カナダは海外留学先として人気の国ですが、日本とは文化的に大きな違いがあります。
移民の国として広く知られるカナダは、多様な民族が共存しているのが特徴です。
カナダの文化を理解することで、留学やワーキングホリデーでの生活がより充実するでしょう。
本記事では、カナダと日本の文化の違いについて詳しく紹介します。
また、カナダでの留学生活を快適に過ごすためのコツやトラブル発生時の対処法についても紹介するので、カナダ留学を検討している方はぜひ参考にしてくださいね!
- カナダの基本情報
- カナダの文化と習慣について
- 日本との違い
- カナダでの生活を快適にするために
- 留学などでホームステイを快適にするためのコツ
- 文化の違いがあるから起こる留学中のトラブル回避と対処法
- まとめ
カナダの基本情報
ここでは、カナダの基本情報について紹介します。
首都 | オタワ(Ottawa) |
主要都市 | トロント、バンクーバー、モントリオール、カルガリーなど |
公用語 | 英語・フランス語 |
人口 | 約4,000万人(2024年推計) |
面積 | 約998万 km²(世界第2位) |
通貨 | カナダドル(CAD) |
日本との時差 | -17時間~-12時間(地域による) |
気候 | 寒冷な地域が多い |
宗教 | キリスト教が多数派、他にイスラム教・仏教・ヒンドゥー教など |
政治体制 | 立憲君主制(イギリス国王が元首)、議会制民主主義 |
電源と電圧 | Aタイプ(日本と同じ)、110V〜120V |
世界で初めて多文化主義政策を正式に採用
カナダは、世界で初めて「多文化主義政策」を採用した国として知られています。
この政策は、カナダに住む多様な民族や文化を尊重し、共存を促進することを目的としたものです。
1988年には「カナダ多文化主義法(Canadian Multiculturalism Act)」が制定され、多文化主義が法律として正式に確立されました。
イギリス文化とフランス文化の影響が根付いている
カナダの文化は、歴史的な植民地支配の影響でイギリス文化とフランス文化が深く根付いています。
16世紀にフランスが入植し、ケベック州を中心にフランス語やカトリック文化が広まりました。
しかし、1763年のパリ条約によってカナダはイギリス領となり、英語やイギリスの法制度・教育が定着しました。
この歴史的背景から公用語は英語とフランス語となり、政治制度はイギリス式を採用しつつ、ケベック州ではフランス文化が色濃く残っています。
カナダの文化と習慣について
多文化社会であるカナダでは独自の文化と習慣が根付いており、留学前に知っておくことでスムーズに適応しやすくなります。
ここでは、カナダの文化と習慣について詳しく紹介します。
多文化が共存しお互いを尊重
カナダ人を一言で表すことは難しいほど、カナダには多様なバックグラウンドを持つ人々が暮らしています。
トロントやバンクーバーなどの大都市を中心に、それぞれの民族文化を反映した小さなコミュニティが点在しているのが特徴です。
例えば、チャイナタウンやグリークタウン(ギリシャタウン)などでは、街の雰囲気やレストランをはじめ、その文化を象徴する要素が溢れています。
フレンドリーな国民性
多様な文化や価値観を尊重するカナダの国民性は、フレンドリーで親切な人が多いことが特徴です。
カナダの人々は子どもの頃から多様な人種や民族が共存する社会で育っているため、見た目や生活スタイル、文化が「みんな違って当たり前」と考えています。
また、細かいことを気にしないおおらかな性格の人が多く、電車やバスの時刻表がないことも、そのおおらかさを象徴しているといえるでしょう。
ワークライフバランスが充実している
カナダの人々は家族との時間やプライベートを最優先する傾向があり、残業や飲み会などはほとんどすることはなく、ワークライフバランスが充実しています。
また、リモートワークが浸透しており、子どもたちの学校への送り迎えをするフルタイム勤務の保護者も大勢います。
さらに、帰宅ラッシュが午後3時頃から始まることも、日本の働き方とは異なる特徴です。
日本との違い
カナダは日本とは大きく文化や環境が異なるため、初めは戸惑ってしまう日本人留学生も少なくありません。
ここでは、カナダと日本の文化の違いについて詳しく紹介します。
多言語が使われている
カナダの公用語は英語とフランス語ですが、多様なバックグラウンドを持つ人々の言語も広く使用されています。
そのため、カナダの公共サービスでは英語とフランス語に加え、中国語、スペイン語、パンジャブ語、イタリア語、アラビア語、タガログ語、韓国語などの翻訳サービスも充実しています。
街によってガラッと雰囲気が変わる
トロントやバンクーバーなどの大都市では、各民族のコミュニティが発展している背景もあり、街ごとに異なる雰囲気を感じられます。
フランス文化の影響が色濃く残るケベック州では、フランス様式の建築物が多く見られ、一方、イギリス文化が根付くブリティッシュ・コロンビア州のビクトリアでは、英国風の街並みが魅力となっています。
チップ文化がある
カナダには、日本人には馴染みのないチップ文化があるため、旅行や留学前にその仕組みについて理解しておくことが大切です。
チップとは「良いサービスへの感謝を示す慣習の1つ」であり、主に以下のような場面でチップを渡します。
・料理がテーブルまで運ばれてくるレストランやカフェ
・ホテルのサービス
・タクシー
・美容室やサロン
チップの金額についてはサービスごとに相場があるため、事前に確認することをおすすめします。
知らない人同士でも会話する
カナダでは「挨拶」が非常に重要な習慣であり、街中で知らない人とすれ違った場合でも、目が合えば挨拶を交わすことが一般的です。
他にも、スーパーのレジで店員と歓談したり、エレベーターで乗り合わせた人と会話を楽しんだりすることが多く、カナダ人はコミュニケーションを大切にする傾向があります。
カナダではさまざまな場面でコネクションが重要視されており、挨拶や軽い会話が人間関係を築くきっかけとなることが多いです。
レストランで食べ残した料理をテイクアウトできる
カナダのレストランでは、食べきれずに残した料理をテイクアウトすることができます。
この習慣は食品ロスを減らすための試みとして広く浸透しており、持ち帰りたい場合は店員に持ち帰り用のコンテナをお願いすることが一般的です。
カナダでの生活を快適にするために
カナダ留学を成功させるためには、カナダの文化を理解するだけでなく、意識しておきたいポイントがいくつかあります。
ここでは、カナダでの生活を快適で充実したものにするために、心がけるべきポイントを3つ紹介します。
留学の目的をしっかり設定する
カナダでの生活を実りあるものにするために、まずは留学の目的を明確に設定しましょう。
なんとなく過ごしてしまうと、「何のために留学したのか」がわからなくなり、成果を感じられないまま帰国してしまう可能性があります。
例えば、「語学学校で基礎英語力をしっかり身につける」「カナダの文化を学び視野を広げる」など、具体的な目標を決めることでやるべきことが明確になるので、より充実した留学生活を送れます。
余裕ある留学費用を準備する
カナダは年々物価が上昇しているため、余裕を持った留学費用の準備が大切です。
特に、生活費や食費が高い傾向があり、都市部では家賃も高騰しています。
一方で、アルバイトの最低賃金も上昇しているため、ワーキングホリデーで渡航予定の方は、現地で働きながら生活費を補うことも可能です。
最新情報を収集して自分から行動する
海外では、受け身の姿勢のままでは何も得られないことが多いため、自分から積極的に行動することが重要です。
インターネットやSNS、海外経験者の体験談を活用し、最新の情報を収集することで、スムーズに準備ができます。
また、渡航前に英語力を向上させておくことで、現地での生活やコミュニケーションがより快適になるでしょう。
留学が初めてで不安な方は、留学エージェントを利用してサポートを受けることをおすすめします。
留学などでホームステイを快適にするためのコツ
カナダと日本の文化の違いを理解し、その違いを楽しむことで、より充実した留学生活を送れます。
留学初心者の多くは最初の滞在先としてホームステイを選びますが、多様なバックグラウンドを持つホストファミリーと暮らす中で、文化の違いに戸惑うこともあるかもしれません。
ここでは、カナダ留学でホームステイをする際に快適に過ごすためのコツを3つ紹介します。
ハウスルールをきちんと守る
滞在先にはそれぞれの家庭のルール(ハウスルール)があることが多く、快適に過ごすためには事前にルールを確認し、きちんと守ることが大切です。
よくあるハウスルールとして、以下のようなものがあります。
・シャワーは1回15分以内
・洗濯は週1回のみ
・門限は夜22時
・夕食を食べない場合は事前に連絡する
・ゲストの招待は禁止
これらのルールは、水道代や光熱費の節約、ホストファミリーの生活リズムを守るために設けられています。
ハウスルールを尊重して生活することで、ホストファミリーとの良好な関係を築き、ホームステイ中のトラブルを避けられます。
コミュニケーションを心がける
ホストファミリーと仲良くなるためには、日常的に挨拶を交わし、短い会話を積極的にすることが大切です。
例えば、「Good morning!(おはよう!)」や「How was your day?(今日の調子はどう?)」といった簡単なフレーズを使うだけでも、親しみやすい関係を築くことができます。
スムーズなコミュニケーションのためには、英語力を身につけて自信を持つことが大切ですが、完璧な英語を話す必要はありません。
最も大切なのは、「相手とコミュニケーションを取ろうとする姿勢」を見せることです。
もしうまく伝えられないと感じたら、翻訳アプリを活用したり、ジェスチャーを交えたりするのも効果的です。
また、ホームステイに関する悩みがあれば、留学エージェントや学校のカウンセラーに相談するのも良いでしょう。
自分の意見をはっきり伝える
海外では自分の意見をはっきり言葉で伝えることが重要で、特に「Yes」「No」を恐れずに表現することが大切です。
日本では遠慮や曖昧な表現が好まれることもありますが、カナダでははっきり伝えたほうが相手にとっても親切な場合が多いです。
例えば、ホームステイ先の食事が口に合わなかった場合、何も言わずに我慢すると、自分にとってストレスになるだけでなく、ホストファミリーも気づかずに同じ料理を用意し続けるかもしれません。
自分の好みを伝えることで、ホストファミリーも食事の準備がしやすくなり、お互いにとってメリットがあります。
また、会話を聞き取れなかった場合はそのまま流さずに、
「Sorry, could you repeat that?(すみません、もう一度言ってもらえますか?)」や 「Could you speak a little slower?(もう少しゆっくり話してもらえますか?)」
と 丁寧に聞き返すようにしましょう。
文化の違いがあるから起こる留学中のトラブル回避と対処法
日本では当たり前のことでも、一歩海外に出ると非常識と捉えられることが多々あります。
ここでは、カナダ留学中に起こりうるトラブルを回避するための対処法について詳しく解説します。
夜遅い時間の1人歩きや治安の悪い場所は避ける
日本では比較的安全な場所が多く、夜間の1人歩きもそれほど危険を感じることは少ないですが、海外では事情が異なります。
カナダは比較的治安の良い国とされていますが、それでも夜間の1人歩きはリスクが伴うため、できるだけ避けたほうが無難です。
夜に外出する場合は、可能な限り信頼できる友人やホストファミリーと一緒に行動し、人気の少ない場所や路地裏は避けるようにしましょう。
また、治安が悪いとされるエリアには、たとえ日中であっても立ち入らないのが賢明です。
観光や外出の際は、事前に現地の安全情報を確認し、危険な地域やトラブルが多い場所を把握しておくと安心です。
海外旅行保険に加入する
慣れない海外での生活では、予期せぬ体調不良や怪我が起こりやすいため、留学期間をカバーする海外旅行保険に加入しておくことが重要です。
特に、カナダでは歯科治療が非常に高額なので、歯科保険にも加入しておくと安心です。
保険に加入することで医療機関での支払い負担を軽減でき、留学中の不安を減らせます。
貴重品の管理を徹底する
海外では置き引きやひったくりなどの犯罪が発生しやすいため、貴重品の管理には十分な注意が必要です。
ほんの数分目を離した隙に、カバンやPCが盗まれたり、歩きスマホをしていたらひったくられたりすることがあります。
高価なものを身につけることは避け、外出時には貴重品を目の届く場所に保管しましょう。
席を外す際は、バッグや財布を肌身離さず持ち歩くことを心がけると安全です。
まとめ
本記事では、カナダと日本の文化の違いについて詳しく紹介しました。
カナダには日本人にとって馴染みのない独自の文化や習慣が数多く存在しますが、それらを理解し積極的に受け入れることで視野が広がり、より充実した留学生活を送れます。
また、文化の違いを事前に知っておくことで、留学中に起こりうる誤解やトラブルを未然に防ぐことが可能です。
カナダ留学やワーキングホリデーを予定している方はぜひ本記事を参考にして、充実したカナダ生活を叶えてくださいね!

◇経歴
・英米文学科卒業
・George Brown College卒業(カナダ・トロント)
・カナダ現地のパティスリーにてパティシエとして働く
・現在はWebライターのほか、SNS運用やコンテンツクリエイターとして活動しています。
◇資格
IELTS General 6.0
◇留学経験
・ニュージーランド(2週間)
→高校留学でホームステイ体験
・カナダ(13年)
→ワーキングホリデー→カレッジ留学→現地就職→永住権取得
◇海外渡航経験
長期滞在:カナダ、韓国(3ヶ月)
旅行:ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、
イタリア、タイ、インドネシア、シンガポールなど
◇自己紹介
英語学習や留学に関する記事を書いているWebライターです。
幼少期から英語や海外に興味があり、子ども英会話教室に通ったり、ニュージーランドへ短期留学したり、大学は英米文学を専攻したりと英語に関わる人生を過ごしてきました。
現在はカナダ在住13年め、海外で子育て奮闘中です。
英語学習や海外生活に興味のある方に、役立つ情報をお届けできたらと思っています。どうぞよろしくお願いします!