日本国内を旅行する際にも、祝日はスケジュールを左右しますよね。
祝日は混むから避けたい人もいれば、祝日のおかげで週末が長くなり、遠方に旅行ができるという人もいるでしょう。
そしてもちろん、祝日は日本だけのものではなく、たとえばイギリスにも存在しています。
イギリスに旅行や留学、ワーキングホリデーなどで滞在するときには、祝日の存在も無視できません。
この記事では、イギリスの祝日にまつわる情報をご紹介していきます。
イギリス滞在の予定がある人はぜひ参考にしてくださいね。
イギリスの祝日のほとんどが「Bank Holiday」
祝日を英語にすると、national holidayやpublic holidayなどになりますが、イギリスでは祝日というと、bank holiday(バンクホリデー)というイメージが強いです。
そのため、会話の中でも「今後のバンクホリデーに〇〇に行くよ」という形で、bank holidayという言葉が使われます。
そのほかには、イースターホリデーやクリスマスなどの祝日がありますが、こうした祝日を指して話すときは、その祝日の名称を使います。
日本語で言うと、「ゴールデンウィーク」「元旦」などは固有名詞を使い、その他の敬老の日や海の日などには「祝日」と言うような形に近いかもしれません。
(ただし、イギリスの大部分を占める地域では、固有名詞が使われる祝日以外はすべて名称もbank holidayとなっています。)
このbank holidayを含めたイギリスの祝日では、銀行をはじめ、多くの企業や店舗が休業します。
ただし、サービス業に関しては祝日が書き入れ時でもあるため、営業しているところも多いです。
イギリスの祝日リスト
では、イギリスの祝日は一体いつなのでしょうか。
イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドで構成されている国のため、実は地域によっても祝日が多少異なります。
イングランドとウェールズの祝日は共通していますが、その他の2つには固有の祝日があるため、わかりやすいように注釈を添えながら、イギリスの祝日をリスト化してみました。
注釈がないものは、全地域共通となっています。
【イギリスの祝日】
・New Year’s Day(1月1日)
・2nd January(1月2日)※スコットランドのみ
・Good Friday(3月〜4月にあるイースター前の金曜日)
・Easter Monday(3月〜4月にあるイースターの月曜日)※スコットランド以外
・Early May bank holiday(5月第1月曜日)
・Spring bank holiday(5月最終月曜日・ただし例外あり)
・Battle of the Boyne (Orangemen’s Day) ※北アイルランドのみ
・Summer bank holiday(8月第4月曜日)※スコットランド以外
・St Andrew's Day(11月30日)※スコットランドのみ
・Christmas Day(12月25日)
・Boxing Day(12月26日)
上記のリストは、スコットランドや北アイルランドのみのものも含めているためカウントがしづらいですが、どの地域も法定祝日の日数は年間8日となっています。
また、イースターのある週末は最大4連休となるため、「イースターホリデー」とまとめて呼ばれます。
Spring bank holidayについては、基本的には5月の最終月曜日ですが、2022年はエリザベス女王の在位70年を祝い、Platinum Jubilee bank holidayという祝日が、Spring bank holidayに代わって追加されました。
日付は6月2日木曜日。
エリザベス女王の即位日は1952年2月6日ですが、なぜか6月2日だったのは不思議ですね。
ちなみに、エリザベス女王はその年の9月に崩御されました。
リストを見てお気づきかもしれませんが、イギリスの祝日は月曜日に設けられることが多く、キリスト教に関係のない祝日は、基本的にbank holidayという呼称になっています。
イギリスで祝日が少ない理由
上記でイギリスの祝日は年間8日とご紹介しましたが、これを聞いて「少ない」と思った人もいるのではないでしょうか。
日本の祝日は基本的に年間15日ですから、イギリスの倍となっています。
海外の方が休暇が多いイメージを持っていた人もいるでしょう。
ですが、実際は日本の方が断然祝日が多いのです。
では、なぜイギリスでは祝日が少ないのでしょうか。
これは、イギリスの歴史や文化などが関連していると考えられます。
たとえば、イギリスは他のヨーロッパの国々と比べると、労働者の権利に関する考え方が確立されるのが遅く、祝日が増える動きが遅れてしまいました。
現代のイギリスにはそういうイメージはないかもしれませんが、18世紀後半から19世紀前半の産業革命時代のイギリスの労働条件は厳しく、イギリス人は長時間に渡って働き、休日も少なかったのです。
現代のイギリスでは、他のヨーロッパの国々と同様に、労働者の権利はとても大事にされていますし、産業革命の頃に比べると、仕事よりもプライベートを充実させる人が大多数です。
しかし、祝日の新設には政府や企業、労働組合などの兼ね合いも関わることもあり、それほど祝日が増えないままでいるのでしょう。
イギリスでは休みが少ない?
イギリスで留学やワーキングホリデーを考えている人は、イギリスの祝日が少ないことに不安を覚えるかもしれません。
祝日が少なければ、イギリス滞在中に休暇を取って旅行をしたり、日本に一時帰国をすることが難しくなってしまうかもしれません。
しかし、ご心配なく!
イギリスでは、祝日以外にもしっかり休暇が取れるのです。
学校に通う場合
たとえば教育機関だと、夏休みや冬休みなどがあるのが当たり前です。
冬休みはクリスマスホリデーとして2週間、そして春にもイースター前後に2週間の長期休暇が設けられています。
イギリスの教育機関は学年が9月始まりですが、その前に当たる夏休みはとても長く、約6週間のホリデーがあります。
ですから、大学や専門学校などに留学する人は、休暇に関して心配はいらないでしょう。
語学留学の場合は、他の教育期間とは休暇の考え方が異なります。
ですがそれでも、クリスマスの時期には2週間程度の休暇期間が設けられています。
また、多くの語学学校では9割以上の出席率であれば修了証がもらえますから、これを下回らないように学校を休んで、旅行する人も少なくありません。
ただし、短期もしくは中期留学の場合、1日でも休むと出席率に影響するため注意が必要です
仕事をする場合
お仕事をする人の場合は、13週間連続で勤務すると有給休暇が付与されます。
これは、ワーキングホリデーの場合も同様です。
有給休暇は(週の勤務日数)×5.6日と定められており、最大日数は週5勤務の場合の28日です。
わかりやすく考えるなら、合計で5週間程度休めると思えば良いでしょう。
ちなみにこれはフルタイム勤務の人だけではなく、パートタイムの人にも適用されます。
週3の勤務でも有給休暇の取得ができますから、詳しくは勤務先に確認しておきましょう。
日本だと有給休暇を連続して取る人は少ないかもしれません。
取ったとしても一度に1〜2日までという人がとても多いはずです。
しかし、イギリスの場合はこの有給休暇を使って1週間以上の連続した休暇を取る人が多いです。
一般的には2週間程度に抑えることが多いですが、例えば日本人のようにイギリスから遠く離れた場所出身だと、3週間連続した休暇を取らせてもらえることも少なくありません。
この辺りは職場の雰囲気にもよりますが、日系以外の企業に勤めれば、長い休暇が取れることが多いでしょう。
さらに取得できなかった有給休暇は払い戻してもらえます。
つまり、取得しなかった分の賃金が戻ってくるのですが、多くの企業はこれを避けたいため、有給休暇を全部消化することが奨励されます。
さらにイギリスでは、上記の有給休暇のほかに、Sick leaveという病欠時に使える有給休暇が付与されることが多いです。
上記の有給休暇は消化することを奨励される一方で、こちらの病欠休暇は本当に病気のときだけ使えるので、1日も使わない人もいるでしょう。
こちらのSick leaveについての規定は企業によって異なりますので、詳しくは雇用契約書を確認してください。
イギリス旅行で注意すべき祝日
イギリスに長期滞在する場合は、祝日は嬉しいものになることが多いかもしれません。
たとえサービス業で祝日に働かなければならない人も、祝日は給料が割り増しになることも多いです。
しかし、イギリスに旅行で行く人の場合は、イギリスの祝日の日程をあらかじめチェックしておいた方が良いでしょう。
特にクリスマスである12月25日は、公共交通機関も限られますし、レストランやカフェなどの飲食店も閉まっていることが多いです。
クリスマスは通常よりも人通りが少ないため、街歩きは楽しめるかもしれませんが、その他のアクティビティを楽しむことが難しくなるでしょう。
そのため、特に短期間の旅行の場合、クリスマス当日に旅程がかぶってしまうと、十分にイギリスを楽しめないかもしれません。
また、他の祝日に関して言えば、イギリス人が国内旅行を楽しんだり、都市部に足を延ばしたりすることが多いため、観光地では人が混み合いがちです。
混雑を避けたいなら、イギリスの祝日を避けて旅程を組むことをおすすめします。
まとめ
イギリスは比較的祝日が少ない国ですが、教育機関の休暇は日本と同程度設けられています。
さらに、有給休暇は日本よりもずっと取りやすいため、祝日の少なさをデメリットに感じることはないでしょう。
ただし、旅行などでイギリスに短期滞在する場合は、イギリスの祝日がデメリットになる場合もあるため、注意が必要です。
旅行でも留学やワーホリでも、ぜひ事前にイギリスの祝日を把握して、最適なタイミングで渡英できるように準備をしておくことをおすすめします。

◇経歴
・英日翻訳および翻訳校正
・Webライター(ジャンル:英語・留学・旅行など)
・英会話講師
・カスタマーサポート/コールセンター(イギリスおよび日本・英語使用)
・カフェ店員(イギリス)
◇資格
TOEIC935点
英検準1級
ケンブリッジ英検FCE合格
◇留学経験
・イギリス:約10ヶ月(ロンドン内語学学校)
・グアテマラ:約3ヶ月(アンティグア内語学学校)
◇海外渡航経験
・イギリス:合計5年弱(内1年10ヶ月ワーホリ)
・グアテマラ:合計9ヶ月
合計50カ国に渡航歴あり
◇自己紹介
国内外で翻訳者兼Webライターとしてフリーランスをしています。これまで手がけた記事は1万記事以上。翻訳経験は通算7年位になります。
21歳の頃語学留学で渡英し、その後ワーホリビザ等を取得し、数年ロンドンで働いていました。
グアテマラへのスペイン語留学経験もあります。