カナダで有名な食べ物といえば、「メープルシロップ」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
しかし、「カナダの主食」となると、具体的にイメージできる人は少ないかもしれません。
カナダは世界で初めて多文化主義政策を採用した国でもあり、多様な民族が共存する多民族社会です。
そのため、さまざまな国の食文化の影響を受けており、多彩でユニークな食文化が形成されています。
本記事ではカナダの主食について、それぞれの種類ごとに詳しく紹介します。また、カナダの食文化の特徴や知っておくと役立つ情報も紹介するので、カナダの食文化に興味がある方や留学を検討中の方はぜひ最後までご覧くださいね!
カナダの食文化の特徴
カナダの食文化は、世界第2位の国土という地理的特徴や、多様な移民背景の影響を強く受けています。 ここでは、カナダの食文化がどのように形成されてきたのか、その歴史的背景や特徴について詳しく紹介します。
カナダの食文化の歴史的背景
カナダの食文化を理解するには、まずカナダの歴史的背景を知ることが重要です。
カナダはフランスとイギリスの植民地時代の影響が色濃く残っており、特にフランス語圏であるケベック州ではフランス料理の伝統が深く根付いています。
その後、18世紀から19世紀にかけてヨーロッパやアジアからの移民が増加したことで、各国の料理が持ち込まれ、カナダ独自の食文化が形成されてきました。
伝統的なカナダ料理
カナダは多様な食文化が融合しているため、日本における「寿司」のように、特定の料理が国全体を代表するというよりも、各地域や民族ごとの特色ある料理が特徴といえるでしょう。
その中でも「カナダ料理」として特に知られているのが、
ケベック州発祥の「プーティン」です。
プーティンはフライドポテトにグレイビーソースとチーズカードをかけたもので、カナダを象徴する料理の1つとして広く親しまれています。
また、カナダは世界有数のメープルシロップの生産国としても知られており、メープルシロップを使ったパンケーキやデザートも伝統的なカナダの食べ物といえます。
多文化社会がもたらす食の多様性
カナダの多文化社会では、世界各国からの移民がもたらした料理が日常生活に深く根付いています。
それぞれの家庭では、出身国に基づく多様な食事スタイルが採用されており、子どもたちのランチにもその影響が見られることが多いです。
学校給食がないカナダでは、各家庭が準備するランチボックスに、さまざまな国の食文化が反映されるため、子どもたちにとって「世界にはさまざまな食文化が存在する」ということを学ぶ良い教育の機会となっています。
また、経済と文化の中心地であるカナダ最大の都市トロントでは、イタリア料理、インド料理、中華料理、日本料理、メキシコ料理など、多国籍の料理を楽しめる飲食店が数多く存在します。
これらの料理は地元の人々だけでなく観光客にも広く親しまれ、トロントの街の魅力を一層引き立てているといえるでしょう。
カナダの主食:じゃがいも
カナダは世界で11位のじゃがいも生産国であり、日常の食事においてもじゃがいもは非常に重要な役割を果たしています。
ここでは、カナダの主食の1つである「じゃがいも」について、カナダならではの特徴や人気の家庭料理を詳しく紹介します。
カナダ各地のじゃがいも生産地とその特徴
カナダの広大な国土と冷涼な気候はじゃがいもの栽培に適しており、特にプリンスエドワードアイランド(PEI)はカナダ有数のジャガイモの生産地として知られています。
カナダ産じゃがいもの特徴は地域によって異なりますが、スーパーで手に入る代表的なじゃがいもの種類は以下の通りです。
じゃがいもの種類 | 特徴 | おすすめの用途 |
Russet(ラセット) | 別名「Baking Potatoes」。 縦長で褐色のざらざらした皮を持ち、中身は薄い黄色で柔らかくホクホクしている。 |
ベイクドポテトやフライドポテトなど、焼く・揚げる料理に最適。 ただし、煮崩れしやすいので煮込み料理には不向き。 |
Yellow(イエロー) | 丸く艶があり、表面が滑らか。 皮と中身は黄色でクリーミーな食感が特徴。 |
煮崩れしにくいため、カレーやシチューなどの煮込み料理におすすめ。 |
White(ホワイト) | 見た目はイエローに似ているが、皮も中身もより白っぽい黄色で、食感はやや固め。 | 煮崩れしにくいため、カレーやシチューなどの煮込み料理に適している。 |
Red(レッド) | 皮が赤く、丸く滑らかな表面を持つ。 中身は少し赤みがかった黄色でクリーミーな食感が特徴。 |
皮を剥かずに調理することで見た目が鮮やかになり、サラダやローストに最適。 |
ファーマーズ・マーケット(農家直販所)などでは、さらに細かい品種ごとに販売されている場合があります。
それぞれの品種には独自の風味や食感があるので、用途や好みに応じて選ぶのがおすすめです。
じゃがいもを使ったカナダの家庭料理
カナダの家庭料理においてじゃがいもは欠かせない食材であり、日々の食卓に登場する機会が多いです。
以下に、じゃがいもを使った代表的なカナダの家庭料理をいくつか紹介します。
シェパーズパイ | ひき肉と野菜の層の上に、クリーミーなマッシュポテトをのせて焼き上げるキャセロール料理です。 イギリス系移民の影響で広まった料理ですが、現在ではカナダの家庭料理として広く浸透しています。 |
じゃがいものスープ | じゃがいもをベースにしたクリーミーなスープです。 ベーコンや玉ねぎ、セロリ、チーズを加えるなど、家庭ごとにさまざまなバリエーションがあります。 |
マッシュポテト | 茹でたじゃがいもをマッシャーで潰し、バターと牛乳を加え、塩と黒胡椒で味を調えたシンプルな料理です。 感謝祭やクリスマスディナーでは、ローストターキーやグレイビーソースと一緒に提供されることが多く、ホリデーシーズンには欠かせない存在です。 |
ハッシュブラウン | すりおろしたじゃがいもを焼いて作るシンプルな料理です。 外側のカリッとした食感が特徴で、朝食の定番メニューとして人気があります。 |
これらの料理は家庭ごとにレシピやアレンジが異なるため、さまざまな味付けやバリエーションを楽しめるのも魅力です。
カナダの主食:パン
カナダは小麦の主要生産国として知られ、その生産量は世界でトップ10に入ります。
小麦を原料とした主食には、パンやパスタなどの麺類があり、これらはカナダの食卓に欠かせない存在といえるでしょう。
ここでは、カナダの主食の1つである「パン」について、多彩なパン文化とその特徴を詳しく紹介します。
カナダで人気のパンの種類と特徴
カナダは多様な民族が暮らしているため、食べられるパンの種類も非常に豊富です。
以下は、カナダで特に人気のパンの種類とその特徴を紹介します。
パンの種類 | 特徴 |
カンパーニュ | フランス発祥の田舎風パン。 硬めのクラストともっちりした中身が特徴で、香ばしい風味が楽しめます。 |
サワードウパン | 天然酵母(サワードウスターター)を使用した発酵パン。 ほのかな酸味と目の詰まった食感が特徴で、トーストやサンドイッチに最適です。 |
ライ麦パン | ライ麦粉を使用したパンで、酸味と香ばしい風味が特徴。 ライ麦と小麦粉の配合次第で、しっとり感や硬さが変わります。 |
ベーグル | 真ん中に穴の空いた形が特徴。 茹でてから焼く製法により、もちもちとした食感が楽しめます。 朝食や軽食に人気の定番パンです。 |
バゲット | フランス伝統の細長いパン。 外側はカリカリ、中はふわっと柔らかく、小麦本来の風味が際立ちます。 |
クロワッサン | バターをたっぷり使用した層状のペストリー。 サクサクした食感とバターの豊かな香りが特徴で、チョコレートなどをトッピングしたものはスイーツとしても人気です。 |
なお、日本で馴染みのある「白くてふわふわの食パン」はカナダの一般的なスーパーでは見かけることが少なく、中国系や韓国系のスーパー、パン屋で購入可能です。
多民族国家ならではの多彩なパン文化
カナダではパンを使った料理やメニューも多く、多文化的な背景からさまざまな国の影響を受けた料理が楽しめます。
以下に、カナダで有名なパンを使った料理やレストランのメニューを紹介します。
フレンチトースト | 厚めのパンを卵液に浸してフライパンで焼き上げた料理で、カナダではメープルシロップやベリー、ナッツをトッピングしたものが人気です。 |
スモークミート・サンドイッチ | スモークミートをたっぷり挟んだライ麦パンのサンドイッチが特徴です。 モントリオールにある老舗デリ「Schwartz’s(シュワルツ)」が特に有名で、多くの観光客が訪れます。 |
スモークサーモン・ベーグルサンド | モントリオール式ベーグルにスモークサーモン、クリームチーズ、ケッパー、玉ねぎを挟んだサンドイッチです。 特にモントリオールの「St-Viateur Bagel(サン・ヴィアター)」と「Fairmount Bagel(フェアマウント)」のベーグルを使ったものが人気です。 |
バインミー | ベトナム発祥のサンドイッチで、バゲットにピクルス、パクチー、肉、大根のなますなどを挟んだエスニックな味わいが特徴です。 |
これらのメニューには、カナダ特産のメープルシロップや地元産の食材を取り入れてアレンジされているものも多く、現地の人々や観光客に広く親しまれています。
カナダの主食:パスタ
「パスタ」と聞くとイタリアをイメージする方も多いですが、カナダでもイタリア系移民の影響を受け、日常の食卓に並ぶ代表的な主食の1つとなっています。
ここでは、カナダで親しまれている「パスタ」について、イタリア系移民がもたらした食文化とその特徴を詳しく紹介します。
イタリア系移民がもたらしたパスタ文化の影響
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、多くのイタリア系移民がカナダに移り住みました。
その際に家庭料理としてパスタが持ち込まれ、イタリアの食文化が次第にカナダの日常生活に浸透していきました。
特に、トロントやモントリオールなどの大都市にはイタリア系コミュニティが形成され、本格的なイタリア料理を提供するレストランやデリが数多く誕生しました。
現在では、乾燥パスタや生パスタをはじめ、さまざまな種類のパスタがスーパーや専門店で購入できるため、カナダ人の家庭料理として定着しています。
カナダで買えるパスタの種類と特徴
カナダでは多様な種類のパスタが販売されており、各家庭でさまざまな料理に活用されています。
以下に、カナダのスーパーで一般的に購入できるパスタの種類とその特徴を紹介します。
パスタの種類 | 特徴 | おすすめ用途 |
スパゲッティ | 細長く円形のパスタで、最も一般的なタイプ。 | トマトソースやクリームソース、ミートソースなど万能に使える。 |
フェットチーネ | 平たいリボン状のパスタで、やや幅が広い。 | 濃厚なクリームソースやラグーソースに最適。 |
ペンネ | 筒状で斜めにカットされたショートパスタ。 | ミートソースやグラタン、サラダなどに適している。 |
ファルファッレ | リボン型(蝶型)のショートパスタで、見た目がかわいらしいのが特徴。 | サラダやクリームソースの料理におすすめ。 |
フジッリ | ねじれた形状をしており、ソースがよく絡む。 | トマトソースやペストソース、冷製サラダに最適。 |
ニョッキ | じゃがいもを主成分としたもちもちした食感のパスタで、小さく平べったい団子状の形をしている。 | バターソースやトマトソース、クリームソースで楽しむのがおすすめ。 |
その他にも、お米のような形の「オルゾ(リゾーニ)」や、新鮮な風味が楽しめる生パスタなどもスーパーや専門店で気軽に購入できます。
カナダでお米は食べられる?
カナダには日系、韓国系、中国系、東南アジア系などの移民も多く暮らしており、それぞれの食文化が融合しているため、さまざまな種類のお米が手に入ります。
ここでは、カナダで食べられるお米の種類やお米を使った人気料理について詳しく紹介します。
カナダで食べられるお米の種類
カナダでは多様なお米が手に入りますが、それぞれの民族によって愛用するお米の種類は異なります。
以下に、カナダのスーパーでよく見かけるお米の種類とその特徴を紹介します。
お米の種類 | 特徴 | おすすめの用途 |
ロンググレイン | 長細い粒で、調理後にパラっとした食感が特徴。 | カレーや炒め物に適しています。 |
ミディアムグレイン | 中粒で、調理すると適度にもちっとした食感になります。 | アジア料理全般やリゾット、サラダに使われることが多いです。 |
ショートグレイン | 短粒で、うるち米やもち米に近い食感が特徴。 | 日本のご飯と似ており、寿司やおにぎり、和食に適しています。 |
日本人が食べ慣れているお米は「ショートグレイン」にあたり、メーカーや品種によって味や食感が異なるので、好みに合わせて選んでみてください。
カナダのレストランで食べられるお米を使った人気料理
カナダではアジアの食文化が非常に人気で、お米を使った料理を提供するレストランが豊富にあります。
以下に、カナダのレストランで楽しめるお米を使った人気の料理を紹介します。
寿司・巻き寿司 | 日本食の代表的な料理である寿司や巻き寿司は、カナダのレストランでも非常に人気があります。 |
チャーハン・お粥 | 中国料理の影響を受けたチャーハンやお粥も、カナダのレストランでよく見かけるメニューです。 お粥はお米が細かくすり潰された「Congee(コンジー)」が人気で、専門店も多く見かけます。 |
カオマンガイ | タイ料理の代表的な1品であるカオマンガイは、茹でた鶏肉とご飯を一緒に食べるシンプルでおいしい料理です。 |
インドカレー | バスマティライスと一緒に楽しむインドカレーは、カナダのインドレストランの定番メニューとして広く提供されています。 |
カナダでは「寿司=ヘルシー」というイメージが定着しており、街中には寿司レストランが数多くあります。
カリフォルニアロールやドラゴンロールなど、日本にはない巻き寿司も魅力です。
おまけ:カナダではベジタリアンやヴィーガンの人も多い
カナダでは、ベジタリアン(菜食主義者)やヴィーガン(完全菜食主義者)の食文化も普及しており、多くのレストランがこれらの食生活に対応したメニューを提供しています。
特にトロントやバンクーバーなどの都市部では、ベジタリアンやヴィーガン専門のレストランやカフェが増えており、ヴィーガン向けのスイーツやベーカリーも人気です。
これらのレストランやカフェはヘルシーなイメージもあり、ベジタリアンやヴィーガンではない人々にも広く利用されています。
まとめ
本記事では、カナダの主食と食文化について詳しく紹介しました。
カナダの食文化は多くの国からの移民の影響を受けており、その融合により独自の魅力的な食文化が形成されています。
その中でもじゃがいもやパン、パスタ、お米はカナダの人々に欠かせない主食となっており、それぞれが多様な料理に活用されてカナダの食文化を彩っています。
カナダ旅行や留学を検討中の方は、ぜひ本記事を参考にして「カナダの主食」を使った多彩な料理を楽しんでくださいね!

◇経歴
・英米文学科卒業
・George Brown College卒業(カナダ・トロント)
・カナダ現地のパティスリーにてパティシエとして働く
・現在はWebライターのほか、SNS運用やコンテンツクリエイターとして活動しています。
◇資格
IELTS General 6.0
◇留学経験
・ニュージーランド(2週間)
→高校留学でホームステイ体験
・カナダ(13年)
→ワーキングホリデー→カレッジ留学→現地就職→永住権取得
◇海外渡航経験
長期滞在:カナダ、韓国(3ヶ月)
旅行:ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、
イタリア、タイ、インドネシア、シンガポールなど
◇自己紹介
英語学習や留学に関する記事を書いているWebライターです。
幼少期から英語や海外に興味があり、子ども英会話教室に通ったり、ニュージーランドへ短期留学したり、大学は英米文学を専攻したりと英語に関わる人生を過ごしてきました。
現在はカナダ在住13年め、海外で子育て奮闘中です。
英語学習や海外生活に興味のある方に、役立つ情報をお届けできたらと思っています。どうぞよろしくお願いします!