日本の学校給食は、栄養バランスの良さやメニューの豊富さ、そして食育の観点から大変優れており、アメリカでもメディアやSNSで取り上げられています。
また、品数が多くて見た目も美しい日本のお弁当文化も、アメリカでは話題となっています。
それでは、アメリカの学校のランチでは、いったいどのように提供されているのでしょうか?
アメリカ版の弁当であるランチボックスには、どんなメニューが選ばれているのでしょうか?
この記事では、アメリカの弁当事情について詳しく解説していきます。
- 日常的には「Lunchbox」日本式は「Bento」
- アメリカのランチボックスの特徴
- アメリカの学校給食制度とランチボックス
- ランチボックスが選ばれる3つの理由
- アメリカのランチボックスの定番メニュー
- アメリカのお弁当文化はシンプル!
日常的には「Lunchbox」日本式は「Bento」
アメリカでは、自宅から持参するランチを入れる容器のことを、ランチボックス(Lunchbox)と呼びます。
日本語の弁当箱とほぼ同じ意味で使われますが、アメリカのランチボックスは日本の弁当箱に比べるとカジュアルです。
また中に入っているランチも、日本のお弁当とはずいぶん異なります。
ちなみに、アメリカでも「Bento」という日本語が通じます。
キャラ弁などの日本の弁当文化が広く知られるようになったことと、日本食レストランなどで幕の内弁当スタイルのランチが「Bento」とメニューに載っていることから、「Bento」という言葉がアメリカ人にも広く知られるようになったからです。
日本の弁当箱のように細かな仕切りがついていたり、フォークやスプーンを収納するスペースがある高機能なランチボックスが、「Bento Box」として販売されているのも目にします。
こちらの記事ではイギリスのお弁当事情を紹介していますので、興味のある方はご参考ください。
アメリカのランチボックスの特徴
アメリカのランチボックスは容器も中身も、日本のお弁当とは異なります。
容器と中身に分けて、一般的な傾向をご紹介します。
紙袋や再利用型容器など簡便な包装が主流
日本のお弁当はデザインや素材が豊富で、数年使い続けられる耐久性があります。
アメリカのランチボックスは紙袋やジップロックバッグなどの使い捨ての包装や、タッパーのようなプラスチック製容器などが主流です。
プラスチック製容器は再利用可能なものも多いですが、日本の弁当箱に比べると簡素です。
紙袋やプラスチック容器などに入ったランチは、保冷バッグに入れて持ち運ぶのが一般的です。
見た目より実用性や満腹感を重視する傾向
日本の弁当は栄養バランスと見た目が重視されており、品数が多く綺麗に盛り付けされているのが一般的です。
一方、アメリカのランチボックスの中身は、準備が簡単で冷たいものが主流で、品数も少なめです。
見た目はあまり気にせず、お腹を満たすことを重視しており、5~10分で用意できるような簡単なものばかりです。
アメリカの食文化や食事マナーについては、こちらの記事でも紹介しています。
アメリカの学校給食制度とランチボックス
アメリカの学校では、ランチの時間帯になるとカフェテリアに移動してランチを食べるのが一般的です。
小学校ではクラス担任の引率でクラスごとに移動することが多いですが、中学校や高校では生徒各自がカフェテリアを利用します。
天気の良い日は校内のベンチやピクニックテーブルでランチを取る生徒もいます。
公的給食制度が広く利用され、持参ランチも併存
アメリカの公立学校の多くでは、スクールランチと呼ばれる公的な給食制度によるランチが提供されています。
スクールランチの価格は地域や学区によって異なりますが、全国平均は1食約3ドル前後(地域によって2.90〜4ドル台)です。
スクールランチのメニューは決して豊富ではなく、手の込んだ料理はあまり提供されません。
バーガー、ホットドッグ、ピザ、チキンナゲットなどが定番メニューで、複数のアイテムから生徒が好きなものを選べるようになっています。
学校の提供するランチを食べる必要はなく、自宅から持参したランチを食べる子も少なくありません。
毎日スクールランチを利用する子、毎日ランチボックスを持参する子、親がランチボックスを用意できなかった日や好きなメニューのある日はスクールランチを食べる子など、さまざま。
全員で同じ給食を食べる日本の学校に比べると、アメリカのランチ事情は家庭の事情や子どもの好みに対応しており自由度が高いです。
学校ごとにアレルギー対策ルールが設けられる場合がある
アメリカのカフェテリアでは、食物アレルギーを持つ児童や生徒が安全にランチを取れるように、特別なテーブルを用意していることがあります。
そのテーブルでランチを食べる場合は、ナッツ類や乳製品などのアレルゲンを含む食品の持ち込みが禁止されており、誤食や混入を防ぐ目的があります。
一部の学校では、ナッツ類を学校全体で禁止するケースもあります。
もし、お子さんに食物アレルギーがある場合は、学校にどのようなアレルギー対策を行っているのか問い合わせるのがおすすめです。
サンドイッチと果物など簡潔な構成が一般的
一般的なアメリカのランチボックスに含まれている食べ物は、サンドイッチ、果物、チップスのような簡単なメニューがほとんどです。
日本のお弁当のように品数が豊富で栄養バランスが取れた食事では少なく、当日の朝に時間をかけずに詰められるものを3~4品集めただけの簡潔な構成です。
ただし、アメリカと一口に言っても、地域、人種、アレルギーの有無、健康的な理由などにより、各家庭の食文化は実に多様です。
アジア系の子どものランチボックスにご飯と野菜炒めが入っていたり、インド系の子どもが保温ジャーにカレーを入れてきたり、ベジタリアンの子がサラダやフムスを食べていたりなど、ランチボックスの内容も個性豊かです。
日本風の品数豊富な美味しい弁当を毎日作ってもらっている、サンドイッチの代わりにおにぎりを持っていっているという、日本人のお子さんもいるでしょう。
ランチボックスが選ばれる3つの理由
アメリカの子どもが学校で食べるランチオプションとして、ランチボックスの人気が高い理由をご紹介します。
1. 内容を家庭で管理できる(嗜好・健康・アレルギー対応)
前述したようにアメリカは各家庭の事情によって食生活もさまざまです。
ベジタリアンの子もいますし、宗教上の理由で豚肉が食べれなかったり牛肉が食べれなかったりする子もいます。
ナッツ類や乳製品などのアレルギーを持つお子さんも多く、好き嫌いの多い偏食の子も少なくありません。
メニューが限定的なスクールランチではなく、家庭の食生活や子どもの嗜好・アレルギーに合わせて各家庭で内容を管理できるランチボックスを選ぶ家庭は少なくありません。
2. 準備が簡単で時間効率が良い
アメリカ人は日本と比べると家庭料理の比率が低く、「あまり料理をしない」と言われますが、ランチに関しても手早く作れるものや、冷蔵庫や冷凍庫から出してそのままランチボックスに入れられる手軽なものが中心です。
ジャムやピーナッツバターを塗ったサンドイッチ、クラッカーやチップス、洗っただけのフルーツなどを、さっとランチボックスに詰めるだけなので、ランチボックスの準備は5~10分程度で済みます。
忙しい朝でも時間効率良く準備ができるので、負担になりません。
また、アメリカの学校のランチタイムは学年ごとにカフェテリアを利用できる時間が決まっていることもあり、ランチの時間は25〜30分程度が一般的です。
この時間には、教室からカフェテリアへの移動時間や、スクールランチを購入する時間も含まれるため、かなり慌ただしいのが実情です。
スクールランチを並んで購入するとゆっくり食べられない、友達とおしゃべりする時間がなくなってしまうからなどの理由で、家からランチボックスを持参することを好む子どもも少なくありません。
3. 状況により費用調整が可能
アメリカのスクールランチの料金は、1食につき3~4ドルです。
外食に比べると決して高い値段ではありませんが、1週間に15~20ドルの出費になります。
スクールランチの質があまり良くないこともあり、節約も兼ねて、栄養バランスが取れて子どもの好みに合わせられるランチボックスを持参した方が良いと考える家庭も少なくありません。
ちなみに、公立校の多くでは、低所得世帯の子女には割引価格や完全無料でスクールランチが提供されています。
また、全校生徒の過半数が低所得世帯というような学区では、生徒全員に無料でランチを提供していることもあります。
無料でスクールランチが提供される学校では、ランチボックスを持参する生徒の割合は低くなります。
アメリカのランチボックスの定番メニュー
アメリカのランチボックスには、実際にどんな食べ物が入っているのでしょうか?
アメリカのランチボックスの定番メニューをご紹介します。
パンに塗るだけ!ピーナッツバターサンド
アメリカのランチボックスの主役と言えるのがピーナッツバターを塗ったサンドイッチです。
ピーナッツバターだけでは甘みが足りないので、グレープやイチゴのジャムと合わせた「ピーナッツバター&ジェリー(略してPBJ)」が定番中の定番です。
作り方はごく簡単で、食パン2枚を使い、1枚にはピーナッツバターを、もう1枚にジャム(ジェリー)を塗り、塗布面同士をぴったり合わせるだけです。
また、ジャムの代わりにヌテラ(ヘーゼルナッツペーストをベースにしたチョコレートスプレッド)を塗ったり、スライスしたバナナを挟んだりすることもあります。
ピーナッツバターは栄養価が高くて子どもたちも喜んで食べるので、サンドイッチによく選ばれているようです。
もちろん、毎日ピーナッツバターの甘いサンドイッチだと飽きてしまうので、ハムとチーズを挟んだサンドイッチに代わることもあります。
ちなみに、アメリカのスーパーの冷凍食品売り場では、ピーナッツバターとジャムが入った丸型のクラストレス(耳なし)冷凍サンドイッチが販売されています。
(ちなみに「アンクラスタブルズ(Uncrustables)」という商品名です)
日本人からすると「それぐらいは自分で作ろうよ」と感じるところですが、冷凍食品のPBJを活用している家庭は少なくありません。
ヨーグルトやスナック類の付け合わせ
サンドイッチに添える副食として多いのは、ヨーグルトやスナック類です。
ヨーグルトはチューブ入りのものを冷凍しておいて、保冷剤代わりにランチボックスに入れておくというスタイルが定番です。
スナック類は、ポテトチップスやクラッカーのような塩味系と、クッキーやフルーツグミなどの甘い系のスナック、ミックスナッツやレーズンなどが定番です。
バナナ、リンゴ、イチゴなどの新鮮な果物も、調理不要でヘルシーなので人気があります。
健康志向でサラダ主役のランチも
サンドイッチの代わりにサラダを主役にしたランチも、ベジタリアンの子どもやヘルシー志向の女子の間では人気です。
アメリカのスーパーでは、いろいろな種類の野菜とドレッシングがセットになったパッケージサラダが販売されており、そのまま持ってくる子も少なくありません。
また、茹でたヒヨコマメをペースト状に潰したフムスを、ニンジンやセロリスティックで食べるのも、野菜中心のヘルシーなランチボックスの定番メニューです。
アメリカのお弁当文化はシンプル!
アメリカの学校でのランチ事情やランチボックスの定番メニューについて詳しく解説しました。
愛情と手間をかけて作られた日本のお弁当に比べると、アメリカのランチボックスはいたってシンプルです。
日本人から見ると味気なく、栄養面も疑問に感じることも多いですが、「お腹が満たされればそれでいい」という簡素さのアメリカのランチボックスは、合理的なアメリカのお国柄をよく表していると思います。
日本の給食風景のようにみんなが同じメニューを食べるというのではなく、それぞれがスクールランチや持参のランチを好き勝手に食べているという多様性のあるランチの光景も、いかにもアメリカらしい光景です。
日本人なら、アメリカ風のシンプルなランチボックスを作ってもいいし、おにぎりとおかずの日本風の弁当を作ってもいいし、時にはバーガーやピザなどのジャンクなスクールランチを試してみるのもおすすめです。
駐在や移住でお子さんをアメリカの学校に通わせる予定の方、交換留学などでアメリカの学校に通う方は、ぜひ、自分の好きなスタイルでアメリカのランチタイムを楽しんでください。
◇経歴
東京出身。アメリカの大学を卒業後に現地企業にて12年勤務。子育てを機に退職し、現在はフリーライターをしています。
◇英語に関する資格
英検準1級
TOEIC875点
◇留学経験
アメリカ高校交換留学、アメリカの4年制大学卒
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
アメリカに住んで20数年!アメリカ以外にもカナダ、イタリア、フランス、スペイン、モロッコ、メキシコなど旅行経験あり。
◇自己紹介
高校での交換留学を機に、アメリカの大学へ進学、そのままアメリカで就職し、いつの間にかアメリカ在住20数年。趣味はガーデニングと美術館巡り。