フィラデルフィアの治安は本当に悪い?背景や現地の状況を徹底解説!

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ワシントンD.C.とニューヨークの中間にあるアメリカ東海岸を代表する都市、ペンシルベニア州・フィラデルフィア。人口は約157万人と全米で5番目に多く、アメリカ独立宣言が採択された歴史的な街としても知られています。

アメリカ独立記念館や自由の鐘などの建国の象徴や、美術館だけではなく、ペンシルベニア大学やテンプル大学、ドレクセル大学など、全米の名高い大学が集まる学術都市としても機能しています。

しかし、こうした魅力がある一方で、フィラデルフィアは全米でも犯罪率が高いことでも知られています。

本記事では、フィラデルフィアの最新の治安について詳しく解説します。エリア別の治安情報や治安悪化の背景、安全に過ごすコツなども紹介しているので、フィラデルフィアへの旅行や留学を控えている方は、ぜひ最後までお読みください。

フィラデルフィアの治安に関する最新情報

アメリカの歴史で非常に重要な都市として知られるフィラデルフィアは、近年は全米でも治安の悪化が特に懸念されています。以下では、フィラデルフィアの治安が悪化傾向にあることや、犯罪発生状況について解説します。

フィラデルフィアの治安は悪化傾向

2022年にFBIが発表した犯罪統計によると、フィラデルフィアは殺人事件の件数で全米1位、強盗で2位、窃盗でも13位と、深刻な状況が浮き彫りになっています。全米平均と比べると犯罪発生率は46%高いだけでなく、暴力犯罪率は202%と突出しています。

ただし、フィラデルフィア全土が危険というわけではなく、観光地やビジネスエリア、大学周辺などの中心地は比較的安全なので日中の移動には大きな問題はありません。

一方で、治安が悪い一部のエリアでは、薬物中毒者やホームレスが路上に多く見られ、街にはゴミが散乱しています。通りを歩いているだけで大声を上げられたり、お金をせがまれたりなどのトラブルに巻き込まれる可能性もあるため要注意です。

フィラデルフィアでの犯罪発生状況

全米でも突出した犯罪率の高さであるフィラデルフィアですが、犯罪の発生状況や種類は以下の通りです。

窃盗犯罪:全米平均の150% 自動車盗難発生率:全米平均の200% 殺人事件のおよそ80%で銃器の使用がある

なお、2021年には新型コロナウイルスによるパンデミックによって社会が不安定になったこともあり、年間の殺人事件数は535件をマーク。1990年以降の殺人事件数としては最多となりました。

フィラデルフィアは治安の改善に向けて、警察のパトロール強化や危険地域に警察を重点配分、地域コミュニティとの連携強化や販売防止教育の実施など対策を講じています。しかしながら、依然として特定のエリアでの犯罪発生率は高いままなのが現状です。

フィラデルフィアのエリア別治安情報

以下では、フィラデルフィアのエリアごとに治安状況を見ていきます。

現地人も避ける治安が悪いエリア

フィラデルフィアで現地の方も避ける治安が悪いエリアは以下の通りです。

Kensington(ケンジントン地区) North Philadelphia(ノースフィラデルフィア:Temple University周辺以外) West Philadelphia(ウェストフィラデルフィアの一部:University of Pennsylvania周辺以外) South Streetより南の一部エリア

特に、ケンジントン地区の治安はフィラデルフィアで最も深刻なレベルで、薬物に関連したトラブルや犯罪が多いことで知られています。薬物中毒者やホームレスが多く、貧困率も高いです。

かつては工場地帯があり労働者階級が暮らすエリアでしたが、1960年の産業空洞化が原因で産業が衰退し、貧困が深刻化。投資の撤退と地域全体が放置されたことにより、深刻な荒廃が進んでいます。

特に2020年代には、フェンタニルなどの薬物中毒者が溢れかえっており薬物問題がより深刻になっています。

夜間の外出で要注意のエリア

以下の地域は日中は比較的安全ですが、夜間は要注意です。可能な限り出歩かないようにしてください。

大学キャンパスの外周部分 バスや地下鉄など公共交通機関の駅付近 ブロードストリート(中心部を南北に貫く大通り)から離れたエリア

上記のエリアは街灯がなく、人通りが非常に少ない傾向にあります。また、空き家や放置された建物も多く、警察の目が行き届きにくいエリアなので、何かあってもすぐに助けを呼ぶのは非常に難しいと言えるでしょう。

比較的治安が良いエリア

以下のエリアは比較的治安が良いエリアとして知られているので、旅行中に滞在するホテルは以下のエリアで選ぶのがおすすめです。

Market Street(マーケット・ストリート)周辺 Rittenhouse Square(リッテンハウス・スクエア)周辺 Convention Center(コンベンション・センター)周辺

特にマーケット・ストリートはビジネス街の中心なので、大手ホテルチェーンが多く、地下鉄や観光名所へのアクセスも便利です。また、24時間営業の店舗も多いので、他の地域と比べると夜間も人通りが多いと言えるでしょう。とはいえ、身を守るためには夜間の外出は控えるのが無難です。

フィラデルフィアの治安が悪化している理由

フィラデルフィアの治安が悪化した背景には、いくつかの深刻な要因があります。以下ではフィラデルフィアの治安が悪化した理由を詳しく解説します。

経済格差による貧困

フィラデルフィアは全米の主要都市の中でも特に貧困率が高い都市で、地域間の貧困率の差が顕著なことで知られています。

例えば、スクーキル川の東側にある市街地や、西側のペンシルベニア大学などの大学エリアは、比較的安全なため富裕層も多いです。

一方で、ノース・フィラデルフィアやサウス・フィラデルフィア、大学エリアのさらに西側は、低所得層や黒人世帯が集中しています。

かつて、ペンシルベニア大学周辺は治安の悪い地域として知られていました。大学は治安悪化によるイメージダウンを避けるために、周辺の土地を買い取ってキャンパスを拡大したり、学生寮を新設したりして、地域の治安の向上に努めてきました。

しかし、大学の対策はうまく機能しませんでした。土地の値段が上がり、住んでいた黒人たちを周辺に追いやってしまったため、人種や経済状況によって居住地域が明確に分断されてしまったのです。社会的な格差と緊張感が地域全体で進む結果となってしまいました。

薬物問題の深刻化

アメリカでも最も貧困が深刻な地域のひとつであるフィラデルフィア・ケンジントン地区では、薬物問題が特に深刻化しています。かつては活気溢れる工業地域でしたが、脱工業化とともに衰退し、失業率の高まりと共にドラッグマーケットが誕生したため薬物が蔓延する街となってしまいました。

2010年代にはケンジントン地区における野外麻薬マーケットでの薬物問題が深刻化しはじめ、2020年代にはフェンタニルという強力な合成麻薬が蔓延。安価で麻薬が手に入りやすいことから、全米から薬物を求める人々がケンジントンに集まる状況が生まれました。今では東海岸最大級の屋外麻薬マーケットと言われています。

フェンタニルは中国で原材料が作られ、メキシコ・カナダ経由でアメリカに密輸されているのですが、密輸されたフェンタニルの多くがメキシコの麻薬カルテルを介して国内に流入しています。アメリカ政府は密輸に関わったカルテルに経済制裁などを科しているものの、取り締まりは追いついておらず、実際にはほとんど効果は出ていません。

ちなみに、ケンジントンの端にはバッドランドと呼ばれる麻薬汚染がひどい場所があり、800mほどの線路沿いにはものすごい悪臭が漂っています。使用済みの注射器や麻薬の加熱に使用する容器、薬物の包装などが路上に散乱しています。バッドランドでは、非常に安価で薬物が手に入るため、全国から薬物依存者が流れ込んでいます。

薬物が蔓延した結果、ケンジントンには薬物中毒者が大量に発生したのです。路上に倒れ込む人、前屈みになって小刻みに揺れる人、立ったまま動かない人など、ゾンビのような姿から、ゾンビタウンと呼ばれるようになりました。

失業、貧困による生活の困窮、精神衰弱や鬱などから逃れるために、人間は簡単にドラッグに手を出してしまいます。その結果、暴力や犯罪など治安の悪化につながっているのです。

銃器関連犯罪の増加

ペンシルベニア州は他の州よりも銃規制が緩いため、フィラデルフィアでは銃の入手が比較的簡単で、一部地域では日中でも銃を用いた事件が発生しています。暴力事件が増えたことで、緊急車両がひっきりなしに走り回る光景も多く見られます。

2024年に発表されたフィラデルフィア市長令では、2023年度に市内で発生した銃撃事件は3000件を超え、フィラデルフィアの暴力犯罪は容認できないレベルだと指摘しています。

アメリカでは日本とは異なり、「自分たちの身は自分たちで守る」という文化が根づいているため、銃の所持は一種のアイデンティティとして扱われている面があります。

銃規制は州によって厳しさは異なるものの、アメリカ合衆国憲法修正第2条にて、国民に銃の所持や携帯の権利を保障しています。そのため、銃撃事件が発生しても規制はなかなか進みません。

銃は治安悪化の要因の1つになっていることは間違いありません。フィラデルフィアでも何もなく突然撃たれるわけではありませんが、やはり治安が悪いと言われる場所には近づかないようにし、アメリカは銃社会であるという意識を持ち続けることが大切です。

フィラデルフィアで安全に過ごすコツ

フィラデルフィアで安全に過ごすために必要なポイントをお伝えします。

観光客だとわかる服装やブランド品、アクセサリーを身につけていると、狙われる可能性がありますので、華美な服装は避けるのが無難です。また、暗くて狭い道や人通りの少ない通りは避け、なるべく明るく広いメインの通りを利用しましょう。

また、公共交通機関でも特に地下鉄の治安は極めて悪い状況です。駅や車内には注射器が散乱し、ホームレスや薬物使用者、不審な行動をする人々が多いため夜間は非常に危険です。公共交通機関を1人で利用するのは控え、昼間のみに利用してください。

さらに、フィラデルフィアでは車の運転マナーも悪いことでも有名です。信号無視や交差点内での停車、スピード違反など危険運転が目立ちます。市内での運転は避けたほうが無難です。

バスや電車など公共交通機関の利用中もスマホなどに集中せず、周囲の状況に常に気を配ってください。路地裏や暗い通りには立ち入らずになるべく人通りが多い広い道を歩き、レストランやカフェでもスマートフォンやカバンを気軽に手離さないなど、油断しないようにしましょう。

おまけ:ペンシルバニア州フィラデルフィアの基本情報

最後に、ペンシルベニア州フィラデルフィアの基本情報も紹介します。

アメリカ東海岸ペンシルベニア州最大の都市であるフィラデルフィアは、人口約157万人を抱える全米有数の大都市です。

温暖湿潤気候のため夏は30℃前後まで気温が上がるものの湿度が低いため比較的過ごしやすく、冬は寒さが厳しく積雪も多く見られます。

また、フィラデルフィアはアメリカ独立宣言と合衆国憲法が署名された街として知られ、「独立発祥の地」と呼ばれています。市内にはアメリカの歴史を感じられる観光名所が充実!特に観光客に人気なのが、以下のスポットです。

Independence Hall・Congress Hall(独立記念館・国会議事堂:アメリカ独立宣言が採択された場所) Liberty Bell Center(独立宣言にて鳴らされた自由の鐘を展示) Independence National Historical Park(アメリカの歴史を学べるスポット) Philadelphia City Hall(フィラデルフィア市庁舎) Philadelphia Art Museum(フィラデルフィア美術館)

ちなみに、フィラデルフィア美術館前の階段は映画「ロッキー」で有名になり、階段横にはロッキー像が展示されているため観光スポットとしても大人気です。

また、フィラデルフィアは野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケー、サッカーのアメリカ5大プロスポーツすべてのチームが本拠地を構えています。

強豪チームが揃い、各チームのホームスタジアムがすべて市内の1カ所に集結していて、センターシティから電車で15分、片道2ドルとスポーツ好きにはたまらない街でもあります。

フィラデルフィアはアメリカの歴史を語る上で重要な都市でありながら、都市機能はコンパクトにまとまっており、徒歩やバスで気軽に移動できる利便性も兼ね備えています。コンサートやミュージカル、美術館巡りやおしゃれなクラブまで幅広く楽しめます。

まとめ

フィラデルフィアはアメリカ独立宣言が行われた地として、アメリカの歴史を語る上でもっとも重要なエリアの1つです。独立記念館や自由の鐘などの史跡をはじめ、世界文化遺産にも登録された観光名所が多く、訪れる価値の高い街です。また、ペンシルベニア大学をはじめとする名門大学が集まる学術都市でもあり、語学はもちろん、アメリカの歴史や文化も学ぶことができるので、知識を深めたい人におすすめの留学先です。

あまり治安が良くないと言われているフィラデルフィアですが、防犯意識を持って安全なエリアを選んで行動すれば、安心して滞在を楽しめます。本記事をきっかけに、歴史と文化、リアルなアメリカを体験できるフィラデルフィアに興味を持っていただけると嬉しいです。

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