住みやすい国や治安の良い国として人気が高い
カナダですが、本当に治安が良いのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、カナダの治安事情や安全な都市のランキングに加え、留学生や移住者が注意すべきポイントや治安情報の入手方法についても解説します。
カナダへの留学やワーキングホリデーを検討しているけれど、治安に不安を感じている方は、この記事を参考にしてください。
カナダ全体の治安概況と評価基準
カナダは「治安が良い国」として知られており、経済平和研究所(IEP)が発表した2024年の世界平和度指数ランキングでは、163ヶ国中11位にランクインしています。
参考:世界平和度指数(Global Peace Index)2024
世界平和度指数とは、世界人口の99.7%を占める163ヶ国を対象に
「安全・安心」「国内・国際紛争」「軍事化」
の3つのカテゴリに分類された23の指標に基づいて、各国や地域の平和度を数値化した指数です。
また2024年4月現在、外務省の海外安全ホームページに危険情報が出ていないことから、カナダは世界的に見ても安全な国であるといえます。
参考:外務省海外安全ホームページ(危険・スポット・広域情報)
しかし、日本と比較すると犯罪発生率は約10倍となっており、注意も必要です。
近年はギャング絡みの暴力事件や、空港、ホテル、レストランでの盗難も多発しており、日本人の滞在者が被害に巻き込まれるケースも発生しています。
カナダは治安が良い国ですが、安心しすぎず、日頃から防犯意識を持って行動することが大切です。
最も安全な都市トップ5の紹介
留学やワーキングホリデーでカナダに滞在する場合、安全な都市選びは重要です。 ここでは、カナダの中で最も安全な都市トップ5を紹介します。
1位:カルガリー
カルガリーはEIU(Economist Intelligence Unit)が発表した2024年の
「世界で最も住みやすい都市」ランキングで5位に選ばれました。
税金が他の州に比べて少ないことや、経済が豊かであることから治安が良いといわれています。
街を歩いているだけで危険を感じることは滅多になく、夜でも女性が一人で歩いているのを見かけます。
カルガリーは世界遺産であるカナディアンロッキーの玄関口とも言われており、大自然を気軽に満喫できるのが特徴で、ゆったり平和な雰囲気を感じられるでしょう。
またITやホスピタリティ産業が盛んで、教育や医療サービスの質も高いため、住みやすい都市として選ばれています。
2位:バンクーバー
バンクーバーも同じく2024年の
「世界で最も住みやすい都市」ランキングで7位を獲得しています。
評価の基準となる5つの項目(安全性・文化と環境・教育・インフラ・医療制度)の中で、文化と環境・教育・医療制度の3項目で満点を獲得している都市です。
中でもウエストバンクーバーと呼ばれる地域には、多くの富裕層が生活しているため、治安の安定につながっています。
またバンクーバーは都市と自然の両方を満喫できるのに加えて、一年を通して温暖な気候であるため、さまざまな人種から人気があります。
3位:トロント
トロントは2021年にエコノミスト・インパクトが発表した「世界の安全な都市」ランキングで2位に選ばれました。
2024年の
「世界で最も住みやすい都市」ランキングでは12位ですが、治安や生活水準は今も高く評価されています。
カナダ最大の都市で、地下鉄やバスなどの公共交通機関が充実しており、生活に不便さを感じません。
多くの金融機関が集まる都市でもあり、国民の生活水準は比較的高く、治安も安定しています。
またトロントに住む方の約半数以上が移民といわれており、さまざまな人種から住みやすい都市として選ばれています。
4位:オタワ
オタワはカナダの首都で、MONEY SENSE誌の調査(犯罪率・失業率・気候などの総合評価)によると、「カナダで治安の良い街」ランキングでは2年連続で1位を獲得しています。
カナダの政治やビジネスの中心街になっており、行政機関や企業の本社などが集まっているため、街中の治安が安全に保たれています。
またオタワでは勤勉な学生が多く、全体的に静かで穏やかな雰囲気の街であることも、治安の安定につながっています。
5位:モントリオール
モントリオールもカナダの中で治安が良い都市として知られています。
トロントに次いで第2位の経済規模を誇る大都市で、英語とフランス語が公用語として使われているのが特徴です。
アメリカの国境近くに位置しながらも厳しい銃規制が定められているため、銃器による犯罪は滅多に発生しません。
特に観光客が多く訪れる地域は警察が頻繁にパトロールを行っており、日中の治安も安全に保たれています。
治安が懸念される都市とその背景
カナダには治安があまり良くない地域も存在します。ここではカナダに訪れたときに注意すべき地域と、治安が懸念される背景を解説します。
バンクーバーのイーストヘイスティングスストリート
イーストヘイスティングスストリートは、バンクーバーの中心街と隣接している地域です。
この地域ではホームレスの方や薬物の影響を受けている人々が多く見られ、治安が深刻な問題となっています。
ドラッグが安価で流通しており、過剰摂取による救助要請や犯罪の被害も多発しているため、観光や生活で特に注意が必要です。
危険なトラブルに巻き込まれないために、この地域には近づかないよう注意してください。
トロントのジェーンアンドフィンチ
ジェーンアンドフィンチはトロントの北西に位置するジェーンストリートとフィンチストリートが交差する一角の地域です。
古いアパートが立ち並び、ガラスが割られたバス停があったり、道端にはゴミがたくさん落ちていたりして、ダウンタウンとは違う不審な空気が漂っています。
マリファナの匂いを強く感じたり、銃撃事件が発生したりすることもあります。
この地域もなるべく近づかないようにしましょう。
モントリオールのBerri UQAM駅周辺
Berri UQAM駅周辺は地下鉄の駅やバスターミナルが集中している地域です。
日中でもスリや窃盗などが発生しており、夜間はひと気のないホームで暴力事件も発生しています。
夜間の駅周辺では、麻薬取引が行われている場合もあるため、夜の一人歩きは控えるようにしましょう。
またこの地域にはホームレス・シェルターがあるため、他の地域よりもホームレスの人々が多く集まっています。
昼間はたくさんの人が通る地域ですが、夜間は雰囲気が一変して治安が悪くなるため、一人では近づかないよう注意してください。
留学生や移住者が注意すべきポイント
留学生や移住者が、カナダの犯罪やトラブルで注意すべきポイントについて解説します。
スリや置き引き
治安が良いといわれるカナダですが、スリや置き引きなどの犯罪は多数発生しています。
特に観光客が集まる地域や繁華街では、たくさんの被害が報告されています。
被害に遭った多くの日本人は、貴重品を入れたカバンを足元やイス、テーブルなどに置いて、その場を離れた隙に盗まれています。
スリや置き引きに遭わないために、貴重品は必ず身につけておき、荷物を置いたまま離れないよう注意しましょう。
また公共交通機関では後方から所持品を盗まれるケースもあるため、バッグを前に抱えて持つなどの対策も重要です。
ドラッグ
カナダではマリファナの所持や使用が合法化されており、簡単に入手できてしまいます。
現地でできた友達にすすめられる場合があるかもしれませんが、犯罪に巻き込まれる可能性もあるため注意が必要です。
またカナダ国内では大麻が合法であっても、日本で大麻を所持・栽培することは違法なので、大麻には決して手を出さないようにしましょう。
特にドラッグが流通している地域や薬物乱用者が集まる地域はトラブルに巻き込まれやすいので、近づかないようにしてください。
車上荒らし
カナダは車社会であり、車を使用する人が多いことから、各都市で車上荒らしや自動車の盗難被害が多数報告されています。
貴重品やカバンを車内に置いたまま車を離れている隙に、窓ガラスを割って荷物を盗まれるのが、よくあるケースです。
車を駐車して離れる際は短時間であっても、貴重品やカバンは車内の見える場所に置かない、もしくは車内に置いたままにせず身につけておくなど、防犯対策を心がけましょう。
治安情報の入手方法と最新ニュースのチェック方法
最後にカナダの治安情報をすぐ確認できるように、治安情報や最新のニュースをチェックする方法について解説します。
外務省のたびレジを登録する
たびレジとは外務省から海外の最新の安全情報をメールで受信できるサービスです。
滞在先を登録しておくと、その地域の安全情報を随時受け取ることができます。
英語が苦手な方でも、日本語で正確な情報を手に入れられるので安心です。
これからカナダに渡航する予定がある方は、たびレジに登録してカナダの治安情報を受け取れるようにしておきましょう。
オンライン在留届を提出する
オンライン在留届とは外務省が提供している電子で提出できる在留届のことです。
海外に3ヶ月以上滞在する方は、在留届の提出が義務付けられています。
オンライン在留届を提出することで、現地の最新情報をすぐに受け取ることができます。
また旅先で事件や事故に巻き込まれた場合に、対応サポートも受けられます。
カナダの治安に不安がある方は、オンライン在留届を提出しておくと安心です。
留学エージェントや現地の生活者に聞く
留学エージェントや現地の生活者に直接聞くのも、最新の情報を入手する方法の1つです。
現地で生活している人からは一次情報が手に入りやすく、より詳細な情報を知ることができます。
またTwitterやFacebookなどのSNSで、現地の情報を発信している人も参考になります。
ただ、SNSなどの発信情報は正確ではない可能性もあるため、正しい情報かどうか見極めながら参考にしましょう。
より最新で正確な情報を入手したければ、現地のニュースを確認することもおすすめです。
まとめ
カナダは「世界平和度指数」や
「世界で最も住みやすい都市」ランキングで常に上位を獲得するなど、世界的に見ても治安の良い国です。
しかし安全な都市にも注意が必要な地域があり、犯罪やトラブルに巻き込まれないためには防犯意識が大切です。
これからカナダへの留学やワーキングホリデーを検討している方は、この記事を参考に、事前に治安情報を把握し、安全に生活できるよう準備を進めましょう。