
近年、厳しくなりつつあるアメリカの入国審査。単独で渡航した日本人がハワイなどで入国拒否にあい、強制送還されたという事例を聞いた方も多いのではないでしょうか?
「アメリカ渡航でよく聞くESTAって何?」
「ESTAとビザはどう違うの?」
「アメリカで入国拒否に遭わないためにはどうしたらいい?」
本記事ではこのような質問にお答えするために、2025年度のアメリカ入国最新情報を紹介します。
ESTAとビザの違いや、ESTAの申請条件や流れ、入国審査に必要なアイテム、アメリカでの入国審査の流れ、入国拒否やトラブルに遭わないための注意点なども紹介します。
アメリカ渡航を控えている方は、ぜひ最後までお読みください。
- 日本国籍者はアメリカ入国にあたりESTAまたはビザ申請が必要
- ESTAとは?申請条件と流れ
- ESTA以外にアメリカ入国に必要なもの
- アメリカの空港での入国の流れ
- 入国拒否・その他トラブルに遭わないための注意点
- まとめ
日本国籍者はアメリカ入国にあたりESTAまたはビザ申請が必要
日本国籍者がアメリカ入国する際には、ESTA、または、滞在期間や目的に応じたビザのいずれかが必要となります。
以下では、ESTAやビザの特徴をそれぞれ紹介します。
ビザ免除プログラムの該当者はESTA
日本はアメリカのビザ免除プログラム(VWP:Visa Waiver Program)の対象国なので、最大90日以内の観光・短期商用目的であればESTAを利用してアメリカへ渡航が可能です。
申請は全てオンラインで行い、審査に通ればビザ免除でアメリカに渡航できます。
ただし、日本国籍保持者であっても以下の条件に合致する場合は、原則ビザの申請が必要となります。
| 項目 | 内容 |
| 2011年3月1日以降に右記の国や地域に渡航・滞在歴あり |
・イラン ・イラク ・スーダン ・シリア ・リビア ・ソマリア ・イエメン ・北朝鮮 |
| 2021年1月12日以降に右記の国や地域に渡航・滞在歴あり | ・キューバ |
| 右記いずれかの国籍を保持する二重国籍者 |
・イラン ・イラク ・スーダン ・シリア ・北朝鮮 ・キューバ |
ビザ免除プログラムに該当しない場合はビザ申請
ビザ免除プログラムの条件に当てはまらない以下の場合では、ビザ申請が必要です。
90日を超えてアメリカに滞在する場合 報酬を伴う就労目的でアメリカに滞在する場合 アメリカ国内で留学する場合
ビザはESTAとは違い、在日米国大使館や総領事館で申請・取得します。ビザの取得までにはESTAよりも長い時間がかかるので、早めに申請しましょう。
ちなみに、ESTAもビザも申請・取得=入国許可を意味するわけではありません。入国できるかどうかは、アメリカ到着後の入国審査で決まるので油断しないでくださいね!
ESTAとは?申請条件と流れ
以下では、ESTAの基本情報や申請条件、申請の流れや注意点を紹介します。
アメリカにビザなしで入国する際に、取得が必要な電子渡航認証
ESTA(Electronic System for Travel Authorization)とは、アメリカが提供する電子渡航認証システムで、日本をはじめとしたビザ免除プログラム対象国の渡航者が対象です。
ESTAが対象としているのは90日以内の短期滞在者で、観光や商用、乗り継ぎなどでアメリカに渡航する際に、事前にESTAの申請・取得を必要としています。
ESTAの申請条件
ESTAの申請条件は、観光や短期商用、乗り換えのいずれかでアメリカに渡航し、かつ滞在期間が90日以内、そしてICチップ付帯の有効なパスポートを保持していることです。
以下にESTAの要件や特徴をまとめましたので、あわせて参考にしてください。
| 項目 | 内容 |
| パスポート |
・帰国日まで有効なICパスポート ・アメリカ入国時に90日以上あるのが望ましい ・残存期間が90日以下であれば、有効期限まで滞在できる ※本来は全ての渡航者に「出国予定日〜6ヶ月以上」の残存期間を必要としているが、日本など一部の国や地域は免除 |
| 有効期間 | 承認から2年間 |
| 滞在日数 | 90日以内 |
| 申請費用 | $40(2025年9月30日〜) |
| 対象 | 飛行機、船、陸路いずれも必要 |
| 適用エリア |
・アメリカ本土 ・アラスカ ・ハワイ ・グアム ・プエルトリコ ・アメリカ領ヴァージン諸島 ・北マリアナ諸島 |
| 渡航目的 | 短期間の商用、観光、乗り継ぎ |
| 対象国 |
◾️日本国籍を含む、下記42カ国・地域の国籍者 ・アンドラ ・オーストラリア ・オーストリア ・ベルギー ・ブルネイ ・チリ ・クロアチア ・チェコ ・デンマーク ・エストニア ・フィンランド ・フランス ・ドイツ ・ギリシャ ・ハンガリー ・アイスランド ・アイルランド ・イスラエル ・イタリア ・日本 ・韓国 ・ラトビア ・リヒテンシュタイン ・リトアニア ・ルクセンブルク ・マルタ ・モナコ ・オランダ ・ニュージーランド ・ノルウェー ・ポーランド ・ポルトガル ・カタール ・サンマリノ ・シンガポール ・スロバキア ・スロベニア ・スペイン ・スウェーデン ・スイス ・台湾 ・イギリス(BNO旅券は要確認) |
ESTA申請の流れ
ESTAの申請は、公式サイトからオンラインで進めます。
日本語表記に切り替え可能なので、英語での申請に自信がなくても安心して取り組めます!申請は以下の方法で進めましょう。
2.案内に従って必須事項を記入
3.クレジットカードやPayPalにて申請料金を支払う
4.登録したメールアドレスに申請審査結果が届く
5.渡航認証許可のメールが届けば申請が完了
申請時には、パスポートの顔写真ページやメールアドレス、アメリカ国内での滞在先や電話番号、支払い方法(クレジットカードやPayPal)などの記入が必要となります。
必須事項は、嘘偽りなく記入しましょう!
特に職歴パートでは、これまでの就業履歴を確認するため、申請時に無職であっても働いたことがあれば「職歴あり(YES)」を選択してください。
万が一、「なし(No)」にしてしまうと、「これまで働いたことがないのに、滞在費用をどうやって捻出するのだろう?」と疑念を持たれかねません。
なお、2023年6月21日からは、ESTAのモバイルアプリでも申請ができるようになりました。公式サイトとモバイルアプリ、取り組みやすい方法で申請を進めましょう。
ESTA申請時の注意点
ネット上には数多くのESTA申請代行業者がありますが、公式サイトの倍以上の費用がかかったり、申請が偽物だったりするので、必ず公式サイトやモバイルアプリから申請しましょう。
特に、ネット申請では、検索トップに代行業者のサイトが出てくるので要注意です。筆者も初めての申請時に、危うく代行業者を利用してしまうところでした。
なお、ESTAはパスポートごとに紐づいているので、パスポートの有効期限=ESTAの有効期限となってしまいます。
ESTAの有効期限は取得から2年間ですが、万が一パスポートの有効期限が2年を切っている場合は、ESTAの有効期限もパスポートにあわせて短縮されるので、パスポートの有効期限を確認した上でESTAを申請しましょう。
また、ESTAの申請から取得までは大体72時間程度で完了しますが、フライトに間に合うように余裕を持って申請・取得を済ませておきましょう。
日本出国時にESTAの取得ができていないと、出国すらできません。
ESTA以外にアメリカ入国に必要なもの
以下では、ESTA以外にアメリカ入国時に必要なアイテムを紹介します。
パスポート
まず、必要なのはパスポートです。
アメリカに入国した際に90日以上残存期間があると望ましいですが、フライトのキャンセルや遅延、スケジュール変更にも対応できるように、残存期間に余裕があると安心です。
往復の航空券
自分の旅程を確実に示せるように、往復または第三国行きの航空券予約表を紙で準備しておきましょう。
日本でのチェックインや、アメリカでの入国審査にて旅程を聞かれた時に提出します。
なお、アメリカと隣接するカナダやメキシコ行きの航空券のみだと、再度アメリカに入国するのでは?と疑われて入国審査で別室送りになる可能性が高まるので、出国時の航空券の最終目的地はカナダ・メキシコ以外を選びましょう。
旅程表
アメリカの入国審査は近年徐々に厳格になっているため、アメリカ国内での滞在先住所や電話番号、スケジュールなど、予定を証明できる書類を用意しておきましょう。
例えば、アミューズメントパークやホテルの予約票などがあると良いです。
また、知人の結婚式などに参列する場合は、結婚式の招待状や招聘状(invitation letter)などがあると、さらに安心です。
税関申告書(CBP Declaration Form 6059B)
税関申告書とは、アメリカに入国する際に1人1枚(または1家族1枚)提出が必要な書類です。
機内で配布された紙面を提出するだけでなく、オンラインで事前に記入して印刷することもできます。
なお、入国審査にてMPCアプリや自動入国審査端末を利用する場合は、税関申告書を紙面で提出する必要はありません。
その他
その他、状況に応じて以下の書類を準備しておきましょう。
アメリカでの不法滞在や不法就労の可能性がないことを入国審査にて示すことが重要です。
| 必要書類 | 備考 |
| ビザ | 90日以上の滞在、またはビザ免除プログラム以外でのアメリカ滞在の方 |
| 出入国カード(I-94) | 陸路でアメリカに入国する方 |
| 収入を証明する書類 | フリーランスや自営業者など、日本で働いていることがわかる書類(取引先への請求書など) |
| 日本帰国後の予定を示すもの | アメリカに不法滞在する可能性がないことを示す仕事やプライベートの予定 |
アメリカの空港での入国の流れ
以下では、アメリカの空港についてから入国までの流れを紹介します。特に入国審査では、変に疑われないように堂々と質問に答えることが大切です。入国審査でよく聞かれる質問も記載しているので、事前にインプットして準備しておきましょう。
入国審査
飛行機から降りて向かうのが、入国審査です。
入国審査はアメリカ国籍者(U.S. Citizens)と外国人(Non-U.S. Citizens / foreigner)でレーンが分かれているので、外国人用のレーンに並びます。
基本的には以下のような質問を英語で聞かれます。
| 滞在日数 | How long are you going to stay in America? |
| 滞在目的 | What is the purpose of your visit? |
| 帰国日時 | When are you leaving America? |
| 一緒に来た人 | Who are you traveling with? |
| 具体的なスケジュール |
What are you going to do during your stay? Can you show me the itinerary? |
なお、アメリカの一部の空港では入国審査の待ち時間を抑えられるMPC(Mobile Passport Control)アプリも利用できます。
入国審査や税関申告などの必須情報を事前にアプリ上で登録でき、かつ一度でもESTAでアメリカに渡航したことがあれば利用対象となります。
MPC対応の空港であれば、アメリカ国籍者と外国人以外にMPC専用レーンがあるので、待ち時間も短くなります。
ただし、MPCに対応した空港であっても、時間や日によって専用レーンがない場合もあるので、レーンがない場合は外国人レーンに並んで入国審査を受けましょう。
以下の記事ではアメリカの入国審査についてより詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
»アメリカ入国アプリ「MPC(Mobile Passport Control)」とは?使える空港・登録方法から手続きの流れまで徹底解説!
預け入れ荷物の受け取り
入国審査を通過したら、Baggage Claimにて預け入れ荷物を受け取りましょう。自分のフライト名が表示されているターンテーブルに移動して、荷物を見つけます。
万が一荷物が見当たらなければ、搭乗地でもらった手荷物引き換え証を持って近くのスタッフに問い合わせてください。
税関申告
荷物を受け取ったら、機内でもらった税関申告書(CBP Declaration Form 6059B)を持って税関申告に向かいます。空港によっては記入不要な場合もあるので、係員の指示に従いましょう。
申告物がある場合はTo Declare(申告あり)、ない場合はNon Declare(申告なし)のレーンに進みましょう。
入国拒否・その他トラブルに遭わないための注意点

入国拒否によって日本に強制送還されたり、入国時にトラブルに遭わないよう、以下のポイントに注意してください。
入国審査では虚偽申告をしない
入国審査では、嘘偽りなく、真実を述べましょう。
犯罪歴や滞在目的などで虚偽申告すると、発覚した時点ですぐに入国拒否されます。
一度入国拒否されると、長期的な入国制限を受けたり、今後のビザ取得が難しくなったりします。
例えば、単身でアメリカに渡航した女性がアメリカ在住の恋人に会う目的にもかかわらず「観光目的」と答え、その後の質問で矛盾が生じたため別室でさらに追求されたという事例をよく聞きます。
結婚を目的とした渡航でないことを示せるように、目的を訪ねられたら“To see my boyfriend and sightsee”と答え、帰りの航空券も提示しましょう。
入国審査では虚偽申告せず、堂々と答えることが大切です。
少しでも矛盾があったり、受け答えが怪しいと、別室送りや入国拒否の可能性が高まるので、正しい情報を簡潔に答えられるようにしておきましょう。
ESTAで長期または頻繁に渡航しない
ESTAは90日以内の短期滞在を目的としたものなので、ESTAを利用した長期間または頻繁な渡航は避けてください。
短期間に連続して渡航したり、長期滞在を繰り返したりすると不法移民や不法就労を疑われる原因となりかねません。再入国する際の審査もより厳しくなります。
また、滞在期間はパスポートに電子情報で全て登録されるので、入国審査時に虚偽の滞在スケジュールを申請するのは絶対にやめましょう!
航空券の予約票や滞在先、予定表は紙で用意しておく
入国審査にて質問にスムーズに答えられるように、航空券の予約票や滞在先、予定表などはデジタルではなく、紙に印刷して手元に用意しておきましょう。
万が一、英語で答えるのに自信がなくても、手元の資料を示しながら答えられれば安心して受け答えしやすいです。
まとめ
入国審査が年々厳しくなりつつあるアメリカ。
できるだけスムーズに入国審査をクリアするためには、ESTAやビザの申請・取得はもちろん、入国審査で嘘偽りなく、簡潔に質問に答えることが重要です。
また、スムーズに質問に答えられるように、入国審査でよく聞かれる質問や回答、不法移民や就労の可能性がないことを示す資料を紙面で手元に用意しておくことも欠かせません。
本記事を参考に、あなたがより安心してアメリカ渡航できることを願っています!
神戸市外国語大学卒業後、新卒採用で大手学習塾に就職し、講師職・個別指導部門のスクール運営に携わる。
8年間の勤務後、一念発起してドイツの語学学校に社会人短期留学。
帰国後は人材派遣会社の営業として4年間就業し、2023年11月からはフリーランスのライターとして活動中。
自身の経験を活かして英会話や海外旅行をはじめ、幅広いテーマについて執筆。
◇英語に関する資格
・実用英語技能検定 準1級
・TOEIC 850点
◇留学経験
・ドイツ(ハンブルグ):社会人短期留学(語学学校)
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
・海外旅行
・社会人短期留学(ドイツ語学学校)
◇これまでの渡航先
オーストラリア、韓国、インドネシア・バリ島、台湾、カナダ(トロント)、ドイツ(ハンブルグ・シュツットガルト・フランクフルト・アーヘン・デュッセルドルフ・ケルン)、イタリア(ベネチア)、ギリシャ(アテネ・ミコノス島)、クロアチア、アメリカ(カンザス)
◇自己紹介
初めまして!みきです。
中学生の頃から英語でコミュニケーションを取るのが好きで、コツコツと勉強を続けております。 長期での留学経験はありませんが、英語を通じて海外の方とコミュニケーションを取ることで世界が広がっていくのを楽しく感じています。 大学入学をきっかけに、アルバイト代やお給料を貯めて年に1回〜2回ほど海外旅行に行くように。 友人と旅行するのも好きですが、自分のペースでゆっくりと廻るのも好きです。 2018年には勤めていた会社を退職し、ドイツにて短期社会人留学。 世界中から集まった個性豊かなクラスメイトに出会いました。 ドイツ語学習の傍ら、先生に隠れて英語で話せたのも楽しい経験となりました。 現在は、交際している彼がアメリカ人なので、次回の渡航を楽しみに日々英語力アップに向けて取り組んでおります! 英語学習や海外旅行、国際遠距離恋愛などの経験を活かして、誰かの背中を後押しできる記事を執筆できたらと考えております。 どうぞよろしくお願いいたします!