要があります。
田中医師は彼女に鎮痛剤を投与した。
免疫
ワクチン接種を行い体内に抗体ができると、病気にかかりにくくなります。こうした、ある病気に対する抵抗力がある状態を、「免疫がある」などと言ったりしますよね。ワクチン接種等をしなくても、特定の病気等に対して生まれつき免疫があるという人もいたりします。
「免疫」は英語では「immunity」または「immune system」ということが多いです。
「immune」は形容詞で「免疫の」「免疫のある」といった意味を持ちます。また、動詞の「immunize」は「免疫を持たせる」「免疫性を与える」といった意味です。
ワクチンは体内に免疫を作ります。
このサプリメントは免疫を強くすると言われています。
私の子供ははしかに対して免疫があると思います。
その政府は全ての国民に免疫を持たせようとしたが失敗した。
VPD
ワクチンに関連する英語の略語を一つご紹介します。それは、「VPD」です。昨今、日本でもよく聞かれるようになりました。
「VPD」は「Vaccine Preventable Diseases」の頭文字を取ったもの。「ワクチンで防げる病気」という意味です。みずぼうそう、日本脳炎、風しん、はしか、破傷風などたくさんあります。「Vaccine-Preventable」というように、ハイフンを入れる方が英語的には正確な言い方になります。
赤ちゃんが生まれると、両親にはこのVPDのリストがお医者さんから渡されて、子どもの成長に合わせたワクチン接種を薦められることが多いようです。
VPDが何の略かご存知ですか。「Vaccine-Preventable Diseases」(ワクチンで予防できる病気)を意味します。
まとめ
いかがでしたか。今回は「ワクチン」とそれに関連する英単語やフレーズについて、たくさんの英語例文を交えて解説・説明しました。
新型コロナウイルス感染症のワクチンが登場した頃には、オンライン英会話でもワクチンの話題が挨拶代わりみたいなこともありました。あまりうれしいことではないですが、ワクチンというものが身近なものになったように思われます。
赤ちゃんが生まれた家庭にとっても、ワクチンは大事な存在。これからは、英語を使って海外の人々とワクチンの情報交換をするようなことも増えるかもしれません。病気などの英語表現はあまり学校では習いませんので、「実用」という意味では、特に意識して覚えるようにするのもいいのではないかと思います。
それではまた。
◇経歴
児童英語講師
オンライン英会話講師
NC英語アドバイザー
英語学習ライター
元大学教員
◇資格
TESOL/TEC(CANADA)
中学校教諭二級免許状(英語)
◇海外渡航経験
25歳で初めて、短期間の語学留学をきっかけに本格的に英語の勉強を開始しました。
雑誌の編集・ライティング、テレビCMの企画・撮影等などの仕事が長く、英語を使っての海外取材や撮影経験も多く経験しています。また海外で日系新聞社の副編集長をしていたこともあります。
◇自己紹介
「英語学習に終わりはない」「継続は力なり」を実感し、50代半ばから毎日英語の勉強を続けて2000日近くが過ぎました。
「楽しく学ぶ!」をモットーに、僭越ながら私の異文化経験や英語の知識などをブログに織り交ぜながら、執筆することを心がけています!ネイティブキャンプのオンライン講師もしています。初心者・初級者限定ですが、ぜひ一緒に学びを続けましょう。
I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.