
ニュージーランドは、自然環境が豊かで、美しい風景や安全な暮らしがとても魅力的な国です。
ニュージーランドで永住権を取得すれば、ビザの更新を気にすることなく居住できたり、制限なしで働くことができたりと様々なメリットがあります。
この記事では、ニュージーランドへの移住を目標としている方に向けて永住権取得について解説していきます。
- ニュージーランド永住権の条件とは
- ニュージーランドの職業リストとポイントシステム
- ニュージーランドの永住権取得にかかる費用
- 年齢制限や家族への影響
- オーストラリアとの永住権比較
- 移住後の生活と後悔の実例
- まとめ
ニュージーランド永住権の条件とは
ニュージーランドの永住権は、主にいくつかのカテゴリーに分かれており、それぞれのカテゴリーには特定の条件が定められています。
技能者カテゴリー(Skilled Migrant Category Resident Visa: SMC)
技能者カテゴリーは、ニュージーランドが必要としている職種のスキルを持った人材に優先的に永住権を与える制度で、ポイント制に基づいています。
申請資格は55歳以下で、学歴、資格、職歴、現地での雇用条件などでポイント査定されます。
2023年10月9日から導入された新制度では、180ポイント制から6ポイント制に変更され、計算方法が簡素化されました。
投資家カテゴリー(Investor Visas)
一般の投資家向けのビザで、様々な条件があります。
新制度(Active Investor Plus Visa, 2022年以降)
投資家ビザが「Investor 1」と「Investor 2」から統一され、「Active Investor Plus Visa」に変更になりました。
投資条件
最低投資額: NZD $5,000,000〜$15,000,000(約4.3億〜13億円)
投資期間: 最低3年間(4年目は維持が必要)
滞在要件: 合計117日間ニュージーランドに滞在
対象投資
民間企業への直接投資(最も優遇、3倍のウェイト)
未公開株式やベンチャー企業へのファンド投資(2倍のウェイト)
上場株式や慈善活動(1倍のウェイト)
2025年4月以降の新制度
投資家ビザがさらに簡素化され、以下の2つのカテゴリーに分割されます。
The Growth Category
最低投資額:NZD $5,000,000(約4.3億円)
投資期間:3年間
対象:合同運用ファンドまたは直接投資
滞在要件:年間21日以上
The Balanced Category
最低投資額:NZD $10,000,000(約8.5億円)
投資期間:5年間
対象:債券、上場株式、不動産開発など
滞在要件:年間105日以上
英語力証明が不要になり、申請プロセスが簡略化されます。
投資対象として不動産開発が一部認められるようになります。
家族カテゴリー(Family Category Resident Visa)
家族カテゴリーは、ニュージーランドの永住権または市民権を持つ家族がいる場合に適用されます。次のようなケースが対象となります。
最低12ヶ月以上の婚姻関係または事実婚関係(Partner Resident Visa)
ニュージーランド人または永住権保持者の子供(Dependent Child Resident Visa)
ニュージーランド人または永住権保持者の両親(Parent Resident Visa)
カテゴリーによって、申請条件や必要書類が異なるため、具体的な要件については詳細な確認が必要です。
ニュージーランドの職業リストとポイントシステム
ニュージーランドの永住権取得に関連する職業リストとして、グリーンリストと呼ばれるものがあります。
これはニュージーランド政府が定めた、人手不足とされる職業のリストです。
このリストに掲載されている職業に就いている場合、比較的スムーズに永住権を取得できる可能性があります。
グリーンリストは、2つのTierに分かれています。
Tier 1 (Straight to Residence Visa)
Tier 1には156種類の職種があり、主に医療系やエンジニア、建設系の職種が含まれます。
例:
歯科技工士、歯科医
電気エンジニア
登録看護師(高齢者ケア)
ソフトウェアエンジニア
獣医師
Tier 2 (Work to Residence Visa)
Tier 2には35種類の職種があります。
例:
自動車電気技師
クレーン操作員
酪農家
幼児教育教師
電気技師
自動車整備士
配管工
技能者カテゴリー(SMC)のポイントシステム
技能者カテゴリーでのポイントは、主に3つのカテゴリーから獲得でき、次のような条件で点数が付与されます。
スキルカテゴリー(3〜6ポイント)
以下の3つのカテゴリーのうち、1つのみから3〜6ポイントを獲得できます
| カテゴリー | ポイント |
| ニュージーランドの職業登録 | 3〜6 |
| 学歴資格(学士号以上) | 3〜6 |
| 仕事からの収入またはジョブオファー | 3〜6 |
ニュージーランドの職業登録
医療従事者、エンジニア、電気技師など、ニュージーランドで働くために必要な職業登録を取得している場合。
登録内容によりポイントが異なる。
学歴資格
学士号:3ポイント
修士号または博士号:6ポイント
収入またはジョブオファー
ニュージーランドでの平均賃金の1.5倍以上(2023年時点で時給44.49NZD以上)の収入がある場合:3ポイント
ジョブオファーも同様に対象。
ニュージーランドでの技能ワーク経験(最大3ポイント)
1年間の就業につき1ポイント
最大3ポイントまで加算可能
| 就労期間 | ポイント |
| 1年 | 1 |
| 2年 | 2 |
| 3年以上 | 3 |
条件
技能職種とは、以下を満たすものと定義されます。
・週30時間以上勤務。
・ANZSCO(オーストラリア・ニュージーランド標準職業分類: レベル1~5: レベル1が最も専門的)のレベル1〜3の職業で賃金中央値以上、またはANZSCOレベル4〜5で賃金中央値の1.5倍以上。
・無期限契約、または12か月以上の有期契約。
ポイント計算の注意点
・スキルカテゴリーからのポイントは1つのカテゴリーからのみ計算され、複数のカテゴリーを組み合わせることはできません。
・ニュージーランドでの技能ワーク経験のポイントは、スキルカテゴリーのポイントと組み合わせることができます。
・年齢制限(55歳以下)、英語能力(IELTS6.5相当)、健康状態、犯罪歴なしなど他の基本条件も満たす必要があります。
・新しい制度では、各項目から得られるポイントを合算し、6ポイント以上となることが必要です。
ポイント基準に達することで、EOI(Expression of Interest)を提出できます。
合計例
・学士号(3ポイント) + ニュージーランドで技能職種として2年間就労(2ポイント)
= 合計5ポイント → 永住権申請には不足
・修士号(6ポイント) → 申請可能
ニュージーランドの永住権取得にかかる費用
ニュージーランドの永住権を取得するためには、数種類の費用が発生します。
これらの費用は申請者の状況や選択するビザの種類によって異なるため、以下に具体的な情報を詳述します。
申請費用
技能移民カテゴリー
Expression of Interest (EOI) 提出費用
オンラインEOI提出:NZD $0(無料)
永住権申請費用
2024年9月30日まで: NZD $4,290(ニュージーランド国内申請の場合)
2024年10月1日以降: NZD $6,450(全地域共通)
家族カテゴリー
パートナー永住ビザ(Partner Resident Visa)
申請費用:
NZD $5,360
(2024年10月1日以降、料金が大幅に値上げされました)
条件:
最低12ヶ月以上の婚姻関係または事実婚関係が必要。
スポンサーは過去5年間に他のパートナーをスポンサーしていないこと。
扶養子供永住ビザ(Dependent Child Resident Visa)
申請費用:
NZD $3,230
(以前はNZD $2,750でしたが、値上げされています)
条件:
子供が16歳以下の場合:未婚であること。
17〜24歳の場合:独身で経済的に親に依存していることを証明。
両親永住ビザ(Parent Resident Visa)
申請費用:
NZD $2,750
Expression of Interest (EOI) 提出費用: NZD $430
条件:
スポンサーとなる子供がニュージーランド市民または永住権保持者であること。
年間発給数が制限されており、審査には18〜24ヶ月程度かかる場合があります。
英語能力証明(IELTS4.0以上)が必要。ただし、免除費用を支払うことで免除可能です。
申請プロセスに必要なその他の費用
・健康診断費用: 約NZD $500〜$800(医療機関による)
・警察証明書取得費用: 国によって異なるが、約NZD $100〜$200
・英語能力試験費用(IELTSまたはPTE): 約NZD $385〜$410
・資格認定費用(NZQA認定が必要な場合): NZD $746〜$1,046
・翻訳料: 書類が英語でない場合に必要
永住権取得にかかる総費用は、申請者の状況や永住権取得までにかかる期間によって大きく変わるため、個々のケースに応じて詳細な見積もりを行うことが重要です
年齢制限や家族への影響
ニュージーランドの永住権を取得するためには、いくつかのカテゴリーがあり、それぞれに異なる条件がありますが、一般的に年齢制限に関しては55歳以下であることが共通の条件とされています。
ただし、特別永住権など、一部のカテゴリーでは年齢制限がない場合もあります。
年齢制限の詳細
技能者カテゴリービザの場合、申請者は56歳の誕生日前日まで申請が可能ですが、基本的には55歳以下が求められます。
申請者は健康状態が良好で、過去に犯罪歴がないこと、及び一定の英語力を示す必要があります。
家族への影響
家族ビザの場合、ニュージーランドに居住する親または子供がスポンサーとなり、他の家族メンバーを永住権に含めることができる点が重要です。
特に、永住権を持つ親が、18歳以上の子供をスポンサーとしてサポートすることが可能です。
また、配偶者や24歳以下の扶養家族も申請に含めることができます。
したがって、家族として移住する際には、永住権取得が家族全体に与える影響を考慮することが大切です。
また、永住権を持つと、ニュージーランドでの生活全般に対して多くの権利が付与され、基本的にはニュージーランド市民と同等の権利を享受できます。
オーストラリアとの永住権比較
ニュージーランドとオーストラリアは、移住希望者に人気の高い国ですが、両国の永住権取得に関する条件やプロセスには重要な違いがあります。
永住権の取得条件
ニュージーランドの永住権
ニュージーランドでは、特定の職業で働いていることや、指定された雇用主からのオファーが必要です。
また、年齢は55歳以下で、健康状態が良好であり、犯罪歴がないことも必須条件です。
技術職であれば、ジョブオファーがあるか、一定期間働いていることが求められます。
オーストラリアの永住権
オーストラリアの永住権も同様に雇用主からの推薦やスキルに基づく場合が多いですが、ポイントシステムを採用しており、年齢、職業、英語能力などが評価されます。
オーストラリアでは、「技術独立永住ビザ」や「雇用主指名ビザ」など、さまざまなカテゴリーが設けられています。
これは外国人労働者のスキルに基づいて、長期的な移住を促進するためのものです。
生活環境
ニュージーランド
ニュージーランドは自然が豊かで、生活の質が高いとされています。
シェアハウスの費用もオーストラリアに比べて比較的安く、留学生や移住者にとって住みやすい環境が整っています。
オーストラリア
オーストラリアは賃金が高く、職業によっては非常に高い生活水準が提供されることがありますが、特に大都市では住宅価格が高騰しています。
しかし、オーストラリアで永住権を取得すると、就業機会が広がり、国際的な環境での生活が楽しめます。
永住権取得後のオプション
ニュージーランドの市民権を取得した後は、オーストラリアへの移住も可能です。
このことから、ニュージーランドでの永住権取得はオーストラリアへの道を開く一つのステップとされていることが多いです。
移住後の生活と後悔の実例
ニュージーランドで永住ビザを取得すると、多くの利点がある一方で、移住者が直面する課題や後悔もあるようです。
移住後の生活
永住ビザを取得した後では、仕事に対する安定感が増すと感じることが多いようです。
地方では、技術職に対する需要があり、安定した職を得やすいとされています。
ニュージーランドは自然環境が豊かで、治安も良好なため、移住した人たちの多くが魅力的だと感じているようです。
また、家族向けのイベントやアクティビティも盛んで、地域とのつながりを感じやすいといったメリットもあります。
多文化共生が進んでおり、多様なバックグラウンドを持つ人々が共存する環境なので、比較的受け入れられやすいと感じることも多いでしょう。
さらに、ニュージーランドには質の高い公的医療制度があるので、殆どの治療は基本的に無料で受けられます。
このような医療制度により、健康面でも不安を抱えることなく、安心して生活できる基盤が提供されています。
後悔の実例
物価が高い
移住した人の多くは、予想以上の生活費、特に居住費の高さに直面し、後悔することがあります。
ニュージーランドの居住費は非常に高く、賃貸料や住宅費が家計を圧迫するという意見があります。
文化の差
ニュージーランドの文化や社会の流れに馴染むのが難しいという意見もあります。
他国からの移住者は、しばしば慣れ親しんだ文化との違いにショックを受け、孤独感を感じることがあります。
家族との距離
永住権を取得したが、日本に残した家族との関係が希薄になることを後悔する移住者もいます。
特に、特別なイベントや医療の際に、日本にいる家族を支えられないことがストレスになっているという声もあります。
まとめ
ニュージーランドの永住権取得方法について理解が深まったでしょうか。
ニュージーランドへの移住には多くの困難もありますが、豊かな自然環境の中で日本では経験することのできない生活が待っているはずです。
永住権への理解を深めて、ぜひニュージーランドへの移住を検討してみてはいかがでしょうか。
◇経歴
海外向けデバイスのソフト設計開発、関連資料翻訳
◇資格
TOEIC 900点
◇留学経験
ワーキングホリデーにてカナダ、オーストラリアに滞在経験あり
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーでは、ホテルやレストランで仕事をしていました。
◇自己紹介
普段は翻訳などの仕事をしていますが、Webライターとしても活動しています。
興味の幅が広く、様々なテーマで記事を書いています。
皆様にとってわかりやすく面白い記事を書けるよう頑張ります。
よろしくお願いいたします。