
海外旅行を控えているタイミングで「台風接近」のニュースを聞くと、「飛行機は飛ぶの?」「欠航したらどうすればいいの?」と不安になりますよね。
そこで本記事では、航空会社が欠航を決める仕組みから、返金・振替の具体的な手順、自己キャンセルの注意点、旅程変更の判断基準まで、旅行者が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
台風で不安なときは、ぜひこの記事の内容を参考にしてください。
台風が来た際の航空会社の判断基準
台風接近時に、飛行機が欠航になるかどうかを決める統一された基準はありません。各航空会社が天気図、風速データ、気象レーダーなどを総合的に判断して、独自に欠航を決定しています。
そのため、同じ台風の影響でも、A社は欠航、B社は運航するというケースもありえます。
では、航空会社はどのように欠航を判断しているのでしょうか。実は、航空会社の欠航判断は、空港周辺の気象状況や地上での安全性など複数の要素に基づいて飛行の可否を判断しているのです。
また、同じ台風でも国内線と国際線では欠航判断が異なることがあります。
以下、これら2つのポイントについて詳しく解説していきます。
欠航を判断するポイント
航空会社が欠航を判断する際、以下の3つのポイントを総合的に評価します。
空港周辺の気象状況:
台風に伴う乱気流、雷、ダウンバースト(強烈な下降気流のこと)などが航路や空港周辺に発生していないか、航路変更で回避できるかを検討
滑走路の運用可否:
離着陸時の滑走路に対する横風の強さ。一定以上の横風が予想される場合は安全上の理由から欠航となる
地上での安全性:
機体が駐機中に風で煽られないか、乗客の乗降や荷物の積み下ろしが安全に実施できるか、航空燃料の搭載が可能かなどを確認
航空会社は飛行中の気象条件から着陸時、そして地上での作業に至るまで、あらゆる安全性を考慮して欠航を判断しています。
国内線と国際線で欠航判断が異なる
興味深いことに、風速による運航制限の基準は国内線と国際線で同じですが、欠航の判断が異なることがあります。
それは、国内線は当日のみの運航権を持つため、その日のうちに飛行できなければ欠航するしかありません。一方、国際線は翌日以降の運航権もあるため、台風の通過を待って24時間以上の遅延運航が可能だからです。
そのため、同じ台風でも国内線は欠航、国際線は遅延という判断になることもあります。
飛行機が欠航した場合の返金・振替の流れ
台風で欠航が決定した場合、日本の大手航空会社(ANA・JALなど)は約款で「手数料なしの払い戻し」または「同社便への無料振替」を保証しており、この2つから選択が可能です。
欠航が決定した場合、基本的に以下のような流れで対応が進みます。
1.欠航の正式決定を確認する
航空会社から欠航の正式通知が入ります。これは公式サイト、アプリ、メール、SMSなどで通知されます。この時点から、返金か振替かの選択が可能になります。
2.返金か振替かを選択する
乗客は「払い戻し」か「別便への振替」のいずれかを選択します。すぐに帰国したい、または現地に残りたい場合は振替、渡航自体を中止したい場合は返金を選ぶのが一般的です。
3.選択に応じた手続きを進める
選択後、航空会社のウェブサイト、アプリ、空港カウンター、電話などで具体的な手続きを進めます。手続きのタイミングと方法は、返金・振替で異なります。
返金を選んだ場合
返金を希望する場合、手続きは以下の流れで進みます。
1.申請手続き
航空会社の会員ページ、空港カウンター、または電話で払い戻しを申請します。パッケージツアーの場合は旅行代理店に連絡してください。この申請には期限があり、一般的には出発日から10日〜1ヶ月以内です。期限を過ぎると払い戻しが受けられなくなるため、欠航決定直後に申請したほうがいいでしょう。
2.返金処理待ち
申請後、返金は即座には反映されません。通常2〜3ヶ月程度かかります。この間、指定した銀行口座への入金を待つことになります。
返金の注意点として、LCC(格安航空会社)の場合、運賃タイプによっては返金対象外になることもあります。返金条件は航空会社ごとに異なるため、申請前に必ず確認しましょう。
振替便への変更を選んだ場合
別便への振替を希望する場合、手続きは以下の流れです。
1.振替手続きを申し込む
航空会社のウェブサイト、アプリ、空港カウンター、または電話で振替手続きを申し込みます。例としてANAの場合、ウェブ・アプリでの変更は出発20分前まで可能です。当日中の迅速な対応が必要な場合は、空港カウンターの利用が確実です。
2.空席状況に応じた選択
振替には2つの方法があります。すぐに席が必要な場合は「空席待ち」を申し込み、希望の便を確実に確保したい場合は「後日の便を予約」します。両方の組み合わせも可能です。
3.新しい搭乗日が決定
空席待ちが取れるか、予約した便の出発日が決定します。これが新しい搭乗日になります。
振替便を選ぶ場合の注意点としては、振替便が翌日以降になった場合、現地でのホテル宿泊が必要になります。この場合、台風は航空会社側では避けられない天災と見なされるため、ホテル代と地上交通費は原則として乗客の自己負担です。
ただし、旅行保険やクレジットカード付帯保険で補償を受けられる場合もあるため、加入内容を確認することをおすすめします。
飛行機の予約を自己キャンセルするときの注意点

台風接近時に、航空会社の欠航判断を待たずに自分でキャンセルすることはおすすめできません。
なぜなら、自己判断でキャンセルすると通常のキャンセル料が発生するのに対し、航空会社が欠航を決定した場合は無料でキャンセルできるからです。
それでもどうしても自己キャンセルする必要がある場合は、以下のような注意点があります。
航空券のキャンセル条件を確認
まず、購入した航空券のキャンセル条件を確認することが最優先です。
航空会社のウェブサイト、予約確認メール、または予約確認書を確認して、その航空券がそもそもキャンセル可能なのか、キャンセル不可なのかを必ず確認しましょう。
特にLCC(格安航空会社)の場合、キャンセル不可の運賃タイプを選んでいないか必ず確認してください。キャンセル不可の航空券で自己キャンセルすると、台風が理由であっても返金はされません。
パッケージツアーで購入した場合は、旅行代理店の規定も併せて確認が必要です。
キャンセルを決めたらできるだけ早めに
航空券のキャンセル判断は、出発日時に近くなるほど返金額が少なくなります。
出発まで3日以上ある段階でキャンセルすれば、取消手数料はまだ比較的低い可能性があります。しかし、出発2日前なら手数料は20〜30%になり、出発前日なら50%程度が取消手数料として差し引かれることもあります。
最悪、出発当日の場合は、全額没収です。
つまり、台風の進路が不安で自己キャンセルを決めたら、できるだけ早くキャンセル手続きを取ったほうがいいでしょう。
特に、出発時間を過ぎてしまうと、その時点で「搭乗済み」と判定され、キャンセル料は戻ってきません。
台風の不安感が拭えず、自己キャンセルやむなしと判断したなら、早めにキャンセル手続きを進めることが、返金額を少しでも多く受け取るための唯一の方法といえるでしょう。
旅程変更するときの判断ポイント
いままでの説明のように、旅程変更の判断は、航空会社の公式発表を待つのがいいでしょう。
なぜなら、台風は急激に進路を変えることがあり、気象情報だけでは「確実に欠航になるのか」を予測できないからです。
台風が空港や航路のすぐそばを通過する場合でも、実際には飛行機へのダメージが最小限で、飛行に影響のないケースもあります。
焦って旅程を変更してしまうと、実際には飛行機が飛んでいたのに、不要な変更料金を払うなんてことになりかねません。
例えば、ニュースで「強い台風が接近中」と聞いて、すぐにホテルをキャンセルしたとします。しかし、航空会社からは欠航の発表がなく、実際に飛行機が飛んでしまった場合、航空券のキャンセル料だけでなく、ホテルのキャンセル料も払わなければなりません。
旅程変更を判断する場合は、まず以下の点を確認してください。
航空会社の公式サイトで、運航状況を確認する 旅程を変更した場合に他にかかる費用も確認する 加入した旅行保険やクレジットカード付帯保険の補償内容を確認する
第一に、航空会社の公式サイトで「欠航」または「運航に影響あり」の正式発表があるかを確認することが最優先です。欠航決定は前日に出ることもありますが、当日朝の決定も珍しくありません。
次に、旅程を変更した場合に他にかかる費用も合わせて確認しましょう。飛行機の変更料だけでなく、現地のホテルのキャンセル料、ツアー代金、現地交通手段など、さまざまな費用が発生する可能性があります。
これらのキャンセル規定は宿泊施設やツアー会社によって異なるため、変更前にすべての予約先で「台風が理由の場合、キャンセル料は発生するか」を確認することが大切です。
さらに、加入している旅行保険やクレジットカード付帯保険の補償内容を確認してください。「航空機の欠航・遅延」や「旅程変更費用」が補償対象になっていれば、自己負担を減らせます。
結論として、台風の進路を自分の判断で予想して急いで旅程を変更するのではなく、航空会社の公式発表を待って判断することで、無駄な損失を避けることができます。
まとめ
台風が接近した際の航空会社の欠航判断基準から、欠航時の返金・振替手続きの具体的な流れ、自己キャンセルの注意点、そして旅程変更の判断ポイントまでを詳しく解説しました。
台風は、航空会社の欠航判断であれば手数料なしでの払い戻しや無料振替が可能ですが、自己判断でのキャンセルは通常のキャンセル料が発生します。
焦らず航空会社の公式発表を待つこと、旅行保険の補償内容を事前に確認することが大切です。
◇経歴
日本の大手英会話スクール講師
オーストラリアで現地ツアーガイド
マレーシアの日本人学校で英会話講師
マレーシアの現地企業にて正社員勤務
◇留学経験
イギリス 1年 Wimbledon collegeなど
オーストラリア(ワーキングホリデー中) 1か月 Bond University
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
留学→アメリカ、イギリス、オーストラリア
旅行→イギリス、ヨーロッパの各国、アメリカ、オーストラリア、東南アジア各国など
仕事→オーストラリア、マレーシア
◇自己紹介
Webライターの大井にいなと申します。
独身時代に留学を経験し、国際結婚を機に多民族国家のマレーシアに住んでいます。
私の子供は生まれたときから複数の言語で育ち、オーストラリアの大学に留学して就職しました。
大人になってから英語を学び始めた自分との違いを実感しています。
自身の経験から、早期の言語習得の重要性や大人になってからの英語学習で必要なことなどを、できるだけわかりやすくお伝えしたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。