「フィリピン人の英語はレベルが低い」と聞いたことはありませんか?
実は、フィリピンは英語人口が世界第3位で、
ビジネス英語力は世界第1位という驚きのデータがあります。
フィリピン英語の実際のレベルはどうなのでしょうか?英語の訛りや特徴は?この記事では、フィリピン英語の真実を徹底解説します。
フィリピン人で英語を話せる人の割合
フィリピンで英語を話せる人がどれくらいいるかご存じですか?
実は、フィリピンは、英語を日常的に使う人が多い国の一つで、アジア地域においても、英語が広く使われている国のひとつです。
約1億人いるフィリピンの人口のうち、78〜90%(約9200万人)が英語を話すとされています。
ちなみに、世界全体で見ると、英語を話す人の割合が最も多いのはアメリカで、約95%の国民が英語を使っています。
インドでは英語を話す人の割合は約12%と比較的低めですが、総人口が多いため英語話者数は世界でも上位です。
フィリピンにおける英語の歴史
フィリピン人が英語を話すようになったきっかけは、1898年以降にフィリピンがアメリカの植民地になったことでした。
アメリカ植民地時代(1898年〜1946年)には、アメリカがフィリピン国内に学校を設立し、また、ネイティブスピーカーの英語教師1,000人を派遣して積極的な英語教育を広めました。
これが、現在のフィリピン人の英語力の背景になっていると考えられています。
フィリピンはその後、1946年に独立しましたが、独立後も英語教育が続けられ、1974年に、英語もフィリピンの公用語とする『二言語併用教育政策』が導入されました。
このような歴史的背景のもと、現在でも、英語はフィリピンの公用語の一つとして、学校教育はもとより、政治、経済、ビジネス、司法といった社会のあらゆる場面で広く使用されるようになりました。
フィリピン人が英語を話せる理由
フィリピン人が英語を話せる理由として、アメリカの植民地時代に英語教育が進められたことが大きく関係しています。
ここではそれ以外にどんな要素があるのか、もう少し深掘りしてみましょう。
英語が第二公用語として定着しているから
アメリカ統治時代、アメリカは約1,000人の英語ネイティブ教師をフィリピン全土に派遣し、学校教育を英語で実施する体制を整えました。
これにより、英語が教育の中心となり、その後のフィリピン人の英語力向上に大きな影響を与えました。
独立後もフィリピンはこの方針を継続し、英語を第二公用語として正式に採用。 学校教育の中で英語を体系的に学べる仕組みを確立しました。
このような政府の一貫した教育政策のおかげで、今日では多くのフィリピン人が英語を自在に使いこなせるようになっています。
英語を使った学校教育が浸透しているから
フィリピンでは英語が第二公用語となっていますが、学校教育ではどのように英語を扱っているのでしょうか?
フィリピンでは、国語と歴史以外のすべての授業が英語で実施されています。
この環境の中で、子どもたちは自然と英語を身につけていくことができます。
さらに大学まで進学すれば、アカデミックな内容も英語で学ぶため、英語力はさらに高まります。
日本の学校教育では「英語」という科目を学習しますが、フィリピンでは英語が学習の“手段”として日常的に使われており、英語に触れる時間が圧倒的に多いのが特徴です。
学校にいるほとんどの時間を英語で学習することにより、日本人の何倍もの時間、英語を使って考える学習をしているのです。
フィリピンの学校教育は日本と似ているのですが、ほとんどの教科で英語を使用している点が大きな違いです。
ただし、農村部に住む学校に通えない子供たちは、英語を学ぶ機会がないまま過ごすようです。
日常生活の中で英語に触れる機会が多いから
フィリピンでは、テレビ番組や映画、街の看板や案内表示、そして家族間での会話など、様々なシチュエーションで、日常的に英語に触れています。
特にテレビや映画では、全てのコンテンツがフィリピノ語(タガログ語)に翻訳されているわけではなく、英語のみで提供されているものも多く見られます。
そのため、英語で視聴せざるを得ない状況もあり、自然と英語に触れる時間が増える環境になっています。
ただし、バラエティ番組などはフィリピノ語(タガログ語)が中心のことが多く、コマーシャルでは英語混じりというパターンも多いようです。
フィリピンでは、家族間の会話は、フィリピノ語(タガログ語)や現地の言語や母語でコミュニケーションを取ることが多いようですが、中流以上の家庭では、家族同士の会話も英語を使うことが増えているようです。
フィリピン人の英語レベルはどのくらい?
フィリピンでは英語が公用語となり、学校教育でも積極的に取り入れられています。
幼稚園や小学校の頃から、授業は基本的に英語で行われるため、多くのフィリピン人は、英語を当たり前のように使いこなしています。
ただし、話すレベルには幅があり、学歴が低いほど訛りが強く聞き取りづらい傾向があると言われています。
一般的に、語学学校や英会話スクールの先生たちは、比較的教育環境に恵まれた家庭で育ち、幼いころから英語に親しんでいるため発音がクリアで流暢です。
ビジネス英語指数(BEI)2013年版では、世界平均4.75に対し、フィリピンは7.95で世界1位!
日本は4.29で平均を下回る結果となっています。
こうした高い英語力に魅力を感じ、欧米企業がコールセンターをフィリピンに設置するようになりました。
フィリピン人の英語力は日常会話にとどまらず、ビジネスシーンにも通用するほどで、国際的にも高く評価されています。
フィリピン人は英語レベルを生かしてどんな仕事に就いているの?
フィリピンは、優れた英語力を活かして、英語圏の国々から仕事を請け負うアウトソーシングの拠点としても有名になりました。
特に、物価差を活かしたコールセンターの運営が盛んで、世界中の企業がサポート業務をフィリピンに任せています。
英語を話すことができると働き口はさらに広がり、コールセンターだけでなく英語講師や外国人患者を対象とした看護師など、キャリアの選択肢が一気に増えています。
フィリピン人は、「もっといい暮らしがしたい」と考え、英語力を武器に夢をつかもうと日々努力しています。
フィリピン英語の特徴
ここでは、フィリピン英語に見られる独自の特徴について紹介します。 アメリカ英語に近い点や、スラングの少なさ、発音の特徴など、日本人にとって学びやすいポイントが多くあります。
アメリカ英語に近い発音と語彙
フィリピン英語には、地域ごとのクセや独特の言い回しがありますが、アメリカ統治時代にネイティブの教師が広めた歴史があるため、基本的にはアメリカ英語に近い発音と語彙が使われています。
例えば「少し待って」と言いたいとき、アメリカ英語では “for a while” を使いますが、
フィリピンでは “for a second” や “just a minute” で「数秒〜1分ほど待って」の意味の言葉を使います。
しかし、アメリカ英語と語彙が違うものはほんの僅かなので、意思疎通には大きな支障はありません。
基本的な単語と文法を使用
フィリピン人は、アメリカ人に比べて基本的な単語や文法を使って英語を話す傾向があります。
また、ネイティブスピーカーは流暢に英語を話すため、リエゾン(音の連結)が聞き取りにくいことがありますが、
フィリピン人は、言葉を一語一語はっきりと発音するため、日本人にとっては非常に聞き取りやすいと感じられるでしょう。
スラングが少なく初心者に優しい
フィリピン英語は、アメリカやイギリスの英語に比べてスラングや複雑な言い回しがほとんどありません。
教科書で学ぶようなシンプルな表現が多いので、初心者でも「相手に通じた」「聞き取れた」という成功体験を得やすく、英会話の練習にぴったりです。
日本語に近い発音で聞き取りやすい
フィリピン英語は、日本語に近い音を持っているのも特徴です。
例えば、L と R をはっきり区別したり、全体的に母音をはっきり発音する傾向があるため、日本人にとって聞き取りやすく、学習しやすいとされています。
また、オンライン英会話や語学留学においても、聞き取りやすさが学習効果を高める要因となっており、多くの語学学校では発音の明瞭さを講師選定の基準にしています。
タガログ語の影響を受けた「タグリッシュ」
フィリピン英語は、訛りが少ないと言われますが、実は、タガログ語の発音やアクセントの影響を受けた「タグリッシュ」と言われる訛りがあります。
・子音が違って聞こえるもの
「f」が「p」のように聞こえる
(例:coffee → coppee のように聞こえる)
「z」が「s」のように聞こえる
(例:zoo → soo に近い音)
「th」が「t」 または「d」 に近く聞こえる
(例:three → tree、this → dis)
・語尾に母音を足すクセがある
「~ple」「~ble」「~cle」などの語尾に、軽く「ウ」や「オ」の母音が付く
例:apple → “アポル”、table → “テイブル”
・「ion」をやや強めに発音するくせがある
例:nation の “-tion” 部分がハッキリ聞こえる
・アクセントの位置が後ろ寄り
アメリカ英語よりも、単語の語尾側にアクセントがくる傾向がある。
まとめ
フィリピン人の英語はレベルが低い…そんなイメージを持つ方は多いかもしれません。
しかし実際には、フィリピンは公用語として英語を使用しており、その英語力は国際的に高く評価されています。
ビジネス英語指数(BEI 2013)では世界1位、英語人口もアメリカ・インドに次ぐ世界3位(Ethnologue 2024)というデータがそれを裏づけています。
この背景には、アメリカ統治時代に導入された英語中心の教育制度があります。
幼稚園から大学まで、国語と歴史を除く授業を英語で行う仕組みが今も続いており、国民の多くが自然と高い英語力を身につけています。
フィリピン英語の発音はアメリカ英語に近く、訛りやスラングが比較的少ないため、日本人を含む英語学習者にとって聞き取りやすい特徴があります。
この点が、フィリピン人英語講師によるオンライン英会話や英語習得のための留学先として人気を集める理由です。
フィリピンの高い英語力は、コールセンターや外国人患者向け看護師、英語講師など幅広いキャリアにも直結し、生活向上を目指すフィリピン人の大きな強みとなっています。
フィリピン英語は、タグリッシュと呼ばれる地域ごとのクセはあるものの、アジアの国々の中でも突出した国際的なビジネスのハブとして、また、英語学習者の拠点としてアジアのみならず世界から注目されています。