
10時間以上のフライトを経て、ついに
アメリカに到着!飛行機で長時間過ごした後に、入国審査でまた待たなくてはならないという状況は避けたいものです。
アメリカ入国時に便利なのが、
入国アプリMobile Passport Control(以下MPC)!
入国の待ち時間を短縮するのに役立ちます。
本記事では、アメリカ入国時に役立つMPCアプリについて徹底解説!
MPCの特徴やESTAとの違い、MPCの対象者や利用可能な空港、具体的な使用方法について詳しく紹介します。
今後アメリカ渡航を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
アメリカ入国アプリ「MPC」とは?
以下では、アメリカ入国アプリ、MPCの特徴について詳しく紹介します。
アメリカでの入国審査の時間を短縮
MPCとは、アメリカの国土安全保障省 税関・国境取締局( CBP:Customs and Border Protection)が提供するシステム。
入国や税関での審査に必要な情報を事前にアプリ上で登録することで、アメリカでの入国審査を簡略化できます。
MPCを利用すると入国審査の際に専用レーンを通れるので、通常のイミグレーションよりも待ち時間が短くなります。
なお、MPCの申請費用は無料です。
アプリのダウンロードにもお金は一切かかりません。
渡航先の空港がMPCに対応しているのであれば、利用を検討してみてはいかがでしょうか?
グローバルエントリー(GE)との違い
MPCとよく比較されるのがグローバルエントリー(以下GE)。
いずれもアメリカ入国時の手続きをスピーディーにするための制度ですが、似ているようで全く異なるシステムなので要注意です。
以下の表に両者の違いをまとめたので、参考にしてください。
| MPC | GE | |
| 登録料 | ・無料 ※通信費は申請者が負担 |
・$120 ※18歳未満:保護者がGEメンバー・申請中であれば無料 |
| 年齢制限 | ・なし | ・申請者の国籍によって異なる ※日本国籍者:14歳以上 ※18歳未満:保護者の同意が必須 |
| 利用開始までの所要時間 | ・すぐに利用可能 | ・最短1ヶ月ほど ・申請書類の提出→面接→承認 |
| 過去の渡米歴 | ・過去にESTAでの渡航経験があるのが条件 | ・初めてでも申請可能 |
| 複数同時申請 | ・可 ※1度の申請で12人まで申請可能 |
・不可 |
| 利用可能空港 | ・50箇所以上 | ・75箇所以上 |
| 有効期限 | ・アメリカ入国時に毎回登録が必要 | ・5年間 ※承認後、6回目の誕生日を迎えるまで |
なお、上記は2025年9月時点の情報です。
申請や利用の際は、必ず公式サイトの最新情報を確認してください。
◾️MPCアプリ公式ページ
◾️グローバルエントリー公式ページ
ESTAとの違いは?
以下では、MPCとESTAの違いについて詳しく解説します。
どちらのシステムもアメリカ入国に際して重要な役割を担っているので、両者の違いをしっかりと把握しておきましょう。
入国審査の待ち時間を短縮するMPC
MPCは、アメリカ入国時の入国審査の待ち時間を軽減するためのシステムです。
スマートフォンにアプリをダウンロードして情報を登録しておくと、到着時に専用レーンで入国審査を受けられます。
なお、アメリカにある全ての空港がMPCに対応しているわけではないため、渡航先の空港が対応しているか確認が必要です。
90日以内のアメリカ渡航に必要なESTA
ESTA(Electronic System for Travel Authorization)は、アメリカの電子渡航認証システムであり、90日以内のアメリカ渡航に必要です。
一度取得すると2年間は有効です。
ただし、ESTAは申請したパスポートの情報に紐づいているため、パスポートの期限が2年を切っている場合、パスポートの有効期限日がESTAの有効期限日となります。
なお、申請はオンラインのみで可能です。
申請から取得まで数日間かかることもあるので、少なくとも渡米する72時間前までに取得しておきましょう。
ちなみに、申請費用は2025年9月29日までは$21、2025年9月30日からは$40に変わります。
注意点:ESTAは必ず公式サイトから申請!
ESTAを申請する際は、必ず公式サイトにアクセスしているかどうかを確認してください。
というのも、「ESTA 申請」と検索すると代行業者のサイトが数多くヒットするからです。
万が一、代行業者を介してESTAを申請してしまうと倍以上の金額を請求されてしまいます。
また、取得したESTAが偽物で渡航できなかったという悪質な例もあります。
筆者も初めてESTAを申請した際に業者サイトだと気が付かず、危うく倍以上の金額を払うところでした。
アメリカ CBPのESTA公式サイトは以下のリンクのみなので、必ず公式サイトから申請してください。
◾️ESTA :Electronic System for Travel Authorization
なお、サイトは日本語モードにも変更できるので、英語での手続きが苦手な方も安心して申請できますよ!
MPCが使える人・条件
MPCを使用できるのは、以下4つのどれかに当てはまる方です。
・アメリカ市民
・アメリカ永住権保持者
・カナダ国籍者でアメリカB1/B2 VISA保持者
・ESTA申請者かつ、ESTA認証によるアメリカ渡航が2回目以降の方
日本からの渡航者がMPCが使用できるのは、多くの場合、4つ目の『ESTA申請者かつ、ESTA認証によるアメリカ渡航が2回目以降の方』です。
ちなみに、ESTAでの渡航が2回目以降と利用者を限定しているのは、入国審査官による初回の対面確認が必要だからです。
ESTAの利用が初めての方は、MPCを使用できないので注意してください。
なお、上記に加えてMPCを利用するには以下の条件を満たさなくてはならないので、忘れずに準備しましょう。
・有効なESTAを保持している
・パスポート情報がアプリに正しく入力されている
・MPCに対応する空港や施設に到着する
MPCが使える主な空港
2025年9月12日現在、 CBP公式サイトによるとMPCに対応しているのは世界で合計56地点で、内訳は以下の通りです。
・アメリカ国内:36箇所
・アメリカ国外の事前通関空港:16箇所
・入国港:4箇所
参照:US Customs and Border Protection | Mobile Passport Control (MPC)
内訳を詳しくみていきましょう。
アメリカ国内 | 36箇所
アメリカ国内にある国際空港でMPCに対応しているのは、以下の36空港です。
・Anchorage International Airport (ANC)
・Atlanta Hartsfield-Jackson International Airport (ATL)
・Baltimore/Washington International Thurgood Marshall Airport (BWI)
・Boston Logan International Airport (BOS)
・Charlotte Douglas International Airport (CLT)
・Chicago O'Hare International Airport (ORD)
・Cleveland Hopkins International Airport (CLE)
・Dallas/Fort Worth International Airport (DFW)
・Denver International Airport (DEN)
・Detroit Metropolitan Airport (DTW)
・Dulles International Airport (IAD)
・Fairbanks International Airport (FAI)
・Fort Lauderdale-Hollywood International Airport (FLL)
・Honolulu Daniel K. Inouye International Airport (HNL)
・Houston George Bush Intercontinental Airport (IAH)
・Houston William P. Hobby International Airport (HOU)
・John F. Kennedy International Airport (JFK)
・Kansas City International Airport (MCI)
・Las Vegas Harry Reid International Airport (LAS)
・Los Angeles International Airport (LAX)
・Miami International Airport (MIA)
・Minneapolis-Saint Paul International Airport (MSP)
・Newark Liberty International Airport (EWR)
・Oakland International Airport (OAK)
・Orlando International Airport (MCO)
・Philadelphia International Airport (PHL)
・Phoenix Sky Harbor International Airport (PHX)
・Pittsburgh International Airport (PIT)
・Portland International Airport (PDX)
・Sacramento International Airport (SMF)
・Salt Lake City International Airport (SLC)
・San Diego International Airport (SAN)
・San Francisco International Airport (SFO)
・San Jose International Airport (SJC)
・Seattle-Tacoma International Airport (SEA)
・Tampa International Airport (TPA)
アメリカ国外の事前通関空港 | 16箇所
事前通関空港(プレクリアランス)とは、アメリカに入国する前に入国審査や税関手続きを完了できる空港です。
事前通関空港を経由してアメリカに渡航すると、アメリカ到着時に改めて入国審査を受ける必要はありません。
2025年9月現在、アメリカはカナダ、カリブ海エリア、アイルランド、アラブ首長国連邦にある合計16空港とプレクリアランス提携をしています。
◾️カナダ:8箇所
・Calgary International Airport (YYC)
・Edmonton International Airport (YEG)
・Halifax Stanfield International Airport (YHZ)
・Montreal Trudeau International Airport (YUL)
・Ottawa International Airport (YOW)
・Toronto Pearson International Airport (YYZ)
・Vancouver International Airport (YVR)
・Winnipeg James A Richardson International Airport (YWG)
◾️カリブ海:4箇所
・Aruba Queen Beatrix International Airport (AUA)
・Bermuda L.F. Wade International Airport (BDA)
・Nassau Lynden Pindling International Airport (NAS)
◾️アイルランド:2箇所
・Dublin Airport (DUB)
・Shannon Airport (SNN)
◾️アラブ首長国連邦:1箇所
・Abu Dhabi Zayed International Airport (AUH)
入国港 | 4箇所
海路でアメリカに入国する場合、以下の港でMPCを利用できます。
・Miami Seaport (MSE)
・Palm Beach Seaport (WPB)
・Port Everglades Seaport (PEV)
・San Juan Seaport (SAJ)
日本出発便でMPCが使用できる空港
日本から出発するアメリカへのフライトで、MPCが利用できるのは以下の空港です。
・Atlanta Hartsfield-Jackson International Airport (ATL)
・Boston Logan International Airport (BOS)
・Chicago O'Hare International Airport (ORD)
・Dallas/Fort Worth International Airport (DFW)
・Honolulu Daniel K. Inouye International Airport (HNL)
・John F. Kennedy International Airport (JFK)
・Miami International Airport (MIA)
・Minneapolis-Saint Paul International Airport (MSP)
・Los Angeles International Airport (LAX)
・San Francisco International Airport (SFO)
・Seattle-Tacoma International Airport (SEA)
なお、カナダを経由してアメリカに渡航する場合は、カナダの事前通関空港にてMPCを利用できます。
ただし、カナダ経由の場合は、ESTAだけでなくカナダの電子渡航証eTAの取得も必要なので忘れずに申請しましょう。
申請時は以下の公式サイトにアクセスしてください。
以下の章では、MPCの登録方法を具体的に解説します。
MPCの登録に必要なもの
MPCを登録する際は、以下の3つを手元に準備しましょう。
・スマートフォン:iPhoneの場合はiOSバージョン15.0以降のみに対応
・有効なパスポート
・フライト情報が書かれた旅程表
登録の際に、パスポートをスキャンする場面があるので、パスポート原本を手元に持っておくと安心です。
MPCの登録方法
アメリカに渡航するまでに、以下3つのステップを完了させておきましょう。
1.MPCアプリをスマートフォンにダウンロードする
2.渡航情報を登録する
3.税関申告書の質問に回答する(到着4時間以内)
MPCアプリをスマートフォンにダウンロードする
まず、Apple StoreやGoogle PlayからMPCアプリをご自身のスマートフォンにダウンロードしてください。
ダウンロードはもちろん、申請にも一切お金はかかりません。
アプリを開いたら日本語の指示に従って、「次」を押して進みます。
「旅行情報を保存する」の項目は後ほど設定できるので、「スキップ」しましょう。
アプリから通知を受信するかどうかを選択して「レッツゴー」を押すと、英語で免責事項(Disclaimer Statement)が表示されます。
内容を確認しながら画面を一番下までスクロールしたら、「同意する」を押しましょう。
渡航情報を登録する
ホーム画面から「新たな提出」を選択し、入国手続きに必要な情報を登録します。
最初に登録するのは、入国方法や入国港です。
1.入国方法を飛行機、またはクルーズ船のどちらかを選択
2.飛行機の場合は、プルダウンから渡航予定の空港を選ぶ
3.空港に複数のターミナルがある場合は、到着ターミナルも選択
なお、アメリカで乗り継ぎがある場合は、最初の乗り継ぎ空港名を渡航予定の空港として選択してくださいね!
次は、渡航者のパスポート情報を入力します。
1.「人物を選択する」の「+」を押す
2.スマートフォンでパスポートの顔写真ページを撮影し、「文書をスキャンする」に進む
※手入力したい場合は、「最初からやり直す」を選択
3.入力内容が正しいかどうかを目視
4.入力が完了したら「保存」
全てのデータがちゃんと読み込まれていれば、「パスポート」の右側に★が付きます。
「無効な文書です」と表示がある場合は、読み込みがうまくできていません。
万が一、文書が無効である旨の表示が出たら、取り込んだデータを一度削除して再度アップロードしてみましょう。
PINコードの設定画面が出てくるので任意の4桁の番号を入力し、次に進んでください。
なお、同行者がいる場合は、「人物を選択する」から追加します。
同行者がいないのであれば、「進む」を押しましょう。
セキュリティに関する文書が表示されたら、内容を確認しながら一番下までスクロールし、「同意する」を選択します。
最後に、渡航目的を確認する項目が出てくるので、ご自身の渡航目的に合わせて選んでください。
税関申告書の質問に回答する
税関申告書の質問にも回答しておきましょう。
質問一つひとつに回答して「次」を押すと、入力内容の確認画面に進みます。
質問は合計6つ。
基本的には回答は全て「いいえ」となります。
内容が間違っている場合は修正し、問題がないようであれば画面下にあるチェックボックスにチェックマークを入れて、「 CBPフォームを保存」を押してください。
アメリカ到着までにやるべきことは、ここまでです。
アメリカの空港に着いてからの流れ
いよいよアメリカに到着!以下では、空港到着後のMPCアプリの使い方について紹介します。
空港に到着したらアプリを開く
空港に着いたら、まずアプリを開きましょう。
「〇〇空港に到着しましたか?」と表示があるので、ネットワークに繋がっている環境で「はい、今すぐ提出します」を押します。
顔写真の撮影を要求されるので、「カメラを開く」を押し、カメラへのアクセスを許可してください。
撮影後には、4時間有効のMPC領収書が画面に発行されます。
なお、手続きはWi-Fiやモバイルデータ通信などのネットワークが必要です。
オフラインでは手続きを進められないので、注意してください。
MPC専用レーンに並ぶ
入国審査エリアに着いたら、MPCの専用レーンにて順番を待ちましょう。
入国審査員にパスポートおよびMPC領収書を提示して、入国審査を受けてください。
ちなみに、MPC専用レーンでも通常の入国審査と同じく入国審査員からの質問はありますので、嘘や偽りがないようにしっかりと受け答えしましょう。
注意点:事前に登録した空港以外ではMPCアプリは利用できない
何らかの事情で、事前に登録した空港以外に到着した場合は、MPCアプリは利用できません。
通常レーンにて入国審査を受けることになるので、注意してください。
また、MPC対応の空港であっても、日によって専用レーンの設置がない場合もあります(筆者もミネソタ・セントポール空港で同様の出来事に遭遇しました)。
状況に応じてスムーズに対応できるよう、スケジュールに余裕を持っておくと安心です。
まとめ
MPCを利用してアメリカに渡航すると、入国審査にかかる時間を短縮できます。
ESTAを通じてアメリカに渡航経験があることがMPCを利用する条件なので、ESTAでアメリカに渡航したことがある方は是非試してみてください。
なお、90日以内のアメリカ滞在にはESTAの取得が必須なので、余裕を持って申請・取得しておきましょう。
本記事をきっかけに、あなたのアメリカ渡航がよりスムーズになるよう願っております。
神戸市外国語大学卒業後、新卒採用で大手学習塾に就職し、講師職・個別指導部門のスクール運営に携わる。
8年間の勤務後、一念発起してドイツの語学学校に社会人短期留学。
帰国後は人材派遣会社の営業として4年間就業し、2023年11月からはフリーランスのライターとして活動中。
自身の経験を活かして英会話や海外旅行をはじめ、幅広いテーマについて執筆。
◇英語に関する資格
・実用英語技能検定 準1級
・TOEIC 850点
◇留学経験
・ドイツ(ハンブルグ):社会人短期留学(語学学校)
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
・海外旅行
・社会人短期留学(ドイツ語学学校)
◇これまでの渡航先
オーストラリア、韓国、インドネシア・バリ島、台湾、カナダ(トロント)、ドイツ(ハンブルグ・シュツットガルト・フランクフルト・アーヘン・デュッセルドルフ・ケルン)、イタリア(ベネチア)、ギリシャ(アテネ・ミコノス島)、クロアチア、アメリカ(カンザス)
◇自己紹介
初めまして!みきです。
中学生の頃から英語でコミュニケーションを取るのが好きで、コツコツと勉強を続けております。 長期での留学経験はありませんが、英語を通じて海外の方とコミュニケーションを取ることで世界が広がっていくのを楽しく感じています。 大学入学をきっかけに、アルバイト代やお給料を貯めて年に1回〜2回ほど海外旅行に行くように。 友人と旅行するのも好きですが、自分のペースでゆっくりと廻るのも好きです。 2018年には勤めていた会社を退職し、ドイツにて短期社会人留学。 世界中から集まった個性豊かなクラスメイトに出会いました。 ドイツ語学習の傍ら、先生に隠れて英語で話せたのも楽しい経験となりました。 現在は、交際している彼がアメリカ人なので、次回の渡航を楽しみに日々英語力アップに向けて取り組んでおります! 英語学習や海外旅行、国際遠距離恋愛などの経験を活かして、誰かの背中を後押しできる記事を執筆できたらと考えております。 どうぞよろしくお願いいたします!