
ワーホリや旅行などでイギリスを訪れる方に向けて、イギリスの鉄道や地下鉄、バスの利用方法について解説します。
日本とイギリスでは鉄道のシステムが異なるため、同じような感覚で利用すると、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。
どういった違いがあるのか、注意点はなんなのか、予約はどうすればいいのかなど、基本的なポイントを取り上げているため、ぜひ参考にしてください。
イギリス基本情報
イギリスは、正式にはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国といい、イングランドとスコットランド、ウェールズを含んだグレート・ブリテンと、北アイルランドから構成されている点が特徴です。
首都はイングランドにあるロンドンで、主要産業には自動車や航空機、エレクトロニクスなどがあります。
かつてはEUを構成する国の1つでしたが、2020年2月に脱退しました。
また、通貨はポンドであり、2025年2月1日現在は、1ポンドあたり192円となっています。
日本との関係は2018年に外交関係開設160周年を迎えるなど、近代以降長い関係を有している点が特徴です。
2001年には、両国間でのワーキングホリデー制度が始まり、2008年末からはイギリス側の名称が「Youth Mobility Scheme」に変更となり、他国のワーキングホリデーとは異なり最長で2年間の滞在が可能となっています。
イギリスの鉄道(電車)について
イギリスは鉄道発祥の地であり、蒸気機関車による鉄道は世界最古の歴史を持ちます。
その一方で、鉄道の近代化には遅れてしまったという背景もあり、現在でも蒸気機関車に触れ合うことができます。
現在のイギリスの鉄道は、1994年に国鉄が民営化されたことで、20以上の運行会社に分割されており、各都市によって鉄道の運行会社が異なる形となっています。
ロンドン近郊の鉄道だけでもGreat Western Railway(GWR)やSouth Western Railway、London Overground、London Northwestern Railwayなど複数の会社が運営しているため、初めて訪れる人は鉄道のシステムに戸惑うことがあるかもしれません。
しかし、運営会社こそ異なっていても、鉄道の発券システムは統一されているため、実際に利用する際には運営会社の違いを気にする必要はほとんどありません。
料金に関しては、等級の違いこそありますが、日本のように特急や急行、各駅停車の区別はありません。
ただし、工事等の影響で週末に運休になるケースもあるためその点には注意が必要です。
イギリスで鉄道を利用する場合、使用する可能性が高いのがナショナルレール(National Rail) とロンドン地下鉄です。
ナショナルレールは、20社の民間鉄道会社により運行されているイギリス全土を繋ぐ鉄道のことです。
また、ロンドン地下鉄は、世界初の地下鉄道としても有名であり、市民からはそのトンネルの形から「the Tube」と呼ばれています。
イギリスを訪れる際には利用する可能性が高いといえるため、名称を覚えておくと便利です。
イギリスの鉄道(電車)予約方法
ここではイギリスの鉄道(電車)の予約方法について解説します。
また、イギリスの鉄道を利用するうえで重要となるチケットの種類についても取り上げているため参考にしてください。
チケットの種類
イギリスの鉄道は、利用するタイミングによって乗車チケットが以下の3種類に分かれる点に注意しなければなりません。
1.オフピーク (Off-Peak)
2.スーパーオフピーク (Super Off-Peak)
3.エニータイム (Anytime)
オフピークとスーパーオフピークは、利用者が少ない時間帯に利用できるチケットです。
事前に予約する際には日時を指定する必要があります。
エニータイムは、その名の通りどの時間帯でも利用できるチケットです。
ターミナル駅の窓口や券売機などで購入・予約ができるほか、オンラインでも入手できます。
このようなチケットの種類の違いがあることを踏まえたうえで、続いて鉄道チケットの予約方法について解説します。
Trainlineを使った予約
オンラインから鉄道予約をしたい方には、「Trainline」(トレインライン)の利用がおすすめです。
こちらは、イギリスのデジタルプラットフォームです。
切符や鉄道カードなどの購入ができるほか、アプリで電車の発着時刻等を確認することもできます。
ナショナルレールのチケットはもちろん、ユーロスターなどイギリス国外の電車のチケット予約も可能です。
電車のチケット予約は以下の手順で行ってください。
1.Trainlineにアクセスする
2.検索画面で出発駅や到着駅、日時などを入力して検索する
3.検索結果一覧から往路もしくは復路の列車を選ぶ
4.指定席であれば希望する座席を選び、受け取り方法を選ぶ
5.詳細確認と支払い手続きを行う
6.チケットを受け取る
なお、乗車チケットに関しては以下のようにいくつかの種類があるため、自分に合ったものを選んでください。
・Mobile Tickets(Traillineのアプリ内でチケットを受け取り乗車前にアクティベーションをする)
・etickets(EメールでPDF形式のチケットを受信する)
・郵送(イギリス国内に住んでいる人のみ)
もちろん、アプリやオンラインからではなく、駅の券売機で購入することもできますが、事前に購入しておくと余裕を持って行動できるため事前購入をおすすめします。
Omioを使った予約
英語が得意ではない人は、日本語にも対応しているヨーロッパの鉄道予約サイト「Omio」(オミオ)もおすすめです。
こちらは日本語に対応しているほか、運行会社の違いを考慮することなく予約できる点が特徴です。
手数料がかかる点には注意しなければなりませんが、手数料を支払うことで手間を省けると考えれば、決して高くはありません。
Omioを使用して予約をする場合、以下の手順で行います。
1.予約便を検索する
2.検索結果が表示される
3.クラスや座席などを選択する
4.乗客情報を入力する
5.支払情報やクーポン情報(あれば)を入力する
6.予約完了
予約便を検索すると公式サイトで検索するのとほとんど同じ便が表示されます。
また、鉄道会社が複数に分かれるようなケースの旅程でも一つにまとめて検索できるため手間がかかりません。
利用するときの注意点
ここではイギリスで鉄道を利用する際に覚えておきたい注意点について解説します。
日本の鉄道に慣れていると驚く部分も少なくないため、ぜひチェックしてみてください。
週末の運休情報に注意
イギリスの鉄道は週末に運休するケースが少なくありません。
運休理由はさまざまですが、鉄道を利用できないために週末の予定が台無しになるといったことがないよう、こまめに運行情報をチェックしておきましょう。
運休した場合、代わりに鉄道会社がバスを用意して乗客を運んでくれますが、鉄道とバスでは所要時間が異なるため注意が必要です。
なお鉄道のチケットを持っていれば、代行のバスを利用する際に別途料金を支払う必要がありません。
ストライキが発生する恐れ
日本では考えにくいかもしれませんが、イギリスの鉄道はストライキが頻繁に発生します。
ストライキが発生すると、運行ダイヤが乱れるケースも少なくないため注意が必要です。
ダイヤの乱れによって自分の予定に影響が出る可能性も十分に考えられるため、こちらも事前に公式サイトやアプリなどを通して運行情報を確認しておくことをおすすめします。
スリに気をつける
海外の鉄道の場合、スリに気をつけなければなりません。
車内は混雑時だと人との距離が近いため、気づいた時には財布がなくなっていた、少しうとうとしていたら荷物がなくなっていたといったことになりかねません。
鉄道を使って移動する場合、財布やパスポートなど重要なものに関しては服の内ポケットに入れておく、カバンは肌身離さず持っておく、壁に背を向けて乗るなど細心の注意を払うようにしましょう。
ロンドンの地下鉄とバス利用法
イギリス国内の中でもロンドンは世界的な大都市ということもあって、訪れる人も多いのではないでしょうか。
ロンドンを訪れる場合、市内の主な移動手段は地下鉄とバスです。
ここではロンドンの地下鉄とバスを利用する際の手順について解説しています。
また、乗車時に持っていると便利なオイスターカードの概要や入手方法についても取り上げているためぜひ参考にしてください。
オイスターカードを購入する
地下鉄やバスなど、ロンドン市内で公共交通機関を利用する際に持っていると便利なのがプリペイドICカード「オイスターカード」です。
持っていると公共交通機関をよりスムーズに利用できるようになります。
オイスターカードは、地下鉄の駅の改札付近にある自動販売機で購入可能です。
購入時には希望するチャージ金額に加えデポジットとして5ポンドを支払います。
なお、このデポジットとチャージ料金のうち残ったものに関しては自動販売機で返金可能です。
ロンドンバスの乗り方
ロンドンといえば、赤い2階建てのバスが有名です。
バスに乗る場合、「Bus Stop」と書かれているバス停を探しましょう。
各バス停にはどの路線番号のバスが停まるのか掲示されているため、自分が利用するバスが停まるかどうかを確認しましょう。
ロンドン市内には非常に多くのバスが走行しているため、「TFL Go」や「City Mapper」「Google Maps」などを使って路線を調べておくとスムーズです。
バス停を見つけ、自分が乗りたいバスが来たら、手を挙げて乗車したい旨を伝えます。
この点が日本とは異なるため注意してください。
バス停にいても乗車の合図がないとバスはそのまま素通りする可能性もあります。
バスが止まったら、前方のドアから乗車します。
この時に「オイスターカード」を使って運賃を支払います。
運転席近くにカードリーダーがあるため、そこにカードをタッチしてください。
現金払いはできないため注意してください。
その後バスが自分が降車するバス停に近づき、バス停の名前がアナウンスされたら「Stop」ボタンを押して降車したい旨を伝えてください。
バス停に到着したら後方のドアから降ります。
ロンドンの地下鉄の乗り方
ロンドン市内には「the Tube」の愛称で知られる地下鉄が走っています。
地下鉄は11の主要路線から構成されており、路線によって色分けされているため、色で自分が乗る路線を確認できる点が特徴です。
乗り方は基本的に日本の地下鉄と変わりありません。
事前にオイスターカードを購入し、改札機にオイスターカードをタッチして駅構内に入場してください。
なお、オイスターカードだけでなくデビットカードやコンタクトレスのクレジットカードなどでも入場可能です。
改札を通ったら自分が乗りたい路線のプラットフォームへ向かいます。
駅構内の案内表示などをよく見ながら路線を確認してください。
無事にホームに辿り着いたらあとは電車が到着するのを待って乗車し、目的地の駅に向かいます。
駅に着いたら入場した時と同じでカードリーダーにオイスターカードやデビットカードなどをタッチで出場してください。
なお、ロンドン地下鉄は朝早くから深夜まで運行している点が特徴です。
一部の路線に関しては、週末の夜は24時間運行しているケースもあります。
また、ロンドン地下鉄はゾーン制を採用している点も特徴です。
これはロンドン市内を1~9のゾーンに分け、数字が大きくなる、つまりゾーンの外側に行くほど料金が高くなるという仕組みです。
中心部がゾーン1で、そこから距離が遠くなるとゾーンの数字も大きくなります。
どのゾーン間を移動するかによって料金が変わるため注意してください。
イギリスの鉄道(電車)まとめ
今回はイギリスの鉄道(電車)の基本情報や予約方法、乗り方などについて解説しました。
イギリスの鉄道は日本とは異なる部分が少なくないため、利用に当たっては注意が必要です。
例えば利用する時間帯によって切符の種類が異なることや週末になると運行しないケースがあること、ストライキの影響を受けやすいことなどです。
慣れない土地での移動をスムーズにするためにも、日本にいる時以上に時間に余裕を持って行動することがポイントだといえます。
また、ロンドン市内を移動する際は、オイスターカードを用意しておけば、よりスムーズに移動できるでしょう。
◇経歴
・イギリスに半年間留学
・イギリスでサッカーの指導者ライセンスを取得(指導の試験などは全て英語)
◇資格
・特になし
◇留学経験
・イギリス:2013年4月〜9月、The English Studio
・ドイツ:2019年9月〜、大学院留学(英語ではなくドイツ語です)
◇海外渡航経験
イギリスにはサッカーの指導を勉強するために留学しました。半年間現地の日系チームに所属し、指導者として活動しながらイギリスの指導者ライセンス取得に向けてコースにも参加していました。また、平日は語学学校に通い、英語の勉強をしていました。
◇自己紹介
ドイツの大学院に留学中のライターです。イギリスに半年間の留学経験があるほか、ドイツには現在も留学中で6年目を迎えています。現在はドイツ語学習がメインですが、英語も勉強しなおしており、語学力をさらに伸ばすことを目標にしています。