留学やワーホリなど、海外渡航の際に避けて通れない話題がビザです。イギリスのビザは複雑で、ビザの種類によって滞在期間や就労可能か、ビザの申請必要の有無、入国前の手続きが必要かどうかが変わってきます。
「イギリスの語学留学にビザは必要?」
「学生ビザでアルバイトはできるの?」
「配偶者ビザってどのような審査があるの?」
この記事では、イギリス入国、滞在に関わるビザの種類とその情報をまとめました。ただし、ビザ情報に関しては、常にアップデートがされています。随時、ご自身で最新の情報を入手するようにしてください。
イギリスのビザの種類
ビザには大きく分けて、観光ビザ、学生ビザ、YMSビザ、配偶者ビザ、就労ビザがあります。
ビザの種類によって異なることには、滞在可能期間、申請可能な条件(英語力や財政力の証明など)、就労の可否、申請可能な時期、申請のための費用、ビザ取得と同時に必要なもの(保険など)、ビザ延長の可否、があり個別に確認をする必要があります。
観光ビザについて
基本情報
まず、日本国籍保持者は観光の場合、ビザの事前申し込みは不要です。ビザの取得なしでイギリスに入国後、最長6ヶ月まで滞在することができます。
しかし、ビザなしで入国した場合、就労や収入を得る行為は禁止されています。
ETA (電子渡航認証)の義務化
公式ウェブサイト:https://www.gov.uk/government/news/uk-to-expand-digital-travel-to-more-visitors.ja
日本国籍保有者は、2025年1月8日から、イギリスに入国する際に事前にETA(電子渡航認証)の申請が必要になりました。
ETAはビザとは異なるもので、国境警備の手法として、入国管理の安全性を確保する目的で様々な国で導入されているものです。
ETAの申請が必要となる対象者は、以下の通りです。
・最長3ヶ月のクリエイティブワーカービザ保持者
・イギリス国内で乗り継ぎする渡航者
・Permitted Paid Engagement滞在者
ETAは、公式ウェブサイトまたは専用のアプリからから申請をする必要があり、申請には£10が必要です。
審査日数はイギリスの3営業日以内で、ETAの有効期間は2年間もしくは、パスポートの有効期限のいずれか短い方です。ただし、ETAが承認されても、入国許可が保証されるものではありません。
学生ビザについて
イギリスの学生ビザには、Short-term Study VisaとStudent Visaの2種類があります。
Short-term Study Visa
公式ホームページ:https://www.gov.uk/visa-to-study-english
短期学生ビザは、6〜11ヶ月の英語プログラムに短期留学する人が対象のビザです。
申請はコース開始の3ヶ月前を過ぎたら、申請手続きが可能です。ビザの審査所要時間は、3週間以内です。
手続きは英国外からのみ可能で、最長11ヶ月まで滞在が可能です。短期学生ビザで就労やインターンはできず、ビザの延長もできません。
申請には、パスポート、入学証明書、財政証明書(学費・滞在費の支払い能力を証明する書類)が必要です。ビザ申請費用は、£200と国民健康保険(NHS) £776/年間です。
Student Visa
公式ホームページ:https://www.gov.uk/government/news/top-tips-for-uk-student-visa-applicants-2.ja
Student Visaは、大学、大学院、専門学校などの高等教育課程に留学をする人が取得をするビザです。このビザを取得すると、学位の場合は最長で5年間、学位レベル未満の場合は最長で2年間の滞在が可能です。
こちらのビザでは就労が可能で、学期の最中は週20時間まで、休暇中はフルタイムでアルバイトなどの就労をすることができます。
コース開始の6ヶ月前を過ぎたら申請が可能になります。
必要な書類としては、パスポート、入学許可証、財政証明書(学費・滞在費の支払い能力を証明する書類)、英語力を証明する書類、保護者の渡航同意書(申請者が18歳未満の場合)、結核検査の結果(必要な場合)があります。
ビザ申請には、£490とIHS(保険料) £776/年間の支払いが必要です。
ビザ申請の流れ
それぞれ、ビザの申請可能期間になったら、ビザの申請準備を行います。GOV.UKの公式サイトでオンライン申請をし、申請料を支払います。
申請料金を支払い後、ビザ申請センターの来館予約をします。ビザ申請センターは、東京と大阪にあります。
必要な書類を公式サイトにアップロードします。ビザ申請センターに行き、生体認証情報(指紋と写真)を登録します。書類はビザ申請センターでアップロードを代替してもらうことも可能ですが、サービスは有料です。
パスポートの受け取り方法を選びます。ビザ申請センター窓口での受け取り、または、郵送を選ぶことができます。
BRP とは
BPR (Biometric Residence Permit)は、生体認証情報を含むカード型の滞在許可証のことです。通常、イギリスに6ヶ月以上滞在する場合に必要です。
BRPの受け取りは、イギリス到着後にビザ申請時に指定した郵便局で行います。
YMSビザについて
基本情報
YMSビザは、Youth Mobility Scheme のことです。実質的にはワーキング・ホリデーと同じビザですが、目的は「ホリデー」ではなく就労のためのビザのため、入国審査のためには「イギリスで働く予定である」ことを伝える必要があります。
YMSビザは2024年から定員は6,000名となり、抽選形式が撤廃されて先着順になりました。これにより取得の難易度が緩和されました。
公式ホームページ情報:https://www.gov.uk/government/news/uk-and-japan-expand-mobility-schemes-for-young-people.ja
YMSビザは、31歳未満で申請が可能、フルタイムの就労が可能で、最長2年の滞在が可能ですが、期間の延長はできません。日本と日本以外の国(イギリス国内以外)から申請をすることができます。
条件
YMSの募集要件としては、日本国籍を有していること、ビザ申請時に18-30歳であること、過去28日間に最低2,530£の資金の証明ができること、扶養義務のある子どもを同伴しないこと、以前にイギリスのワーキングホリデー・YMSビザを取得したことがないことがあります。
ビザ申請には、£490とIHS(保険料) £776/年間の支払いが必要です。
申請方法
ビザの申請の流れは、学生ビザと同様になります。
就労ビザについて
イギリスで就労ビザは、近年までTierの階層で分かれていましたが、現在は呼び方やカテゴリーが異なっています。ここではGlobal Talent visa、Skilled Worker visa、Temporary Work について解説をします。
Global Talent visa (旧Tier1 特定の職種向けの難易度の高い就労ビザ)
公式ホームページ:https://www.gov.uk/global-talent
Global Talent visa は、特定の分野で才能を発揮する起業家や投資家、科学技術者、芸術家などを対象とした就労ビザです。イギリス政府により一定の分野での成果やスキルの認定が必要となるため、申請の難易度は高いです。
発給は様々な分野にも当てはまり、IT関係やデジタルノマドも成果が認められれば発給の対象となります。
・18歳以上
・英語力の証明が必要で、英語圏の大学の学位を所持しているか、CEFR level B2程度の英語能力テスト結果を有すること。
・過去90日間において、銀行口座に£945以上の預金があること
Skilled Worker visa (旧Tier2 一般企業に勤める人向けの就労ビザ)
公式ホームページ:https://www.gov.uk/skilled-worker-visa
Skilled Worker visaは、企業に所属していて、会社の仕事の関係でイギリスで仕事をする場合には、比較的取りやすいビザです。
ただし、所属する企業は、ビザスポンサーシップのライセンスを所持している必要があるので確認が必要です。
職種としては、技能労働者、医療・介護、上級または専門労働者、国際スポーツ選手などがあります。滞在可能期間は、職種によって異なります。
・18歳以上
・英語力の証明が必要で、英語圏の大学の学位を所持しているか、CEFR level B2程度の英語能力テスト結果を有すること。
・過去90日間において、銀行口座に£945以上の預金があること
Temporary Work (旧Tier5 短期就労ビザ)
Temporary Work は、短期就労ビザのため、滞在可能期間は最長で1年間となります。
職種としては、チャリティー労働者ビザ(無給のボランティア)、クリエイティブおよびスポーツビザ、季節労働者ビザ(園芸、家禽などに従事)があります。
それぞれ、認可を受けた雇用主からスポンサー証書(CoS)を割り当てられている必要があります。
公式ホームページ:
https://www.gov.uk/temporary-worker-charity-worker-visa
https://www.gov.uk/creative-worker-visa
https://www.gov.uk/seasonal-worker-visa
配偶者ビザについて
基本情報
公式ホームページ:https://www.gov.uk/uk-family-visa/partner-spouse
イギリスのビザの種類の一つに配偶者ビザがあります。対象者は、イギリスで合法的に居住している配偶者(イギリス国籍者または永住権保持者)と結婚または同棲などのパートナーシップにある人です。最初のビザは2年6ヶ月間有効で、延長が可能です。
イギリス国外で申請をした場合33ヶ月、イギリス国内で申請をした場合は30ヶ月のビザが与えられます。海外からの申請料は、£1,846で、イギリス国内からの申請料は、£1,048です。
配偶者ビザで可能なことは、イギリス国内での就学、就労、5年間イギリスに居住することと、条件を満たせば、永住権への道があります。
ただし、配偶者ビザは、離縁やパートナー関係の解消が発覚した場合に、ビザの取り消しになるので、注意が必要です。
条件
配偶者ビザを取得するための要件としては、以下の4つの要件があります。
①ゼネラル
国内外の犯罪歴の有無、海外への移住や入国履歴に不正がないか
②リレーションシップ
2人の関係が捏造されたものでないこと
③ファイナンシャル
生活保護を受けることなく、自立していることが必要です。この収入証明の方法は、審査が厳しいので注意が必要です。現在£29,000 の収入が必要とされていますが、2025年に£38,700に上がることが発表されています。
④ランゲージ
英語力に関しては、イギリス生活に必要となる英語力が求められます。英語圏の大学での学位の取得や、認定テストによる証明が必要です。
まとめ
以上、イギリスの観光、留学、就労などの滞在に必要な各ビザの種類についてまとめました。
イギリスのビザに関する情報は煩雑なので、最初の一歩としては、自身のイギリス滞在にビザが必要なのかを知り、ビザの詳細や手続き方法を調べる必要があります。
イギリスのビザの要件等は、政府の方針、ブレグジット、コロナなどの世界情勢によって変化します。ご自身で最新の情報をチェックすることを忘れないようにしましょう。