
ハワイ島のマウナケアは、標高4,205mを誇るハワイ諸島最高峰の火山です。山頂からは雲海とサンライズ・サンセット、そして世界屈指の星空という絶景が広がり、ハワイで宇宙に一番近い場所とも呼ばれています。登山が趣味で、これまで様々な場所で星空を見てきた筆者も、人生で見た中で最も感動した星空がこのマウナケアで、その壮大さに言葉を失いました。
一方で、高山病のリスクや気温差、レンタカーの規約など、一般の観光客にはわかりづらい点も少なくありません。
この記事では、初めてマウナケアを訪れる方に向けて、レンタカーとツアーの違い、星空観測の魅力、服装や持ち物、ツアー料金と予約のポイント・現地での注意点を、日本人旅行者目線で分かりやすく解説します。
- マウナケアとは?ハワイ島の聖なる山の魅力
- アクセスと行き方は? レンタカー?それともツアー?
- マウナケアの星空観測を楽しむ方法まとめ
- 必要な服装と持ち物:寒さ・標高対策を万全に
- ツアー料金と予約のポイント
- まとめ
マウナケアとは?ハワイ島の聖なる山の魅力
マウナケア(Mauna Kea)はハワイ語で「白い山」という意味で、その名の通り山頂が雪に覆われるハワイで唯一の山として知られています。標高は4,205mですが、海底から測ると約1万mに達する巨大な火山で、エベレストより高い「地球で最も高い山」と紹介されることもあります。
場所はハワイ島のほぼ中心に位置し、同じく有名なキラウエア火山が生きている火山として溶岩の迫力を見せてくれるのに対し、マウナケアは活動を終えた静かな山として、星空や雲海の美しさを存分に味わえる場所です。
山頂付近は空気が非常に澄んでおり、明かりも少なく、天体観測に適した条件が揃っています。マウナケアは年間約300日が晴天といわれ、北半球のすべての天体と、南半球の天体約90%が観測できる世界でも類を見ない天体観測地となっております。
山頂には、日本のすばる望遠鏡や国立天文台ハワイ観測所を含む複数の天文台が建設され、今も宇宙の研究が進められています。また、雪と氷の表面には雪氷藻類と呼ばれる微生物が生きていることも分かっており、地球環境や生命の起源を探る研究対象としても注目されています。
さらにマウナケアは、古くからハワイ文化において神々が宿る聖地として崇められてきました。ハワイの王族が葬られた場所でもあり、マウナケアの山は今も先住民にとって大切な聖域として守られています。訪れる際は、石や植物などを持ち帰らない、感動しても山頂で大声を出さないなど、自然と文化へのリスペクトを意識して過ごす必要のある場所です。
アクセスと行き方は? レンタカー?それともツアー?

マウナケアに向かう方法は、レンタカーで自力で向かう方法と、現地ツアーに参加する方法の2つに分かれます。ただし、マウナケアに初めて訪れるという方にはツアー参加で向かうことを強くおすすめします。その理由を具体的に解説いたします。
レンタカーで行く場合の注意点
マウナケアの中腹にある、オニヅカ・ビジターセンター(標高約2,800m)までは一般車でアクセスできます。ハワイ島の中心地コナやヒロから所要時間はおよそ1時間30分から2時間ほどで、道もわかりやすく、迷うことはほとんどありません。
しかし、ビジターセンターより上の山頂域は未舗装の急勾配が続く4WD(四駆)専用道路で、多くのレンタカー会社は契約上この区間への走行を禁止しています。保険の対象外となるケースも多く、車両トラブルがあった場合は高額なレッカー費用を全額自己負担しなければならない可能性があります。
さらに、標高が一気に上がることで高山病のリスクも増えます。頭痛や吐き気、めまいがでても、自分で慣れない海外の未舗装の4,000m級の山道を運転して下山しなければならない状況は、安全面でも精神面でも大きな負担となります。
そのため、自力で山頂まで行くのはマウナケアを熟知している上級者向けと考え、初めての観光客は無理をせずツアー利用を前提に計画するのがおすすめです。
もし、自力で山頂を目指す方は、必ずMKWC(マウナケア・ウェザーセンター)のHPにて、道路状況を確認するようにしましょう。(http://mkwc.ifa.hawaii.edu/current/road-conditions/)
山頂まで行くのは不安だが、レンタカーを利用したいという方は、オニヅカ・ビジターセンターでの星空観測を目的に訪れるのも良い方法です。山頂と比べると星の見え方はさすがに劣りますが、それでも標高2,800mからでも十分に星が見えるうえ、日本ではなかなか見られない天の川や南半球の星空が肉眼で見られる日も少なくありません。
ツアー参加がおすすめの理由
初めてマウナケアに行く旅行者は、ホテル発着のマウナケア星空観測ツアーが最も安心で確実な方法です。宿泊先のホテルから専用車で出発し、ビジターセンターで標高順応をしてから山頂へ向かう流れが一般的です。ツアーにも種類がございますが、以下のようなメリットがあります。
・4WD車+プロドライバーで悪路の運転を任せられる
・日本語ガイド付きツアーなら、天体やハワイ文化の解説を日本語で聞くことができる
・ダウンジャケットなどの防寒具がセットになっていることもある
・星空観測用の天体望遠鏡を用意してくれる
・高山病の症状が出ても、対応してくれる安心感がある
料金の目安は1人あたり3万〜5万円前後が多いです。軽食や温かいドリンク、防寒着のレンタルが含まれるプランが多く、個人で全て用意することを考えるとコスパは悪くありません。
なお、同じマウナケアツアーという名称であっても、山頂には行かず、オニヅカ・ビジターセンターで星空観測を行うプランもございます。山頂ツアーを希望する場合は、申込時に山頂まで行くプランかどうか確認をしておきましょう。
マウナケアの星空観測を楽しむ方法まとめ
マウナケアの最大の魅力のひとつが、世界屈指の星空観測ができることです。山頂の環境は、天体観測にとって理想的な条件が揃っており、星空を見た多くの方にとって一生忘れられない体験となります。ここでは、マウナケアで星空観測を楽しむためのポイントを詳しく紹介します。
マウナケアで見られる星空の魅力
マウナケア山頂は、世界でもトップレベルの天体観測地として知られています。標高4,000m超の山頂は雲海よりさらに高い位置にあり、周囲の光がほとんど届かないため、空一面に星が広がります。
晴れた夜には天の川が肉眼ではっきり見え、日本ではなかなか見られない南十字星や南半球の星座も観測できます。ツアーなどで用意されている天体望遠鏡を使えば、木星の縞模様や土星の環、星雲など教科書や図鑑で見た天体を次々と目にすることができます。
星空観測のベストシーズンと時間帯
ハワイ島は年間を通して星空を楽しめますが、晴天率が高いのは一般的に乾季の5〜10月頃とされています。雨季の11〜4月頃は天候が変わりやすく、ツアーが中止になる日も増える一方で、空気が澄んだ冬の夜は星がよりくっきりと見えることもあります。
時間帯では、
・山頂で雲海に沈む夕日を眺めるサンセットツアー
・夜明け前の星空と、山頂でのサンライズツアー
の2パターンが主流です。
体力や睡眠リズムを考えると、初めての方には午後発のサンセットツアーが参加しやすいと思います。
必要な服装と持ち物:寒さ・標高対策を万全に
マウナケア山頂は、真夏でも0℃近くまで冷え込みます。冬には氷点下まで下がり、雪が積もります。そのため、ハワイ観光のつもりでも半袖短パンなどのリゾートファッションで向かうのは絶対にNGです。観光地だからといって油断せず、万全の寒さ対策を整えて向かう必要があります。
マウナケア山頂に適した服装
ツアーで防寒着が用意される場合でも、次のような服装を用意しておくと安心です。
・ヒートテックなどの保温性インナー
・フリースやカーディガンなどの羽織
・暖かい長ズボン
・厚手の靴下+スニーカーor登山靴
・手袋、ニット帽、マフラーなど
なお、日中に立ち寄る場合は日差しが強いので、サングラスや日焼け止めもあると安心です。山頂とふもとの気温差が非常に大きいため、重ね着で調整できる服装を意識してください。
持ち物と高山病対策
高山病を防ぐには、急激な運動を避けることと、こまめな水分補給が大切です。ツアーではオニヅカ・ビジターセンターで高度順応の時間を設けてくれますが、以下のような持ち物を用意しておくと安心です。
・500ml程度の水かスポーツドリンク
・チョコレートなどの軽食
・使い捨てカイロ
・撮影用のカメラ・スマホ(三脚があると安定)
頭痛や吐き気、めまいが出た場合は高山病の初期サインです。無理をせず、すぐにガイドに相談しましょう。
また、山頂ツアーには参加条件が設けれられている場合が多く、妊娠中の方、心臓・呼吸器系に持病のある方、24時間以内にダイビングをした方、16歳未満75歳以上などに当てはまる方は原則として山頂まで行くツアーに参加することができません。
ただし、該当する場合でも、オニヅカ・ビジターセンターまで行って星空観測を楽しめるツアーもございますので、選択肢として検討してみてください。
ツアー料金と予約のポイント
ツアー料金は大人1人あたりおおよそ3万〜5万円前後が目安です。
この中に、ホテル送迎、4WD車での移動、日本語ガイド、防寒着レンタル、夕食や軽食、星空観測用の天体望遠鏡などが含まれるプランが多く、内容を考えると妥当な価格帯と言えるでしょう。
予約タイミングは旅行の予定が決まったらすぐに動き始めるのがおすすめです。特に、ゴールデンウィークや夏休み、年末年始などの繁忙期は、日本からのフライトも混み合い、ツアーも人気のため早く埋まりがちです。フライトとホテルの予約が取れたら、同じタイミングでツアーも押さえてしまうと安心です。
またマウナケアツアーは旅程の前半よりも、到着から2〜3日は経って身体がハワイの環境に慣れた頃に、無理のないスケジュールで組み込むことをおすすめします。
あわせて、キャンセル規定や悪天候で山頂に行けなかった場合、催行中止の連絡方法などは必ず確認しておきましょう。山頂は強風や雪で道路が閉鎖されることもあるため、予備日を用意しておくと良いかもしれません。
まとめ
マウナケアは、ビーチリゾートのイメージが強いハワイの中でも、まったく別の表情を見せてくれる場所です。オアフ島・ワイキキなどと比べるとハードルは高いですが、ツアーを上手に活用すれば、初めての方でも安全で快適に世界トップレベルの絶景を体験できます。
次のハワイ旅行では、ビーチやショッピングだけではなく、ぜひマウナケアの絶景を感じる一日を計画してみてください。
◇経歴
現在はプライム上場企業で管理職を務める傍ら、Webライターとしても精力的に活動中。
2人の子どもの育児と仕事を両立しながら、英語を通して自分の世界を広げることを大切にしています。
◇留学経験
日本の高校を卒業後、1年間ハワイ・オアフ島へ留学。
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
(アメリカ・ハワイ・インドネシア・オーストラリア・台湾・タイなど)
ハワイ留学をきっかけに世界の文化に興味を持ち、3年近くバックパッカーとして単身放浪の旅に出発。
ハワイで出会ったサーフィンに魅了され、現在では毎年、家族とともに良い波を求めて世界各地へサーフトリップを楽しんでいます。
◇自己紹介
英語は勉強というよりも、世界の人と心を通わせるための意思疎通のツールとして日々学習中。
将来的には子どもと一緒に親子留学をすることを目標に、日々学びを重ねています。