カナダの首都オタワは、歴史的建造物を多く残しながらも同時に美しい自然を楽しむことのできる魅力的な都市です。
多くの観光客が訪れる人気都市でありながら、バンクーバーやトロントと比べるとやや認知度が低いかもしれません。
今回は、オタワの歴史やカナダの他の都市との比較を通して、
首都オタワの魅力
を紹介します。
カナダの首都オタワとは?基本情報を紹介
オタワは、オンタリオ州の東端に位置する都市で、カナダの行政の中心地です。
人口は約100万人、面積は約2,800 km2あり、トロントやモントリオールほどの大都市ではありませんが、穏やかな暮らしや豊かな自然環境が魅力です。
オタワ川を挟んでケベック州のガティノーと隣接しており、英語とフランス語の両方が公用語として使用されています。
歴史的には木材産業が栄えた地域でしたが、現在は国会議事堂や多くの政府機関が集まり、政治の要所としての役割も担っています。
気候は大陸性気候で、冬は非常に寒く、平均気温は-10℃前後になることが多いです。夏は温暖で、時には30℃を超えることもあります。
特に冬季にはリドー運河が凍り、スケートリンクとして利用されることが有名です。
また、オタワは「チューリップ・シティ」としても知られています。
これは、オランダのユリアナ女王がカナダに亡命中に生まれた子供への感謝として毎年チューリップの球根が贈られることから始まりました。
このため、毎年5月にはチューリップフェスティバルが開催され、多くの観光客が訪れます。
治安については、オタワは比較的安全な都市とされており、多くの観光客が安心して訪れることができます。ただし、夜間の一人歩きには注意が必要です。
カナダの首都がオタワに決まった理由とは?
- カナダ東部の地理的な中心
カナダ東部、特にオンタリオ州とケベック州は、カナダの政治、経済の中心地でした。オタワは、この地域のほぼ中心に位置しており、どちらの州からも比較的アクセスが良いという地理的優位性がありました。 - 英語圏、フランス語圏の中立地
オンタリオ州とケベック州は、文化、言語、歴史的背景が異なるため、両州間の対立が常に存在していました。オタワは、どちらの州からも離れた中立的な位置にあり、イギリス系移民とフランス系移民の間の緊張などからの両州の対立を緩和できる場所として考えられました。 - 交通の便の良さ
オタワは、リドー運河をはじめとする水運と、鉄道網が整備されており、交通の便が良かったことも、首都としての条件を満たしていました。 - 政治的な妥協
カナダ建国の際、トロント、モントリオール、ケベックシティ、キングストンが首都候補として議論されていました。その結果、妥協案としてオタワが選ばれたという経緯があります。
最終的には、1857年にビクトリア女王による決断で、オタワが首都と決定されました。そして1867年にはカナダ連邦が成立し、オタワは正式にカナダの首都となりました。
これにより、連邦政府の機関やその他の行政機関が集中し、政治的な中心地としての役割を果たすようになったのです。
オタワ vs バンクーバー:よくある誤解を解消
「バンクーバーが首都ではないの?」と驚かれることが多いですが、
バンクーバーは西海岸の主要都市であり、首都ではありません。
オタワとバンクーバーを比較し、それぞれの都市の特徴や魅力について違いを見ていきましょう。
オタワ | バンクーバー | |
位置 | カナダの中央部 | カナダの太平洋側 |
気候 | 四季がはっきりしている | 温暖な気候 |
自然 | オタワ川、緑豊かな公園 | 海、山、森林 |
文化 | 多文化、歴史的建造物 | 多文化、アジア系移民が多い |
経済 | 政治の中心 | 貿易の中心 |
物価 | 比較的安い | 高い |
オタワ
- カナダの首都: カナダの政治の中心であり、国会議事堂や様々な政府機関が置かれています。歴史的な建物や博物館も多く、歴史と文化に触れることができます。
- 多文化都市: ヨーロッパ系の移民だけでなく、アジア系やアフリカ系など、様々な民族が共存しています。
- 四季がはっきりしている: 夏は温暖で過ごしやすいですが、冬は非常に寒くなります。
- 自然との共存: オタワ川が流れ、緑豊かな公園もたくさんあります。自然を満喫しながら、都市生活も楽しめるのが魅力です。
- 物価: カナダの他の大都市と比較すると、物価は比較的安いです。
バンクーバー
- カナダの玄関口: アジアへの玄関口として知られ、多様な文化が融合しています。
- 温暖な気候: カナダの中でも温暖な気候で、一年を通して過ごしやすいです。
- 自然豊かな都市: 海に面しており、山や森林にも囲まれています。アウトドアスポーツを楽しむことができます。
- 多様な文化: アジア系移民が多く、中華街や日本町など、異国情緒あふれる街並みが魅力です。
- 高めの物価: カナダの中でも物価が高めの都市です。
カナダの首都オタワの人口と面積を詳しく解説
オタワは、カナダの他の都市と同様に、多様な民族が共存しています。
英語とフランス語が公用語であり、ヨーロッパ系、アジア系、アフリカ系など、様々なバックグラウンドを持つ人々が暮らしています。
また、オタワには、カールトン大学やオタワ大学など、数多くの大学があり、学生人口も少なくありません。
2024年時点で、オタワの人口は約100万人。面積は2,800km2あります。
カナダの都市の中でも比較的広大な面積を有していますが、これは、緑地や公園が多く、自然豊かな都市であることが一因となっています。
これらの緑地や公園などのために、人口密度に関しては、カナダの他の大都市と比較して低いと言えます。
都市構造については、リドー川を挟んで南北に細長い形状をしているのが特徴です。
オタワのダウンタウン地区は、国会議事堂を中心とした政治の根幹であり、高層ビルが立ち並んでいます。
一方、郊外には、住宅地や商業施設が広がっています。
カナダの人口ランキング
- トロント: 人口約2,794,356人。カナダ最大の都市であり、経済や文化の中心地です。
- モントリオール: 人口約1,762,949人。ケベック州の最大都市で、フランス語圏として知られています。
- カルガリー: 人口約1,306,784人。アルバータ州に位置し、冬季オリンピックが開催された都市です。
- オタワ: 人口約1,017,449人。カナダの首都であり、政府機関が集中しています。
- エドモントン: 人口約1,010,899人。アルバータ州の州都で、「フェスティバル・シティ」として知られています。
- ウィニペグ: 人口約749,607人。マニトバ州の州都で、多文化共生が進んでいます。
- ミシサガ: 人口約717,961人。トロント近郊に位置し、急成長している都市です。
- バンクーバー: 人口約662,248人。自然環境が豊かで、多くの留学生に人気があります。
- ブランプトン: 人口約656,480人。トロント近郊で、新興住宅地が多いです。
- ハミルトン: 人口約569,353人。工業都市として知られています
(2021年 国勢調査に基づく)
カナダの首都オタワは英語が通じる?言語事情を知ろう
前述した通り、オタワでは英語とフランス語のバイリンガル文化が根付いています。英語とフランス語の両方が公用語として認められており、政府機関や公共サービスでは両言語が平等に扱われ、フランス語話者も多く見かけます。
特に、ケベック州との国境に近いため、フランス語が使われる割合も他の地域より高めですが、2021年の国勢調査によると、オタワの住民の約53.4%が英語を母国語としています。
そのため、街中の標識や公共サービスは主に英語で提供され、日常生活やビジネス、教育現場などの面でも英語が圧倒的に優勢ですので、観光客や新しく移住してきた人々にとっても英語でのコミュニケーションは容易ですし、フランス語を話せるようになる必要性はそれほど高くはありません。
ケベック州ではフランス語が主流ですが、オタワでは英語が主流となっていますので、
訪れる際には英語を使うことで問題なくコミュニケーションが取れるでしょう。
オタワの主要観光スポットとおすすめの過ごし方
オタワを訪れたら、以下の観光地は外せません。
カナダ国会議事堂
オタワのシンボル的な存在であるカナダ国会議事堂は、ネオ・ゴシック様式の荘厳な建物であり、カナダの歴史と文化を象徴する重要な場所です。
無料のガイドツアーに参加して、議事堂内部を見学することもできます。
※2019年より、メインである中央棟は改修工事により閉鎖されています。この改修工事は2029年までかかる予定で、その間は外観のみの見学となるようです。
リドー運河
リドー運河は、カナダのオタワとキングストンを結ぶ、北米最古の運河の一つです。19世紀に建設され、2007年にユネスコの世界遺産に登録されました。夏にはボートやカヌーを楽しむことができ、冬にはスケートリンクとして利用できます。春には桜が咲き、夏には緑が茂り、秋には紅葉が美しく、冬には雪景色が広がります。
四季折々の美しい風景を楽しむことができ、一年を通して多くの人々に親しまれています。
カナダ歴史博物館
カナダ歴史博物館は、ガティノーのハルにあり、オタワのダウンタウンからオタワ川を渡ったところに位置しています。カナダ最大の博物館の1つであり、毎年何百万人もの観光客が訪れています。
先住民文化からヨーロッパ人による入植、そして現代に至るまでのカナダの歴史を、豊富な資料や展示を通して深く学ぶことができます。
バイワードマーケット
バイワードマーケットは、地元の人々にも愛される人気の市場です。地元の食材や手作りの工芸品が並び、観光客にも非常に人気です。世界各国のレストランが軒を連ね、カナダ料理はもちろん、イタリアン、メキシカン、アジア料理など、様々な味覚を楽しむことができます。
ノートルダム大聖堂
ノートルダム大聖堂は、カナダの歴史と文化を象徴する建物です。
美しいゴシック建築と色彩豊かなステンドグラスが特徴の歴史的な教会です。
内部は非常に華やかで、荘厳な雰囲気に包まれています。幻想的な空間と静寂の中で心を落ち着けることができます。
カナダ国立美術館
カナダ国立美術館は、カナダを代表する美術館の一つです。
カナダの美術はもちろん、世界各国の素晴らしい芸術作品を数多く収蔵しています。特に先住民アートや国際的な作品が豊富に揃っています。外観もすべてガラス張りで、自然光と空間を活かした魅力的な建物となっています。
チューリップフェスティバル
毎年5月にはチューリップフェスティバルが開催され、約100万本のチューリップ が街を彩ります。
アートパフォーマンスや花火、地元の飲食スタンドの出店なども行われます。この時期に訪れると、美しい花々とともに春の訪れを感じることができます。
カナダ全体を見渡す:地図で見るオタワと他の主要都市
カナダは非常に広大で、都市間の移動に時間がかかるため、地図での位置関係を知ることが重要です。カナダの主要都市は、それぞれに異なる魅力があります。
- オタワ
カナダの首都で、歴史的な建物や博物館が多くあります。 - トロント
カナダ最大の都市で、金融や文化の中心地です。 - モントリオール
フランス語圏の都市で、ヨーロッパ風の街並みが魅力です。 - カルガリー
石油産業の中心地で、カウボーイ文化が根付いています。 - バンクーバー
太平洋沿いの都市で、美しい自然と多文化の街です。 - ウィニペグ
カナダの中央部に位置する都市で、農業や製造業が盛んです。 - エドモントン
北極圏に近い都市で、オーロラ観測が有名です。 - イエローナイフ
ノースウェスト準州の州都で、オーロラ観測やダイヤモンド採掘が有名です。
カナダの州と首都オタワの地理的関係
カナダは10の州と3つの準州で構成されています。
オタワは、これらの州や準州の中央部に位置するオンタリオ州にあります。
そのため、他の州へのアクセスも比較的容易となっています。
カナダの州ごとの特徴は以下の通りです。
- オンタリオ州
カナダ最大の州でトロント、オタワなど、大都市が集中しており、経済の中心となっています。世界各国から移民が多く、多様な文化が融合しています。世界的に有名なナイアガラの滝は、オンタリオ州とアメリカニューヨーク州の境に位置しています。 - ケベック州
カナダ唯一のフランス語圏の州であり、ヨーロッパのような雰囲気が漂います。ケベックシティの歴史的な街並みは、ユネスコの世界遺産に登録されています。また、フレンチ料理をはじめ、多様な美食を楽しめます。ジャズをはじめとした、様々な芸術活動も盛んです。 - ブリティッシュコロンビア州
ロッキー山脈、バンクーバー島など、雄大な自然が広がっています。そのため、スキー、スノーボード、ハイキング、カヤックなど、様々なアウトドアアクティビティを楽しむことができます。アジア系の移民が多く、多文化都市としても知られています。 - アルバータ州
カナディアンロッキーは、雄大な自然を満喫できる人気の観光地です。世界最大のオイルサンドの埋蔵量を誇り、エネルギー産業が盛んです。また、カウボーイ文化が根付いており、ロデオ大会などが開催されます。 - ノバスコシア州
大西洋に面しており、切り立った海岸線、美しい入り江、そして数多くの島々が特徴です。新鮮なシーフードを楽しむことができます。 - ニューブランズウィック州
約90%が森林に覆われており、数多くの湖があります。歴史的な街並みと美しい自然が魅力です。 - マニトバ州
プレーリーと呼ばれる大平原が広がり、農業が盛んです。カナダで最も寒い都市の一つですが、文化的なイベントが盛んです。 - サスカチュワン州
プレーリーが広がり、小麦の生産が盛んです。数多くの湖や川があり、釣りや狩猟が楽しめます。 - ニューファンドランド・ラブラドール州
大西洋に浮かぶ島々からなり、美しい海岸線とフィヨルドが特徴です。世界有数の漁場であり、豊かな海洋資源を持っています。 - プリンス・エドワード島州
赤毛のアンの舞台として有名で、赤い砂浜、白い砂浜、切り立った崖など、多様な海岸線を持つ島です。 - ノースウエスト準州
カナダで2番目に大きな準州で、ほとんどが北極圏内に位置しています。冬には美しいオーロラを観測することができます。 - ユーコン準州
ロッキー山脈の一部が州内にあり、雄大な自然が広がっています。イヌイットやデネ族など、先住民の文化が色濃く残っています。 - ヌナブト準州
カナダで最も新しい準州で、カナダのイヌイットの大半が暮らしています。
カナダの主要都市ランキング:オタワの順位は?
カナダの主要都市の順位は、治安、教育、医療、経済、環境など多くの観点が絡み合うので、一つの明確な順位を示すことは難しいです。しかし、一般的にカナダを代表する大都市として以下の都市が挙げられ、それぞれの都市が独自の魅力を持っています。
- バンクーバー
太平洋岸に位置し、自然と都市が融合した美しい都市として知られています。温暖な気候と多様なレジャー施設が魅力ですが、物価の高さが課題となっています。 - トロント
カナダ最大の都市であり、金融、文化の中心地として、多様な文化に触れる機会が豊富です。しかし、高層ビルが立ち並び、物価も高めであるという側面もあります。 - カルガリー
アルバータ州最大の都市で、石油産業の中心地として経済的に安定しています。自然豊かな環境と活気あふれる都市生活を両立できますが、冬季は乾燥し、風が強いことが特徴です。 - オタワ
カナダの首都オタワも、カナダの中でも特に治安が良く、安心して暮らせる環境です。政治の中心として、安定した社会基盤が整っています。一方で、冬は厳しい寒さに見舞われます。 - モントリオール
ケベック州最大の都市で、フランス文化が色濃く残る魅力的な街です。歴史的な建造物や活気あふれる芸術シーンが特徴ですが、冬季は寒さが厳しいです。
オタワへのアクセスとおすすめの旅行プラン
日本からオタワへは、直行便は運航しておらず、一度北米の主要都市で乗り継ぐ必要があります。
エアカナダ、ユナイテッド航空、アメリカン航空などが、東京(成田、羽田)や大阪(関西国際空港)からバンクーバー、トロント、ニューヨークなどへの直行便を運航しています。
また、VIA鉄道が主要都市間を結ぶ長距離列車を運行していますし、バスによる移動も可能です。そのため、周辺都市からの交通の便は充実しています。
おすすめの旅行プランとしては、
モントリオールとオタワを組み合わせた2都市旅行や、
オタワを拠点にしてトロント、ナイアガラの滝を巡るコース
などが人気です。
まとめ
オタワは、カナダの首都としての政治的役割と多文化の融合が特徴の都市です。トロントやバンクーバーと比べると華やかさは控えめですが、教育、文化、安全性などに優れており、住みやすい環境が整っています。
四季折々の美しい自然や文化的な建築物を通して、他の都市にはないオタワだけの魅力を味わってみてはいかがでしょうか。
◇経歴
海外向けデバイスのソフト設計開発、関連資料翻訳
◇資格
TOEIC 900点
◇留学経験
ワーキングホリデーにてカナダ、オーストラリアに滞在経験あり
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーでは、ホテルやレストランで仕事をしていました。
◇自己紹介
普段は翻訳などの仕事をしていますが、Webライターとしても活動しています。
興味の幅が広く、様々なテーマで記事を書いています。
皆様にとってわかりやすく面白い記事を書けるよう頑張ります。
よろしくお願いいたします。