サンフランシスコは、アメリカのカリフォルニア州西部に位置する大都市です。
朝は霧に包まれ、昼は太陽の光が射す温暖な気候で、過ごしやすいことで有名です。
海に囲まれたアメリカ屈指の人気観光地で、坂道を走るケーブルカー、世界的に有名なゴールデンゲートブリッジ、フィッシャーマンズ・ワーフ、アルカトラズ島など、魅力的な見どころがたくさんあります。
しかし、最近では治安が悪化して犯罪率が増加し、街が荒廃する事態に陥っています。
今回は、安全にサンフランシスコを訪れるために、最新の治安情報や気をつけるべきことなどをご紹介します。
サンフランシスコの治安状況
観光都市として人気のサンフランシスコですが、ここ数年は犯罪件数が増えて、治安の悪化が問題視されています。
かつてはIT企業の聖地というイメージもありましたが、コロナ禍の際に、企業がいち早くオフィス勤務からリモートワークに切り替えたことで、街が急激に衰退して治安が悪化しました。
その後、経済が立ち直ることなく、現在まで荒廃が続いているのです。
サンフランシスコの場合、明らかに治安が悪くて足を踏み入れないほうがよい地区と、市民や観光客が行きかっている地区に分かれているのが特徴です。
観光地と危険なエリアが隣接している場合もあるので、危険な地域をあらかじめ把握して、地図をよく確認しながら観光するようにしましょう。
サンフランシスコに限ったことではありませんが、昼間であっても人通りが少ない道を1人で歩くのは避けた方が無難です。
特に女性の夜間の1人歩きは、スリやひったくり被害に遭ったり、性犯罪に巻き込まれたりする可能性もあります。
また、人が多く集まる繁華街や観光地周辺では、観光客が犯罪に巻き込まれるケースもありますし、ナイトスポットでは窃盗や傷害事件、地元ギャングによる発砲事件や銃器使用といった凶悪犯罪も発生しています。
地下鉄やバスなどの公共交通機関も、夜間になると治安が悪くなります。
治安の悪い場所には決して近寄らず、基本的な防犯対策を怠らないようにしてください。
サンフランシスコでの犯罪やトラブルの例
ここではサンフランシスコで実際に、どのような犯罪やトラブルが起きているのかを見ていきましょう。
スリ・置き引き
サンフランシスコを観光する際、最も注意すべき犯罪は
スリや置き引きです。
地元警察による対策も行われていますが、あまり効果が上がっていません。
公共交通機関を利用する時や、観光客の多い繁華街や商業施設、空港などの混雑した場所を歩く時は、貴重品を肌身離さずに持ち、バッグなどを床に置いて目を離したりしないようにしましょう。
飲食店では、日本と同じ感覚でテーブルの上に携帯電話や財布などの貴重品を置いたりせず、座席の背もたれに掛けたバッグにも注意します。
ホームレスや薬物中毒者とのトラブル
サンフランシスコで多いのが、ホームレスや薬物中毒者とのトラブルです。
カリフォルニア州では2016年に大麻が合法化され、警察による取り締まりがなくなった結果、違法な薬物や粗悪な麻薬がはびこることになりました。
観光スポットにはホームレスや薬物中毒者が集まりやすく、貴重品や金品を盗られたり、暴行されたりといった被害も発生しています。
窃盗
カリフォルニア州では、950ドル以下の窃盗であれば軽犯罪と見做されるという独自の規定があり、この州法の存在が窃盗を助長して治安を悪化させているという批判があります。
ある調査によると、コロナパンデミック前の2019年と比較して、サンフランシスコの窃盗事件数は24%の増加となっています。
万引きで閉店する小売店も相次いでいます。
さらに、集団で店に押し入って一斉に窃盗する「フラッシュロブ」と呼ばれる組織的な犯罪行為も発生しています。
車上荒らし
車でサンフランシスコ観光をする場合は、車上荒らしに注意が必要です。
レンタカーを狙ってロックをこじ開ける犯罪も増えていて、ゴールデンゲートブリッジやチャイナタウンなどの有名な観光スポットで、日本人観光者の被害も多発しています。
被害に遭わないために気をつけるべきことは、車内に荷物を残さないことです。
外から見える場所にバッグなどが残っていると、窓ガラスを割られて盗まれる可能性がありますので、車を離れる際は必ず持ち歩くかトランクに保管します。
また、車を停める場合は明るく人目の多い場所を選ぶようにしましょう。
サンフランシスコで気をつけるべきエリア
ここでは、サンフランシスコで治安が悪く、特に注意すべきエリアについてご紹介します。
The Tenderloin
The Tenderloin(テンダーロイン)は、サンフランシスコの中心地から南西に位置しています。
強盗や窃盗、暴行、銃器所持、薬物売買などの凶悪犯罪が多発する、サンフランシスコでも最も危険なエリアです。
街には薬物中毒者やホームレスが溢れていて危険なので、昼夜を問わず立ち入らないようにしましょう。
The Tenderloinは、人気観光地のユニオンスクエアやマーケットストリートに隣接しています。
The Tenderloinの歩道はテントで埋め尽くされ、街中の落書きが増え、店が鉄格子付きになっていたりと雰囲気が全く違うので、間違って立ち入ることのないように気をつけましょう。
South of Market
SOMAと呼ばれるSouth of Market(サウス・オブ・マーケット)は、再開発が進み、お洒落なカフェやショップが立ち並んでいます。
サンフランシスコ近代美術館やオラクル・パークといった人気観光地も存在します。
ですが、南に行くにつれてホームレスも増えていき、歩道がテントで埋め尽くされている場所もあります。
昼間は比較的治安が良いですが、夜になると雰囲気が変わって凶悪犯罪が多発し、ギャングの抗争や銃撃事件も報告されています。
Western Addition
Western Addition(ウエスタン・アディション)は、ブランドショップや住宅が立ち並び、人通りも多く一見治安は良さそうに見えますが、南部では住居に鉄格子がかかっているようになり、車上荒らしや窃盗、発砲事件などが報告されています。
人通りも少なくなって、至るところにガラの悪そうな人たちがたむろするようになるので、決して1人で出歩かず、タクシーやレンタカーを利用しましょう。
Mission District
ミッション・ディストリクト(Mission District)は、以前に比べて治安は改善傾向にあるものの、数年前までは銃撃事件が多発した地区として知られています。
路地裏は人通りが少なく、事件に巻き込まれる可能性が高いので、徒歩ではなく車での移動をおすすめします。
特にベイエリア高速交通(BART)の16th St.駅の周辺はホームレスも多く、治安が悪くなります。
事件に遭わないためにも、貴重品は持ち歩かないようにします。
Fisherman’s Wharf
フィッシャーマンズワーフ (Fisherman’s Wharf)は、シーフードが有名な観光地です。
しかし、観光客を狙った窃盗事件や車上荒らしが多発していて、在サンフランシスコ領事館が発効する「安全の手引き」でも注意喚起がされています。
食事をする際は、背もたれにバッグを掛けないで膝の上に置く、人混みではリュックを前にするなど、基本的な貴重品の管理を徹底しましょう。
サンフランシスコ滞在中の安全対策
せっかくの旅行中に被害に遭わないためには、基本的な防犯の意識を持つことが大事です。 ここでは注意すべき点についてご紹介します。
貴重品の管理を徹底する
街を歩く際は、犯罪のターゲットにならないように、高価なバッグや目立つ衣服を身につけたり、貴重品を持ち歩いたりしないようにしましょう。
パスポートや現金はホテルのセーフティーボックスに保管し、使用する時のみ持ち歩くようにします。
また、混雑する場所ではスリのリスクが高まります。
所持品は常に身につけておきましょう。
危険地域には近づかない
今回ご紹介した危険なエリアには、昼間でも近づかないようにしましょう。
サンフランシスコでは観光エリアと治安の悪いエリアが隣接しているので、周辺の雰囲気や人の流れをよく見ながら行動することが大切です。
事前にサンフランシスコ観光局が運営する観光サイトや現地の治安情勢、危険地域などの最新情報を把握しておきましょう。
夜間は出歩かない
薬物中毒者やホームレスが多いサンフランシスコでは、夜になると治安が一気に悪化し、窃盗や暴行などの事件が多発します。
日が落ちて街が暗くなった後や、人通りが少ない早朝の時間帯は外出を控えるようにしましょう。
もちろん、公共交通機関も夜になると乗車する人の雰囲気が変わるので利用を避けましょう。
やむを得ず外出する必要がある場合は、タクシーや配車アプリの利用をおすすめします。
サンフランシスコ滞在中の緊急連絡先
サンフランシスコでトラブルに巻き込まれた場合、
911番に電話をかけましょう。
アメリカではオペレーターが、警察・消防・救急のいずれかへつなぐシステムとなっています。
また、英語に自信がない場合は、在サンフランシスコ日本国総領事館に相談してみましょう。
警察への届け出が難しい場合や、パスポートを紛失した場合など、サポートを日本語で受けられます。
まとめ
今回は、サンフランシスコの治安に関して、危険な地区や現地で注意すべきトラブル事例などをご紹介しました。
サンフランシスコに限らず、海外で犯罪に巻き込まれないためには、まずは自分自身で対策することがポイントです。
日本とは違う国を旅行していることを意識して、最新の治安情報に注意しながら旅行を楽しんでください。