今でもスペインやアメリカの影響を強く受けていると言われている国「フィリピン」。
そんなフィリピンが昔、スペインの植民地だったことは知っていても、具体的にどんな影響を受けているのか?ということまで詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか
現在フィリピンで普及している食べ物や、観光客の撮影スポットとしても人気な建造物など、スペインやアメリカ合衆国の統治時代の影響を大きく受けています。
本記事では、フィリピンがスペインの植民地であったことの影響や、その歴史、食や宗教、建築や文化などについて詳しくご紹介していきます。
- フィリピンの地理について
- フィリピンの歴史:スペイン統治前
- フィリピンの歴史:スペイン統治時代
- フィリピンの歴史:アメリカ統治時代
- フィリピンの歴史:独立後
- スペインの植民地支配が後世に与えた影響:食、宗教、建築など
- まとめ
フィリピンの地理について
まず最初に、フィリピンの地がどんな構成で成り立っているのかをお伝えします。
東経117度〜東経126度、北緯4度〜20度の中に、7,641もの様々な島が点在しているフィリピン。総面積は30万㎢程で、北海道を除いた日本の広さに近いと言われています。
また、50程の火山があり、「マヨン火山」、「タール火山」、「アポ火山」など、たくさんの活火山があります。そして2,229,438㎢程の海洋生物に溢れる領海や、36,289 km程の海岸線もあり、サンゴ礁の美しさから世界中のダイバーに人気があります。
フィリピンの歴史:スペイン統治前
フィリピンは、7,641もの島々が点在しており、その島の数だけ文化や伝統も多様であると言われています。
特にスペインやアメリカの影響を受けており、 日々生活している中でも、それらを象徴する食べ物や、建築などが見られます。そのため、フィリピンを訪れる前にフィリピンの歴史を学ぶと、 旅行中の街歩きや食事が、より一層楽しくなるでしょう。
そこで、まずはフィリピンのスペイン統治前の歴史についてお話していきます。
フィリピンの歴史は、大きく4つに分けることができ、1つ目がスペイン統治以前(1521年以前)、2つ目がスペイン統治時代(1521〜1898年)、3つ目がアメリカ統治時代(1898〜1945年)、4つ目が独立以後(1946年以後)となります。
フィリピンの最初の住民と言われる「ネグリト人」が、陸橋を使って渡来する前に、フィリピンには既に人がいたという証拠が見つかっているとか。
アジア最古の「カヤオ人」、「ホモサピエンス」の人骨は、フィリピンのカヤオ洞窟で見つけられ、更にリサール州のビナンゴナンでは、「アンゴノ・ペトログリフ」(紀元前3000年程前の岩絵)が発見されているそうです。
そして「ネグリト人」のすぐ後に、「原始マレー系」、「古マレー系」、「新マレー系」が海を渡り、フィリピンにやってきました。
1世紀にはアラブ、東アジア、東南アジア、インドの国々から言語や宗教、食事などの文化的な影響を受けながら、だんだんと小さな海洋国家が全国にできました。国家まで至らずに独立している村「バランガイ」もたくさんあったそうです。
フィリピンの歴史:スペイン統治時代
1521年、「マゼラン」がフィリピンにやってきたのち、1565年にスペインの植民地化が始まりました。この植民地化により、初めてフィリピンは統一されました。
300年間以上のスペインの統治時代を経て、今でもその影響が、フィリピンでの日々の生活の中で垣間見ることができます。
その中の1つとして、9割以上のフィリピン人は、キリスト教であるということ。
そして、フィリピン語の中に、「asul」(青色)や「bintana」 (窓)、「 lamesa」 (テーブル)のような、スペイン語が由来となっている言語(スペイン語では、青色:azul、窓: ventana、テーブル: la mesa)がたくさん使われています。
この時代に、スペイン語は教育機関や教会を通じて普及し、多くのフィリピン人が読み書きを習得したと言われています。また、スペイン語は政府機関の言語としても使用され、上流階級を中心に浸透していったようです。
日本でも人気の「パエリヤ」や「ガンバス」などのスペイン料理も、文化的にフィリピンに根付いているのです。
フィリピンの歴史:アメリカ統治時代
1898年には、スペイン対アメリカ合衆国の戦争が終わり、それと共にフィリピンはアメリカの植民地となりました。これは、フィリピンが独立した後の歴史において、重要な時期のうちの1つとなっています。
この植民地支配時代、アメリカは教育制度の整備・インフラ整備・経済開発に注力し、その一方でフィリピンの独立運動を抑圧しました。
公共教育が開始された1901年には、教育言語として「英語」が利用されるようになりました。そういった背景から、フィリピンでは現在も公用語として英語が使われるようになりました。
英語だけではなく、この時期に近代的な公教育制度や司法制度などの、「民主主義国家」の基盤が整備されたと言われています。
そして、アメリカの統治下で、「ハンバーガー」や「ホットドッグ」などのファーストフードが急速に広がり、現在では、「マクドナルド」や「ジョリビー」などのチェーン店が、フィリピン各地に展開されています。
そのため、この時代に培われた「政治制度」や「教育」は、後のフィリピンの発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。
フィリピンの歴史:独立後
フィリピンは「共和国」として、1946年にアメリカ合衆国から独立し、現在に至っています。その当時、ロハス大統領が初代大統領に就任しています。
この独立後の時代、さまざまな出来事も起こっています。
1965年~1986年まで、フェルナンド・マルコス大統領が、事実上の独裁政権を敷き、多くの国民が政治弾圧や人権侵害を経験したと言われています。
マルコス政権時代の腐敗は、現代でも政治の課題として残っており、選挙汚職や癒着問題などが頻発しているようです。
土着文化を持ちつつも、スペインからの影響であるヨーロッパ文化の象徴「カトリック教会」が建ち、アメリカの文化を代表する近代的な学校校舎も立ち並んでいます。
その中でも、スペイン統治時代(350年程)の文化や伝統は、食事や言語をはじめ、現在でも国民の日々の生活に根強く残っています。
そして、フィリピンは独立後、「民主主義国家」としての基盤が築かれ、文化の多様性が育まれましたが、独立後も貧困や格差などの政治的、社会的にさまざまな課題があり、現在もその解決に取り組んでいると言われています。
スペインの植民地支配が後世に与えた影響:食、宗教、建築など
続いては、スペインの統治によって後世に与えた影響について、お話していきます。
フィリピンに行くと、あちらこちらでスペインの影響を感じることが多いかと思います。
例えば、スペインの植民地時代に建てられた建造物が残っており、世界遺産でもある「イントラムロス」。
まるでヨーロッパの街並みのような歴史地区が、現在も残っていて、フィリピンにいるということを忘れてしまうほどです。
「スパニッシュコロニアル様式」の普及もしており、これは、シンプルな切妻屋根、湿式の外壁、瓦屋根が特徴になっています。
また、スペインの統治時代には、スペインの建築技術と、先住民の建築技術とが融合し、その地域独自の建築様式が生まれたと言われています。
例えば、「メキシコシティ」の歴史的中心部では、壮大な大聖堂や、広場などが文化の中心として、今でも機能しており、スペイン植民地建築は、「植民地化」と「文化交流」の歴史を物語る、象徴的な存在として、現在もその影響を世界に及ぼしています。
現代の建築家は、そういったスペイン植民地建築からインスピレーションを得て、歴史的意義を大事にしながら、現代のニーズに合わせたデザインを設計しています。
食事に関しては、フィリピン料理は日本人にとっては油が多めで甘く、合わないなと感じる人もいるかもしれませんが、スパニッシュレストランは本格的で、日本人のみならず、さまざまな国からの観光客も満足するレベルで、外れることは、あまりないと言われています。
また、スペインから「メリエンダ」という間食の習慣も伝えられ、現在でもフィリピンでは盛んになっています。食材に関してもトマトやチリペッパー、グリーンピースなどがスペインからの影響で導入されました。
そして宗教に関しても、スペインの植民地支配は、フィリピンの後世に大きな影響を与えています。特に、カトリック教会を布教する大きな影響を及ぼしました。
このスペイン植民地時代に、カトリック教会は学校や教会などを通じて、キリスト教徒が大幅に増えたと言われています。フィリピンのお祭りや伝統的な儀式など、多くの面でカトリックの影響が見られます。
その一方で、スペインのキリスト教布教に抵抗した人々が、「ミンダナオ島」に移住し、今でもイスラム教徒が多数存在しているとも言われています。そういった背景がある中でも、フィリピンは、今でも東南アジアの中ではキリスト教徒が最も多い国の1つとなっているのです。
まとめ
本記事では、フィリピンがスペインの植民地であったことの影響や、その歴史、食や宗教、建築や文化などについて、お話してきました。
スペイン統治前から統治時代の文化や食事、建築など、独立後もさまざまな場面で影響を受けているということが分かりますね。
これからフィリピンに旅行や留学などで訪れる機会がある人は、こういった歴史的な背景を学んだうえで滞在すると、食事や建築をより一層楽しむことができるかと思います。
是非、本記事を参考にしていただけますと嬉しいです!

◇経歴
・大学時代の4年間
(そのうち1年はシドニーのニューサウスウェールズ大学)
・外資系ブランドの接客時代2年間
・外資系ホテルのコンサル営業時代5年間
◇資格
TOEIC870点、英検2級
◇留学経験
オーストラリア・シドニー・1年間ア・ニューサウスウェールズ大学
◇海外渡航経験
・オーストラリア(留学・旅行)
・アメリカ(海外派遣・旅行)
・オランダ、ベルギー、ドイツ、スペイン、ポルトガル、イギリス、インドネシア、バンコク、ドバイ、マレーシア、フィンランド、デンマーク、シンガポール(旅行)
◇自己紹介
小学生の頃から英語が好きで、英会話教室に通っていました。
さまざまな国籍の方々とコミュニケーションをとることも好きです。
休日は国内外問わず旅行やカフェ巡り、ピラティスなど割とアクティブに過ごしております。