
フィリピンの私立大学の名門であるアテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)は、フィリピンの大学留学を検討する際に必ず目にする名前ではないでしょうか。
留学の目的はさまざまだと思いますが、長い歴史と伝統があり、教育の質が高い大学を選ぶことも重要なポイントです。
この記事では、アテネオ・デ・マニラ大学への留学で選択できるプログラムのご紹介を中心として、フィリピン留学のための準備について解説します。
アテネオ・デ・マニラ大学の概要と歴史
はじめに、アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)の概要を、その歴史とともにご紹介します。
アテネオ・デ・マニラ大学とは?
アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)は、フィリピンのメトロマニラ圏ケソン市にある私立大学で、アテネオ大学とも呼ばれています。
160年以上の歴史を誇るカトリック系の大学で、フィリピンの政治家や著名人を多数輩出しています。
フィリピン国内の大学評価ランキングでは、国立のフィリピン大学に次ぐ私立大学トップの名門大学です。
5つの学部(undergraduate)と、修士・博士課程(graduateまたはpostgraduateとも呼ばれる)に9つの専門分野があり、2021年度(SY 2021-2022)の学生数は15,523人(内訳:学部生10,012人・大学院生5,511人)と公表されています。
アテネオ・デ・マニラ大学の歴史
アテネオ・デ・マニラ大学の歴史は、1859年、スペインのイエズス会がマニラ市に公立小学校を設立したことから始まりました。
1865年に中等教育機関になった後、イエズス会の高等教育機関の正式名称である「アテネオ(Ateneo)」の名が付く「Ateneo Municipal de Manila」と命名されました。
のちにアメリカの植民地支配が始まると政府の補助金がなくなりましたが、1908年には植民地政府からカレッジとして認可を受けます。
1909年には、校名から「Municipal(市立)」が削除され、改名後の名称が「Ateneo de Manila」でした。
第二次世界大戦の終戦後、1958年には初めてフィリピン人が学長に就任。翌1959年には創立100周年を迎え、総合大学「Ateneo de Manila University」となりました。
学部・大学院のプログラムと特色

アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)のプログラムや特色について、学部と大学院に分けて見ていきましょう。
学部のプログラムと特色
アテネオ・デ・マニラ大学の5つの学部と幅広い専攻を一覧でご紹介します。
※ *が付いている専攻は、応募者の上位15%のみに限定されているコースです。
【Arts and Humanities】
芸術と人文科学の領域をカバーする人文学部では、創造性豊かな表現や、思いやりのある社会の実現をテーマとして以下のようなプログラムが選択可能です。
・文芸創作
・情報デザイン
・舞台芸術
・人文科学
・学際的研究
・文学(英語)
・哲学
【Education】
教育学部は、基礎教育や高等教育だけでなく、さまざまな分野の教育者を育成するための学部です。学習科学とデザインの専攻プログラムの学びを通して、オンライン学習、専門スキル研修など、多様な教育・学習デザインの実践に関わる人材育成を行っています。
【Management and Entrepreneurship】
経営学と起業家精神を学ぶ経営学部は、グローバルな視点を持ち、世界のニーズに対応するイノベーターの育成を目指し、以下のような専攻が用意されています。
・IT起業家精神*
・法務マネジメント
・経営管理
・経営管理(優等学位プログラム)*
・経営工学*
・応用化学マネジメント
・レストラン起業家精神
【Science, Technology, Engineering and Mathematics】
理工学部では、科学・技術・工学・数学の領域で国際社会に貢献する人材となることを目的として、以下のようなプログラムの選択が可能です。
・応用数学(数理ファイナンス)*
・応用物理学 - 材料科学・工学*
・生物学*
・化学*
・化学 - 材料科学・工学*
・コンピュータエンジニアリング*
・コンピュータサイエンス*
・コンピュータサイエンス - デジタルゲームデザインと開発*
・電子工学*
・環境科学
・健康科学*
・イノベーションデザインエンジニアリング*
・生命科学*
・経営情報システム
・数学*
・物理学*
【Social Sciences】
社会科学の領域では、地域と世界の課題を解決するスキルを身につけるために、以下のような専攻プログラムが用意されています。
・コミュニケーション
・開発研究
・経済学
・経済学(優等学位プログラム)*
・経営経済学
・ヨーロッパ研究
・歴史
・外交・国際関係学(東アジア・東南アジア研究専攻)
・政治学
・心理学
・心理学(優等学位プログラム)*
・社会学
大学院のプログラムと特色
アテネオ・デ・マニラの大学院では、9つの専門分野の修士課程のプログラムがさまざまな研究領域に応じて豊富にあります。
各専門分野のプログラムを一覧でご紹介します。
【AGSB:アテネオ経営大学院】
AGSB(Ateneo Graduate School of Business)は、マカティ市のロックウェルセンターをメインキャンパスとして、フィリピン各地のサテライトキャンパスで倫理的で変革力のあるリーダー育成を行っています。
エグゼクティブ教育業界向けのプログラムは、マカティ市のサルセド ビレッジのキャンパスで運営されています。修士課程のおもなプログラムは以下のとおりです。
スタンダード、ミドルマネージャーMBA、アテネオ・レジスMBA(加速コース)、専門分野別ヘルスMBA
・起業家精神修士課程(MEnt)
・起業家精神修士課程 - 社会起業家育成コース(MESEDEV)
【GBSEALD:ゴコンウェイ・ブラザーズ教育学習デザイン学部】
GBSEALD(Gokongwei Brothers School of Education and Learning Design)で実施されている修士課程プログラムは、イエズス会の奉仕の伝統に基づく教育理論を究める8つのプログラムから選択できます。
・基礎教育教授法修士
・ガイダンスカウンセリング文学修士
・ガイダンスカウンセリング修士
・教育行政学文学修士
・教育行政学修士
・情報技術統合修士
・外国語としての中国語教授法修士
【ASOG:アテネオ行政大学院】
ASOG(Ateneo School of Government)では、公共経営学修士課程 (MPM)を旗艦プログラムとして、フィリピンの行政におけるリーダー育成や公務員を目指す人々への大学院教育を行っています。
【SOH:人文学部】
創造的な精神を尊重し、より良い社会の実現を目指すSOH(School of Humanities)の修士課程は、以下のプログラムから選択可能です。
・Panitikang Filipino文学修士
・Pagtuturo ng Filipino文学修士
・文学文化研究文学修士
・哲学専攻文学修士
・神学修士
【LL.M.:法学修士プログラム】
国内外の法学者が法的研究の拠点とするアテネオ・デ・マニラ大学の法学部(Ateneo Law School)では、法学修士プログラムLL.M.(Master of Laws)のなかに以下の専攻分野があります。
・国際企業法・商法
・国際経済法
・国際人権法
【JGSOM:ジョン・ゴコンウェイ経営大学院】
市場を創造的に変革するビジョンを持つ人材、世界のニーズに対応できる人材を育成する経営大学院JGSOM(John Gokongwei School of Management)では、サステナビリティマネジメント(理学修士)プログラムがあります。
【ASMPH:アテネオ医科大学公衆衛生大学院】
優れたリーダーシップをとれる医師の育成を目指すASMPH(Ateneo School of Medicine and Public Health)の5年間のカリキュラムでは、MDプログラムとMBAプログラムを統合したデュアルディグリープログラムを提供しています。卒業時には医学博士号と経営学修士号が取得可能です。
【SOSE:理工学部】
科学技術領域で国際社会への貢献を目指す理工学部SOSE(School of Science and Engineering)の修士課程では、専攻分野に合わせてさまざまなプログラムが提供されています。
・科学教育修士
・化学修士
・化学教育修士
・科学教育理学修士
・電子工学理学修士
・環境マネジメント修士
・環境科学修士
・災害リスクレジリエンス修士
・コンピュータサイエンス理学修士
・データサイエンス理学修士
・メディアアートテクノロジーイノベーション理学修士
・情報技術修士
・メディアアートテクノロジーイノベーション修士
・数学理学修士
・数学教育理学修士
・数学教育修士
・物理学理学修士
・大気科学理学修士
【RGLSOSS:Dr. ロジータ・G・レオン社会科学部】
問題解決能力と変革をもたらす人材を育成する社会科学部RGLSOSS(Dr Rosita G Leong School of Social Sciences)の修士課程は、アテネオ・デ・マニラの大学院のなかで最も規模が大きく、大学院生のほぼ半数が社会科学部で学んでいます。選択可能な修士課程プログラムは以下のとおりです。
・コミュニケーション修士
・経済学文学修士
・経済学修士
・歴史学修士(論文なし/キャップストーン)
・歴史学文学修士(論文/アカデミックトラック)
・日本研究文学修士
・政治学文学修士
・カウンセリング心理学文学修士
・カウンセリング心理学修士
・発達心理学文学修士
・組織心理学文学修士
・組織心理学修士
・社会心理学文学修士
・人類学文学修士
・社会学文学修士
・社会開発学理学修士
・学際的社会開発修士
留学情報と入学手続き
アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)への留学を検討している方に向けて、留学情報と入学手続きについてご紹介します。
アテネオ・デ・マニラ大学と日本の大学との交流
アテネオ・デ・マニラ大学は日本の多くの大学と大学間交流協定を結んでいます。
この協定のもとでは、学生の交流や交換留学だけでなく、教員・研究者の派遣・研修・交流、共同研究なども実施されています。
文部科学省の「海外の大学との大学間交流協定」に関する調査結果(令和4年度実績)によると、日本の23の国公立大学や25の私立大学がアテネオ・デ・マニラ大学との協定を結んでいるという結果が報告されています。
参考:文部科学省「海外の大学との大学間交流協定、海外における拠点に関する調査結果」
なお、アテネオ・デ・マニラ大学で2025-2026年度第1学期入学の交換留学生を対象に実施されたオリエンテーションには、日本を含む18か国から121名の留学生の参加があったことが発表されています。
アテネオ・デ・マニラ大学の入学手続き
アテネオ・デ・マニラ大学への留学には、願書、成績証明書、推薦状、英語能力証明書、健康診断書などの提出が必要です。
英語能力については、以下のいずれかが必須となっています。
・大学院の場合:TOEFL iBT80、IELTS6.5
また留学手続きの締切日は、以下のように定められています。
・第2学期/春学期(1月~5月):推薦締切8月30日、応募締切9月30日
なお、その他の詳細についてはアテネオ・デ・マニラ大学の公式サイトにて最新情報をご確認ください。
フィリピン留学前に知っておきたいビザ取得と必要な手続き
フィリピンの大学に長期留学する際に取得が必要なビザや申請書類、手続きの流れについて解説します。留学先がまだ決まっていない方も、ぜひご一読ください。
参考:非移民ビザ必要書類 長期正規学術プログラム(学生ビザ)/ 9(F)|東京 フィリピン共和国大使館
フィリピン留学に必要なビザ
フィリピンの大学への長期留学には、フィリピン外務省が発給する、長期正規学術プログラム(学生ビザ)9(F)の取得が必要です。
学生ビザ9(F)の発給は、大学や大学院などの高等教育を受けることを目的としてフィリピンに渡航する18歳以上の外国人学生を対象としています。
ビザ申請手続きの必要書類と手続きの流れ
ビザの申請時には、以下に挙げる書類が必要です。
・非移民ビザ申請用紙 (FA Form No.2)※カラー写真貼付
・ビザ申請/発行に関わる同意書
・大学が発行する入学許可証Notice of Admission (NOA)の原本とそのコピー1部
・都道府県の警察本部が発行する犯罪経歴証明書
・医師による診断書(FA Form No. 11)原本とそのコピー1部
・返送用レターパックプラス
申請者は、留学先の大学に願書を送付します。大学側の受付後、学生の申請書類を大学が高等教育委員会(CHED)に送付申請。
許可がおりると、フィリピン外務省から日本にあるフィリピン大使館に通知され、大使館経由で申請者に連絡が来るという流れです。
必要書類の準備には日数がかかるものもあるため、計画的に準備を開始しましょう。
フィリピン留学前に準備すること
フィリピン留学の準備から出発前までにすべきことを順を追って見ていきましょう。
【3か月前】
・入学申し込み手続き
・パスポートやビザの取得手続き
・留学費用の支払い
入学申し込み後、学費の請求書が届いたら支払いを行います。入金確認後に大学側が発行した入学許可証が届けば、出発までの具体的な準備に取り掛かれます。
【1か月前】
・クレジットカードの発行
・国際キャッシュカードの発行
・海外旅行保険の申し込み
入国の際に往復航空券の提示が必要なため、留学先からの帰国日が未定でも、航空券は必ず往復で購入しておくことが重要です。
持ち物の準備については、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
初めての海外留学でも安心!フィリピン留学に必要な持ち物は?必需品から現地で買えるものまで解説 - ネイティブキャンプ英会話ブログ
まとめ
フィリピンの名門大学、アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)の質の高い教育や魅力を、フィリピン留学情報とともにまとめました。
留学先選びは、アカデミックな内容の確認はもちろん優先ですが、課外活動や生活環境などのチェックも大切です。
限られた期間で充実した留学生活を送るためには、日本の大学の先輩方のアテネオ生活経験談なども含めて事前のリサーチを念入りに行いましょう。
◇経歴
銀行の外国為替業務で英語を使用した仕事の経験があります。
◇英語に関する資格
TOEIC 860
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
・海外駐在帯同家族としての長期滞在:アメリカ4年、インドネシア5年、ベトナム3年
・旅行経験:アメリカ、インドネシア、ベトナム、中国(香港・マカオ)、マレーシア、シンガポール、タイ、モルディブ、オーストラリア、カナダ、バハマ、フランス、スイス、ニューカレドニア
◇自己紹介
学生時代から英語は好きで、さまざまなタイプの英会話レッスンを受けた経験があります。
アメリカに滞在した4年間は子育てに専念。子どもたちを現地の幼稚園や公立小学校に通学させるなかで、保護者としてボランティアなどを経験しました。
インドネシア語とベトナム語は現地で学習。英語が通じない現地の人とのコミュニケーションに役立ちました。
帰国後に取得した資格:インドネシア語検定C級、ベトナム語検定6級