ワーキングホリデーとは、青少年の異文化交流を目的として国家·地域間で結ばれている協定のことです。青少年が対象ということで利用できる年齢には制限があり、一般的には18歳~30歳までの人が利用できます。
この記事ではワーキングホリデーの年齢制限や年齢制限がある理由について解説しています。また、年齢制限以外の条件やワーキングホリデーが利用できない人が海外生活を送る方法についても取り上げているため、ぜひ参考にしてください。
ワーキングホリデーの年齢制限とは?
ワーキングホリデーとは、青少年に対して休暇目的での入国および滞在中の資金を獲得するための就労を許可する制度のことです。
「ワーホリ」の愛称でお馴染みのこのワーキングホリデーは、オーストラリアやニュージーランド、カナダ、韓国、イギリス、台湾、アルゼンチンなど、2024年11月現在24の国、地域で利用可能となっています。
ただし、このワーキングホリデーは年齢制限があり、誰でもできるものではありません。年齢制限は一般的に18歳から30歳までとなっており、国によって若干細かいルールに違いはあるもののほとんどの国では同様です。
一部の国では35歳まで年齢制限が引き上げられているケースもありますが、日本人は対象ではないため注意してください。
年齢制限がある理由
なぜワーキングホリデーに年齢制限があるのかというと、ワーキングホリデーは主に青少年の異文化交流を目的とした国家間の取り組みであるためです。
若い人が他国での生活や長期間の休暇を通してその国の文化を学び、キャリア形成につなげていくという目的にもと付いた制度であるため、申請できるのは一定の年齢までになっていると考えられます。
そのため、30代以降の人で海外での長期滞在や留学を希望している場合、ワーキングホリデー以外の方法を検討しなければなりません。どのような方法があるのかについては後ほど詳しく解説します。
年齢制限の注意点
先ほども説明しているように、ワーキングホリデーを利用できるのは一般的に30歳までです。しかし、申請のタイミングを考慮することで31歳になってもワーキングホリデーを利用して海外に長期滞在することもできます。
その方法は、31歳を迎える直前にワーキングホリデーを申請するというものです。ワーキングホリデーの年齢制限はあくまでも申請時の年齢に対するものであり、実際に渡航する際の年齢ではありません。
そのため、31歳の誕生日直前にビザを申請し、31歳になってから渡航するといった形をとることもできます。
ただし、国によってはビザの発給から渡航までの期日が決められているケースもあるため注意してください。また、30歳で申請し、31歳で渡航した場合、現地で32歳を迎えることとなりますが、ビザの期限内であればワーキングホリデー中に32歳を迎えても問題ありません。
年齢以外の条件はある?
ワーキングホリデーには、年齢以外にもいくつかの条件があります。ここでは具体的にどういった条件があるのか解説します。
発給数に制限がある
ワーキングホリデーは年齢制限に加えて、年間の発給枠に上限を設けているケースもあります。
例えばカナダは上限に達したら締め切りとなるほか、イギリスは応募者の中から抽選で選ばれるため、必ずしも自分が行きたい国に行けるとは限りません。自分が行きたい国は発給上限を設けているのか確認し、必要に応じて第2候補の国も決めておくことをおすすめします。
滞在可能期間が異なる
ワーキングホリデーを利用して滞在できるのは各国とも原則1年ですが、中にはそれ以上の滞在が認められているケースもあります。
例えば、イギリスの場合は2年間の滞在が可能です。また、オーストラリアやニュージーランドは現地での就労時に政府が指定した地域での季節労働に従事することで1年以上の滞在が認められます。ただし、2年目以降のビザを申請する際に31歳になっていると申請できないため注意してください。
このように、1年以上の滞在ができるケースもあるため、できるだけ海外に長く住みたいといった方は上記のような国でのワーホリを検討してみてもいいでしょう。
資金証明が必要
ワーキングホリデーは現地での就労が許可されていますが、渡航にあたっては生活に必要な最低限の資金を所持していなければなりません。
どのくらいの金額が必要なのかは国によって異なりますが、ビザ申請時に残高証明の提出を求められるケースもあるため、資金を貯めておくことをおすすめします。資金を貯める時間を考慮したうえで30歳までに申請できるよう準備を進めていかなければなりません。
ワーキングホリデー以外の選択肢
ここではワーキングホリデー以外の方法で海外に長期滞在·留学する方法を紹介します。
海外に滞在する方法はワーキングホリデーだけではありません。ここで取り上げる選択肢はワーホリを申請できない31歳以降の社会人の方にもおすすめです。ぜひ参考にしてください。
語学留学
年齢に関係なく誰でもできるのが語学留学です。語学留学はその名の通り英語をはじめとした外国の言語習得を目的として現地の語学学校に通いながら生活するというものです。
一般的には英語を学ぶケースが多いですが、中にはそれ以外の言語を学ぶために語学留学している人もいます。
ただし、語学留学の場合ワーキングホリデーとは違って労働ができない、もしくはできたとしてもできる時間に限りがあるため注意してください。現地での仕事を頼りに生活費をカバーするのではなく、生活費を用意したうえ生活の足しになればいいかな、くらいのスタンスでいたほうがいいでしょう。
それでも、ネイティブスピーカーとの会話や同じく語学習得を目指して留学に来ている仲間との切磋琢磨は貴重な経験となります。英語力を身につけてその後のキャリアにつなげることも十分に可能でしょう。
Coop留学
Coop留学とはカナダでできる留学の種類の1つです。Coopとは「Cooperative education」のことであり、その名の通り勉強とインターンシップに取り組むプログラムとなっています。
学生という立場でありながら有給のインターンシップに取り組めるため、多少のお金を稼ぐことも可能です。
語学留学の場合、仕事の制限があることから、どうしても現地での勉強が中心となってしまいますが、Coop留学であれば勉強に取り組みつつ、仕事もする形をとれ、尚且つお金も稼げるため、実際に現地社会がどのようなものなのか体験してみたいといった人にもおすすめです。
30代以降の人ですでに日本でキャリアをある程度積み重ねてきた場合は、自身の専門分野でインターンシップに取り組むこともできます。専門分野であれば自身の強みを生かせるため、うまくいけば現地での就職などにも繋げられるかもしれません。
海外転勤
現在日本の企業に勤めている人の場合、会社に海外転勤をすることで海外での生活を送ることができます。
すべての企業に当てはまるわけではありませんが、海外に支社や視点を持っている企業で、現地に駐在員を派遣しているケースであれば海外転勤の可能性はゼロではありません。
また、海外転勤であれば、会社の支援を受けつつ現地に引っ越すこととなるため、留学生が手を焼きがちなビザ申請や住居探しなども比較的スムーズに進められるでしょう。
さらに給与面で海外転勤となると大幅にアップする可能性があるため、キャリア形成はもちろん、資産形成という意味でも非常に有効です。
ただし、会社によって海外転勤するために条件を設けているケースもあります。語学力での条件などを確認したうえで転勤できるように準備を進めていく必要があります。
現地就職
日本の企業から現地支社·支店への転職ではなく、直接現地企業に就職するという方法もあります。この場合現地の企業に直接自分で応募し、面接などを受けなければなりません。
中には日本企業が現地で求人を出しているケースもあるため、日本語中心で仕事に取り組むことも可能ですが、最低限の言語力は必要になると考えてください。
また、海外転勤とは違って住居探しは自分で行うこととなるため時間がかかる可能性があります。
また、給与に関しても現地の人と同じ水準となるため、生活するぶんには問題ないとしても、海外転勤で来る人と比べると大きな違いがあります。それでも現地社会で生活を送りたい、語学力を活かした仕事に就きたいといった人にとっては選択肢の1つとなります。
長期留学
現地の学校に正規生として入学し、長期留学する方法もあります。この方法は入学要件を満たし入学許可を得られれば誰でも選択できる点が特徴です。
入学要件は大学や国によって異なりますが、語学力の証明と日本の学校の卒業証明、モチベーションレターの提出のみで入学できるケースもあるため、海外でもう一度学び直したい、海外で勉強してそのまま現地で就職したいといった人はぜひ検討してみてください。
現地の学生と一緒に学ぶことで、よりその国の文化や生活に対する理解を深めることもできるでしょう。
ただし長期留学の場合、ベースは学校での勉強となります。学生ビザでアルバイトなどをすることも可能ですが、生活費全てをカバーできない可能性もあるため、資金はあらかじめ用意しておくことをおすすめします。
ボランティア留学
ボランティアをしながら留学する方法もあります。ボランティア内容はさまざまですが、例えばチャイルドケアや動物保護、環境保護、日本語教師などがあります。
実際に現地の人と関わる機会も多いため、語学力は事前に身につけておく必要がありますが、語学留学や長期留学とはまた違った経験を積めるでしょう。
まとめ
今回は、ワーキングホリデーの年齢について解説しました。ワーキングホリデーは、青少年の異文化交流を目的とした国家間の取り組みであるため一般的に18歳~30歳までと年齢制限が設けられています。
ただし、31歳になる直前のタイミングで申請し、31歳になってから渡航すれば30歳以降でもワーキングホリデーを使って海外に滞在することは可能です。また、国によっては1年以上の滞在ができるケースもあります。
ワーキングホリデーの対象年齢ではない人は、語学留学やカナダのCoop留学、海外転勤、現地就職、長期留学など、他の方法を検討してみてください。